Live Report from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2008 |
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法政大学 vs 大東文化大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2008/09/15) 於:秩父宮ラグビー場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 法政大学 :前半: 3 2 0 0 19 | :後半: 2 2 0 0 14 | 33 6 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 大東文化大学:前半: 0 0 0 0 0 | :後半: 1 1 1 0 10 | 10 7 ◎出場メンバー 法政 : 1.浅原 2.山森 3.鎌田 4.井上 5.栗林 [6].有田 7.光安 8.宮田 9.日和佐 10.文字 11.竹下 12.宮本 13.岸和田 14.舩木 15.城戸 (16.川口 17.小田 18.山根 19.荻山 20.和田 21.野地 22.川上) ○交代 1→14(後14分入替), 8→19(後14分入替), 2→16(後37分入替) 4→18(後37分入替), 9→20(後40分入替), 11→22(後41分入替) 13→21(後41分入替) 大東 : 1.川村 2.井上 3.高澤 4.シリヴェヌシ 5.大窪 6.斉田 [7].関戸 8.レプハ 9.新川 10.升屋 11.小笠原 12.神沼 13.武政 14.吉田 15.増野 (16.中井 17.森山 18.坂下 19.浜口 20.岸和田 21.シオネ 22.出村) ○交代 13→20(前14分交替), 4→17(後 0分入替), 7→19(後 0分入替) 11→21(後 0分入替), 10→22(後12分入替), 3→16(後19分入替) レフリー :相田真治(日本協会公認) ◎得点経過 法政大学 0 5 12 19 19 T x G G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 x 大東文化大学 0 0 法政大学 19 26 33 33 G G 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 G P 大東文化大学 0 7 10 10 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 法政:前半 6分 浅原 (T) 19分 宮本 (T)、文字 (G) 40分 舩木 (T)、文字 (G) 後半31分 文字 (T)、文字 (G) 39分 荻山 (T)、文字 (G) 大東:後半10分 増野 (T)、増野 (G) 21分 増野 (PG) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 法政対大東大といえば例年だとリーグ後半戦の黄金カードのひとつで、試合は スペクタクルな展開になることが多い。だが今シーズンはこの両チームがいき なり緒戦で顔を合わせる。法政は昨シーズン4位で大東大は同5位だから自動 的にこうなってしまったのだが、リーグ戦Gのファンにとっては嬉しさも寂し さも半々といったところ。法政の場合は昨シーズンの出遅れが響いた格好だが、 大東大はここ数シーズンにわたるチーム力の低下傾向に歯止めがかからないと ころが気になる。 過去、両チームにより繰り広げられた激闘のことを振り返りながらメンバー表 を眺めてみる。法政は「らしさ」を取り戻した昨シーズンの後半戦を戦ったメ ンバーが多く残っており、ほぼチームは出来上がっているという印象。今シー ズンは最初から日和佐と文字の(固定された)HB団で戦えるのも強み。気に なるのは、やはりFWの出来。上位争いをするためにはパワーが必要だが、ス ピードと運動量が落ちてしまうと法政の持ち味は薄くなってしまう。 問題は大東大の方。昨シーズンは「日替わり」ならぬ「週替わり」メニューで メンバーが試合毎に入れ替わった。果たして今シーズンは?というのは今後の 試合を観なければわからないが、まず立ち上がりはFWに留学生二人(LOシ リヴェヌシとNo.8レプハ)を起用する方針のようだ。WTBのシオネ・テアウ パ(ファマオ)はスーパーサブ的な起用だろうか。また、SOには2年生の出 村ではなくて4年生の升屋を起用。新しい顔ぶれが半分超のBKラインをベテ ランに託したということかもしれない。このあたりが試合にどう影響するか? [前半の戦い] 大東大のキックオフで試合開始。その大東大が開始早々に魅せてくれた。蹴り 合いが続く中、自陣からのカウンターアタックでボールが左右グランド一杯に 大きく動き、WTB吉田が左サイドを疾走して22mラインを突破する。ゴー ルまであと少しというところで法政のタックルに捕まり、ラックからボールが 右オープンに展開されたもののノックオンでチャンスを潰す。今年の大東大は やりそうだと誰もが感じたダイナミックな攻撃。 しかしながら大東大サイドで上がった歓声も、その後は法政のスピード感溢れ るオープン展開によるアタックが続いたことで、ため息の連続に変わってしま う。そして開始から僅か5分、大東大が自陣22m内で反則を犯したところで 法政はタップキックから速攻で攻めて大東大陣ゴール前に到達。最後はPR浅 原がインゴールに飛び込んで先制点を挙げた。法政はBKによる高速展開が持 ち味だが、ラックサイドに走り込んだFW選手にSHからいいタイミングでパ スが渡りゲインするシーンも目立った。この形が今シーズンの法政の大きな武 器になるかも知れない。 法政の高速展開(どちらかといえばまだ中速で変化球もそれほど使っていなか ったが)に大東大DFが後手後手にまわる。その大きな原因はスクラムにあっ た。法政FWのプレッシャーに抵抗できず前半早々にして早くも崩壊に近い状 態になってしまった。ディフェンスはどうしても下がり気味になり、第2フェ イズの段階で早くも綻びが出始める。アタックの局面でも、試行ルールを有効 に活用して本当は8→9で攻めたいのだが、スクラムが押されている状態では No.8が単独で行くしかなくなる。しかも出発点は下げられた位置からのラック。 これではリーグ戦屈指の曲者SH新川の持ち味が活きない。 11分に法政は大東大陣10mライン付近で得た反則からSO文字がPGを狙 うが外れる。圧倒的に攻めている法政ではあるが、緒戦の堅さもあってかミス が目立つ展開。だが、スクラムで圧倒されている大東大はそれにつけ込むこと ができない。しかし19分、法政は自陣からのカウンターアタックから連続攻 撃でボールを前に運び、ライン参加したFB城戸からラストパスがCTB宮本 に渡る。完全な法政ペースの中で、大東大の応援席は沈黙を余儀なくされる。 24分、大東大は一矢報いようとFB増野が左中間22m付近からPGを狙う が惜しくもポストを直撃して得点ならず。 12点リードまでは順調に見えた法政だが、前半の後半はミスが目立ち始める。 また、試行ルールの影響という訳でもないが蹴り合いが多く、ミスが主因のタ ーンオーバー合戦(ドタバタ劇とも言い換えられる)が展開され、どちらも得 点を挙げることが出来ないまま時計がどんどん進んでいく。こういったスクラ ンブル状態になれば大東大ペースとも言えるのだが、大東大はスクラムの不調 が響いてなかなかペースを握ることができない。 このままドタバタに近い状態で前半が終わるかと思われた40分、法政に待望 の追加点が生まれる。大東大陣10m/22m左サイドのラインアウトを起点として 右オープンに展開。文字の絶妙な飛ばしパスが決まり、ライン参加したFB城 戸がラインブレイクしてラストパスをWTB舩木に渡す。もちろん結果論だが、 この得点が得られたことは法政にとって大きかった。これで法政はエンジン全 開で、後半はトライの山を築くに違いないと思われたのだったが...。 [後半の戦い] 何とか法政に傾いた試合の流れを変えたい大東大。過去の例でも思い切って後 半の頭からメンバーを大幅な変えてくることがままある大東大だが、それはこ の試合も同じだった。LOシリヴェヌシに替えて森山、FL関戸主将に替えて 浜口、WTB小笠原に替えてシオネ・テアウパがピッチに登場。う〜ん... 大東大はどうも留学生の起用法を軸にチームを作っている印象がある。だから FWの選手をBKに入れ替える場合はチームが2つ、つまり2つの戦術がある ことになる。果たしてこの選手交代は吉と出るのか? あと個人的な意見とし てはNo.8はシリヴェヌシ(フィリピーネの弟さん)の方がフィットしているよ うに思われるのだが。もっともスクラムが崩壊状態ではどうしようもない。蛇 足ながら、12分にはSO升屋に替えて出村が登場する。やはりチームは2つ なのか??? さて、後半。法政はキックオフ早々にカウンターアタックで攻め上がったWT B竹下が、タックルに入った大東大選手を吹っ飛ばす驚きのパワーを見せる。 これで完全に法政がペースを握ったかに見えたが、ラグビーは本当にわからな い。大東大の選手交代が効を奏したというよりも、法政に安心感がでてしまっ たためか、前半の後半を引きずる形でキックの応酬に起因するスクランブル状 態が展開される。ノックオンが相手へのナイスパスになったり、ラストパスの はずが、それを受け取ったのは相手選手というような状態で攻守がめまぐるし く入れ替わるという、見方によっては面白い試合になってしまった。この辺り は前日に三ツ沢で試合をした(組織された)関東学院対流経大戦とはちょっと 世界が違うという印象。 図らずも自分たちに流れが来た大東大が攻勢に転じる。7分にはSH新川がF Kから巧みに抜け出しゴール前へ。オープンからのインゴールへのキックが相 手のキャリーバックを誘い、大東大は5mスクラムのチャンスを掴む。そして 10分、大東大は左右に法政を揺さぶるオープン展開の連続からFB増野がト ライを奪い、GKも成功して7−19。さらに20分、増野がゴール正面45 mのロングPGを成功させて10−19と、大東大のビハインドは一気に9点 に縮まった。何だかグランドに波乱の匂いがプンプンしてきた。やはり、この 対戦はただでは終わらない。 しかし、法政のキープレイヤーはやはりSOの文字だった。30分、大東大陣 22m付近左サイドのラインアウトからパスを受けた文字がするすると大東大デ ィフェンダーをかわしてゴール中央にトライを決めた。あまりにもあっけない 失点に大東大の応援席もがっくり。自分たちに向いていた風が一気に逆風とな る。このトライで息を吹き返した法政は39分に大東大ゴール前のスクラムか らNo.8荻山(後半14分に宮田に替わって出場)が単独でサイドを突きインゴー ルへ。大東大は終了間際に自陣10m付近でのスクラムを起点に、飛ばしパス 2本で大きくゲインを図るがゴール寸前で惜しくもタッチに押し出されてしま った。ここでノーサイド。試合の中盤では何かが起こりそうな予感もした試合 だったが、昨シーズン同様、法政のワンサイドゲームで試合は終了した。 [試合後の感想] 「3度目の正直」(序盤戦の出遅れ)が心配された法政だったが、大東大の不 調(とくにスクラム)が原因のひとつだったとしても、今シーズンは大丈夫の ようだ。メンバーもおそらくこの試合を戦った選手達で固まったものと思われ る。FWが強いのかどうかはこの試合からはまだわからず、BKも高速展開に はなっていないが、目下の2強と目される関東学院や東海大を脅かす存在にな りそうだ。そのためにも序盤戦は取りこぼしのないように一戦一戦を大事に戦 って欲しい。 大東大にとっては、今シーズンの戦いはとくに厳しいものになりそうなことを 予感させる初陣となってしまった。とくに崩壊状態だったスクラムの立て直し は急務。頼みトンガ出身の選手達も、先人達(最近ではフィリピーネやエモシ といった現役トンガ代表)が偉大過ぎたためか、どうも影が薄いような感じが する。ここは思い切って(彼らの起用法に拘ることなく)本当に強い選手でメ ンバーを固める英断が必要なような気がする。あくまでも個人的な意見だが、 その方がチームも活性化すると思われるので。 (2008年9月17日記) Top |
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