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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2008

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東海大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2008/10/04) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 東海大学  :前半: 4  3  0  0 26 |
       :後半: 6  5  0  0 40 |  66 13
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   7 15


◎出場メンバー

 東海 : 1.三上 [2].岸 3.熊谷 4.安井 5.杉浦 6.前川 7.荒木 8.マウ
      9.鶴田 10.市原 11.菅生 12.山内 13.児玉 14.山田 15.豊島
     (16.新田 17.宮本 18.斉藤健 19.畑 20.山本 21.吉田 22.福田)

    ○交代 13→21(後17分入替),  6→19(後21分入替),  1→16(後28分入替)
         2→17(後28分入替), 11→22(後31分入替),  8→18(後39分入替)
         9→20(後39分入替)
    ●シンビン  8(後半19分)


 中央 : 1.井上 2.岡島 3.大塚智 [4].小笠原 5.眞壁 6.豊田 7.烏田 8.植原
      9.吉田 10.中澤 11.中田 12.三宅 13.大塚大 14.柴戸 15.森山
     (16.菊田 17.丸井 18.渡辺 19.山下 20.木下祐 21.木下翔 22.粥塚)

    ○交代  4→18(後12分入替),  7→19(後23分入替), 14→22(後37分入替)
    ●シンビン 15(後半13分)


 レフリー :早藤嘉幸(関東協会公認)


◎得点経過

 東海大学    0        7          14    19       26             26
                        G          G     T        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                   G
 中央大学    0                                         7        7


 東海大学   26      33   38   45   52                 59 66    66
                G    T    T    G                  G  G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    7                                                  7


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 東海:前半 7分 熊谷 (T)、市原 (G)
      18分 鶴田 (T)、市原 (G)
      24分 前川 (T)
      24分 前川 (T)、市原 (G)
    後半 5分 菅生 (T)、市原 (G)
      10分 マウ (T)
      16分 マウ (T)、市原 (G)
      20分 菅生 (T)、市原 (G)
      39分 荒木 (T)、市原 (G)
      42分 豊島 (T)、市原 (G)

 中央:前半40分 柴戸 (T)、三宅 (G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

この試合に先立って行われた第1試合では、関東学院がまだまだ粗削りながら
も大東大を圧倒し、潜在力の高さ(今後の「伸びしろ」の大きさ、といっても
元々基礎レベルが高いのだが)を強く印象づけた。果たして、その関東学院と
覇権争いを演じる最有力候補と目される東海大の仕上がり状態がどうしても気
になってしまう。秋晴れの好天に恵まれた秩父宮を舞台に、東海大がどんなパ
フォーマンスを見せてくれるか、そして好調なスタートを切った中央大が強豪
にひと泡吹かせることができるだろうか。リーグ戦Gファン注目の第2試合が
これから始まる。

東海大はFWの要、マイケル・リーチが香港(W杯セブンズのアジア予選会場)
に居るため不在だが、元々2、3列はレギュラー争いの超激戦区のため大きな
戦力低下はないはず。代役?の前川も十分にスタメンで活躍できる選手だ。ま
た、BKでは前の試合で負傷したWTB新井に替わって4年生の山田が久しぶ
りのスタメン出場。1年生の時から出ている(期待の大きかった)選手だが、
過去2シーズンは怪我もあってか不完全燃焼に終わっている。それだけに、代
役と言わせないくらいの元気なところを見せて欲しい。それにしても東海大は
本当に選手層が厚くなった。

対する中央大は司令塔のSO松下とリーグ戦Gの誇るスーパーブーツのひとり
FB岡本が欠場している。この辺りの影響は少なくないものと思われるが、S
O中澤とFB森山(どちらもなかなかの大型BK)がどこまで頑張れるか。中
央大もFWの2、3列にパワフルな選手を揃えており、セットプレーが安定す
れば潜在的な破壊力を持っているチーム。過去2戦ではディフェンス面での成
長を見せた中央大だが、相手が東海大ではあっても守勢に回っているだけでは
勝利は掴めない。この試合でアタック面でも光明を見いだすことができるだろ
うか。

[前半の戦い]

メインスタンドから見て右より(南側)に陣取った中央大のキックオフで試合
開始。過去2戦の戦いで「スロースターター」の指摘も受けていた東海大だが
この試合はオープニングからエンジン全開で中央大に襲いかかる。第1試合で
関東学院がキックオフ直後に見せた素晴らしいパフォーマンスが思い起こされ
るが、東海大の方は高速でワイド、かつ組織的。東海大はキックオフのリター
ンから積極的にオープンに展開し、FB豊島からパスを受けたWTB山田がH
WL付近までボールを運ぶ快走を見せるが、惜しくもタッチに押し出される。

しばらくはキックの応酬が続くものの、勢いのある東海大が押し気味で試合を
進める。そして7分、東海大はターンオーバーからフェイズを重ねる継続ラグ
ビーで中央大陣ゴール前までボールを運び、最後はラックから展開されたボー
ルを受けたPR熊谷がゴールラインを越えた。粘り強いディフェンスが持ち味
の中央大だが、これだけボールを速くワイドに動かされるとついていけない。

しかし、中央大も反撃する。キックオフ直後の8分、自陣でターンオーバーに
成功してオープンに展開するが惜しくもノックオン。続く10分にはFKから
の速攻で前進を図るものの、ラックでオーバーザトップの反則。14分には東
海大陣22mライン付近(右中間)でマイボールスクラムの絶好の得点機を掴
むがノックオンでチャンスを潰す。う〜ん、せっかく序盤の東海大の猛攻を何
とか1トライされただけで凌ぎ、ゲームの流れが中央大に傾きかけていたよう
に見えただけに残念。(しかし、ここが中央大の課題であり続けているのだ。)

中央大のミスに助けられている形だが、東海大もスピードに対する意識が強い
ためかミスが目立つ。ピッチ上で後方から「東海、慌てるな!」の冷静な声が
飛ぶ。そう、慌てる必要はまったくない。選手達もわかっているのだが、ひと
りひとりが落ち着いてプレーできるという面では、やはり関東学院の方に一日
の長がある。

中央大が波に乗れないもう一つの理由はスクラム。常に東海大のプレッシャー
を受ける状況で安定したボールが出せない。17分には自陣10m/22mの位置で
のスクラムで東海大の強力なプレッシャーを受けてマイボールを失う。直後の
東海大ボールとなったスクラムで中央大が反則を犯したところで、東海大はタ
ップキックからクイックリスタート。No.8マウが力強く前進を図り、最後はS
H鶴田が中央大のディフェンダーを巧みにかわしてゴールラインを越えた。G
Kも成功し、東海大のリードは14点に拡がる。これで東海大が完全に波に乗
った。以後、中央大は殆どの時間帯を自陣で戦う苦しい展開となる。

東海大は「敵陣で得たPKはクイックリスタート」で意思統一されていたよう
だ。24分、ゴール前でのPからGOでFWがポイントを移動させながら前進
を図り、FL前川がトライを奪う。GKは失敗するが19−0と中央大を突き
放す。中央大はキックオフ直後に得た東海大ゴール前での5mスクラムのチャ
ンス(東海大のキャリーバック)も、サイドアタックでパスミスに起因したノ
ットリリースの反則で活かせない。

逆に東海大は33分、自陣からのカウンターアタックでWTB菅生からパスを
受けたFB豊島が一気に中央大ゴール前まで前進しラック。ここからパスを受
けたFL前川がこの日の2トライ目を挙げて(GKも成功し)26−0。前川
(2年生)の頑張りが目立つ東海大だが、もうひとり注目のルーキーが居る。
35分、中央大が自陣10m付近からオープンに展開してのチップキックが、
絶妙の相手へのキックパスとなり、LO安井(1年生)がBK並の華麗な?ス
テップワークを披露して一気に東海大ゴール前まで到達する。タックルを受け
た安井のオフロードパスをフォローした選手が何とノックオン。余裕綽々のた
めか東海大応援席もこれには大爆笑。それにしても恐るべきルーキーだ。前川
や安井の活躍にリーチもうかうかしていられない。

東海大のワンサイドゲームの様相も呈してきたこの試合。何とか一矢報いたい
中央大が前半終了間際に意地を見せる。40分、自陣10m/22mでのラインアウ
トを起点としてオープンに展開し、連続攻撃で最後はWTB柴戸がゴールライ
ンを越えた。中央大はやっといい形でのトライにより7点を返すが、ちょっと
遅すぎた感がある。ただ、後半に希望を持たせる得点ではあった。

[後半の戦い]

前半終了間際のトライで元気を取り戻した中央大。後半は先に点を取りたい。
自陣からの攻めはハイパントが中心でFWを前に出す作戦だが、東海大も落ち
着いてボールを処理する。中央大のハイパントに対し、東海大のキックは低い
弾道で意図的に敵陣のタッチを狙っているように見える。これがなかなか効果
的だ。拓殖大の場合もそうだが、試行ルールでキックが多くなることに備えて、
距離が出てタッチも狙えるライナー性のキックを徹底的に練習したようだ。

何とか先に得点を、の中央大だったが5分、早々に出鼻を挫かれてしまう。東
海大陣10m/22mの位置で得たPKから速攻で東海大ゴールを目指すものの、東
海大のWTB菅生がインターセプトに成功してそのまま一気に東海大ゴールま
で駆け込んだ。中央大にとっては何ともショッキングというか残念な失点だっ
た。東海大の徹底ぶりを見ると、中央大は「PからGO」でチームが意思統一
できていたのかちょっと疑問が残る。これで東海大のリードは再び26点に拡
がった。

中央大もFWを中心としたアタックではいい形を見せる。中央大FWの要はL
O眞壁だが、No.8植原もなかなか突破力のある選手。SO中澤もタテに強いタ
イプなので、中央大はオープンに展開するよりもFW周辺で攻めたほうがいい
ように思われるのだが。中央大は9分にも自陣からのスクラムを起点としてF
Wのサイドアタックでゲインを図るがノットリリースの反則。ここから東海大
がクイックリスタートでボールを繋ぎ、No.8マウがインゴールに飛び込んだ。
先ほどの中央大の失敗(インターセプトで失トライ)との違いが頭をよぎる。

後半13分、中央大のFB森山が故意のノット10mバックでシンビンを適用
され一時退場となる。完全にペースを握った東海大はさらに畳みかける。16
分、東海大陣22m内でのスクラムからマウがサイドを突いてトライ。これで
東海大の得点は第1試合で関東学院が記録した50点にあと1トライで追いつ
く45点となる。19分に東海大のマウも危険なプレー(レイトチャージ)で
シンビンを適用されるが、既に勝負は決している。20分には中央大のライン
アウトにミスがあり、東海大が自陣22m付近からオープンに展開して大きく
ゲイン。最後はゴール前への絶妙のゴロパントをWTB菅生が拾ってゴールラ
インを越える。GKも決まり(関東学院越えの)52点目が入った。

中央大もNo.8植原を中心としたFWのタテ突破とBKへのオープン展開を交え
て反撃するが、疲れもあってミスでチャンスを潰す。こうなってしまえば、東
海大は残り時間、余裕を持って攻めることが出来る。39分にはカウンターア
タックからWTB山田がゲインしてラストパスがFL荒木に繋がる。さらに4
2分、東海大は鮮やかな連続攻撃からFB豊島がゴールラインを越え、GKも
成功して66点目を奪う。合計10トライ、後半だけでも6トライを奪った東
海大の仕上がりの良さがとくに印象に残る試合だった。

[試合後の感想]

「東海大の仕上がりのピッチは上がりすぎでは?」というのが試合後の率直な
感想。リーグ戦後の重要な試合までにはまだまだ時間がある。が、穿った見方
かも知れないが、東海大はこの試合で「どこまでスピードアップできるか?」
を試したのではないかという気もする。スピード勝負だけでは関東学院、そし
て大学選手権で対戦する強豪チームに勝てないことは東海大も十分にわかって
いる。実は、次の試合からは東海大は新たな段階へと戦法をシフトチェンジし
てくるのでは?という期待が膨らんできている。FWに走力がある選手が揃い、
BKにも随所で好判断を見せるCTB山内がいる。高速展開が持ち味の法政相
手に、「今年の東海大は速さだけではない」ことを見せてくれるかどうか?が
本当に楽しみになってきた。

今シーズンは出足好調と思われた中央大だが、失トライ10はおそらく想定外
でショッキングな敗戦となってしまった。キープレイヤー数名を負傷で欠いて
いたこともマイナスに作用したかもしれない。また、チャンスの局面でミスを
犯してしまう悪い流れをなかなか止めることができないのが残念。ひとつ思っ
たことは、中央大は伝統的にFW周辺でのBKと連携したタテ攻撃に強さを持
っているチームだといいうこと。そのことはこの試合からも確認できた。今後
の4試合はサバイバル戦となることが予想されるだけに、今一度伝統のスタイ
ルに磨きをかけてみるのも手ではないかと思う。    (2008年10月7日記)

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