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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2009

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関東学院大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2009/09/13) 於:江戸川区陸上競技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 4  3  0  0 26 |
       :後半: 3  3  0  0 21 |  47  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   0 17


◎出場メンバー

 関東 : 1.稲垣 2.高 3.田中 4.清村下 5.飯塚 6.辻井 [7].安藤 8.山田
      9.森 10.木村 11.長谷川 12.三輪 13.笹倉 14.夏井 15.荒牧
     (16.渡邊 17.眞鍋 18.萩原 19.松浦 20.千馬 21.大島 22.谷野)

    ○交代  2→16(後21分入替)
 

 中央 : 1.井上 2.丸井 3.米谷 4.野原 5.渡辺 6.豊田 7.烏田 8.原
      9.吉田 10.松下 11.森山 [12].中澤 13.大塚大 14.吉原 15.廣川
     (16.坂井 17.大和 18.山下 19.堀野 20.北田 21.宇野 22.辻)

    ○交代  4→18(前32分入替),  8→19(後 0分入替),  3→16(後 1分入替)
         1→17(後26分入替)
    ●シンビン 12(後半42分)


 レフリー :土屋有司(関東協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0      5           12           19        26 26
                      T           G            G             G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    0                                                  0


 関東学院大学 26       33                          40  47    47
                 G                           G   G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    0                                                  0


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半 5分 山田 (T)
      17分 山田 (T)、荒牧 (G)
      30分 村下 (T)、荒牧 (G)
      44分 山田 (T)、荒牧 (G)
    後半 6分 長谷川(T)、木村 (G)
      34分 木村 (T)、木村 (G)
      38分 長谷川(T)、木村 (G)



◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

2009シーズンの開幕を飾るのは関東学院と中央大。関東学院は昨シーズン
に引き続き、今シーズンも不安いっぱいの中でシーズンインを迎える。メンバ
ーが入れ替わる時期にあたって実戦経験の不足は本当に痛いに違いない。やむ
を得なかった面があったとはいえ、時間切れの状態で緒戦を迎える関東学院は
どんな方向性のチームを目指すのだろうか?というのがひとつの注目ポイント。
そして、このチームのDNAは選手達が代替わりした中でもしっかり受け継が
れているのだろうか。それを試すには中央大は厳しい相手かもしれない。

対する中央大のここ6シーズンは3年連続7位、そして3年連続6位と低迷状
態から抜け出せないでいる。今シーズンこそは何とか大学選手権の切符を掴み
たい。そして、もちろん来シーズンのことを考えれば、上位グループ入りは必
達の目標になる。関東学院は上でも触れたように、メンバーの入れ替わり、実
戦経験不足、そしてFWの小型化と課題が少なくない。戦績は今一歩でも、中
央大は伝統的に関東学院が相手の時は目の色を変えて試合に臨んでくるし、結
果は出ていなくても、印象に残る試合も少なくない。中央大にも時に対戦相手
を震え上がらせるような「怖いラグビー」を見せるというDNAがある。そん
な中央大の「もしや」があるか?に期待してキックオフを待った。

[前半の戦い]

メインスタンドから見て左側に陣取った関東学院のキックオフで試合開始。ピ
ッチに並んだ選手達をざっと眺めてみても、関東学院のFWが例年に比べて小
さくなっていることがよくわかる。対する中央大もけして大きなチームではな
いが、今までのようにFW戦で粉砕されてしまうことはなさそうだ。実際にピ
ッチの上での展開も、過去数シーズンの関東学院が見せたような強力FWで相
手をねじ伏せるといった形にならない。チームの仕上がりがかなり遅れている
ことを窺わせる、ファンにとっては不安含みの立ち上がりとなった。

ところが、関東学院に比べればチームを仕上げる上で支障がなかったはずの中
央大もピリッとしない。FW戦で優位に立つチャンスがありながら、それを活
かすことができない。昨シーズンまでの主力選手だった眞壁や植原らが抜けた
ことは確かに大きいが、BK陣は1年生から活躍している選手達に加えて、評
判のいい新人も居る。最初にペースを掴むのは果たしてどちらか。

そんなことを想いながら接戦を期待したのだが、キックオフの余韻もさめやら
ない開始5分に関東学院があっさり先制する。中央大陣22m内で得たペナル
ティからスクラムを選択しすぐにFWでモールを形成して前進。最後はNo.8に
抜擢された山田が中央大陣のインゴールに飛び込んだ。ゴールキックは失敗し
たが関東学院は幸先良く5点を挙げる。

これで関東学院がペースを掴むかに見えたが、ピリッとしないのは相変わらず。
1発張られて目が覚めたのか、キックオフから中央大が攻勢に出る。関東学院
がペナルティを犯したところで、関東学院陣22m内でのラインアウトという
願ってもないチャンスを掴む。モールを形成してじっくり押し込むかと思われ
たが、中央大はサインプレーで選手がショートサイドに走り込みボールを受け
てインゴールに到達?と思われたがノット5mで万事窮す。じっくり攻めて関
東学院にプレッシャーをかける絶好のチャンスだっただけに残念だった。

その他の場面でも中央大のちぐはぐな面が目立つ。ラックになったところでは
必ずホイッスルが鳴るといった状態で反則の数(この日は17を数えた)がど
んどん増えていく。対する関東学院はチームの仕上がりこそ遅れているものの、
試合巧者であることは明らか。中央大が攻めきれない間にじわじわとチームの
立て直しに成果を上げていく。実戦の場で自分たちが中心になってチーム状態
の整備ができるのは流石だ。

17分、関東学院はカウンターアタックから左WTB長谷川が大きくゲインし
て、中央大陣22m付近でNo.8山田にパスを繋ぐ。山田の前方には一人選手が
立ちはだかってはいたが、緩慢な(に見えた)タックルはあっさり外されて山
田はインゴールまで到達。絶対に止めなければならない局面だった。続く30
分、関東学院はHWL付近のスクラムからオープンに展開し、CTB三輪が一
気に中央大ゴール前まで到達し中央大にペナルティ。そこから関東学院はタッ
プキックで速攻を仕掛け、再び山田があっさりとトライを奪った。中央大はと
にかくディフェンスの甘さが目立つ。

38分には関東学院が自陣22m/10mの位置での中央大ボールラインアウ
トでスティールに成功しモールで前進を図る。ボールは一時中央大に渡ったが
関東学院が奪い返し、FB荒牧のキックは中央大ゴール前数メートルの位置で
タッチを割るという絶妙なキックとなる。ここからインジュリータイムの間、
中央大が反則を連発してなかなか攻撃権を奪い取ることができず、44分に関
東学院にスクラムトライによる追加点を許して前半が終了した。

ボールはそこそこ支配していたものの、とにかく攻めきれない前半の中央大だ
った。キックは意図不明なものが目立ち、逆に関東学院のキックに対してカウ
ンターアタックを仕掛けようにも、ボールを持った一人の選手の前には常に3
〜4人による関東学院選手達の壁ができあがっている。両チームのキックに対
するアタックとディフェンスの備えの違いを感じずにはいられない。

[後半の戦い]

とにかくプレーに気迫の感じられない中央大。ラインアウトのセットに向かう
FWの足取りも重い。自分たちはあくまでもチャレンジャーという意識は、観
客席まで伝わってこない。そんな中で着実にチームを立て直していったのが前
半の関東学院だった。中央大はこのまま不完全燃焼で終わるのか?

しかし、後半も最初に得点を奪ったのは関東学院の方で、それも自陣22m内
から中央大ボールを奪っての切り返しから。この日はFBで出場の荒牧が大き
くゲインして中央大ゴールに迫る。左サイドに放ったパスはミスパスとなった
がフォローした選手が拾ってボール前に向けて絶妙のキック。これを左WTB
長谷川が拾ってそのままゴールラインを越えた。これで関東学院のリードは3
3点まで拡がった。自陣奥深くから一瞬の切り返しで継続し、得点を奪うのは
関東学院の得意とする形。試合の中でのチームの立て直しといい、関東学院の
DNAはしっかりと受け継がれているようだ。

これで、関東学院の攻勢がさらに強まるかと思われたが、その後の約30分間
得点ボードがまったく動かなくなってしまうのだから不思議だ。その原因とし
て挙げられるのが関東学院のラインアウトの思わぬ不調。マイボールも90%
近くは相手に渡してしまうという状況では得点が生まれないのもやむを得ない。
圧倒的な関東学院ペースの中で、不思議なくらい淡々とした雰囲気の中で時計
が進んでいく。

そして34分、ようやく関東学院に追加点が生まれる。この得点もターンオー
バーを起点とした切り返しによるもので、関東学院の一歩でも前に出ようとす
る執念から生まれたトライとも言える。さらに関東学院は終了間際の38分に
も1トライ1ゴールを追加してリードを47点まで拡げてそのままノーサイド
となった。

47−0という最終スコアだが、関東学院はもっと取れたような気もするし、
逆に中央大にとっては、こんなにとられるはずがないと思わせるスコアだった
と思う。拮抗した試合になることを期待していただけに意外な結末ではあった。

[試合後の感想]

実戦経験の不足から仕上がりの遅れが心配された関東学院。立ち上がりこそ、
そんな雰囲気も濃厚だったが、相手がもたつく間にしっかりとチームをいい方
向に持って行けたのは流石だと思った。今シーズンはFWが例年に比べてやや
パワーダウンしているが、BKにはなかなか魅力的なメンバーが揃っている。
今シーズンはそういったBKを活かす形でチーム作りを進め、若手メンバーが
多いFWの成長を待つ形になるかも知れない。法政や東海大との対戦までにチ
ーム作りが間に合えば、覇権奪還も現実味を帯びてきそうだ。今シーズンのリ
ーグ戦Gは全般的にFWがパワーアップしているように感じられるので、関東
学院FWの戦い方がいつもとは違った形になることも予想される。

対する中央大は前途に大いなる不安を抱かせる今シーズンの船出となってしま
った。上位グループ浮上のカギを握ると思われるスクラムの強化も依然として
課題として残っている。でも、一番気になったのは、どんな形のチーム作りを
目指しているのかがさっぱり見えてこないことだ。とにかく意図不明のキック
やパスが多すぎたように感じる。第2試合で対戦した目下のライバルと目され
る日大と流経大は仕上がりがよく、またどちらも方向性が明確になっているこ
とを思うと、緒戦とはいえちょっと寂しいパフォーマンスだったことは否めな
い。ただ、このまま中央大が爆発することなくシーズンが終わってしまうとは
思えない。まずは自分たちの目指す形を明確にした上でチーム戦術の立て直し
に取り組んで欲しいと思う。             (2009年9月14日記)

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