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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2009

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法政大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2009/11/12) 於:前橋敷島公園ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 5  2  0  0 29 |
       :後半: 6  4  0  0 38 |  67  7
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 1  0  0  0  5 |   5 16


◎出場メンバー

 法政 : 1.浅原 2.山森 3.佐藤 4.井上雄 5.栗林 6.田淵 7.光安 8.宮田
      9.日和佐 [10].文字 11.渡辺 12.原島 13.宮本 14.舩木 15.竹下
     (16.川口 17.高橋 18.内田 19.吉岡 20.和田 21.岡本 22.田中)

    ○交代  7→19(後16分入替), 14→22(後22分入替),  2→16(後23分入替)
         1→17(後27分入替), 13→21(後33分入替),  9→20(後35分入替)
         5→18(後41分入替)


 中央 : 1.井上 2.丸井 3.米谷 4.野原 5.廣部 6.豊田 7.烏田 8.山下
      9.吉田 10.宇野 11.辻 [12].中澤 13.大塚大 14.森山 15.廣川
     (16.大和 17.大塚智 18.原 19.藤井 20.北田 21.城戸 22.吉原)

    ○交代  9→20(前17分入替),  7→19(後 0分入替), 13→21(後20分入替)
        14→22(後20分入替),  4→19(後20分入替),  1→16(後24分入替)
         3→17(後24分入替)


 レフリー :山本哲士(関東協会公認)


◎得点経過

 法政大学    0      7                   12   17    22     29   29
                      G                   T    T     T      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    0                                                  0


 法政大学   29  36 43            48      55           62  67   67
            G  G             T       G            G   T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                           T
 中央大学    0                                 5                5

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 5分 井上 (T)、文字 (G)
      25分 原島 (T)
      30分 井上 (T)
      36分 栗林 (T)
      43分 竹下 (T)、文字 (G)
    後半 1分 光安 (T)、文字 (G)
       4分 宮本 (T)、文字 (G)
      18分 栗林 (T)
      26分 渡辺 (T)、文字 (G)
      39分 吉岡 (T)、文字 (G)
      43分 竹下 (T)
 
 中央:後半32分 丸井 (T)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

法政はここまで拓殖大と流経大に勝ち2連勝。FWのパワーアップが効を奏し
安定した戦いができている。持ち前の高速展開だけではトップに立てないこと
を自覚しての「増量作戦」だが、確実に効果を挙げているところに指導者のプ
ランの確かさを感じる。まずはFWが強くなったことを確認した上で、スピー
ドアップに取り組んでいけば持ち味を殺すことなく目標も達成できる。課題は
流経大戦で目立ったミスを少なくするためにプレーの精度を上げていくことに
なるだろう。本日のメンバーは流経大戦からいくつかの変更(No.8は山根に替
わり宮田、FB渡辺と左WTB竹下のポジションが入替等々)があるが、基本
的には不動。細かい変更は最終調整の意味合いもあるのかも知れない。

対する中央大は緒戦で(あまり好調とは言えない)関東学院にいいところなく
敗れたものの、2戦目の日大戦で勝利を掴みチーム状態は上向き。法政相手に
自分たちの目指すラグビーができれば、目標の5位以上(大学選手権出場)に
向けて大きく前進できる。メンバー変更で目立つのは、日大戦勝利の立役者と
なったルーキーの宇野がSOに起用されていること。おそらくレギュラーの松
下が負傷したための起用と思われるが、中央大のBKラインに新風を吹き込む
ことができるだろうか。とても楽しみな起用ではある。

[前半の戦い]

第1試合同様、メインスタンドから見て左から右にやや強い風が吹くコンディ
ションの中でのキックオフ。フラッグが倒れるほどの強風ではないが、ハイパ
ントを挙げた場合は、かなり流される。日大はこの微妙な風の影響をもろに受
けて大東大に大敗を喫してしまったが、この2チームの場合はどうだろうか。
目の前で「怖さ」を見ているだけに、風下の場合は慎重に、風上の場合はうま
く味方につけられるように試合に臨みたいところである。

まずは、風上をとった中央が元気よく法政陣内に攻め込む。しかしながら、2
分に法政陣22付近で得たスクラムからゴールを目指すがノックオン。3分の
法政陣10m付近でのラインアウトを起点としたアタックも、ターンオーバー
されて法政に連続攻撃を許し、自陣10m付近まで後退したところで反則。法
政は中央大陣22m付近でのラインアウトからモールで強力に前進を図り、そ
のままゴールラインまで到達して難なく先制点を挙げた。ゴールキックも成功
して、法政は幸先よく7点を先制する。法政FWのパワーアップの効果はモー
ルにもしっかり表れている。

しかしながら、法政が先制後も風上の利を活かした中央大の攻勢が続く。注目
されたSOの宇野だが、タメを作りながら効果的なパスを送ってラインを動か
す力がある選手であることがすぐにわかった。ロングパスを多用する剛球派の
松下とは違った持ち味がある。第1試合でデビューを果たした日大のルーキー
小川、さらには東海大のSOも1年生の阪本。今年のリーグ戦グループは有望
新人SOの当たり年かも知れない。

話が逸れてしまった。中央大の攻勢が続くものの、ミスでなかなか決定的な場
面を作ることができないまま時計が進む。15分には自陣10m付近でPKを
得るがノータッチとしてしまうのは、代替わりしてもなぜか受け継がれる中央
大の悪しき伝統。また、中央大はプレーが軽いというか、細かいところで雑に
なってしまうのも惜しい。せっかく攻めている時間帯で点が取れなければ、ゲ
ームの流れを相手に渡してしまいかねない。

と思ったら、やはりだった。25分、法政はカウンターアタックから鮮やかに
ボールを繋いでCTB原島がトライを挙げる。GKは失敗したが法政のリード
は12点に拡がる。直後の中央大のキックオフはダイレクトタッチ。どうも中
央大は肝心なところでのミスが多く、またそのことが確実に失点に繋がる。法
政は30分に再び中央大ゴール前でのラインアウトからモールを押し込んでL
O井上がトライを奪う。これで法政のリードは17点(GK失敗)。

法政は畳みかける。36分には中央大陣22m内でのスクラムからNo.8宮田が
ショートサイドをついてラック。ここからボールはオープンに展開されFB竹
下がゴール手前まで到達。ラックからSH日和佐が抜け出してパスがLO栗林
に渡りトライが生まれる。いったんショートサイドを攻めてからオープンに展
開するアタックは法政の得意とする形の一つだが、FWのセットが安定してい
ることもあり、中央大はわかっていても止められない。

最初は風の影響というよりも、中央大の気迫に押され気味の法政だったが、こ
の形のトライが出たことで法政のテンポがいいアタックに火が付く。43分に
は自陣10m付近のスクラムからの連続攻撃でWTB渡辺からFB竹下にラス
トパスが渡り、GKも成功して法政が36点をリードする形で前半が終了した。
風上の前半に点を取って法政にプレッシャーをかけたかった中央大だったが、
零点に終わったのは誤算。気合いが空回りの感は否めない。

[後半の戦い]

風下に立った前半に大量リードを奪ったことで、法政は後半戦を余裕を持って
戦うことができる。風上に立った法政は自陣からはハイパントで攻める。ここ
で中央大に反則があり、法政は中央大ゴール前のラインアウトからモールで3
本目のトライ。続く4分にもハイパントに対する中央大のミスキャッチを法政
が拾ってボールを繋ぎ、最後はCTB宮本がゴールラインを越えた。後半開始
から僅か5分で法政のリードは43点に拡がり、ここで勝敗の行方は完全に決
まった。

形勢不利とはいっても、中央大も今後の戦いのことを考えればしっかりアタッ
クの形を作っておかなければならない。前半同様にSO宇野からは7色の変化
球といった感じで、間合いを調整したパスがBKラインに供給されるのだが、
なかなか効果的なアタックに繋がらない。10分以降はゲームは殆ど中央大陣
奥深くで行われる形となる。ただ、法政もまだまだミスが多く得点が伸びない
状況が続く。

ゲームが高値安定で膠着状態に陥りかけた25分、ようやく法政の得点板が動
く。中央大陣10m/22mの位置で得たPKから、法政は速攻で攻めて前進
しラックからオープンに展開。CTB原島から本日はWTBの渡辺にラストパ
スが渡った。渡辺はこれで3戦連続の6トライ目。ルーキーながら、もう完全
に法政BKの顔(強力なトライゲッター)として定着した。

このまま零敗することだけは避けたい中央大が攻勢に出る。まず、28分には
20分からWTB森山に替わってピッチに登場したルーキーの吉原が元気のい
いランでビッグゲインしチームにカツを入れる。直後の32分に法政陣ゴール
前のラインアウトからモールを形成してHO丸井がトライ。GKは失敗したが
ようやく中央大の得点板に5点が記録された。

33分、中央大がキックオフに対しカウンターアタックを仕掛けるが、法政の
タックルに逢ってノットリリース。本日の中央大は反則数16からも分かるよ
うに反則が多かったことも波に乗れなかった理由のひとつ。ゲームが終盤に近
づいた39分にはラインアウトを起点としたオープン展開から吉岡が、さらに
43分にはPKからの速攻から竹下がそれぞれトライを奪う。第一試合(59
−12で大東大の勝利)は意外な点差という印象を抱かせたが、この試合のス
コアは両校の実力差がそのまま出た妥当なスコアという他ない。法政と中央大
力の差は、気合い云々ではどうしようもないレベルまで拡がっていることを印
象づけた戦いだった。

[試合後の感想]

覇権奪還に向けて、順風満帆の法政。その立役者はパワーアップしたFWにあ
ることは間違いない。破壊力のある怖いFWではないが、要所で相手にプレッ
シャーをかけることができ、走力もあるイヤらしいFWとも言える。大学ラグ
ビー界屈指のHB団(日和佐と文字)が自由に動けるのもこのFWあってのこ
とだ。ただ、今後の戦いには一抹の不安もよぎる。まず感じるのは攻撃がパタ
ーン化されており、DF力のあるチームには的を絞りやすいこと。また、プレ
ッシャーが厳しくなればミスが多くなることも懸念される。今後はバラエティ
を増やしていくのか、それともスピードアップで対応していくのかなど、強力
な相手との戦いでもFWのパワーアップが活きてくるのかに注目したい。

ルーキーSOの奮闘も空しく、中央大は強豪校との力の差を見せつけられる形
に終わってしまった。一昨年に法政に完勝したことが遠い昔のように思われる。
この2年間の法政の(伝統を思い出す形での)進化を思うと、中央大には「停
滞」という2文字が浮かんでくる。選手個々のレベルはけして他のチームに劣
ることはないのに、チームの底上げができていないことにもどかしさを感じる。
大東大は自分のよい形を思い出す形で、流経大は一貫して組織的なチーム作り
を行ってきていることで1ランク上のチームへと進化を遂げつつある中、中央
大の持ち味、そして目指す方向(心のよりどころ)は何なのかが明確になって
来ない限り、長いトンネルからの出口は見えてこないような気がする。
                          (2009年10月17日記)

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