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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2009

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中央大学 vs 拓殖大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2009/11/08) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 中央大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 2  2  0  0 14 |  21 16
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 拓殖大学  :前半: 3  3  0  0 21 |
       :後半: 1  1  1  0 10 |  31  7


◎出場メンバー

 中央 : 1.井上 2.丸井 3.大塚智 4.山下 5.廣部 6.豊田 7.烏田 8.原
      9.吉田 10.松下 11.吉原 [12].中澤 13.大塚大 14.森山 15.高橋
     (16.大和 17.坂井 18.堀野 19.藤井 20.北田 21.宇野 22.廣川)

    ○交代  1→16(前34分交替),  5→19(後22分入替),  7→18(後33分入替)
        13→21(後35分入替),  3→17(後39分入替)


 拓殖 : 1.取手 [2].吉田 3.紺野 4.浅見 5.牧野 6.ナータ 7.島 8.鶴田
      9.イーリ 10.平野 11.北方 12.岩谷 13.ヤカン 14.大松 15.茂野
     (16.山本 17.川田 18.松村 19.高野 20.金澤 21.斎藤 22.大江)

    ○交代  9→20(前36分入替), 12→21(後 5分入替),  8→19(後34分入替)


 レフリー :大渕修二(関東協会公認)


◎得点経過

 中央大学    0         7                                        7
                         G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                      G G                        G
 拓殖大学    0            7 14                       21        21


 中央大学    7          14                   21                21
                    G                    G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                            G                   P
 拓殖大学   21                  28                  31         31


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 中央:前半 8分 森山 (T)、吉田 (G)
    後半 9分 烏田 (T)、吉原 (G)
      30分 中澤 (T)、吉原 (G)

 拓殖:前半11分 ナータ(T)、平野 (G)
      13分 大松 (T)、平野 (G)
      38分 茂野 (T)、平野 (G)
    後半17分 北方 (T)、平野 (G)
      37分 平野 (PG)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

第1試合(流経大対大東大)は大型FW同士のぶつかり合いが見どころだった
が、第2試合は一転してオープン展開指向のランニングラグビーが観られそう
だ。また、そのことがこの試合に対する期待でもある。今シーズンの拓殖大の
ラグビーの魅力は何と言っても高速バックスリーの快走。3人が満遍なくトラ
イを挙げていることが対戦相手にとっては脅威だ。また、中央大も伝統的にB
Kで取るチームだ。今シーズンは両翼に例年のような速い選手がいないのが残
念だが、人に強いCTBコンビの突破力は武器になる。

日大戦で今季初勝利を挙げたことで勢いに乗る拓殖大は、ほぼ不動のメンバー。
負傷の影響が心配された大松も元気にピッチに登場した。序盤戦で法政と東海
大に大敗したときに(実際に試合を観ていなかったこともあって)どうなって
しまうのかと思われたが、どうやら拓殖大は後半戦に照準を合わせてチーム作
りをしてきたように感じる。大量失点負けも織り込み済みだったと考えるのは
穿ちすぎだろうか。敗戦続きの中でも、しっかり自分たちにフィットしたスタ
イル追求してきたことが成果を挙げることになりそうだ。

中央大も調子を上げている。緒戦の関東学院戦を観て、正直今シーズンはどう
なってしまうのだろうかと思ったが、しっかりとチームを仕上げてきた。だが、
毎シーズンのように感じるのは、なぜリーグ戦のスタート時点でチームが仕上
がってこないのかということ。なかなか下位グループから抜け出せないのも、
そんなところに原因があるのかもしれない。さて、本日は久しぶりに松下がS
Oとして戻ってきた。ルーキー宇野の活躍を黙ってみているわけにはいかなか
ったはずで、溜まっていたエネルギーを放出して欲しいところ。拓殖大の高速
バックスリーに負けないBK勝負を期待したい。

[前半の戦い]

拓殖大のキックオフで試合開始。第一試合と同じく、負けられないチーム同士
の激しい攻防の火ぶたが切って落とされた。4分、中央大は拓殖大陣HWL付
近のスクラムを起点にサイドを攻めてボールを一気に拓殖大ゴールまで持ち込
むものの惜しくもノックオン。しかしながら、拓大も5mスクラムでノックオ
ンがあり、中央大ボールスクラムとなる。

中央大はFWで前に出るもののオフサイドの反則で先制機を逃したかに見えた。
が、拓大のPKがノータッチとなり、中央大はカウンターアタックからオープ
ンに展開してゴロパント。拓大ゴール前に到達したボールを右WTB森山が拾
って先制トライを奪う。SH吉田のGKも成功して、中央大は幸先良く7点を
先制した。

拓大も即座に反撃。11分、中央大キックオフのボールをSH吉田がCTBヤ
カンに繋ぎ、ヤカンは30m以上ゲインして中央大陣に攻め入る。ヤカンのパ
スはパスミスとなるが、このボールをフォローしたFLナータが拾ってそのま
まゴールラインを越えた。平野のGKも成功して拓大は瞬時に追いつき7−7。
拓大は畳みかける。続く13分、中央大陣10m/22mでのラインアウトか
らオープンに展開し、またしてもCTBヤカンが中央突破。拓大はラックから
さらにオープンに展開してFB茂野からパスを受けたWTB大松が一気に中央
大陣のゴールラインを越えた。GK成功で拓大が14−7と逆転に成功する。

関東学院戦ではボールを持つとことごとく潰れて足を引っ張っていた感のある
ヤカンだが、ようやく本領を発揮し始めたようだ。CTBでタテに出る動きが
加われば、拓大のアタックのバリエーションは拡がる。だが、拓大のワンツー
パンチに目覚めたのか、前半の中盤あたりから中央大の攻勢が強まる。中央大
もBK展開を持ち味とするチームだけに、第1試合とは打って変わってBKに
ボールがよく回るラグビーが展開される。

24分、中央大は拓大陣10m/22m(右サイド)のスクラムからオープン
に展開して連続攻撃から22mラインを越えるが惜しくもノックオン。28分
には拓大陣22m付近のラインアウトからモールを形成して前進を図るが、こ
れまた惜しくもノックオン。さらに33分、拓大陣22m内でのラインアウト
からモールで前進を図るもののアンプレアブルで拓大ボール。拓大ゴールまで
目前に迫りながらミスで得点機を逸し続けるという、中央大ファンにとっては
もどかしい展開が続く。

こうなると、ピンチを凌ぎ続けた拓大にゲームの流れが移るのがお約束ごと。
37分、中央大の反則で拓大は中央大陣10m/22mの位置でのラインアウ
トのチャンスを得る。拓大にミスがあり中央大に攻撃権が移るものの、中央大
もパスミス。これを拓大のFB茂野が拾って中央大ゴールまでボールを運んだ。
GKも成功して21−7と拓大のリードは14点に拡がる。結局、前半はこの
まま終了。攻めている時間は中央大の方が長かったが、バックスリーのスピー
ドを活かして効率よく点を取った拓大のアタックが印象的な前半だった。

[後半の戦い]

拓大のキープレイヤーは巧みにラインを操るSO平野と高速バックスリーだが、
存在感が大きい選手はやはりFLのナータ・リチャード。とくにハイボールに
対する抜群の強さが、拓大のピンチを救い、あるいはチャンスを拡げる。随所
で得点に繋がる光るプレーを見せる好選手だ。後半は、中央大がキックオフし
たボールを確保したナータのビッグゲインをきっかけに、まずは拓大がペース
を掴む。

ボールをキャッチしたナータが中央大FWの選手達をかき分けながら大きくゲ
インし十分に間合いを見計らってWTB北方にパスを送る。北方は中央大陣2
2m内まで前進してタッチに押し出されてしまうものの、ラインアウトで中央
大にオーバー・ザ・トップの反則。拓大はタップキックからの速攻でゴールを
目指すが、中央大はノット10m。中央大は自陣ゴールを背に反則を繰り返し
てピンチの連続となるが、拓大のミスに助けられる形で何とか凌ぎきる。

5分、中央大は自陣10m付近のラインアウトからオープンに展開してショー
トキック。これを左WTB吉原が確保して一気にゴールを目指すが、ゴール前
でパスミスがありタッチ。さらに8分、中央大は拓大陣22m内でのスクラム
からFWでショートサイドを攻めるもののゴール目前でタッチに押し出される。

しかしながら、拓大陣ゴール前のラインアウトで拓大がノックオンしたボール
を中央大がうまく拾ってサイドを攻め、右WTB森山が後半最初のトライを奪
った。難しい位置からのゴールキックを吉原が確実に決めて中央大のビハイン
ドは7点に縮まる。本日はベンチスタートの宇野、そして吉原と、中央大には
ルーキーに素晴らしいプレースキッカーがいる。

中央大の追撃でお尻に火が付いた格好の拓大が逆襲に転じる。11分、中央大
陣10mでのラインアウトで拓大がスティールに成功し中央大がオーバーザト
ップの反則。13分には中央大陣22m手前のスクラムから拓大はオープンに
展開するもののノックオン。しかしながら、中央大はダイレクトタッチのミス
を犯しピンチを脱することができない。16分、拓大は中央大ゴール前のライ
ンアウトからオープン展開で中央大のインゴールまで攻め込むが、中央大がキ
ャリーバック。拓大は5mスクラムからのオープンに展開で、ショートサイド
からライン参加した左WTB北方へのパスが見事に決まり、北方は難なくゴー
ルラインを越える。GKも決まり拓大は再びリードを14点に拡げる。

中央大もこのまま負けてしまうわけにはいかない。中央大が意地を見せて攻勢
を強める中で、拓大選手の運動量が少しずつ落ちていく。そして20分以降は
拓大が自陣深くで中央大の攻勢にひたすら耐える時間帯となる。しかしながら、
中央大もゴールまであと少しというところで反則などのミスで得点を奪えない。
とくにラックでは再三オーバーザトップの反則を取られ、最後まで修正できな
かったことが結果的に響いた。ちなみに後半に中央大が犯した反則の数は12
を数える。

しかし30分、ようやく中央大が得点を奪う。拓大陣22m内の拓大ボールス
クラムを起点とした拓大のキックを中央大がチャージダウンに成功し、CTB
中澤がインゴールに転がったボールをグラウンディングに成功。吉原のGKも
成功し中央大のビハインドは1T1Gで同点となる7点に縮まった。両チーム
の選手の勢いの違いからも、10分あれば中央大は十分に逆転可能。中央大の
応援席は俄然盛り上がる。

ここからの10分間は両チームの30人による死力を尽くした激闘となる。逆
転勝利が手に届くところまで来た攻める中央大に対し、懸命のディフェンスで
凌ぐ拓大といった具合に見応えのある攻撃と防御が繰り返される。しかしなが
ら39分、中央大が自陣10m/22mの位置で痛恨の反則。拓大は冷静にP
Gを選択する。右中間の距離にして30mのPGをSO平野が慎重に決めて拓
大は土壇場でリードを10点に拡げる。ちょうど「この試合のインジュリータ
イムは4分です。」のアナウンスがあった。

中央大の猛攻に遭ってガス欠状態にあった拓大にとって、1T1Gでも追いつ
かれない10点のリードは大きなエネルギーとなった。中央大の最後の力を振
り絞ったアタックを時間をうまく使いながら凌いでいく。結局このまま拓大が
リードを保ってノーサイド。確かにレベル的には3強同士の対決とは比べられ
ない部分がある。しかしながら、勝たなければならないという意欲が前面に出
て、しかも両チームの力が拮抗し、かつお互いが持ち味を出す形での戦いは感
動を呼ぶことだけは間違いない。熊谷ラグビー場にこの試合を観に来て本当に
よかったと思った。

[試合後の感想]

拓殖大は日大戦に続いて2連勝。とくのこの日挙げた4トライの3つはバック
スリーの選手によるもの。あの3人にいい形でボールを渡せば決めてくれると
いう信頼感と意思統一がチームを強くしていると感じる。FLナータやSO平
野といったFWとBKに軸になる選手がいるのも大きい。次戦の大東大は総合
力で拓大を上回る力を持っていると思われるが、勝てば上位グループ復帰も現
実味を帯びてくる。この勢いを大切に大学選手権出場以上のものを獲得して欲
しい。

奮闘及ばず中央大は4敗目を喫して大学選手権出場に赤に近い黄色信号が点っ
てしまった。この試合の(もというべきか?)敗因は、やはり決め所でのミス
の多さに尽きると思う。せっかく相手陣深くに攻め込んでいるのにオーバーザ
トップやノットロールアウェイの反則でチャンスを潰し、最後まで修正できな
いのが痛かった。次の流経大戦はサバイバルマッチの最終戦と考えなければな
らず、負ければ入替戦が濃厚となる。ただし、残り2連勝すれば5位の可能性
もある。諦めずに頑張るしかない。         (2009年11月18日記)

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