Live Reports from Rugby Stadium熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2009 |
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拓殖大学 vs 大東文化大学 |
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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2009/11/22) 於:秩父宮ラグビー場 <試合結果> T G PG DG 得点 | 総得点 反則 拓殖大学 :前半: 0 0 0 0 0 | :後半: 3 2 1 0 22 | 22 9 +-----------------+-------------------------------+-------------+ 大東文化大学:前半: 1 1 0 0 7 | :後半: 2 2 0 0 21 | 21 11 ◎出場メンバー 拓殖 : 1.取手 [2].吉田 3.紺野 4.浅見 5.牧野 6.ナータ 7.島 8.鶴田 9.金澤 10.平野 11.北方 12.岩谷 13.ヤカン 14.大松 15.茂野 (16.山本 17.川田 18.松村 19.高野 20.江頭 21.齋藤 22.大江) ○交代 12→21(前23分入替), 3→17(後27分入替) 大東 : 1.鳥谷部 2.井川 3.金子 4.松田 5.大窪 6.上田 7.安井 [8].レプハ 9.生方 10.出村 11.福津 12.シオネ 13.武政 14.鈴木 15.増野 (16.長沼 17.木村 18.井上 19.フィリペ 20.茂野 21.仲 22.梶) ○交代 5→17(前13分入替), 1→16(前37分入替), 14→22(後 6分入替) 2→18(後39分入替) レフリー :鈴木正史(関東協会公認) ◎得点経過 拓殖大学 0 0 x x 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 x G 大東文化大学 0 7 7 拓殖大学 0 5 12 19 22 22 T G G P 時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点 G G x 大東文化大学 7 14 21 21 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗 ◎得点者 拓殖:後半 4分 大松 (T) 26分 北方 (T)、平野 (G) 32分 鶴田 (T)、平野 (G) 37分 平野 (PG) 大東:前半44分 シオネ(T)、増野 (G) 後半19分 シオネ(T)、増野 (G) 24分 安井 (T)、増野 (G) ◎試合内容 [キックオフ前の雑感] 本日の秩父宮は今にも泣き出しそうな曇天で底冷えのする寒さ。だが、ここま で2勝3敗の相星で、この試合に勝てば上位グループ(4位)入りが確実に視 界に入ってくる2チームの対戦となれば「熱い」戦いにならないはずがない。 とは言うものの、FW、BKともにパワフルな選手達が揃い、どこからでも得 点できる力を持っている大東大が優位に試合を運ぶ可能性が高いことは否めな い。拓殖大は自慢の高速バックスリーにボールを渡す前にFW戦で劣勢に立つ ことになれば勝つことは難しくなる。 そんなことを思いながら、両チームのメンバーを確認する。拓殖大はSHのイ ーリが欠場しているもののほぼ不動のメンバー。高速バックスリーも元気に顔 を揃えている。この辺りにも、メンバーの固定に苦しむ他のチームとの違いが 窺われる。一方の大東大はFW(第1列とFL)にメンバーの入れ替わりがあ る。テストなのか負傷者が出たためなのかは分からないが、気になる点ではあ る。また、WTBの鈴木(ルーキー)はリザーブも含めて初登場だと思う。 さて、本日の対戦は両チームのジャージの色がグリーン系で似通っている。セ カンドジャージで現れたのは大東大の方だったが、その色が驚きの白だった。 モスグリーンのジャージを見慣れているだけに、どうしても別のチームを見て いるような錯覚に捕らわれるから不思議。実際にピッチの上に立つ選手達はど んな感じがするのか聞いてみたい衝動に駆られる。 [前半の戦い] 毎試合出足からキックオフを足掛かりに攻勢に出る大東大。本日もプレッシャ ーを受けた拓大がノックオンを犯し、ここから大東大の圧倒的な攻勢(拓大は ひたすら我慢に我慢)の時間帯が始まる。2分には拓大陣22m内でのライン アウトからモールを形成してゴールを目指すが、拓大の抵抗に遭いオブストラ クションを犯す。5分にも同じ位置からのラインアウトを起点にモールで攻め るがここも拓大が耐え凌いでアンプレアブルで得点機を逃す。 続く6分、大東大は拓大ゴール前でのスクラムのからオープン展開で攻めるも ののノックオン。さらに8分、拓大陣22mでのラインアウトはオーバースロ ーになり拓大がボールを確保して攻めるもののノックオンで事なきを得る。9 分にはスクラムからNo.8レプハがショートサイドを攻めるもののノックオン。 といった具合に大東大はゴールを目前にしながらも、拓大選手の身体を張った ディフェンスを前に得点を奪えないもどかしい展開が続く。 12分に拓大はようやく大東大陣に入ってラインアウトのチャンスを得るがボ ールをスティールされてしまう。が、大東大のキックをチャージダウンに成功 して拾ったボールをオープンに展開。WTBまでボールが回り得点のチャンス が生まれそうだったが惜しくもアクシデンタルオフサイド。17分、大東大は 再び拓大ゴール前でのスクラムのチャンスを得るものの、拓大の激しいディフ ェンスに遭ってここも得点ならず。 大東大が攻めあぐむ間に徐々に拓大にチャンスが生まれる状況となる。19分 には拓大のFB茂野がカウンターアタックから大きくゲインし一気に大東大2 2mまで達するものの惜しくもノックオン。21分、大東大は状況打開のため 増野が正面40mのPGを狙うものの外す。ドロップアウトからのリスタート で拓大にノックオンがあり、大東大は22mの位置でスクラムを得る。ここか ら8→9(ショートサイド)を経て左オープンに展開し拓大ゴールに迫るもの のパイルアップ。24分のスクラムからオープンに展開を経てのキックはオフ サイドと大東大もちぐはぐな攻めが続く。 逆に拓大は25分、自陣10m付近のラインアウトからオープンに展開し、C TBセージュ・ヤカンが一気に大東大陣22m内までボールを運ぶものの、ラ ックとなったところで拓大にオフサイド。ヤカンの風を切るような走り(上体 がぶれない滑らかな走りは特筆もの)は拓大にとって大きな武器には違いない が、クラッシュした場面でのボールの繋ぎにまだまだ課題がある。この反則に 対し、拓大は平野が左中間約25mの位置からPGを狙うもののこれも外れる。 拓大はさらに29分に得た左中間40mのPGも外し、拓大の方の得点板もま ったく動かない。 攻めきれない大東大は戦い慣れない「白いジャージ」に原因があるのかも知れ ないが、それにしても、今日の拓大のアタックでのミス多発はちょっと理解で きない。ディフェンスは今季最高といえるかも知れない出来なのに、得意のは ずのアタックでは精彩を欠いているのだ。総じてプレーが軽く、連携や集中を 欠いている。自意識過剰なのか、メンタル面でコチコチになっているのか、い つものようなボールを持つと活き活きして走り回るといった「らしさ」が感じ られない。 そんな中での38分、拓大がようやく「らしさ」を発揮する。大東大陣10m /22mでのラインアウトからオープンに展開してFB茂野がオーバーラップ を作りWTB大松にパス。大松はぐんぐん加速してコーナーフラッグを目指し あとゴールまであと一歩のところまで迫るが、大東大のWTB鈴木(初スタメ ンのルーキー)が猛タックル浴びせて大松をトライ目前のところでタッチに押 し出す。この試合でももっとも印象に残るビッグタックルだった。 しかし直後のラインアウト(大東大ボール)で元の拓大に戻ってしまう。大東 大の本日のラインアウトは全くの不調。スローイングのミスで絶妙のプレゼン トボールが拓大に与えられたのだが、なぜか拓大選手も慌ててしまい、ボール をオープンに大きく展開してしまう。BK陣も想定外のプレーに戸惑いを隠せ ず、ボールは22mラインの後ろに転がる状態。先制点の大チャンスはあっさ り潰えてしまった。 前半の先制点は終了間際の44分に生まれた。これも拓大の致命的なミスから。 「最後の攻撃」ということで、大東大陣22m手前のスクラムからオープン展 開で攻めたところでパスミスが起こり、こぼれたボールを大東大のCTBシオ ネが拾って一気に60m以上走って拓大陣のゴールラインを越えた。拓大にと ってはやらずもがなの失点で、大東大としてはやっと一息ついた格好の得点。 前半の両チームの状態を象徴するような得点シーンではあった。 [後半の戦い] 後半は前半のミス多発のことは忘れてまず1トライ返したい拓大。3分にはH WL付近のラインアウトからのオープン展開でCTBヤカンがラインブレイク に成功しビッグゲイン。ゴール前からさらにボールはオープンに展開され、W TB大松が今度は大東大ゴールラインを越えることができた。前半に大松のト ライを渾身のタックルで阻止した大東大のWTB鈴木は負傷退場となる。平野 のGKは失敗し5−7。この2点差が終盤の大逆転の伏線となる、というのは もちろん結果論だが、PGで逆転もあるかも知れないとその時ふと思った。 6分、拓大は追加点のチャンスを掴む。HWL手前でのスクラムからオープン に展開し、大東大ゴールに向けての絶妙のキックが大東大陣22m付近のタッ チライン際に転がる。拓大のWTB大松が一足先にボールの転がった地点に到 達し、ボールを拾い上げてゴールを目指そうとするが大東大のディフェンダー に捕まってしまう。ここはすんなり足でインゴールまでのボールを運んだ方が 確実にトライに繋がったように思えた。 後半になっても拓大は一向に「ミス禍」から逃れられない。こんな時に限って トリッキーなパスも飛び出すのだが、プレーに一瞬間が開く(緊張感を欠く) こととと、コミュニケーション不在の独りよがりのプレーが実を結ぶはずもな い。しかしながら、ディフェンスは相変わらず健闘している。大東大の大型F Wに対しても肉弾戦で負けていない。どうも理解に苦しむ拓大の状況だが、普 通に考えれば勝利の女神に見放されてもおかしくはない。初トライから12過 ぎまで続いた大東大陣22m付近での攻めも追加点を取るに至らなかった。 そうしてゲームの流れは大東大に傾き始める。18分、大東大は自陣10m/ 22mの位置で得たFKから速攻で攻めてNo.8レプハが大きくゲインし、パス を受けたSH生方が拓大ゴールに向けてキック。ここで、CTBシオネが拓大 の選手達を振り切って拓大陣のインゴールに到達しトライを奪う。GKも成功 して大東大のリードは9点に拡がる(14−5)。勢いを得た大東大は畳みか ける。23分には拓大陣ゴール前のラインアウトからパワープレーでトライを 追加し、GKも成功してリードはさらに16点に拡がった。悪い流れを断ち切 れない拓大の状態から見ても、このまま大東大が逃げ切るかに思われた。 しかしながら、拓大も当然諦めない。リスタートのキックオフをFWの居ない 反対サイドに蹴り、虚を突かれた大東大選手が(一瞬の気の緩みがあったかも 知れないが)対応に戸惑う間にWTB北方がボールを拾って一気にゴールライ ンまで駆け抜けてしまった。拓大のWTBのシステムはオープンサイドにエー スの大松を配し、ブラインドサイドに北方を配する形になっている。当然、北 方が担うのは地味な役割だが、キック攻撃に対して常に全速力でチェイスして 相手にプレッシャーをかけている北方のプレーは拓大の隠れた武器といえる。 そして30分、拓大は大東大陣ゴール前で得たPKからの速攻で大東大ゴール に迫る。ラックからボールは大東大のインゴールに転がるが、このボールを拓 大のNo.8鶴田がグラウンディングに成功し、遂に拓大のビハインドはPGで逆 転可能の2点にまで縮まってしまった。リスタートのキックオフ直後の34分、 拓大は北方の相手キックに対するプレッシャーが効を奏してダイレクトタッチ のミスを誘う。大東大陣22m付近でのラインアウトからのラックで大東大が 痛恨のオフサイドを犯す。左中間の距離にして約24mのPGをSO平野が慎 重に蹴りこんで拓大は僅か1点差ながら逆転に成功する。この時、時計は37 分を指していた。 このまま負けてしまう訳にはいかない大東大も最後の力を振り絞って反撃を試 みる。そして41分、拓大が自陣10m付近のスクラムでコラプシングを犯し 大東大にPKが与えられる。ゴール正面で距離は42mあるが、大東大の増野 にとっては十分決められる位置だ。このキックが入れば大東大は再逆転に成功 するだけでなく、残り時間から見ても勝利を掴める。両校の関係者が固唾をの んで見守る中、増野のキックは惜しくもポスト左に外れる。拓大がカウンター アタックからキックしたところでレイトチャージがあり、ボールの落下点で拓 大のPK。拓大がボールをタッチに蹴り出したところで激戦の幕が閉じた。大 学選手権から上位グループ入りに向けて一歩前進となった拓大の選手達の嬉し そうな表情が、曇天の中で一際映えていた。 [試合後の感想] 底冷えのする寒さがそうさせたのか、絶対に勝ちたいという意識が身体を硬く したのか分からないが、両チームともミスが多い試合となった。とくに拓大は 勝てたのが不思議なくらい、アタックに精彩を欠く場面が多かった。だが、最 後まで自分たちより体格面で上回る大東大の選手達を止め続けたディフェンス は見事。拓大の勝因を挙げるなら、やはりこのディフェンスということになる。 また、看板の高速バックスリーが存分に走り回り、CTBのヤカンも徐々に本 領を発揮と拓大には今後に向けての明るい材料が多い。ミスや軽いプレーの多 発など反省すべき点は反省して、さらに上のステージで暴れ回って欲しい。 ジャージがいつものモスグリーンでなかったせいもあるのか、大東大のアタッ クもいつものようなダイナミックな部分があまり見られなかった。FW戦で思 うように拓大を圧倒出来なかったことが響いた形。拓大のFWにじっくりと粘 られてしまったことは誤算だったかもしれない。ただ、大東大も本来はどんど んオープンに展開して調子を上げていくチーム。最終戦の中央大戦ではそんな FWとBKが一体になった破壊力のあるラグビーを思い出して欲しいと思う。 (2009年11月23日記) Top |
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