Live Report from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2010

試合日程&結果

Rugby Top

週間情報

関東学院大学 vs 大東文化大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2010/09/12) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 2  0  0  0 10 |  15  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 大東文化大学:前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  14 14


◎出場メンバー

 関東 : 1.稲垣 2.岡田 3.田中 4.中尾 5.山田 6.松本 7.佐々木 8.平田
      9.大島 10.南 11.黒田 12.谷野 13.笹倉 14.渡邊昌 15.立木
     (16.渡邊友 17.岡澤 18.岡 19.安井 20.山路 21.高橋 22.小林)

    ○交代 11→22(前39分入替),  6→19(後34分入替)


 大東 : 1.高橋 2.井上 3.中井 4.川端 5.斎田 6.川本 [7].濱口 8.フィリペ
      9.茂野 10.林 11.淺井 12.シオネ 13.大庭 14.越智 15.梶
     (16.シリベヌシ 17.深野 18.井川 19.安井 20.浅見 21.遠藤 22.神沼)

    ○交代 15→22(後16分入替),  2→18(後16分入替),  3→17(後16分入替)
         8→16(後32分入替), 14→21(後36分入替)
    ●シンビン  4(後半40分:反則の繰り返し)


 レフリー :下村大樹(関東協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0                                    5             5
                                                    T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                               G
 大東文化大学  0                     7                            7


 関東学院大学  5  10                                       15    15
            T                                        T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                             G
 大東文化大学  7                   14                            14 


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半35分 平田 (T)
    後半 1分 小林 (T)
      42分 安井 (T)

 大東:前半20分 フィリペ(T)、林(G)
    後半18分 シオネ(T)、 林(G)


◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

いよいよ2010シーズンの開幕。3会場のいずれの試合も熱戦となることが
予想される中で、どこで初観戦を果たすか迷った。がどこも暑そうなので、な
らばと家から一番近い熊谷に落ち着いた。というのはもちろん冗談。プレシー
ズンで結果が出ていない(ように見える)大東大と関東学院のチーム状態が気
になっているので、その両チームの緒戦はしっかり観ておきたい。

ただ、結果が出ていないとは言え、その中身には大きな違いがある。関東のチ
ームに勝てなかった関東学院ではあるが、相手は大学選手権で上位を狙えるよ
うな強豪校ばかり。それに比べると、大東大のチーム状態の方がどうしても深
刻に見えてくる。果たして開幕に間に合うのか?という悲観的な見方もあった
くらいだから、事情を知らない人間も不安を抱かざるを得ない。

それにしても...予想通りとはいえ、やっぱり暑い。キックオフが1時間遅
くなってはいるが、第1試合に限って言えば、ピッチ上で戦う選手達、そして
照り返しのきついスタンドで観戦するファンにとっても効果は殆どなし。メリ
ットは第2試合を戦う選手達が全面的に享受する形になるのはちょっと不公平
かなと思ったりもする。

と愚痴を言っていても仕方がない。まずは両チームの今シーズンの初陣を飾る
選手達をチェックする。関東学院はFW、BKとも半数以上昨シーズンのメン
バーが残る陣容。ただ、去年同様にFWは小粒でパワーよりも運動量で勝負と
いう形になりそうだ。結局、山田はLO、平田はNo.8に落ち着いた。BKはS
Hの大島主将が引っ張る形で、昨シーズンにコンスタントに出ていたのは笹倉
のみというフレッシュなライン構成。メンバーの固定、そしてコンビネーショ
ンに磨きをかけるのはシーズンを通してということになりそうだ。

対する大東大はBKを中心に「サプライズ」と言えそうなメンバー構成。負傷
なのか、それともチーム事情からなのかはわからないが、計算できそうな選手
達の名前がリザーブにも見あたらないのが気になる。1年生を3人含むなど、
一気にチームのリフレッシュを図ることを意図したようにも見える陣容で、関
係者ならずとも心配になってしまう理由がわかるような気がする。

大東大の留学生は、No.8のフィリペとCTBのシオネ(マオ)が先発で、シリ
ベヌシ(ヌシ)は後半にインパクトプレーヤーとしての登場となりそう。フィ
リペは昨シーズンの終盤からNo.8として起用されているが、フィットしていな
い感(ぎこちなさ)があった。マオにしても、「突破役」としての期待に応え
られないでいた選手。今年こそは対戦校にとって脅威となって欲しいというの
が、大東大ファンの望むところではないかと思う。

そんなことを思っていたら、ピッチに選手達が入場してきた。どちらかといえ
ば、大東大の選手達の方に落ち着きがあるように見える。漠然とではあるが、
大東大はそれほど心配な状態ではないように思えてきた。

[前半の戦い]

やや曇り気味で、時折そよ風らしきものが競技場内を駆け抜けるものの、厳し
い残暑の中、大東大のキックオフで試合開始。自陣でボールを確保した関東学
院はキックを使わずにFWのサイドアタックで着実に前進を図る。どうやら、
本日の関東学院はボールキープでゴールを目指す作戦のようだ。FWが小型化
しているとはいえ、この辺りにも自分たちのラグビーに対する自信が窺える。

ただ、いつもの関東学院の継続ではない。消耗を避けるためか、テンポは総じ
てゆっくり目なので、大東大のディフェンス網をぶち破るまでには至らない。
関東学院としては、もっと楽に前進できるはずという読みもあったのだろうが、
大東大もしっかりサイドを固めて簡単には突破を許さない。

2分、関東学院がHWLを超えたところでペナルティがあり、大東大がタッチ
キックで一気に関東学院22mまで前進。しかしながら、ラインアウトからモ
ールを形成してサイドアタックで前進を図るものの、ターンオーバーからの逆
襲に遭い、自陣ゴール前まで一気に押し戻されてしまう。大東大がスクラムで
コラプシングを犯したところから10分あまり、大東大は自陣ゴールを背にし
てひたすら耐える展開となる。

耐えるといっても、関東学院がラインアウトからモールを形成して前進を図る
ところでコラプシング。関東学院のタッチキックからラインアウト、モールで
コラプシングの失点に向かう連鎖が止まらない。関東学院のアクシデンタルオ
フサイドやノットリリースに助けられる形で何とかこの時間帯は凌ぎきる。た
だ、その後も大東大は自陣ゴールを背にして、関東学院のモール攻撃に苦しめ
られることになる。

12分、大東大はSO林のハイパントをきっかけにチャンスを掴む。関東学院
陣内22m付近でCTB大庭がボールを拾い、フォローしたSH茂野がゴール
前まで到達するがターンオーバーに遭いチャンスを逸す。大東大は続く15分
にも関東学院陣22m内でラインアウトのチャンスを掴むが、オブストラクシ
ョンでここもチャンスを潰してしまう。SO林(3年)は安定した距離の伸び
るキック力でピンチをチャンスに変えらることができる選手で要注目だ。。

関東学院が圧倒的にボールを支配する中、最初に得点を挙げたのは皮肉にも大
東大の方だった。それも意外にあっさりと言った感じ。関東学院陣22mライ
ン手前でのラインアウトから素速くオープンに展開し、SO林から内に切り込
んだCTBマオにパスが渡る。マオはディフェンダー2人を十分に引きつけ、
絶妙なタイミングでボールをNo.8フィリペに渡す。スピードに乗ってパスを受
けたフィリペは関東学院のディフェンダーをかわしてインゴールに豪快にダイ
ブ。関東学院にとってはまさかの失点だった。

関東学院のトンガ出身選手といえば、豪快なアタックがセールスポイントで、
プレーが粗くなりがちという印象が強い。マオはそういった先人達と比べると
自分で持つよりもパスを選択するタイプで、過去数シーズンはファンの期待を
裏切ることが多かった選手。だが、こういったボールを活かすプレーだけでな
く、しばしば好タックルで関東学院のチャンスの芽を摘むなど大活躍だった。
最終学年となり、期するものがあるのかも知れない。昨シーズンはぎこちなさ
を感じさせたNo.8フィリペもすっかり板に付いてきた感じ。

このトライで大東大がペースを掴むかに見えたが、ボール支配率で勝る関東学
院優勢の流れは変わらない。ただ、ボールがキープできているとは言っても、
暑さのためかFWが動けていないのが本日の関東学院。8人が同じような位置
で固まっていたり、BK展開の邪魔になったりと攻撃のテンポを悪くしている
感があった。フォローが薄くなる分、関東学院は個人突破に頼らざるを得なく
なる。大東大がノックオンを誘うような鋭いタックルで応戦できたのも、関東
学院が組織的な崩しができていなかったことが一因のように見えた。

残り時間が10分を切ったあたりで、再び大東大が自陣ゴールを背に関東学院
のモール攻撃に苦しめられる「負の連鎖」の時間帯となる。レフリーの注意が
あったこともあり、今回は関東学院がFW8人の力でボールをインゴールに持
ち込んだ。関東学院はリスタートのキックオフからのカウンターアタックでビ
ッグチャンスを掴む。ボックスキックからNo.8平田がウラに抜け、タイミング
を見計らってフォローしたLO中尾にラストパスを送る。前が完全に開いた状
態でゴールラインに向けてボールを運ぶ中尾だったが、背後からタックルに遭
い痛恨のノックオン。

終了間際の41分にも関東学院は大東大陣ゴール前でのラインアウトのチャン
スを掴むが、ゴール前でノックオンがあり万事休した。関東学院が圧倒的に攻
めた前半だったが、得点は7−5で大東大のリードのまま前半が終了。攻撃の
テンポが遅めだったこともあってか、どうしても精彩を欠いていたように見え
た前半の関東学院だった。

[後半の戦い]

戦前の予想を翻し、7−5で前半を折り返した大東大。圧倒的に攻められなが
らも、自陣ゴール前でのラインアウトの局面を除けば危ない場面は殆どなかっ
た。その原因は、継続されてもしっかりと前で止めるディフェンスができてい
たこと。関東学院のFWが動けていなかったとはいえ、個人と組織が調和した
ディフェンスは見応えがあった。ただ、時計が2時に近づいてきたとはいえ、
猛暑のなかでの試合が続く。果たしてどこまで持ちこたえられるか。

と思っていたら、後半1分に前半のもたつきが信じられないくらいに関東学院
があっさりとトライを奪い逆転した。キックオフ直後のカウンターアタックか
ら連続攻撃でSH大島が抜け出して大東大ゴールに向かい大きく前進。大東大
が自陣ゴール前でタッチに逃れたところで、クイックスローインのボールを受
け取ったWTB小林(前半39分から黒田に替わり出場)が難なくゴールライ
ンを越えた。大東大選手はおろかTVのカメラクルーもノーマークの鮮やかな
速攻。この辺り、やはり関東学院の選手達はソツがない。

このトライで関東学院が勢いづくかと思われたが、大東大も応戦しターンオー
バーの応酬による激しい攻防が繰り広げられる展開となる。ただ、関東学院の
攻撃の歯車がなかなか噛み合わない。大東大がよく凌いでいるとも言えるが、
関東学院のアタックに物足りなさを感じる。大東大は自陣からは無理をせずに
ハイパントを使って前進を図るが、関東学院のボール処理の拙さもあって効果
的なアタックとなっていた。とくにボールの落下点には必ず13番の選手がい
るといった具合にマオの活躍が目立った。

両チームとも決め手を欠く中、12分に大東大は関東学院ゴール前でラインア
ウトの絶好のチャンスを掴む。が、スローワーがダブルモーションを犯し、関
東学院がFKからの速攻で一気に大東大陣22m内に入りゴールに迫るがノッ
クオン。大東大ボールのスクラムで反則があり、関東学院はさらにFKから速
攻を仕掛けるもののパスミス。ターンオーバーからタッチキックでHWL付近
まで戻される。

15分、大東大は自陣10m付近で得たPKから関東学院陣の22m付近での
ラインアウトという絶好のチャンスをもらう。ここもスローイングが乱れて関
東学院に逆襲を許すものの、ゴール前でターンオーバーに成功。小刻みなパス
が繋がって最後はCTBマオが力強くゴール中央に飛び込んだ。GKも難なく
成功して大東大は14−10と逆転に成功する。大東大にとっては怪我の功名
みたいな得点ではあるが、スローワーが交替してからのラインアウトの不調が
終盤の戦いに微妙な影を落とすことになる。

ターンオーバーの応酬による激しい攻防が続くものの、試合のペースを握るの
はボール支配率で上回る関東学院の方。フェイズを重ねてビッグゲインで大き
く前進するシーンも多い。しかしながらフォローが薄くなってボールキャリア
ーが孤立してしまう場面も多かった。もちろん、大東大の個々のタックルの強
さをベースにした組織ディフェンスが機能していることも大きい。

そのまま時計は進み28分、大東大は関東学院ゴール前でのラインアウトとい
う絶好の追加点のチャンスを掴む。が、投げ入れたボールが関東学院選手に弾
かれてターンオーバー。タッチキックからの仕切り直しのラインアウトもノッ
トストレートとチャンスが活かせない。ここで1トライ取れていれば、時間帯
から見ても勝利を確実にできた可能性が高いだけに残念だった。

試合が終盤に差し掛かった35分、大東大はHWL付近でのラインアウトでノ
ックオン。ここがこの試合の勝敗の分かれ目となった(ことはもちろんこの時
点ではわからない)。スクラムからの攻撃で関東学院にノックオンがあり、大
東大ボールのスクラム。自陣22m付近からの大東大SO林のタッチキックは
伸びすぎて(これも結果論だが)痛恨のダイレクトタッチとなる。終了間際に
して大東大は自陣ゴールを背にして関東学院のラインアウトからの攻めを凌が
なければならない絶体絶命のピンチ。リードは4点のため、1トライ許せば逆
転されてしまう。

関東学院がPK→大東大G前ラインアウト→モールで攻め、大東大がコラプシ
ングの繰り返しは、時間を有効に使うことができる関東学院にとって願っても
ない展開。40分に大東大選手にシンビンが適用され、関東学院はさらに優位
に立つ。そして、インジュリータイムに入った42分、関東学院がしっかりモ
ールを押し込んでトライを奪い、1点差ながら土壇場で逆転に成功した。

時計が44分を過ぎても大東大にも反撃の機会は残されていたが、時間を使い
すぎてしまったため、ワンプレーで決めなければならない。穿った見方かも知
れないが、モールの劣勢は如何ともし難かったので、無理をせずに早く反撃体
制に移れるようにする考え方もあったのではないかと思う。大東大がラストチ
ャンスのスクラムからオープンに展開するものの、無念のノックオン。関東学
院がスクラムから出したボールをタッチに蹴り出して試合終了となった。

このレポートの総括に書こうと思っていた「大東大のディフェンスが呼び込ん
だ勝利!」の台詞もスルリと抜け落ちてしまった。自身のミスの連鎖が招いた
とはいえ、リバイバルを目指す大東大にとっては本当に残念な敗戦だった。し
かし、選手達にとっては(相手が調子の出ていない関東学院とはいえ)今後の
戦いに確実な手応えを感じたのではないだろうか。御礼の挨拶のためメインス
タンド前に整列した選手達へ送る拍手に思わず力が入ってしまった。

[試合後の感想]

関東学院は今シーズンも順風満帆なスタートを切ることができなかったようだ。
まだ、メンバーが固定できていないことはさておき、チーム戦術の統一にも疑
問符が付く(ファンにとってはもどかしい)戦いぶりだった。暑さ対策で消耗
は避ける意図があったのかも知れないが、これだけFWが組織的に動けていな
い関東学院は記憶にない。No.8平田やLO山田の突破はあるものの、フォロー
が薄く単発に終わってしまうシーンが散見されたのも不安材料。

BKもSHからの球出しが遅れ気味だったため、スピードに乗ったアタックが
できていなかった。大東大のディフェンスを誉めるべきかも知れないが、BK
の選手が身体を半ずらしにする余裕もないほど芯にタックルに入られるのは関
東学院らしからぬ感じもする。ハイボールに対する処理も不安定で、大東大に
とってハイパントが有効な攻撃のオプションになっていた。

と書き並べてきたが、上位校メリット(序盤戦は前年度下位チームとの対戦)
を活かしてじっくりチームを作り上げていけば、今シーズンも最終的には強豪
チームに仕上がっていくように思われる。FWのパワーで押し切る、あるいは
BKの流れるようなパス回しでトライを取るといった過去のスタイルとは違っ
た、FWとBKの連携によるランニングラグビーが関東学院のゴールになるか
もしれない。緒戦にして圧倒的な強さを誇示する関東学院は過去のものとなっ
てしまったが、今年のチームも可能性を感じさせるものは十分に持っている。

今シーズンも白星スタートを着ることが出来なかった大東大。今年こそリバイ
バルを熱望するファンにとっては、またしても不安な旅立ちと映ったかも知れ
ない。とくに関東学院のモール攻撃に対する再三のコラプシング、後半のミス
の連鎖の引き金となったラインアウト(スローイング)の不調、再三押し込ま
れたスクラムなど、FWのセットプレーの安定が急務となっている。(実は小
型化が強調されている関東学院よりも大東大のFWはさらに小さいのだが。)

しかしながら、関東学院を苦しめたのは軽量FW(?)の健闘にあったことは
間違いない。過去の大東大は「FWにはバックギアが付いていない」とか「F
Wは寝たら豚になる」とか、ことディフェンス面に関してFWが誹りを受ける
ことが多かったように思う。ところが、この試合に関しては、ラック周辺で寝
込んでいる選手が殆どいなかった。倒れてもすぐに立ち上がって体制を立て直
す選手が多かったことが、関東学院に有効なアタックを許さなかったように思
われる。確かにフィリピーネやエモシのような強力なアタッカーはいないが、
地味ながら確実に仕事ができる選手が揃っているのが今年の大東大FWの特色。

BK陣も含めた大東大の整備されたディフェンスを見て、組織的なチーム作り
の在り方を見たような気がした。要するに、いいチームはラグビーを離れても
いいチームになっているのではないかということ。青木監督は就任当初、合宿
所のトイレ掃除とか、生活面の改善を重点的に行ったそうだ。ラグビー以外の
部分でも規律を重んじることにより、組織的に強固なチームが出来上がってい
く。締め付けではなく、自主的に選手達がやれるところまで持っていくことで
チームが体をなしていくのではないだろうか。

メンバー的に見れば昨シーズンのチームの方が強力かも知れない。青木監督と
しても、理想のチームというものが心の中にあったとしても、それを実現する
ために無理な選手起用をしてチームを崩壊させることは避けたかったはず。だ
が、2年目の今シーズンは違う。チーム事情はわからないが、選手起用にあた
っては監督の考え方が100%近く反映されているように思われる。「サボら
ない選手」「ディフェンス面で身体を張れる選手」というのがキーワードにな
るかもしれない。

今日の戦いぶりを見る限り、昨シーズンよりも地味なチームかも知れないが、
より確実にリバイバルへの足掛かりが掴めたような印象を受けた。先発メンバ
ーには1年生が2人、2年生が3人含まれていたが、しっかりと存在感をアピ
ールしていたことも将来に向けた明るい材料。PRながら必殺タックラーとし
て関東学院のBK選手を仕留めた高橋、高いランニング能力の片鱗を見せたW
TB淺井、身体能力の高さと溢れんばかりの闘志でニュータイプのNo.8ととし
て急成長を遂げているフィリペ、ディフェンス時には高速ランナーに変身する
SH茂野など楽しみな選手が多い。

大東大に懸念材料があるとすれば、FWのセットプレーはさておき、昨シーズ
ンのようなシーズン終盤の失速が起こらないかと言うこと。首脳陣は思ってい
ても言えないことかも知れないが、今シーズンはしっかりチームの土台を固め
ることが重要。一気に上位に駆け上がってのリバイバルがファンの望むところ
だと思うが、果たして青木監督はどのように考えているのだろうか。私的には、
大東大がとっても楽しみなチームなったことは間違いない。熱中症が心配され
るくらいのグランドコンディションだったが、チームに対する熱中症で倒れる
ことはない。大東大と関東学院のチーム体質の違い、そして今後を占う意味で
も観に行く価値が十分にあった試合だった。      (2010年9月17日記)

Top       

本ウェブサイトの記述内容の無断転載を禁じます。