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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2010

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関東学院大学 vs 中央大学

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2010/10/10) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 3  1  0  0 17 |
       :後半: 4  2  0  0 24 |  41 17
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 0  0  2  0  6 |
       :後半: 0  0  0  0  0 |   6 11


◎出場メンバー

 関東 : 1.稲垣 2.渡邊友 3.田中 4.後藤 5.山田 6.松本 7.佐々木 8.平田
      9.山路 10.南 11.小林 12.谷野 13.笹倉 14.渡邊昌 15.黒田
     (16.岡田 17.岡澤 18.岡 19.安井 20.高山 21.遠藤 22.立木)

    ○交代 11→21(後21分入替), 10→22(後23分入替),  3→18(後37分入替)
         9→20(後40分入替),  8→19(後40分入替) 

 中央 : 1.大和 2.丸井 3.米谷 4.藤井 5.藤原 6.竹野 7.烏田 8.山下
      9.松尾 [10].松下 11.大塚大 12.宇野 13.城戸 14.森山 15.羽野
     (16.勝瀬 17.大塚智 18.牧田 19.堀野 20.高崎 21.吉原 22.高橋)

    ○交代  3→17(後 0分入替),  1→16(後 7分入替),  6→19(後15分入替)
        17→ 3(後24分交替),  7→18(後29分入替),  9→20(後33分入替)
        13→22(後33分入替)
    ●シンビン 10(後半 6分:ハイタックル)


 レフリー :桑原文博(関東協会公認)


◎得点経過

 関東学院大学  0                        5      10    17          17
                                        T      T     G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             P  P                            x      x
 中央大学    0   3  6                                           6


 関東学院大学 17         24    29                      34   41   41
                   G     T                       T    G   
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 中央大学    6                                                  6 


 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半22分 平田 (T)
      30分 平田 (T)
      36分 山路 (T)、谷野 (G)
    後半 8分 田中 (T)、谷野 (G)
      14分 渡邊 (T)
      38分 渡邊 (T)
      38分 渡邊 (T)、谷野 (G)

 中央:前半 2分 松下 (PG)
       5分 松下 (PG)



◎試合内容

[キックオフ前の雑感]

今シーズンの3試合目を戦う両チーム。立ち上がりは順調ではなくても、試合
を重ねるごとに課題が修正されていき、メンバーも固定されて終盤では強豪チ
ームとして仕上がるのがここ数シーズンの関東学院。逆に、各試合で出てくる
課題がなかなか修正されず、良い部分を持ちながらもなかなかチームが仕上が
っていかない中央大。緒戦から通して両チームのメンバー表を眺めてみると、
そんなことを感じずにはいられない。この違いはいったいどこから来るのだろ
うか。

関東学院は前節(拓殖大戦)で負傷交代した大島主将に代わって山路がSHと
して先発。また、HOに渡邊、LOに後藤が起用されているがほぼメンバーは
固まってきたようだ。一方の中央大はBKラインの試行錯誤が続いているよう
に見える。10番松下、12番宇野、14番森山、15番羽野は固定だが、1
1番と13番がなかなか決まらない。それだけ層が厚くなっているとも言える
のだが本日11番の番号を付けているのは本来CTBの大塚大輔。WTBとC
TBでは役割が違うはずだし、首脳陣の意図するところは試合を観ればわかる
のだろうか。

スタンドには関東学院ファンの他に、この前に試合をした法政ファンの多くも
残っている。中央大はBK選手にも体格のいい選手が揃っていることもあり、
選手達がピッチに登場したとき、「中央大の選手達はいい身体をしている。」
とか「やっと大学生の試合になった。」といったような感想が聞かれた。関東
学院の選手もFWを中心に小型化しているので、中央大の選手の方に威圧感が
ある。果たして試合内容はどうなのだろうか。

[前半の戦い]

メインスタンドから見て左側に陣取った中央大のキックオフで試合開始。開始
早々の1分、スタンドが大きくどよめいた。中央大学が関東学院陣10m付近
の位置で得たPKに対しショットを選択。右中間で距離にすると40m以上だ
が、SO松下が見事に成功。まず、中央大が幸先よく3点を先制した。

続く4分、関東学院は再び自陣で反則を犯す。自陣といってもHWLから3m
程度入った位置。ただ、今回はゴール正面で先ほどのキックの飛距離があれば
十分ゴールまで届く。ここでも松下はショットを選択し、見事成功。松下に加
えて宇野もスーパーブーツであるだけに、大島主将の欠場でプレースキッカー
不在が露呈した形の関東学院にとっては羨ましさを感じさせる2連発となった。

関東学院としては、失点したとは言っても攻め込まれてトライを奪われたわけ
ではないのでダメージは殆どない。直後のキックオフの蹴り返しにに対するカ
ウンターアタックから左WTB小林が60m以上走ってゴールを目指す。小林
はゴール直前でタッチに押し出されるが、本日も関東学院は自陣からもキック
を封印して攻め込む姿勢を見せつけた鮮やかなランニングだった。右WTBの
渡邊とともに関東学院の両WTBはその後も再々のビッグゲインでスタンドを
沸かすことになる。

10分、SO松下を中心としたBKの攻撃力が看板の中央大が追加点のチャン
スを掴む。関東学院22m手前のスクラムを起点としてオープンに展開。WT
Bが関東学院ゴールにあと一歩に迫ったところで関東学院にハイタックルの反
則がありトライならず。ここで、中央大は何とスクラムを選択する。以前の関
東学院が相手だったらまず考えられず、ここでもスタンドがどよめく。中央大
はここからオープンに展開して松下が得意のロングパスを左WTBに送る。パ
スは通らなかったが関東学院にオフサイドがあり、中央大は再度スクラムから
のアタック。が、ノットストレートで万事休す。序盤の難しい位置からのショ
ット選択と比べるとちぐはぐな印象も。

開始から20分余り自陣での戦いを余儀なくされた関東学院だったが、20分
中央大の反則(レイトチャージ)を機に中央大ゴール前でのラインアウトのチ
ャンスを掴む。関東学院はモールを押し込んであっさり5点を返した。そして
27分、関東学院はHWL付近での中央大ボールのスクラムをホイールしてマ
イボールスクラムにする。ラックからNo.8平田がウラに抜けてタックルもかわ
しインゴールに到達。さほど難しくない位置からのコンバージョンキックはま
たしても外れるが、関東学院が10−6と逆転に成功した。

33分、中央大は関東学院陣22m付近(右中間)でPKのチャンスを得る。
今度はショットを選択。キッカーは松下ではなく宇野が務めたが外してしまう。
宇野は素晴らしいプレースキッカーだがこの辺りの選択にも疑問符が付く。逆
に関東学院はHWL付近でのスクラムからオープンに展開し、SH山路がウラ
に抜け出て中央大ゴールに向かってショートキック。その山路自らがインゴー
ルでボールを抑えて関東学院は7点(GK成功)を追加した。攻勢に出ながら
もなかなかトライが奪えない中央大に対し、そつなく点を取ることができる関
東学院。僅かなプレーの精度の差が時として大きな得点差を生むことになる。

残り時間が僅かとなったところで、HWL付近で中央大にPKのチャンス。2
本目のPGを決めたいちより3m後ろの位置からのキックは飛距離が少し足り
なかったが、松下のキック力の高さがよく分かるシーンではあった。ただ、点
差こそ開いていないものの、多くのチャンスを得た中央大としてはひとつ取っ
ておきたいところだった。

[後半の戦い]

後半の開始早々、中央大はピンチに陥る。SO松下のタックルがハイタックル
と見なされてイエローカードが出されシンビンが適用された。一時的だが主将
であり司令塔を務める選手が退場となってしまったことで、中央大に動揺が走
る。ここで関東学院がギヤチェンジし得て一気に攻勢に出た。8分、中央大ゴ
ール前でのラインアウトからモールを押し込みPR稲垣がトライ。14分には
PKからの速攻で右WTB渡邊がゴールラインを越え、関東学院の一気に23
点に拡がる。中央大はアタックの局面でもミスが目立つ展開となる。

相手のピンチに乗じて一気に得点を奪う関東学院の集中力は流石。関東学院が
攻撃のテンポを上げる中、中央大に反則が増え、また関東学院の両WTBの突
破を再三許す形となっていく。本日の関東学院は、前節までの継続ラグビーに
加えてHBからの素速い球出しによるテンポアップも見られた。ポイントにス
ピードに乗って走り込む選手にSH山路からタイミングよくボールが渡る。大
島主将の場合は自身で前にボールを運ぶシーンも多いが、今シーズンの関東学
院ならSHから素速くBKラインに供給された方が攻撃にリズムが出るように
感じられる。突破力のあるCTBコンビにスピードとキレのあるWTBを前面
に押し立てたラグビーは魅力十分だ。

関東学院の攻撃のテンポがよくなる中、その後試合は膠着状態となる。20分
を過ぎるあたりから10分間の間、関東学院は自陣ゴール前で中央大の攻撃を
凌ぐ形となるが、リードしていることもあり余裕が見られる。逆に中央大はミ
スが多く、なかなか関東学院の堅守を打ち破ることができない。BKのオープ
ン展開でのスイッチプレーやインゴールに向けてのグラバーキックなど、工夫
を加えた攻撃などで関東学院ゴールに迫るものの、ことごとく失敗に終わる。
関東学院にもミスは少なくないのだが、致命傷にはならない。

20分以上得点板が動かない中で終盤の38分、関東学院にようやく追加点が
生まれた。中央大ゴール前での速攻からWTB渡邊がこの日2本目のトライ。
終了間際の43分、渡邊が60mを走りきって3トライ目のハットトリックを
達成。結局、攻撃の面ではスタンドを沸かす場面を多く演出したものの、中央
大は最後まで関東学院のディフェンスを打ち破ることができずノートライで試
合を終えることになってしまった。

[試合後の感想]

序盤に先制を許す形となったが、危なげなく勝利を収めた関東学院。圧倒的な
破壊力こそないが、試合運びの巧さは流石と言った感じ。初先発のLO後藤も
突破力で見せ場を作るなど、メンバー的にもほぼ確定してきた感がある。あと
はどのような形でチームを仕上げていくかだが、SH山路からの素速い球出し
による連続攻撃も魅力的。今後の戦いでは厳しい局面が増えていく可能性が高
いだけにプレースキッカーが不在の状態が気になるが、最終戦では東海大を苦
しめることができるチームなりそうだ。

敗れた中央大は取れるときに取れなかったことが響いた形。BKの攻撃力は魅
力十分なのだが、トリッキーなパスは相手も織り込み済みで一次攻撃から使っ
ても場内を沸かすだけで終わってしまう。やはり、FWでタテに出るオプショ
ンを加えて、ヨコに拡がるだけでなく前に出るラグビーを指向した方がBKの
アタックが活きると思う。また、そろそろCTBのメンバーを固定したいとこ
ろ。強力なタックラーでもある大塚大輔はCTBの方が活きると思う。サバイ
バルをかけた後半戦は熾烈な戦いとなることが予想されるだけに、攻撃に磨き
をかけて欲しいところだ。             (2010年10月16日記)

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