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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 2011

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大東文化大学 vs 拓殖大学 (2011.10.29−観戦記録)

拓大、気迫の4連続トライで大逆転勝利、大東大はまたしても後半に沈黙

[キックオフ前の雑感]

苦手意識という訳でもないのだろうが、大東大は拓大に目下3連敗中。走り自慢の
チームのはずが、相手のエース(横山、茂野)に走られて苦杯を喫している感が強
い。大東大にとってケアすべきは、今シーズンで言えば大松ということになる。だ
が、その大松はベンチスタート。負傷で完調ではないのか、それとも拓大は後半勝
負と観ているのか、もちろん首脳陣の意図はわからない。ただ、今シーズンは大東
大が前半と後半で別のチームになってしまう状態が続いていることは確か。

対する拓大はここまで上位陣が相手とはいえ、いいところなく4連敗中。今シーズ
ンも中盤にさしかかって入替戦がちらつく状態になっている。中央大は勝利が十分
に可能と観られた惜敗。そして、前節の流経大戦を観てもけしてチーム状態が悪い
訳ではない。リーグ戦Gでも1、2を争う小兵FWで戦っているチームだけに、強
力FWに対峙すると分が悪い点は否めない。ただ、FW戦で圧倒されるような展開
にならなければ、切り札大松を活かしたBKのアタックで十分に対抗できる戦力は
ある。大東大もかつての大型FWを擁したチームではないだけに、初勝利への期待
が高まる。

[前半の戦い]

ちょっとしたトラブルでキックオフに間に合わず、競技場に入ったのは時計が30
分を回った頃。この時点で大東大が19−0で拓大を圧倒している状況だった。お
そらくFW戦で優位に立った大東大が着々と3トライを重ねたという状況だろう。
このまま行けば、大東大が過去3シーズン分のリベンジを図る形で圧勝を収める。
もう1トライ観れば今日の大東大の状況が分かりそうだ。

ところが、元気なはずの大東大の状態がどうも冴えない。緒戦(中央大戦)でも後
半は別のチームになってしまったかのように、パフォーマンスが落ちていたことが
ふと頭をよぎった。そして、それは現実のものとなる。拓大が積極的にオープン展
開を仕掛ける中、確実にペースを掴む。というか、もしキックオフから試合を観て
いたらそんな試合の流れに気が付いたはずだ。

33分、反撃に転じた拓大がまず1トライ返す。オープン展開からウラに抜けたF
L西原がゴールラインを超える。山村がGKを確実に決めて7−19。実は拓大が
この前半に挙げたトライが後半の怒濤の連続トライに布石となっていたことは、こ
の時点ではもちろん分からない。大東大は序盤の大量リードで気持ちが楽になって
しまったのかタックルが淡泊になっていたようにも感じられた。

大東大は前半の終了間際に拓大陣ゴール前でのラインアウトのチャンスを掴むがノ
ットストレートで万事窮してしまう。結局19−7の大東大リードで前半が終了し
た。

[後半の戦い]

後半、拓大はエースの大松を投入。大東大はSO林のロングキックが主体というこ
ともあり、カウンターアタックで大松がボールを持って走る場面が増えていく。元
来拓大はBKが走ってペースを掴む攻撃型のチーム。オープンにボールを回してい
くうちにエンジンが掛かってきた。エースが居ることの他に、SH江頭の珠捌きの
良さも拓大の大きな武器になっている。また、大松以外にも地味な存在だがFBの
植田主将が安定しているのも強み。

拓大がペースを握る中で7分、大東大陣22m付近のラインアウトからオープンに
展開してWTB大松がゴールラインを超えた。GK成功で14−19と大東大のお
尻に火が付いてきた。続く11分、大東大が自陣22m内でペナルティを犯したと
ころで拓大はスクラムを選択。小兵FWの拓大ではあるが、スクラムには自信を持
っている。大東大がさらに反則を犯したところでPからGOで大松が早くも2トラ
イ目。山村のGKが好調で21−19とついに拓大は逆転に成功した。

拓大の勢いは止まらない。14分、大東大のドロップアウトに対するカウンターア
タックからFL森がタッチライン沿いを大きく前進し、ゴール前でラック。ここか
ら出たボールを受けたNo.8鶴田がゴールラインを超える。大東大は反撃らしい反撃
を見せることもなく、あっという間に28−19となってしまった。拓大はさらに
畳みかける。22分に山村がPGを決めてリードはさらに12点へと拡がる。

大東大は直後に林が正面30mのPGを決めて22−31点とビハインドを9点に
縮めるがそれも束の間。27分、拓大はHWL付近のスクラムからオープンに展開
して大東大陣にキック。チャージに遭ったものの、大東大のゴール方向へ転がるボ
ールをFB植田が拾ってそのままゴールラインを超える。このままでは終われない
大東大は時折いい形を見せるもののゴールが遠い。結局、前半のひとつを含めて1
PGを間に挟む5連続トライを重ねた拓大が劇的な大逆転勝利を収める形で試合が
終了した。

[試合後の感想]

前半のいい形の大東大?が幻に終わってしまったため、拓大のいいところしか観る
ことが出来なかった試合。何とかVTRでいいから大東大の3トライを観たいとこ
ろだ。FWのモールで2トライということなので、セットの強さを活かすことがで
きたのだろう。序盤の先制パンチを活かして、そのまま勢いに乗って突っ走ってし
まう大東大を何度も観てきただけに不可解。何とかいい形を試合を通して維持でき
るように立て直して欲しいところだ。

大東大の思わぬ失速に助けられて劇的な逆転勝利を挙げた拓大。どうしても5トラ
イを挙げた攻撃陣に目がいきがちだが、実は勝因は粘り強いディフェンスにあった。
身体は小さくても、簡単には前進を許さない低いタックルの連続は見応えがあった。
シンプルながら、ボール回しのタイミングと選手個々の速さで勝負する拓大のラグ
ビーもなかなか魅力的。残るは日大と法政も厳しい相手だが、BK勝負に持ち込め
ば勝てる要素も十分にある。小粒ながらピリリと辛い拓大の入替戦回避を賭けた戦
いにも注目していきたい。                 (2011年11月5日記)

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