音楽ゆかりの地をゆく



童謡のふるさと“大利根町ツァー”
 2005.11/19.ついに大利根町を訪問することができました!
私は、この年の初めに「下總皖一童謡音楽賞」を埼玉県より受賞しました。
その折りは有り難いことに、多くの皆様からお祝いのお言葉を頂きました。
お礼のご挨拶をするにしても、恥ずかしながら「下總皖一先生」について無知でしたので、即席に資料を読み、先生の生まれ故郷が“大利根町”であることを知りました。
そして、先生の音楽的な功績とともに、この町が“童謡のふるさと”として宣言していることも知ることになったのです。
 受賞した時に頂いた伝記を読み、あの團伊玖磨氏が下總先生の愛弟子であったことを知り、先生の童謡作曲家としての功績はもちろんですが、日本における西洋音楽の先駆者として、なくてはならない方であったことを認識しました。
私は、何としても先生のルーツである“大利根町”を訪ねたい!と思いました。

 嬉しいことに、ボンジョルノに集う皆様や合唱団の方々が参加して下さり、標記のツァーが実現しました。
秋も深まり、花々も既に枯れてしまう時期でしたが、町の人々のやさしい心遣いで守られたであろう“野菊”は、私達を待っていてくれました!
大利根町は、埼玉県の東北部.利根川が流れる豊かな田園地帯でした。
都心から1時間あまりで、遠いふるさとの地に到着したような思いを味わったのは私だけではないと感じました。
最寄りの駅(栗橋駅西口)からは、町内循環の「童謡のふるさと」と書かれた可愛い「ふれあいバス」に乗りました。その日は、総勢18名の童謡探検隊(?)の貸し切り状態で、みな小学生のように車窓の景色や、この地の説明を受けました。
 ガイドは、大利根町の議員さんで「野菊の会」の会員でもある大塚美恵子さんでした。(縁とは面白く、わが合唱団員のUさんの級友でもありました!有り難いことです!)
 
バスのコース:

@まずは、下總皖一先生の資料室がある福祉会館下車。
 こちらでは、館長であり、大利根町の教育長の中島睦雄氏が迎えて下さいました。
 直筆の楽譜や愛用のピアノ等、貴重な資料を見せて頂き、写真撮影まで許可して頂きました。
 中島先生のお話は、下總先生を心から敬愛し、町の誇りとして語っているのがよく判りました。
A昼食
 これもツァーの楽しみの一つでした。個人的に訪問して帰るより、グループでのお食事は、
 楽しく美味しいものです!
 割烹酒田様の松花堂弁当は、地元ご自慢のお米でした。
 中島先生にも同席していただき、様々なエピソードを伺い、下總先生を偲びながらの、
 贅沢 なお食事会となりました。
 また、同行して下さった皆様の自己紹介もあり、改めて“人の世の縁”の面白さや有り難さを
 感じたひとときでした。
B道の駅
 食後、向かった所は「道の駅」でした。
 そこには下總先生の等身大の銅像と、「たなばたさま」の歌碑があるからです。
 皆で記念写真をパチリ!
 隣接する農業創生センターで、地元の野菜や絵葉書をお土産に購入。
 ここで初めて知ったのですが、銅像の制作者が中島先生ということ!
 お食事の折のお話で「下總先生と身長や体型が同じ..」と伺っていたので、
 銅像を見たときホントだ!と思いました。
Cクライマックス?!
 いよいよ最後の訪問場所となった“アスタホール”です。
 「アスター」は英語で“野菊”のこと、そしてスペイン語で「明日もまたここで会いましょう」を
 “アスタ・マニアーナ”と言うことから、二つの意味を込めて名付けられたそうです。
 その名の、意味も響きも素敵なことに感銘しましたが、建物も周囲の自然に合わせた
 “瓦屋根に木造”という、民家のようなたたずまいにも心奪われました!
 下總先生の生誕100周年を記念して作られたホールだそうですが、童謡のように
 “あたたかく、やさしい”建物になるようにと考えられたことがよく伝わってきました。
 ここで私達は「下總皖一を偲ぶ会」の方々に迎えて頂き、「野菊の会」の合唱団の皆さんと一緒に
 ステージで歌わせて頂きました。

  ♪たなばたさま.電車ごっこ.はなび.かくれんぼ.蛍.そして代表作で世代を越えて愛唱されている
   野菊.母の歌...みんな、やさしい顔で幸せそうに見えました。

 〜遠い山から吹いてくる こさむい風にゆれながら 気高く清くにおう花〜♪
      
「母の歌」では、涙で胸がつまりそうでした!

“童謡のふる里づくり宣言”に
「私たちは、下總皖一先生をふる里の誇りとし、いつまでもその素晴らしさを多くの人々に伝えます」
「私たちは、童謡のふる里にふさわしい、人や自然にやさしい豊かなまちをつくります」等がありました。
私たちは、文字通り「下總先生と共に生きているやさしい人々に出会いました。
貴重な時間を割いて、私たちのツァーにお付き合い下さいました大利根町の皆様に心より感謝します!
そして私のわがままにお付き合い下さった「童謡探検隊」の皆さん、お疲れ様でした!
華やかな観光ツァーではありませんでしたが、皆様と共に“ほのぼのとした温かい思い”を、お土産にできましたことを忘れません!
帰りの電車に乗る時、参加者の皆さんが、若返って見えたような気がしました。
私は、市販されていない下總先生の歌曲集を記念に頂き、宝物となりました。
「下總皖一童謡音楽賞」を受賞したことから、生誕の地を訪問してみることにし、本当に良かったと思います。(受賞し、肩書きが付くだけでは情けない話です。)
厳しさと優しさを備えた音楽家のルーツに触れたことを大切にし、私の今後の音楽活動に、それを生かしたいと思わずにはいられません!
最後に、下總先生が後進にいつも投げかけていたという言葉を記して、噛みしめることにします。

       「高く飛ぶ鳥は 地に伏すこと長し」

  

    

            アスタホール                           「野菊」の歌碑           

    

  福祉会館の資料室で中島先生と                  銅像前で