音楽ゆかりの地をゆく



チェコの音楽家を訪ねてA
  <ドヴォルジャ−ク博物館>

スメタナが「チェコ国民音楽の父」なら、ドヴォルジャ−クはチェコ音楽を世界に羽ばたかせた音楽家だった。スメタナが国民劇場の前身である仮劇場の主席指揮者を務めていたとき、その下でヴィオラを演奏していた青年がいた。彼こそ、後に「新世界」を世に発表するドヴォルジャ−クであった。スメタナの死後、民族音楽の確立を引き継ぎ、多くの作品を書き、チェコの民族性と哀感が込められた音楽は世界中に受け入れられていった。
私が、ドヴォルジャ−クの資料館を訪れた日は、ひっそりとしていた。おかげで、ゆったりと、ドヴォルジャ−クが生きた時代に想いを馳せることができた。(これがモ−ツァルトの資料館であれば、音楽に興味も無い人々で満員である)バロック様式の美しい建物で、個人の邸宅のようなたたずまいだった。内部には、ドヴォルジャ−クが使用した楽器や楽譜等が展示され、彼の仕事場も再現され興味深かった。愛用のピアノがベ−ゼンドルファ−だったことを知っただけでも嬉しかった私である。記念に歌曲の代表作品である「ジプシ−の歌」の楽譜を購入した。日本で求めたものもあるが、チェコの出版社のものを、そこで買うから価値があると思ったから。その辺では手に入らない楽譜を抱え、満たされた気分で博物館を出た時、帰国したらきっと、ドヴォルジャ−クの仕事場を想い、ボヘミアンに成りきり「ジプシ−ソング」を歌おう!と決めた。-この日は晴れ渡っていた-


       弦をととのえて (ジプシ−の歌より、第5曲目)

  弦をととのえ さあ輪になって踊れ
  今日はたぶん 調子がいいが
  あしたは   あしたはまた どん底だ
  あさっては  ナイルの岸辺の
  聖なる台の  向こうだ
  弦はもう   ととのった
  さあ踊れ   輪になって    
       
       *ドヴォルジャ−クはジプシ−の自由な生活にあこがれたという。
   せめて私は、歌の中でジプシ−に成りきりたい!
        ドヴォルジャ−ク:1841〜1904.今年(2004)は没100年にあたる。
        いっそう、彼の音楽が響き渡るにちがいない!