ソット・ヴォーチェ



*ステ−ジ衣裳*
私がステ−ジで着るドレスについて、色々、質問されます。

・スタイリストがついているんですか?
そんな予算はありませんし、他人には任せられません!(着こなしのお手本で、ライバルはリカちゃん人形です?) 
・ピッタリですがオ−ダ−ですか?
ドレスショップでは9号サイズがもっとも小さいことが多いので、苦心します。細身のデザインを選び、納得がいくまで、お直しをしてもらいます。
スペイン系のドレスは、既製品が無いのでフラメンコの先生に作っていただきます。(着物は母が縫ってくれます)
ヨ−ロッパやアメリカの方がデザインもサイズも豊富で、旅行の時まとめ買いなどします。(向こうのジュニアサイズ!) 
・いつも違うドレスで楽しませてくれますが収納はどうしていますか? 
それが悩みです!標準サイズならレンタルなど利用し、すっきりしたいのですが..
大邸宅に住んでいるわけでもありません。収納しきれず、ついに昨年から衣裳のためにハロ−コンテナを借りました。 
・選ぶ基準やお気に入りのブランド(店)はありますか? 
普段の洋服やバッグ等とは違い、ロングドレスとなるとオ−トクチュ−ルになるのでブランドには手が出ません(ギャラよりずっと高いんですもの)
既製で手頃、私好みは、フランスのメ−カ−、ク−カイです。只、パ−ティドレスとしてデザインしてあるので、大きなステ−ジでは地味。
選ぶ基準はもちろん、歌の内容第一です! 
以上、よく尋ねられることを載せました。これからは、お得意の辛口独り言とグチです。ドレスにまつわることで...。 
まずは、年末恒例のあの、K.Sのど派手な衣裳(装置と呼ぶ人もいる)。毎回、目を楽しませてくれるからいいんですが、歌の内容を注意して聞いてみると、四畳半的な歌詞。
どうして、それにスケ−ルの大きな衣裳なんだろう!?ほんとに、素朴な疑問なのです。
外国の知人が(日本語が解らない人)、彼女は、あの雰囲気からして、オペラの女王様のアリアでも歌っているんでしょうか?...ウ−ン..考え込んでしまいました。
なるほど、そうみえるでしょうね−。でも、オペラにあんな小節はないでしょう!(決して、小節や四畳半的内容を批判したり、卑下しているのではありません。歌に合った衣裳がいいと思うだけです)

K.Sの影響とは思いませんが、近年、ドレスショップの客層が変わりました。
以前は、ロングドレスの売り場で見かける人は、ウェディングドレスをさがすお嬢さん.シャンソン、カンツォ−ネ等のライブの方達.そしてクラシック音楽家(歌、器楽関係)でした。 

−最近の出来事−

いつにもなく賑やかなドレスコ−ナ−。50〜60代と思われるおば様たちが 4.5人。ありったけの試着室を占領し、なかなか出てこないのです。
声は聞こえます。サイズが合わなくて、ファスナ−が出来ず、二人がかりで手伝っている様子が伝わってきました。 
ああ、破れないかなあ?心配でした。そして、どんなドレスで出てくるか見てみたい私はウロウロ、商品を見ながら待っていました。
さあ、登場..
何とウェディングドレスです!それも、シンプルでノ−ブルなデザインならともかく、思い切りちょうちん袖で白雪姫スタイル..皆さん想像してみて下さい。
でも、好みなら仕方ないですよね..それにしても、誰が見ても、花嫁の母という年格好です。再婚なんでしょうか?グル−プの他の二人も、また純白のドレスで現れ、鏡の前でお互い褒め合っているのです。王冠までしている人も!いよいよ謎です。合同再婚式でもあるのかしら?
ほんとにそう思いました。そして私が、試着室から、気に入った黒のドレスで出て鏡を見ていると、王冠のおば様が寄ってきました。
「地味よ。若いんだからもっと派手なのにした方がいい。」何と、アドバイスするのです。(アンタには言われたくない!!)
ここがチャンスと思い、疑問をぶつけてみました。「結婚式ですか?」「イヤダ−。そんな訳ないじゃない。大会、大会よ−」(何の大会?その言葉から連想するのは、スポ−ツ?またまた解らなくなりました。そして次にショックな一撃!)
「ところで、貴女は、いつ大会?何、歌うの?私はコバヤシサチコよ」...
この人たち、趣味のカラオケ大会の衣裳を買いに来ていたのでした。私は落ち込んで  しまいました。
ドレスショップに行く人は、みなカラオケを歌う人と思い、他のジャンルもあることなど考えも及ばず、「いつ大会?」と聞くのです。ここで、オペラを歌う..なんて言っても話が長くなりそうなので、「越路吹雪のシャンソンを歌うんです。」と答えたら「それで黒のドレスね。でも地味じゃな−い。お金、もったいないから、派手なの買えばいいのに!」
この日はドレスを買う気分になれず、帰宅しました。
スゴ−イ社会勉強をしました。