音楽ゆかりの地をゆく



吉元恵子と行く“音楽と感動の旅”
          海外ツァー第3弾!(U)
〈ラスベガス〉

★9/17.いよいよ「シルク・ドゥ・ソレイユ」のショー“O”を観る日です。
場所は、ラスベガスでも最高級のホテル“ベラージオ”(ホテル通りの中心にそびえ立つ白亜のホテル。
ホテル前にはイタリアのコモ湖をイメージして造られた池があり、噴水ショーでも有名。
18歳未満のホテルへの立ち入り制限し、大人の贅沢な空間を演出)です。
夜の開演まで、ベラージオ近くのホテルで過ごすことにし、私達はタクシー2台に乗り合わせて、中央に出ました。
皆で楽しくブランチをとり、ホテル“パリス”に入ることにしました。その名の通り「パリ」がテーマで、エッフェル塔や凱旋門、オペラ座などが精巧に再現されていました。
パリの町並みも再現され、BGMはシャンソン.石畳を歩けばフランスパンの香りが漂い...ホテルの中に居ることを忘れてしまうようでした!
もちろん、カジノもあります。ここでは、エッフェル塔の下にカジノが広がり、見上げると青空が!?..
(屋内のはず..?)
“感動し隊”の、ラスベガスでのカジノ初体験は、パリスホテルでした!
夜まで時間をつぶすのが大変..なんて心配など要らず、体感したいホテルは他にも沢山あります。
私達は後ろ髪引かれる思いで、パリの街と別れました。
ショーが始まるまでに、出来る限りホテル巡りをすることにしました。
 *シーザース・パレス(ローマ帝国がコンセプト)→*ミラージュ(ポリネシアをイメージ。日没後には、
  ホテル前の火山が噴火!)→*ティーアイ(「宝島」がテーマのホテル。
  ホテル前に設置された海賊船の上でのショーが大人気!)
 
パリスホテルからスタートし、上記のホテルを巡り、あっという間に夕刻です。“O”は、7時開演。
超人気のショーなので、1時間前には、シアターに並ばなければいけないとのこと。
ベラージオホテル内の“オー”シアター近くのビュッフェで早めの夕食を摂ることにしました。
世界中のメニューが豊富に並び、ワクワク!他人のお皿が良く見え、「それはどこにあった?」の繰り返し...気がつけば食べ過ぎてお腹がパンパン!
「皆さん、これから観るショーのためにラスベガスに来たのよ。満腹で眠くならないようにね!!」と自分に言い聞かせるように、叫んだ私でした。

  ☆ ついに“O”(オー)の世界を訪問!☆

日本を発つ前に、皆さんに「巨大なプールステージで繰り広げる神秘的なパフォーマンスは、水中ショーなので、ラスベガスでしか観ることが出来ません」と伝えていました。
その通りなのですが、実は目の前に大きなプールがあるのに違いないと想っていました。
いつも本物に接して痛感すること..
「百聞は一見にしかず!」想像以上の内容でした。
ホテル.ベラージオ内のシアターは、ヨーロッパのオペラハウスをイメージするような舞台でした。
入場した私達は目を疑いました。「どこにプールがあるの?」
目の前の赤い緞帳の舞台はただの舞台に見えました。幕が上がり息を飲みました!
その舞台には水が溢れていました。最近、見たオリンピック競技の「シンクロナイズドスイミング」と同じく、そこには空中に向かい、長い足が伸びていました。
舞台に水槽があるのでは無く、舞台全体がプールだったのです。
それも、瞬時に水が捌けて普通の舞台にもなってしまうのです。
とにかく、この特殊舞台だからこそ表現できる、水中、水上での幻想的なパフォーマンスに大きな拍手を送りました。
 タイトルの“O”は、無限の輪を象徴するとともに、フランス語で同じ発音の“EAU”(オー)も意味しているのです。
高い芸術性とテクニックに裏付けされた演技は、人間の無限の可能性を伝えてくれるようで、胸が熱くなりました!
飛び込みも出来、グランドピアノとその上に腰掛けた人間が、全て沈んでしまうのですから、水深はだいぶあるはずです。
舞台上の水の変化に驚くとともに、水中に沈んでまた浮き上がった時の、パフォーマー達のポーカーフェイスにも驚嘆しました。
全く、苦しそうな顔をしていないのです。身につけた衣装や顔面から、水がポタポタ落ちる訳でもないのです。不思議!!
 幸運にも、私達の席は、水しぶきが飛んで来るくらいの前の席!
だからこそ、細かな様子を感じ取ることができたのです。
ショーが終わったときは、観客は大喝采で、スタンディングオベーションでした!
私達は、出演者に、演奏家達に、スタッフに、見事な舞台装置に、心の底から拍手をしました。
「ホントに、来て良かったね!」を繰り返し、美しいベラージオの噴水を後にタクシーに乗りました。
“感動し隊”一同、予想以上の特上の感動をゲットしました。
 素晴らしい夜を共有できたことに感謝!!

       ***K子的“シルク・ドゥ・ソレイユ”論!!***

 “シルク・ドゥ・ソレイユ”は、フランス語で「太陽のサーカス」という意味です。
カナダで誕生し、そこに本拠地を置くエンターティメント集団の名称ですが、単純にサーカス団という言葉では片付けられないのです。
過去に存在しなかったジャンルの新しい総合芸術なのです。
 
 総合芸術として長い間、称えられ継承されて来たオペラは17世紀初めにイタリアに誕生しました。
アメリカのミュージカルは19〜20世紀に確立されました。いずれも、人類にとっての宝物です。
私は、それに匹敵する(ある意味、それ以上の)総合芸術が21世紀に誕生したと思えてなりません。
“シルク・ドゥ・ソレイユ”は、サーカス+オペラ.ロックの要素をふんだんに取り入れ、衣裳も多彩です。
現代だからこそ可能なハイテクを駆使し、幻想的な舞台演出で人々の心を捉えます。
各作品にはオリジナルの音楽が作られ、公演は全て生演奏です。
国際レベルのアクロバット.スイマー.ダイバー.ダンサーの面々は、トップクラスのアスリートが研鑽を積み、アーティストに!

プログラムは庶民的な大道芸から、最も贅沢なオペラに至るまで、いかなることも可能なトップ集団に、「オペラ」や「ミュージカル」のような固有名詞が与えられないものでしょうか?..
今や、世界中から絶賛されている、この新しいジャンルにきっと、新しい名前が作られることと想います。
私は、21世紀に生きる者として、21世紀に誕生した、“新総合芸術”の生き証人であることが嬉しいのです。
この時代に生きて、目の当たりにしたことを誇りに思います。
これからも“シルク・ドゥ・ソレイユ”から目が離せません!
命がけの演技に惜しみない拍手を送るために、今後の新作も観賞していくつもりです。

21世紀に生きていながら、人類の新しい宝物の誕生に気がついていない人々を、可哀想にさえ思います!                                   (Vに続く)

    

パリスホテル                            ティーアイホテル  

 

“オー” シアター