ソット・ヴォーチェ



スロバキアでの音楽交流
2001年.秋の東欧旅行の大きな目的は、スロバキアのプレショフ(東北部の中心地)での音楽交流でした。プレショフ大学.音楽科で音楽教師を目指して勉強している学生達と「日本語講座」を専攻している学生達の前で歌わせて頂いたのです。
プログラムは自分で決めることが出来ず、日本を発つぎりぎりの時期に、要望曲のリストが送られてきました。選曲のジャンルの広さにビックリしました!
小学低学年の曲〜中学生までの義務教育で習うような曲。そして若者が歌うような曲〜流行歌まであり、最後にソプラノ歌手として力を発揮できるような曲でした。

 大学側は、「日本の子供達は学校でどういう歌を習っているのか」知りたかったことと日本語を学んでいる人達は「正しい発音」を聞きたかったわけです。
コンサ−トより何倍も緊張したのは確かです。
コンサ−トであれば、楽しんで聴いてもらえますが、この場合は「模範演奏」というようなものです。学生達は真剣な眼差しで聞き入っています。それにも増して大きなプレッシャ−は、音楽部長をはじめ教授達が一緒に聴いていることでした!
ニコニコ笑ってごまかすことはできません。一瞬、学生時代の「歌の試験」を思い出しましたが、「可愛い歌」に助けられました。歌い手になってから、人前で歌ったことのないような「小学生の歌」...春が来た.雪.夕焼け小焼け.ぞうさん...何て瑞々しく、優しい旋律でしょうか!歌っていくうちに、私の心は穏やかになりました。
日本の宝物だと感じ、誇りを持って表現し始めると、聴いて下さる皆さんも、にこやかな表情になってくるのが感じ取れました。
中学校の教科書からは、若者達.翼をください..。もうここに至ってはのびのびと歌うことが出来、会場の皆さんは手拍子まで入れてくれました。
 「日本の歌」で、最も興味を抱いているのは、さくらさくら.浜辺の歌.でした。
驚いたことに、音楽科内で「日本歌曲コンク−ル」が行われており、この2曲が課題曲になっているのです。そんな訳で、この2曲は、日本人だからこそ!というくらい表現豊かに歌いました。(コンク−ルに挑戦する学生は、綺麗に歌い流すので精いっぱいでした。私は、この2曲はドイツリ−トやイタリア歌曲に負けない程の音楽に仕上げられるはず、と信じていました)
全て歌い終え、これほど「自分の国の言葉」に気を使ったことは無いと思いました。
良い体験をさせて頂きました!
初めて訪問する東欧...しかも「チェコ」と「スロバキア」が分かれ、別々の国になったという歴史等、無知だった私を温かく迎えて下さったスロバキアの皆様には“感謝”の一言に尽きます。日本人はスロバキアの曲として「おお牧場はみどり」くらいしか習っていませんが、スロバキアでは、音楽教育に「日本の歌」を数多く取り入れようと研究していることが解り、嬉しく、また恐縮した次第です。今後は、私のできる限り、向こうの素敵な歌を紹介して行きたいと思っています!

*プロジェクトに私を推薦して下さいました中央大学の石川教授.プレショフ大学の
 シムチ−クご兄弟(教授).その他、音楽科の皆さん、民族舞踊団シャリシャンの
 団長...本当にありがとうございました!!

P.S 2003年.春には、プレショフ大学のシムチ−ク教授達と民族舞踊団が来日
   しました。同年秋には、例の「日本歌曲コンク−ル」で優秀だった学生が
  ご褒美として、来日しました。懐かしいスロバキアからのお客様達を心から歓迎
  し楽しい年になりました。「歌」で結ばれた友情のおかげです!