ソット・ヴォーチェ



日本の音楽展
1979年に発足したこのコンサ−トは、今年で26回目でした。
声楽の場合(器楽もそうかもしれませんが)発声をつかみ、それを基に歌をまとめる勉強としてはイタリアや、ドイツの音楽をやります。学ぶべきことが多く、気がついた ら、自国の音楽(歌)が一番最後になっている現象が今の音楽界です。
私の恩師、柳兼子女史は、生涯、日本歌曲の大切さを説いた方でした。
「ドイツリ−トもイタリアオペラも声楽には欠かせないけど、日本人が、他の国の人より上手く歌えるのは、日本歌曲でしょう!なぜ、それを得意としないの?」.. 
自分の体格も考え、先生の意志を引き継ごうと考えた私は、1990年から、この音楽展に 参加してきました。以来、1月の草月ホ−ルは私にとり、恒例の歌い初めとなってきました。
2002年は、10年以上、休まず出演してきたことに対し、功労賞を頂きました。
また、本年(2004年)は、新曲を世に紹介してきたことに対し、奨励賞を頂きました。
私の尊敬する師、高田三郎先生も、柳兼子先生も、コンク−ルの類は大嫌いでした。
  
  「評論家や、専門家が審査する結果はあてにならない」(高田先生)
  「競馬じゃあるまいし、どうして音楽で競争するの?」(柳先生)

どちらも、いい音楽は、聴衆が決めてくれるというお考えでした。私が頂いた賞は順位を決めるものではないので、天国の先生たちも喜んで下さったと思います。
「継続は力なり」と言いますが、自分が、毎年歌ってこられたことには驚いています。体調の悪い時、家庭環境の変化、一人だけで生きているのではない現実の障害物に遭いながら、ニコニコ、ステ−ジに立つのは結構つらいものでした。でも、でも!
好きなことをやらせて頂いているのですから!と思っては、今日まで来られたのです。 これまで、直接、作曲家の先生に指導して頂いたり、文通が続いたり、素晴らしい心の財産ができました。
何より、15年間、歌いつづけてきた歌たちは、私の分身になり 、大切なレパ−トリ-です。さて、27回目はどんな出会いがあるのでしょうか?
 次回も、私の声帯は鳴ってくれるでしょうか?


      日本の音楽展 演奏の記録

 ・高田三郎作曲:啄木の短歌による八つの歌曲 ・湯山昭作曲:歌曲集「カレンダ−」
 ・高田三郎作曲:「ひとりの対話」(全6曲) ・高田三郎作曲:パリ旅情(全8曲)
 ・別宮貞雄作曲:歌曲集「智恵子抄」(全9曲)・別宮貞雄作曲:淡彩抄(全10曲)
 ・古瀬徳雄作曲:星野富弘の詩による7つの歌 ・中田喜直作曲:日本のおもちゃうた
 ・柴田南雄作曲:優しき歌(全6曲)     ・服部公一作曲:とこしへの秋のうた
 ・古瀬徳雄作曲:茨木のり子の詩による4つの歌(初演)
 ・中田喜直作曲:金子みすずの詩による童謡歌曲集
 ・竹田由彦作曲:ソプラノのための四つの歌-宮川澄子の詩による(初演)
                       
                         2004年2月.表彰式を終えて記録.     

    
2002年 功労賞受賞                        2004年奨励賞受賞

    
2004年草月ホールにて                           作曲家 竹田由彦氏と