2002年12月議会(第4回定例会)一般質問
1.市民協働のまちづくりについて【提言】
(1)協働の基本理念、位置付け、役割分担等の明確化
「市民協働とは何か」「公益活動とは何か」を市民、行政が共に学び合い「市民協働の基本理念」「行政、事業者、NPO等の市民団体、市民、それぞれの役割と協働のあり方」について明確化した上で、市民協働の一部としての「地方自立計画における行政パートナー」について検討がなされるべき
事例紹介(環境福祉常任委員会視察より)
大阪府吹田市
- 市民と行政が協働で「市民協働のしくみづくり」をしながら
- 「市民公益活動の推進に関する条例」を策定、条例に位置付けられた審議会において「市民活動の拠点」「市民団体への委託のルール」「市民団体への助成のあり方」などを定めている。
- 「行政は行政の役割をきちんと果たし、市民団体は自主的、自立的な活動をし、市民活動がより拡大、活発化していくことが、結果として行政効果につながる。」(吹田市職員)
岡山県高梁市
- 社協の移送サービス等について、自助、互助、公助の明確化により、真に必要な人に必要なサービスが提供でき、持続可能で発展性のある地域福祉のしくみづくり
(2) 協働のしくみづくりとプロセス
- 地方自立計画に関わる市民・職員による「NPOと行政パートナーに関するプロジェクト」(02年9月〜03年4月、中間報告書・検討結果報告書を提出)を経て、市民協働のしくみづくりの検討委員会を立ち上げ、認識を整理し、共有化することが重要
- 「審議会は有償、市政に関わる政策提言・企画立案機能を担う各種委員会は無償」のあり方を見直し、コンサルタント依存でなく、市民コーディネーターやNPOと協働することにより、市民の政策提言を行政に反映しやすいシステムに
(3) アイデンティティー(独自性、主体性)と目的のはっきりした「地域社会の組織化」の重要性
- 地域通貨について…少子高齢社会にあって、商業振興と地域福祉の観点を連動させ、地域社会の組織化として捉えていくことは重要だが、地域通貨についてはあくまでも「自らの意思による自主的自発的な活動であること」「生きがいや自己実現」「人と人とのつながりやコミュニケーションを広げていくといった目に見えない価値」を重視すべきであり、民間主体の活動を育成すべき
- 地域福祉
- 学校区単位に地区福祉委員会を中心とした小地域ネットワーク活動(例・吹田市)
- 地区毎のコミュニティーセンター(住民運営のコミュニティープラザ、市在宅介護支援センター、社協運営のデイサービスセンター)(例・吹田市)
- 町内会単位の福祉委員制度できめ細やかな見守り活動(例・高梁市)
(4)職員、市民の意識改革
2.組織改革について 【第二次組織改革(6月議会に提案予定)に向けた提言】
- 「市民活動の支援とは何か」が不明確であり、行政が「市民活動の下請け」になってはならない。市民団体側も様々な問題を抱える中、共に協働のための学習をし、共有できる基盤をつくる必要あり
- 年功序列型人事の廃止、能力に応じた適材適所へ
- 部を越えたチームワーク、調整機能の強化
事例
・ 自然環境の保全と開発について庁内での連携がとれていない
・ 放置自転車等、駅周辺の環境改善には青少年健全育成からも横断的な取り組みを
【成果】03年1月より関係各課で総合調整を行うワーキンググループを制度化- 市にある民間団体の事務局機能(観光協会、体育協会等)については徐々に市民セクターへの移行を
- 効率性と質の重視
事例
・ 市民病院の受付(医事)業務を慣れない市職員が行い(02年度)、患者の待ち時間が長くなり、専門性も損なわれている→03年度から従来の委託に戻り、改善された
・ 総合発注室による業者選定(02年度から)で、前年度比9.95%の経費節減の一方、安くても質が伴わず、行政効果につながらない事例(放置自転車防止指導業務、コンサルタント業務等)の改善を- 一律横並びでない、自発的、自立的でオリジナリティのある行政運営
- 市民協働の行政運営にかなう組織のあり方
・ 行政のコーディネート(調整)機能の充実
・ 市民活動支援課の機能を充実強化し「(仮称)市民協働まちづくり推進室」とし、市民協働の中枢に
3.(財)志木市文化スポーツ振興公社について
(1) 検討の方向性
2002年9月に「公社の解散が適当」との、庁内検討委員会によるまとめが市長に提出された。
- 「解散ありき」でなく、先ず今後の志木市のあるべき文化・スポーツのビジョンを示し、実現のための方策を検討する中で公社の存在意義について論議がなされるべき
- 公社職員(13名)の処遇
- 「リストラは行わないとの市の方針」とのことだが、市職員としての採用については市長の「5年間職員採用凍結」方針と矛盾し、安易な採用はすべきでない。
- 「文化スポーツ振興公社と社会福祉協議会の機能をあわせ持つような団体をつくったら」との論議もなされた、とのことだが、社協は社会福祉法に基づく社会福祉法人であり、職員(6名)も福祉の専門職(ケアマネージャー、社会福祉士、介護福祉士等の有資格者)である。職員の受け皿づくりといった発想では、市民の理解は得られない。
(2) 市民への情報公開、説明責任
本来、市民を交えた検討を行うべきであり、今後公社の方向性を定めるにあたり、意思決定過程で情報公開、説明責任、市民参画を
4.地域福祉計画(2003,04年度に策定予定)について
(1) 福祉3計画(高齢者保健福祉計画、障害者プラン、子育ていろはプラン)、健康づくり計画等とのかかわり
- 健康づくり計画を行政だけで短期間に計画せず、地域福祉計画とあわせて考えるべき
【市長】 既存の計画を内包する計画として位置づけ、幅広い地域住民の参加を基本に、健康づくり計画との整合性も図っていく
(2) 広域的な連携と調整
- 学校区単位の小地域ネットワークの構築と共に、障がい者支援費対象サービスについても充分とはいえない中、30万人程度の福祉圏域、広域的な視点でサービスの可能性を見出し、地域福祉サービス計画を策定していく必要があるのではないか
【市長】 朝霞地区の関係機関との連携をはかり、サービス提供体制の整備に努めていく
(3) 盛り込むべき課題
- 地域リハビリテーション、健康づくり計画、地域医療ネットワーク(市民病院の紹介率9%から30%を目指し、地域の医療機関との連携を図って行くことが必要)、ボランティアの組織化、地域通貨の観点等
【市長】 ノーマライゼーションの普及、住みよい住環境整備などを含め、盛り込んでいく
(4) 策定体制(組織、住民参加のあり方)
- 職員体制の充実、共に福祉社会をつくっていく子どもたちの参画、策定委員会中心に市民誰もが参加できるワークショップ形式等
5.交通政策について〜放置自転車、バイク等の防止策〜
- 担当課による現状分析が不充分
- 地域の商店街等との協議会も長年未設置
- 新座市は頻繁に撤去、志木市は月1回の撤去すらできていない
- 誘導業務が不徹底で「立っているだけ、税金の無駄」との批判を招いている
- 撤去等の経費について学校教育、大人にもわかりやすく啓発するなど、「モラルの危機」に真向から取り組みを
【成果】
- 交通環境整備(放置自転車対策等)検討ワーキンググループを設置
- 2月に柳瀬川駅前、ダイエー前で、スーパー等と連携し、交通安全協会、交通安全母の会の協力により職員が啓発と集中撤去
- 03年度からは月1回ペースで撤去、ダイエー、鹿島ビル(サミット等)では、警備員等による整理誘導を継続、空くのを待って自転車を置くマナーが見えてきた ! !
6.志木市の教育改革の検証について
(1) チームによるホームスタディ制度の検証
2001年度の小・中学校別不登校の状況をみると全79名中、中学2、3年生で48名となっている。
小学校
中学校
1年
2年
3年
合計
20名
59名
11
22
26
79名
不登校になってしまってからではなく、予防に重点をおいて、一人一人の個別の課題にチームでの支援をきめ細やかに展開し、志木市から一人もつまづく子どもを出さないという信念を持って、教育委員会はじめ各小・中学校、市民ぐるみで取り組んでいきたい。中学から高校へのフォローアップのしくみも必要。
【教育長】
- 長期欠席児童・生徒の実情に応じて教育相談プロジェクトチームを設置し、90名超の教育ボランティアが登録している。保護者担当ケースワーカー、児童・生徒にふさわしい臨床相談員を充て、学校・家庭の密なる連携と本人の状態を常に把握して進め、学習に意欲的に取り組む子どもが増え、高校進学を考えるなどの成果。
- 02年度当初12件のチームを設け、2学期には4名学校復帰、適応指導教室までの段階的復帰が数名など、良好に進んでいる。
- 現在、長欠状態が軽度の早期にプロジェクトチームを立ち上げ、40チームほど設置し、予防に力点を置きながら対策に努めている。教育ボランティアの全員研修会も3回実施している。
(2) 02年度の課題を踏まえたハタザクラプラン (25人程度学級) の03年度の対応
【教育長】
- 低学年担任50人への調査より、効果として
- 教師による児童に声をかける回数や機会が増えた
- 子どもたちの学級への適応は早まっている
- 児童間のトラブルが少なくなった
- 授業への集中力は以前より持続できるようになった
- 担任の70%以上から個別指導の充実や児童の望ましい変容などの良い結果がでているとの評価
- 2年生から3年生(40人学級)への移行については複数指導(T.T.)や少人数グループ指導などで円滑に
- 03年度の臨時の専科教員については教員免許法改正により、中高の免許状があれば、小学校の専科の臨時教員として採用可能になり、より専門性のある人材を登用できる
(3) 能力に応じた学習支援体制
中3チューター制度を拡大して全学年、小学生へも適用し、教職員・教育ボランティアが一体となって、すべての子どもが学習につまずくことなく一人一人の能力を伸ばせる支援をすべきではないか
【教育長】
同様の趣旨で検討していく
(4) 外部指導者等の活用による楽しく魅力ある教育活動
宗岡三小、志木小の研究授業では外部指導者を最大限に活用していたが、01年度の実績は市全体で53名であり、すべての学校で活発に展開されているのか
【教育長】
03年度に向け各学校が魅力ある事業を企画し、校長裁量のきく予算執行方法を検討しており、各校の主体性や自主性を高めるためにも期待できる
(5) 教育情報の積極的な公開により、保護者・地域と共に創り出す地域ぐるみの共育(きょういく)を
困難事例、課題に対して保護者・地域に誠意ある働きかけがなされているのか
【教育長】
教育内容全般を教職員が自己評価、地域保護者に公表し、外部評価をいただきながら充実を図っている。
学校評議員制度のみならず、地域保護者との意見交換の場、教育内容についてともに企画立案する場などを設定し、更なる充実を図ることが重要と考えている。