2004年9月議会(第3回定例会)一般質問より
1.職員による不正流用問題について
(1)処分の適切性
 「3団体の銀行口座から不正に現金を引き出し、私的に流用。」の行為に対し、「停職6ヶ月」の処分で退職金が支給されたことに、市民は納得していない。
 1.懲戒委員会への市民・民間の意見の反映 2.退職金の一定の減額措置を退職手当組合に要望  に加え、3.「志木市職員の懲戒処分の指針」を改正し、「公金または公金に準ずるものを横領した職員は免職」とすべき。
【市長】適切な処分であったと確信しているが、懲戒処分の指針等について改善する必要性を痛感している。
(2)任意団体の事務執行
 従来から、市が事務局となっている任意団体の事務については、できる限り外部化することによって、団体の本来担うべき機能と、市が団体の公益性の観点から支援・協力を行うべき機能を明確にすべきと主張してきたが、抜本的見直しが図られず不祥事に至ったことは残念。
 外部団体の会計規模、補助金の額、職員の支援に要する人手、時間等を検証し、市の業務との区分の明確化の観点、また、事業の目的・事業内容が今のままでよいのか、まちづくり・まちおこしの観点でより効果的な手法が取れないのかも抜本的に検討すべき。
【市長】協力団体の会計事務に関する指針を制定し、内部監査体制を強化した。行政とのかかわりの中できちんと整理をしていくことも大事だろうと思っている。
【天田】不祥事後、市から要請し、団体による会計事務が可能となった件数は? 団体の規約に定めずに市が会計事務を行っているところがあり、規定を設けるべき。
【企画部長】40団体余りのうち4団体に会計事務をお返しする。規約の改正は進めていきたい。
2.市民協働業務について
(1)行政パートナー委託業務
 研修期間1か月ではあまりに短い。特に公民館は1年間研修期間と位置付けたい。就業規則で3か月までは試用期間とされても、3か月ではわからないという現場からの意見もある。
【市長】今年度については、事前研修期間の延長、事業の実地体験期間を設ける。市民活動支援課・業務担当課・行政パートナーそれぞれの研修システムを構築していく。
【天田】05年度業務について、市民協働業務評価委員会、市民委員会からは「職員の責任を残しながらの段階的な移行」「経費節減効果よりロスが出てくるのではないか」といった危惧や慎重な意見が出されている。
 十分な事前研修の結果、執行できる目途が立たなければ軽々に予算化すべきでない。
【市長】ケースバイケースで柔軟性を持って対応していきたい。
(2)市民協働における職員のあり方
 特に公民館は地域の拠点であり、館長を中心に職員がコミュニケーション能力、マネジメント力、調整力を発揮し、行政パートナー・利用団体・利用者それぞれの関わりの中で信頼関係を築いていくことが重要。市民協働にかかわる職員の資質は今まで以上に重要との認識を持ち、職員研修・人事に反映すべき。
【市長】職員の果たすべき役割について浸透していない点もあるので、研修、職務マニュアルの作成、市民力を発揮させるマネジメントや調整力を発揮してもらうことが重要、職員配置についてもその点に配慮していきたい。
(3)公民館の機能
 公民館は単なる自主事業にとどまらず、地域の学習拠点として学校・社会教育関係団体・NPO等との協働による多様な学習機会の提供、インターネット等による学習情報の提供、家庭教育への支援、奉仕・体験活動の推進、ボランティア養成研修会、事業の自己評価等が求められている。(03.6.6 公民館の設置及び運営に関する基準改正)
【市長】施設の貸し出しは従の機能、主たる機能は市民が公民館を活用して自主事業を行い、コミュニティ醸成のための発信基地と認識している。
【天田】まちづくりの拠点としての公民館のあり方を議論しないまま、行政パートナーへの委託に移行した。茅野市では公民館、自治会単位の地区公民館で学習しながら地域ぐるみで福祉のまちづくりを進めてきた。
05年度の職員配置は?行政パートナーに対し「社会教育とは何か」研修すべき。
【市長】行政パートナーについては教育委員会も入って協議してきた。私から云々言うわけにはいかない。
【教育長】05年度は現状の職員配置を考えている。行政パートナーに対する社会教育についての研修は希薄であった。今後十分に行っていきたい。
3.福祉社会の構築について
(1)福祉におけるマネジメント機能
 介護保険の認定率が低い(04.4.1 8.84%、県11.76%)のはなぜか。地域毎の実態を把握し地域福祉計画に反映すべき。
 普通徴収の収納率が落ちており、「元気だから介護は受けない」という方に対し、介護予防のための事業を組み込んでいく必要がある。(国の介護保険制度改革にも反映された。)
 今後は市町村が生活圏域ごとの整備計画をつくり、地域介護福祉空間整備交付金を活用した小規模多機能生活拠点・介護予防事業等の展開が求められる。
【市長】地域ケア会議で総合調整し、保健・医療・福祉の各サービスへ誘導するとともに、介護保険の運営状況や高齢者の実態調査結果について分析し、介護予防対策を推進していく。
【天田】生活保護の給付が非常に伸びており、03年度294世帯をケースワーカー3人で担当しており、社会福祉法の基準(80世帯に1人)を超えている。増員し、自立に向けきめ細やかなサポートを。
 障害者福祉についても支援費制度になり、ケースワーカー1人当たり約540人をかかえ、1人ひとりに応じたケースマネジメントが十分でない。精神障がいについては精神保健福祉士・臨床心理士のサポートも必要ではないか。
【市長】全庁的に職員配置の再調査を行い、早急に対応したい。精神保健福祉士など専門職員の活用も視野に入れた職員体制の整備が必要と考えている。
【天田】保健・医療・福祉・医療保険の実態を総合的に捉えて志木市の特性を分析し、各医療機関とも連携して予防医療等を推進していくためのマネジメント機能を。
【市長】早速検討に入りたい。
(2)食の自立
 自分でつくることが栄養的にもバランスが取れて、個々の健康・身体機能に応じた内容であればよいが、自分でつくるといっても例えばカップめんばかり食べているといった食生活でよいのか。栄養士がその質も見極めながら、ホームヘルパー・食生活改善推進員・おんどりクラブ等の協力により、個々に応じて食事をつくっていかれるようなサポート体制を組んでいくべき。
【健康福祉部長】今後、介護保険の中に組み込んでいくかについても検討していきたい。(06年度から新予防給付のメニューとなる見込み)
4.一般廃棄物処理基本計画の推進について
廃棄物の適正処理
 職員手作りの当計画では、事業所ごみが家庭ごみの集積所に出されている実態調査を行った結果を踏まえ、事業系ごみについて「処理委託や志木地区衛生組合に直接搬入(有料)するなど適正処理を推進し、小規模排出事業者対策として、有料袋(未定)を購入してもらい、集積所に出せる方法も検討する」とされている。
 事業系は総排出量の30%、家庭系は100%が志木地区衛生組合の負担金(03年度 約4億9000万円)に反映される。事業系ごみが集積所に出され、家庭系として収集されることにより負担金を押し上げている。
 商工会を通じ、また、事業所への立ち入り検査も含めて働きかけを。
【市長】市内法人事業所1579社中、適正処理は2割のみであり、今後は職員による戸別訪問なども検討している。
5.通学区自由化について
 中学校における「理由を問わない指定校変更」(9月30日まで)の運用状況は? 保護者からは「年度当初からの自由化をしてほしい」、学校現場からも「来年度どうなるのか」といった意見が寄せられている。検証し、速やかに市民に情報公開、説明責任を果たすべき。合同部活動についての検討も行っていくべき。
【教育長】指定校からこの制度で転校した生徒は1けた台であり、不適応を来たしやむなく転校する深刻な状況は報告されていない。検証の上、05年度は現行の制度を継続していく。部活動のあり方についてはワーキンググループを立ち上げ考えていきたい。
【天田】小中学校の接続について、小学校では学校評価・保護者とのミーティング等盛んだが、同学区の中学校ではやっておらず、連携が取れていないところもあると聞く。
 地域立学校として、先ず管理職が連帯し、できれば学校経営協議会を合同でやるとか、学区として子供たちの教育をどう地域で保障していくか、踏み込んでやってほしい。
6.教育課題の検証について
 小学校6校、中学校3校を訪問し、把握した現場の実態を踏まえての質問
(1)指導主事による学校支援機能
 リカレントスクール、逆上がり教室など素晴らしい取り組みではあるが、指導主事が多忙を極め、本来の学校・教職員に対する教科指導のサポートが充分でない。志木二小では全教職員による夏休み逆上がり、パソコン、リコーダー教室に児童300人が参加した。逆上がり教室などは学校主体で行い、青少年問題もまちぐるみの取り組みとして市長部局に事務分掌を移すなど、指導主事が本来の学校支援機能を果たせるようにすべきではないか。
【教育長】組織や分掌の見直しも視野に入れて今後検討が必要。
(2)特別支援教育
 特殊学級の専門性を高め、保護者の思いや願いを入れた個別指導計画、単に一緒に過ごすだけでなく障がいへの正しい理解につながる交流教育、人事を超える研修を。
 特殊教育について、埼玉県は東京都のように専門枠での教員採用でなく、一般教員の中でまわしているのが実態。早急な改善の申し入れを。
 軽度発達障がいについては、個別のケースに応じた校内研修を。支援員に対する専門研修も再三要請してきたが行われていない。支援員も含めたチームによるサポートを。
【教育長】学校での研修、支援員等の研修を充実させたい。採用に関しては、県教育委員会に強力にお願いしていく。
【天田】幼小接続が重要、福祉部との連携も図ってほしい。
(3)情報教育
 03年度、志木二中・宗岡二中に導入された数学のCAIソフトは一斉授業に使うものではなく、復習で個々のつまづきに応じて問題が出てくるもの。本年、宗岡二中では夏期講習で1人1時間ずつの補習に活用、志木二中では1学期に一斉授業で導入し、うまくいかなかった。
 教員のパソコン習得率は小学校60%、中学校40%であり、学校毎の生徒の実態に応じて真に必要ものを見極め、学校主体で整備・活用されるべき。「市民委員会からの指摘を受けて使った」ということがあってはならない。
 予算については魅力化に盛り込む、学校経営協議会の中に情報システム検討委員会を設けるなど、保護者や地域の専門家の協力を得て、ハード・ソフト共に効果的な整備を。
【教育長】各学校毎のカリキュラムと連動した、選択肢のある整備が必要。地域立学校経営協議会にはワーキンググループをつくることができるので、専門性ある取り組みを奨励していきたい。
(4)国際理解教育
 日本語が習得できていない児童・生徒へのサポートにつき、宗岡三小では当初は校長自ら個別支援プログラムをつくり、教育サービスセンターから毎日支援ボランティアを派遣してもらい、スムーズに適応できていた。児童・生徒の生活サポートにまできめ細やかに対応できるよう、市民団体とも協力して対応を。
【教育長】ボランティアは日本語指導にとどまらず、担任とのパイプ役、保護者への生活面のアドバイザーになったりと、活動は多岐にわたっている。今後は外国人である保護者への通訳、教科書の翻訳など、その活動を広げるべく準備を進めていきたい。
(5)学校図書館について
 学校図書については基準額という考え方だけでなく、小規模校にも対応した整備を求めてきた。その過程において、教育委員会による図書相談員の研修が近年全く行われていないことに驚いた。教員の学校図書館教育活動委員会とも連動した研修を。
 司書教諭の授業時間を削減して司書業務に充てられているのか。
【教育長】計14名の司書教諭を配置、週平均2時間程度少なくして図書館での職務に当てている。図書相談員の研修会は今後2回企画している。読書環境整備、読書力向上の両面から実態を把握・分析し、有効な活動ができるよう、05年度をめざして充実策を検討していきたい。
(2005年2月)
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