2004年12月議会(第4回定例会)一般質問より
1.住民自治基金条例について
(1)  12月議会上程の撤回(取り下げ)

議案として配布されたにもかかわらず、議会開会日に市長が上程を取り下げたことについて、市民から「マスコミに取り上げられただけで、議会での議論を見極めたかったのに、審議もされないまま取り下げられたのは大変残念」の声が上がっている。
 これから市民の意見を聞くということだが、なぜ、議会前にそのプロセスを踏まなかったのか。

【市長】 二元性に配慮した。市川市が今議会で議決をした。ほかの市でどんどんやってくれれば志木市でのご理解も得られるのではないか。

【天田】 議会の動向に配慮したということだろうが、私は“市民協働による真の住民自治実現のために”議員になった。市川市は“市税の1%分をNPO法人に対して市民活動審査会で適格性を判定しながら支援をしていく”ということで、志木市とは全く異なる。
 今議会での市長答弁「市長の職に伴う権力について自覚していない。」が気になった。私でさえ市民からは「自分たちには無い権限があるんだから相応の責任を果たしてほしい。」と言われる。権力は使い方であり、本当に市民のために使っていけばいいのであって、むしろ自覚して、相応の責任を果たすべきと市民は望んでいると思う。

【市長】 権力?ちっとも気にならないと思うんです。だって本人が自覚していないからいいと思う。現実に何の権力とか権限があろうと、そんなのありませんよ。私は少しぐらい間違えても、次の時代に変わってもいい。住民の皆さんはあんなものやりたくないのに穂坂さん勝手にやったと言われれば、それはやめてしまえばいいわけで。あまり権力を意識しないからあちこちで間違いだらけでしようがないじゃないかという批判は不徳のいたすところで、率直に受けたいと思っている。

(2)   現存する計画の推進体制、基金等とのかかわり

緑の基本計画を2001年に市民参画で策定し、推進体制も市民協働で行うと明記されているにもかかわらず手付かずであり、再三議会で指摘し、その後策定された自然再生条例もあわせて総合的な緑地保全・緑化のしくみを推進すべきと主張、市民からの意見も寄せられているにもかかわらず、一向に推進体制ができてない現実をどう考えるのか。目的が異なるとはいえ、また新たな基金では、地に足のついた市民協働社会は構築されない。

【市長】 それらについても連動してやっていきたい。

【天田】 地域福祉基金についても、今策定されている地域福祉計画推進のために、市民ぐるみの運動、活動として寄付を寄せていただけるような取り組みこそ重要。

2.市民協働について
(1) 市民協働の推進体制とコーディネート機能の必要性

従来から主張してきたが、政策審議室と対等な組織として市民協働推進室を設け、単なる市民活動の支援でなく政策的なとりくみを
 指定管理者制度に関しても、現有施設を委託している()志木市文化スポーツ振興公社、(社福)志木市社会福祉協議会を強化して指定が受けられるように程度の検討しかされていない。他市では全公共施設を対象に幅広い検討がなされており、例えば公園管理を市民団体、小規模作業所等に委託することもできる。
 アダプトシステム(無償)、行政パートナー(有償)、他の市民協働のしくみとの整合性等、総合的に検討を
  現在、行政パートナーに関して評価委員会が評価を行っているが、市民協働全体について市民、行政の間に立って、中立的な立場で調整し、緩衝となり得るような機能が必要。

【市長】 市民協働推進本部で透明性のある評価や全体的な市民協働について検討し、全てが行政パートナーのみに集約される協働推進体制は避けていきたい。NPOや市民の視点で補完する体制は必要。

(2) 行政パートナー制度のあるべき姿

たとえばいろは遊学館であれば、受付業務が単に部分的な機能を果たせばいいのではなく、学社融合という共通の目標に向かって理念を共有していってこそ、行政パートナー制度が市民協働になっていく。

 退職者や高齢者のみならず、もっと若い人たちが参画できるしくみづくりが必要ではないか。
 例  太田市の図書館パートナーズは50人程度の団体だが、400人以上が応募、司書の資格を持つ40代の方々も活発に活動されているとのこと。
・ クラブ秋ヶ瀬では、土日のグラウンドコンディション情報をサービスとして提供するようになったとのこと。これこそ新しい公益のあり方。
 再三の提言を踏まえ、途中入会者も含めて全員に初任者研修が義務付けられた点は評価するが、更なる改善を。

【市長】 一律、時間700円とせず一定の資格や専門性を要する業務については、柔軟に対応したい。年齢制限については、業務内容によって必要性が生じた場合は柔軟に対応していき、若い方々にも参加していただけるようにしたい。

3.市民病院について

夫が狭心症で、市民病院の自治医科大学派遣医師の紹介により自治医科大学大宮医療センターCCU(冠動脈疾患集中治療室)に搬送され、心臓カテーテル検査・冠動脈を広げる処置をし、命をかけて良質の医療サービスに向けた医師確保の重要性を体験した。
 市民病院で良質な医療サービスが提供され、更に連携病院につなげる保障がどうしても必要。

(1)良質の医療サービスに向けた医師確保と今後の方向性

  来年度に向けた自治医科大学の医師派遣が大変厳しい状況とのことだが現段階での見通しは。
  将来的には、経営力のある院長が采配を振るえることが条件になると思うが、地方公営企業法の全部適用についても検討すべきではないか。

地方公営企業法全部適用とは
 病院事業の組織が一般行政組織から独立することができて、専任の管理者が設置できる。
メリット
・ 経営責任の明確化と自立性の拡大による効率的・効果的な運営体制の確立
・ 職員の意識改革の促進

 例  坂出市民病院は塩谷院長兼管理者の徹底した市民サービスによる経営改善により、約25億円の累積不良債務を7年で解消
  一部事務組合による広域での経営も理想的な姿であろうが、これには首長同士の信頼関係が絶対必要であり、そこが危惧される。

【市長】 
 現在、助役を中心に自治医科大学へ来年度以降、引き続き同規模での医師派遣をお願いしている。
 今後の方向性については、ご指摘の地方公営企業法全部適用をはじめとする様々な形態について検討を重ねていきたい。
  一部事務組合については、責任の所在があいまいになることがあるので、特別な経営感覚に優れたシティマネージャー制度が特にいいのではないか。

  (⇒鎌田實医師の諏訪中央病院は一部事務組合だが素晴らしい地域医療を展開している!!)

(2)市民アンケート、病院に対する意見の反映

全庁的な接遇アンケートや日々の患者様からいただくご意見に対しては、一刻も早く回答を公開し、満足度を高めていくことが必要。

 例  新座志木中央病院でも、駐車場の問題をはじめ詳細なご意見に対する回答が掲示されている。川越胃腸病院はホームページに公開している。

【市長】 ご意見に対しての取り組み内容を広く公開していくべきと考え、早急にその手法について検討していきたい。

【天田】 「私たちの意見を病院経営に反映することにより質を高め、収益を上げることにより良い医師を確保し、更にサービス向上していかれるように。市民の病院だから。」と入院手記を寄せてくださった患者様もいる100規模だと移動、外部研修も難しく、内向きになっていくことを感じている。

【市長】 100であっても常勤には研修していただき、市民中心のサービスを展開する努力をしていきたい。

4.予防のための健康診断について

国民健康保険の簡易人間ドック
 朝霞地区4市の医師会に委託しており、4市以外の医療機関で健診を受けることができない。退職された方が引き続き勤務地の病院にかかっているケース、他市の病院に入院したため予後のチェックをしたい方もいる。4市に限らず受診可能にすべき。

【市長】 医療費の増加により国保財政が大変厳しい状況であり、来年度に向けて更に2億赤字が膨らむ見通しなので、国民健康保険運営審議会等のご意見も伺う中で検討していきたい。

【天田】 財政状況が厳しいからこそ予防医療としての健康診断は重要。国保の医療費は10%近く伸びており、月前年度比2000万円増となっている。一方、国保人間ドックへの補助金は03年度決算で年間約1130万円、この程度で予防できれば全体の医療費を圧縮することができる。

5.市民バスについて

 福祉に配慮した運行経路にすべきではないか。

【市長】 市民意見ではふれあい号運行ルート存続が多数を占め、福祉施設に配慮したふれあい号の運行経路を堅持するとともに、これらを基点としてその延長上で検討していきたい。

6.交通バリアフリーについて

() 志木駅、柳瀬川駅へのエレベーター設置

柳瀬川駅上りエスカレーター設置(1999年)の段階では、エレベーターは駅構造上の問題で大変難しいということだったが、当時から足の不自由な方にとっては下りの方が必要ということは承知していた。
 ここで東武鉄道から、費用をかければエレベーター設置も可能との案が示されている。費用負担は事業者1/3、国1/3、地元自治体1/3で、志木駅については新座市との折半となろう。
 子育て中の若い方々や高齢者のニーズは高く、厳しい財政状況ではあるが、第4次総合振興計画(2006年〜)に位置付けていく必要がある。

【市長】 志木駅については新座市とも連携を図りながら検討している。計画への位置付けはもとより、エレベーター設置の実現に向けて取り組んでいきたい。

(2) 志木駅及び柳瀬川駅周辺の自転車駐輪対策

和光市のイトーヨーカドーの駐輪システムを見に行ってきた。24時間オープン、全て事業者負担で設置、収益を事業者が回収することで回転していくシステムで、イトーヨーカドーは持ち出し無し。(3時間まで無料、店舗から近いところは6時間100円、遠いところは11時間100円)
 こうしたシステムを導入する場合、道路指定をはずし普通財産にしなければならないが、道路が駐輪場化しているのであれば、実態に合った整備をすべきではないか。周辺のスーパー、商店街、地域住民との話し合いの中で広域的に検討を。

【市長】 公共スペースへの駐輪施設の設置、新たな駐輪システムの導入など、早期に有効な対策を講じていく。

【まちづくり・環境推進部長】 放置自転車対策協議会のメンバーに鉄道事業者、商店街の代表者も入っているので、広域的な対策をとっていきたい。

7.大気汚染の防止について

廃棄物焼却の現状と改善策
 1993年頃から、ダイオキシン類等が発生する廃棄物焼却をやめるよう県に働きかけてきた。埼玉県の生活環境保全条例(2002年4月1日施行)で1時間当たり30キロ以下の小規模な炉まで対象になり、全てが届け出の対象となり、一定の基準を満たしたもの以外は焼却ができなくなった。
 ところが、最近「企業が自家用焼却炉を依然使用しているところがあり、すごい煙と臭いで窓を開けられず、先日は焼却炉から出火して火事となり、大変怖い思いをした。4歳になる子が生まれた当時も何度か市役所にお願いしたが、注意しておきますというだけで一向に改善されていない。」とのお便りをいただいた。県と連携をとり、改善命令・勧告といった手続きをとるべきではないか。
 1997〜8年度にかけて、市には権限は無かったにもかかわらず、153ヶ所の小型焼却炉の保有実態調査をし、104炉中約半数が焼却を中止したという実績も上げてきたのに、現在はどうなっているのか。
 私の指摘を受けてすぐに県と市が立ち入り調査を行い、2炉とも届け出されていないことがわかった。

【市長】 今後このような悪質なものに対しては一覧表を作成し、県と連携を図り、戸別訪問による指導強化や違法な焼却禁止のPRを今後行うなど、違法焼却の撲滅に努力していきたい。

【天田】 04年12月4日の調査で市内事業者の焼却炉が20ということだが、届け出されている炉は3ということで、せっかくの県条例の実効性が上がっていない。本日、県西部環境管理事務所が市とともに立ち入り調査をしているはずだが、県も積極的に情報を上げてほしいということだった。当然、家庭用焼却炉、市に権限委譲された野焼きも含めて適正に対応していくべき。

8.教育におけるインクルージョンと特別ニーズ教育“すべての子どもに対する全ての人のかかわり”について

小・中学校では福祉教育ということで、総合的な学習の時間等を活用して車椅子体験、白杖を持ってアイマスクをして歩いてみる、聴覚障がい者の方のお話を伺う、点字体験等行っているが、真の福祉教育とは、ともに生活することの中にある。日常の生活と分離してしまっては真の共生社会はつくれない。

(1) 特別支援教育について

 教職課程をはじめ、子どもたちにかかわるあらゆる人々が障がいに対する正しい理解と適切なかかわりを学習する。小・中学校では担任を中心にチームで取り組む。支援員の専門性・コーディネート機能を高める。あらゆるケースにチームカウンセリングを行えるようにしていくべき。

【教育長】 特別支援教育は児童・生徒はもとより、教師、保護者、市民にとっても人間性を培う総合的な学習の一環であり、教育の原点。より良い支援を目指して協力して取り組んでいくことが必要。学校全体での支援体制をきめ細かく構築するよう努めていく。

(2) 乳幼児期からの発達段階に応じた一貫性のある教育

 乳幼児期からの適切な支援体制を構築し、小・中学校での、非行・問題行動に移行する不幸な事態を防ぎたい。保育園では、ひまわり保育で障がいがあっても自然に一緒に生活している。小学校で特殊学級に行くと分断され、逆に普通学級では適切な支援体制が厳しいという実情をどう改善していくか。

【教育長】 幼少の接続教育に重点を置き、今年度から5、6歳児実務担当者会議で研究している。今後は4歳児以下の乳幼児への対応の研究や小・中学校との一貫性ある教育に向け、関係課と連携し地域・保護者と協働し、専門家や関係機関を活用し推進していく。

(3) 教育サービスセンターの教育相談体制

 予防を重視し、誰もが安心して相談でき市民・学校から信頼される、開かれたものに抜本的改革が必要。

【教育長】 どのような障がいであってもすべての子どもを対象にできる教育相談体制充実のため、カウンセリングスタッフの採用をすべて公募で行い、多くの人材の中から専門性が発揮できる適材を求めていく。

 児童心理学を中心とする大学研究機関との直接的な連携により、市内全ての子のあらゆる相談ニーズにきめ細かに対応する教育相談機能を備えるよう、体制の大幅見直しを考えている。

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