2006年12月議会(第4回定例会)一般質問より
1 障がい者就労支援のしくみづくりを
2006年4月には、改正障害者雇用促進法が施行され、国内の事業所は法定障害者雇用率1.8%の適用に当たって従来の身体障害者、知的障害者のみならず、精神障がい者(精神障害者保健福祉手帳所持者)も対象とされるようになりました。障害者自立支援法においても就労支援が位置付けられる等、障がい者の就労支援は社会全体で取り組むべき課題です。
志木市では未だ積極的な支援策がとられていない中、市直営の障がい者福祉作業所は通所者が28名に達しています。
2005年には、所沢青果市場での野菜の袋詰め作業等を障がい者が行なっているNPO法人が志木市内で第2すだち作業所を開設しましたが、通所者は作業所に留まらず就労につながっています。
市は、重度で生活訓練が必要な方、一般就労の可能性がある方にそれぞれ適切な支援を行なっていくべきではないか。また、就労支援にあたっては私が視察してきた新宿区、東松山市のように、企業や事業所の事情にも精通した民間の人材を活用できないか、12月議会で市長に質しました。
長沼市長からは 「就労への移行支援ができる新たな福祉作業所を設置していきたい。障がい者の自立支援のためには知識経験豊かな団塊の世代の方々の活用も非常に重要であると認識している。障がい者の就労支援について真摯に取り組んでいきたい。」 との答弁がありました。
新宿区障害者就労福祉センターでは常勤3人、非常勤、アルバイト等30名程度で区からの受託事業、新宿リサイクル活動センター(指定管理者)、福祉ショップ、インターンシップ事業(区役所内の職場実習)等の事業を行い、補助金20%に対し事業収入80%という実績を上げています。
センターではファミリーマートに就職した障がい者の方がパソコン研修を受けていました。また、企業の就労の場も、サテライトオフィスのような形でセンターを活用することもできる等、就業パターンの発想の転換について示唆を与えられました。
更に、従来のような一般的な労働市場(営利民間部門)、福祉的な就労(非営利公的部門)の2極だけではなく、子育て世代・高齢者・障がい者・非就業若年者・ホームレス等が、その中間で多様な就労ができるような場  しごとセンター (非営利民間部門)を、ビジネスからボランティアまで多様性を生かした新しい就労機会の提供  コミュニティワーク (コミュニティビジネス、ボランティア活動)として、ホームレスやニート支援のNPO・シルバー人材センター・地域の各団体・企業市民・商店会・行政等が連携協力して行なう取り組みを、来年度から進めていくそうです。
NPO法人 東松山障害者就労支援センターは5年間で105名を就労させており、精神障害者小規模作業所、心身障害者地域デイケア、東松山市障害者就労支援センター、障害者就業・生活支援センター(県全域対象)を正規職員4名を含む26名、年間6900万円で一体的に運営しています。
市からの植栽管理、清掃業務、福祉課パソコン入力等受託、作業収入、市の補助金は当初300万円だったが500万円、1000万円と増えている。障がい者がいきいき働く姿に、保護者もそれまでいた施設の人たちも驚き感動している。当事者が納税者となり、保護者も働きに出られる等、就労支援センターへの補助金1000万円の効果は大きいと、市内民間企業出身の板倉所長は自信を持って語ってくれました。
作業は作業服、壁には目標管理のグラフや一人一人の数値目標が貼られ、黙々とした立ち作業は工場さながら。脳性麻痺の方でもできる工夫がされ、しっかりと工程をこなしていました。
民間の職場を開拓し、作業所から企業での実習、就労へと、徐々に収入が上がることで勤労意欲を高める工夫もされていました。
志木市でも、地域の人材や特性を生かした志木市型の就労支援や就労の場を創っていきたいです。


2 高齢者福祉 〜介護保険の保険者機能等行政の役割〜
9月議会から今日までご家族、地域包括支援センター、介護サービス事業者、居宅介護支援事業者である社会福祉協議会、民生委員、ご家庭を訪問してサービス提供されている方々から様々なお話、ご意見を伺う中で課題を提起し、介護保険の保険者責任としての検証・評価を求めました。
<天田いづみの提言>
● 介護保険の申請急性期であれば 「症状が安定してから」 は当然だが、入院中であっても退院の見通しが立った段階で申請は受け、適切な調査・認定でサービスが利用できるか否かは判断されるべき。必要な方が申請できず、結果としてサービスを利用できなかったということがあってはならない。
志木市の認定率は県平均、朝霞4市との比較で1〜2%低いが、志木市には元気な高齢者が多い ということではないだろう。
● 認定調査今年度から国の方針で新規の認定調査は全て市が行なっている。前回の認定を参考にぶれを無くしていく、権利擁護の視点からケアマネジャーを同伴させる等、精度を上げるための施策を。
● ケアマネジャーの選定、介護サービス事業者・居宅介護支援事業者に関わる情報提供事業者一覧表を渡すだけではなく、必要に応じて各事業者の特徴等をアドバイスし、契約者の自己選択をサポートすべき。県社会福祉協議会の埼玉県介護サービス情報公表センターでは、事業者情報を公開予定。
● 事業者の研修療養型医療施設から在宅への転換という国の方針を受けて、医療依存度が高いケースをいかに在宅でケアできるか等、各事業者のスキルを高める研修を。
● 地域包括支援センターの機能地域社会のさまざまな主体をネットワーク化させて公的なサービスだけでは担えないインフォーマルなサービスをどう創っていくか、地域での支えあい活動をどのように推進していくのか、地域福祉の拠点としての機能を充分果たし、人材育成ができるよう、市の役割を果たすべき。
● 介護予防ケアマネジメント要支援1、2のケアマネジメントについては、日常生活圏域の地域包括支援センターが委託も含め行なうとされているが、事情があっても変更が認められない。介護保険制度の主旨を踏まえ、利用者の立場でセンターの質向上を含めた検討を。
● 要援護者の調査災害時に備え要援護者の調査が今年度行われているが、市は今年度中の地域防災計画見直しで、個人情報に留意しつつ障がい者、乳幼児等も含め検討している。なぜ高齢者だけ先行したのか。市が郵送して後から民生委員が回収に回っても、ご協力いただけなければ主旨が生かされない。現場に配慮し、当初から地域包括支援センター、民生委員と相談しながら行なってほしい。


3 都市計画の主体的な自己決定
都市計画の用途地域を住民が正確に認識しているとはいえず、マンション等中高層建築物の建築計画の段階で近隣住民とトラブルになるケースが後を絶ちません。地域ごとに高さ制限、建築協定、地区計画等、建築紛争を未然に防止し、良好な居住環境を守っていくための方策を、地域住民の合意形成をはかりつつ検討していく必要があります。
和光市ではすでに高度地区の指定(地区毎の高さ制限)がされています。志木市では現在調査中、住民との調整をはかり、来年度中に指定していきたいということです。
また、地域住民がまちづくりについて主体的に検討する際、世田谷区等の先進自治体が行なっている専門家の講師派遣、勉強会や見学会、広報活動に対する助成等の支援の仕組みづくりも提言しました。
柏町の大手製薬会社工場が今年度中に閉鎖される件につき、隣接する低層住居系地域への配慮等について市として交渉していくべきではないかとの提言に対しては、周辺の住環境への配慮を要望するとともに、関係課等で協議をしているということでした。


4 地域子ども教室について 〜放課後子ども教室推進事業を活用したとりくみ〜
志木市地域子ども教室実行委員会・志木市スポーツ少年団の主催で2年間、文部科学省の子どもの居場所づくりキャンペーンの委託を受けて実施されてきた「地域子ども教室」は、地域の教育力を高める観点からも大変意義があります。
来年度から国の補助事業「放課後子ども教室推進事業」の中で、教育委員会が取り組んでいくということですが、学童保育との調整、指導者の確保等、課題も多くあります。
いきなり全ての学校ではなく、モデル校的に試行するなど慎重な対応を求め、柚木教育長からは 「現在各小学校で展開されている地域子ども教室は市民団体の積極的・自主的な活動によるもので、青少年の健全育成やスポーツ振興の面からも有意義な事業。放課後子ども教室については、地域子ども教室のノウハウの活用も視野に入れ、安全・安心な子どもの活動拠点、居場所を設け、地域の方々の参画を得て進める本事業の趣旨を踏まえて研究していく。」 との答弁でした。
(2007年1月)
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