2008年 第1回定例会(3月議会) 一般質問より
1.市政運営について
  長沼市長が、就任以来大変厳しい財政状況の中で市民のために一生懸命されていることは、市民・職員の誰もが認めるところであると考えます。
 しかしながら、さらに魅力的なまちづくりを進めていくためには、市民が求めているものを敏感に感じ取り、働く職員にとっても自信と誇りが持てる環境が必要です。市民の自治に対する思いは様々なものがあり、今市民が求めているものは市としての一体感であり、見えない安心感であると感じています。
   こうした市を支える市民や職員とのかかわりの中で、市長はどのような姿勢で、どのような信念をもって今後の市政運営に取り組んでいかれるのか質しました。
   長沼市長は「マニフェストに掲げた政策の実現に向け真摯に取り組んでいく。職員が生きがいと誇りを持って職務に取り組める環境を整えることは、市民サービスの更なる向上につながるものと考えている。」とのことですが、私は、仮に施政方針をすべて実現できたとしても、それだけでは市民の真の幸福にはつながらないと考えます。
   市民が今求めているものは人との一体感やつながり、我がまちの一員であるという帰属意識や、自分が必要とされているという有用感であり、市民と職員が真に協力してよりよい志木市をつくっていかれるような環境整備に市長も留意していただきたい。
   市民の命に関わること以外の殆んどのことは任せていく。市長は最終責任をとっていくという姿勢を示していけば、職員も市民もお互いに力を発揮していかれると思うので、どうかお願いしますと求めました。
2.人事政策「複線型人事制度」について
  この制度は志木市人材育成基本方針(2006年10月)に基づき、新たな昇格の仕組みとしてスタッフ職を設け、通常の昇任選考(試験)によらず、専門的な分野で能力を発揮できる職員を所属長の推薦により面接を経て決定し、スタッフ職として位置づけるものです。対象は年齢50歳以上の主任、主査級経験10年以上、主幹級経験8年以上とされています。
   2月上旬に組織に対する説明がなされ、2月末日締切、3月面接・決定、4月1日任用と、必ずしも職員の合意形成が十分に図られないままに導入されることによって、職員の意欲向上という組織本来の目的につながらないのではないかと危惧し、市長に質しました。
1.職員の合意形成が充分でない中で早期に導入することの弊害は無いのか。
2.制度の運用上、組織全体の合意によって昇格者が決定することは不可欠であると考えるが、公平性、公正性をどのように担保していくのか。従来の昇任試験の対象者となって、管理職として頑張っていこうという意欲を持つ職員との齟齬が生じないようにしていくことが重要。
3.このような制度は、職員の意思を尊重する立候補制とする必要性があるのではないか。
  石原企画部長から「現在各部からの推薦が終了した段階だが、職員から積極的な申し込みがあり、職員の関心は高いものと判断している。
   高度化、専門化する業務に迅速に対応するため、早い段階で導入を決定したもの。
   公平性を確保するために、日常接している所属長などが統一した考え方により職員の専門性を判断し推薦することとし、主幹などの管理職への任用については、より厳格に運用することとしている。
   今回始めて実施することだが、立候補制については人事評価制度との連動とともに将来的な課題であり、課題の検証を進め、制度に対する職員の理解形成と運用上の公平性を確保しながら、円滑な制度実施に努めていく。」との答弁がありました。
   応募状況は主査級26人(対象者40人)、主幹級5人(対象者26人)、課長級9人(対象者11人)、給与についてはそれぞれの職責に応じた給料表を適用していくということでした。
  天田いづみからは次のように提案しました。
1.志木市の新たな人事政策の導入にあたり、人事課だけではなく、職員のプロジェクトチーム等、組織全体で議論し意見を反映していくしくみ、制度をつくるプロセスへの職員の参画があってよかったのではないか。
2.50代が半数という組織にあって、管理職との年齢が逆転している中、所属長だけではなく、長年多くの職員を見てきた部長級の合議制で推薦していくことも検討してはどうか。
3.「中学校通学区選択の自由化の取り組み」の広報について
   広報しき2月号「中学校通学区選択の自由化の取り組み」については、問い合わせ学校教育課となっていますが、実際は広報担当者が学校教育課指導主事に質問する形式で紙面がつくられたということです。
   本来教育委員会が責任を持つべき事項ですが、その経緯から市長に質問を行いました。
   この制度は、教育本来の目的を達成するための一つの手段にすぎず、なぜ広報の実質最初のページなのか。
   公教育に関する記事については、子どもたちや保護者に多大な影響を及ぼすので、情報提供の方法や表現などについて、より一層決め細やかな配慮をすべきであると思うが、その点をどのように考えているのか。
   特に公教育に関わる情報提供については、受ける側が教育についてより深く考えることが出来るような形での情報提供をすべきと考えます。
   アンケートで満足度が高いということだけではなく、一方で「1回自由に選択したら2回目も自由に選択するということは出来ないことを考えて慎重に」といったことも伝えていく必要があるのではないでしょうか。
   私は、市長が教育について意見を持つことは良いけれど、市全体の教育制度に関わる重要な問題については、あくまでも教育委員会が責任をもって制度を組み立て、教育的な視点に立って発信していくことが必要であると考えます。
   長沼市長は「中学校通学区選択の自由化制度は志木市独自の教育制度の一つであり、その実施状況については広く市民に情報提供する責務があると考えている。」とのことです。
   今回は結果的に抽選に至らなかったものの、実際に抽選によって希望校に入れない生徒が出てきた場合、様々な問題が発生してくるのではないかと危惧しています。
   私は自由化について、何らかの教育的なビジョンを持つべきだろうと思うのです。例えば、自分の学区から他の学区に行くとしても、そのことをきっかけに志木市全体について学び、よりよくしていこうという理想の持てる生徒を育てていく、といったことが大変重要ではないでしょうか。
   今日の国際化を求められている時にあって、自分さえよければということではなく、より一層広い視野で社会全体を考えられる人材が、今ほど求められている時代はないと思います。
   そうした視点に立ち、教育委員会も学校現場も共通の理念が持てるあり方にしていきたいと考えます。私の経験からしても、小中学校のうちは親も子もそうした広い視野はなかなか持てないものです。だからこそ、そこに教育の役割があると思うのです。
   教育に関する広報一つとっても、教育委員会に真に教育的な責任をもってやっていただくという姿勢を持って下さいと、市長にお願いしました。
4.介護予防について
  議会だより第35号(2008年3月)でお知らせした通り、館地区では市民体育館、幸町地区では新たな拠点施設等を視野に入れ、高齢者が歩いていかれる身近な場所での介護予防事業の展開を求めるとともに、高齢者やご家族が安心して相談できる、相談体制の充実についてもとりあげました。
   例えば脳梗塞で倒れた方については、退院後回復期リハビリテーション病棟がある病院に入院してリハビリを行い、さらに老人保健施設に入所され、退所後は老人保健施設のデイケアで通所リハビリをされる、といった流れは一般的であると思います。
   しかしながら、40〜50代の社会の第一線で活躍されてきた方が、高齢者と一緒に施設に入ったりリハビリをされることには抵抗があり、家に閉じこもりがちになって気がめいってしまい、ご家族がどうしたらよいか困っているケースもあると思います。
   私にご相談下さった方には、市や地域包括支援センター、ケアマネジャー等と協力しながら情報提供させていただきましたが、市民の方々は大変不安であると思います。地域包括支援センターもまだまだ知られていないのが実情です。
   2008年度は市と地域包括支援センターで、高齢者に関わる情報を一体として管理し、必要な情報提供をしていかれるようにしていくとのことですが、情報提供の質が重要です。
   再三述べてきましたが、市がすべての状況を把握し、市民のニーズに応えていかなければいけない。市だけでは担えない部分は、地域包括支援センターや各事業者と連携し、きめ細やかな情報網で高齢者とご家族を包み込んでいかれるようなあり方を求めました。
   金子健康福祉部長からは、「2008年度は、要支援や要介護状態になるおそれのある特定高齢者の把握を積極的に行い、運動器の機能向上や栄養改善、口腔機能向上事業の実施場所や回数を増やしていく。
   また、一般高齢者施策としてシニア体操やいろはカッピー体操を実施しているが、2008年度は高齢者が身近な場所で参加できるよう市民体育館や総合福祉センター等も活用していきたい。
   高齢者への情報提供としては、介護サービス事業者連絡会議等を通じて、地域包括支援センターを核に情報の共有に努めていく。
   市としては、改めて市内や近隣の介護サービス事業者について、そのサービスにどのような特徴があるのか実態の把握を行い、今後高齢者に対する介護サービスの適切な情報提供を検討していく。」とのことでした。
   2008年度中に、2009年度から3年間の老人保健福祉計画及び介護保険事業計画の策定が予定されています。その中で、現在第二福祉センターで行われている介護予防事業(機能訓練の器具を活用し、看護師等の指導のもとでトレーニング)を地域ごとに展開できないか等も検討を求め、金子部長「3年間を十分見据えて、介護予防をどのようにしていくのか、志木市としてどのようなビジョンを持ってやっていくのかという展望を盛り込む必要があると思う」の通り、すべてが安心・安全の展望としてつながっていくようなものにしていただきたいと求めました。
(2008年6月)

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