2009年3月議会 一般質問より
志木市の進むべき方向性について
〜どのような自治社会をつくっていくのか、そのために果たすべき行政の機能とは〜
 社会経済情勢は一層厳しさを増す中で、そもそも行政のサービスというのは点に過ぎず、行政・市長の機能もあくまでも市民社会が主体であり、その自治社会を実現するために、より適切に市民のニーズを汲み取ってバックアップをしていくことであり、決して行政あるいは市長が主体になるということではないと感じ、自分の役割も認識しています。
 環境福祉常任委員会では2月に貴重な公費で福岡県大牟田市、筑後市、福岡市に視察に行かせていただきました。
 共通して言えるのは自助、互助、公助がきっちりと行われていることです。
 事例として、大牟田市の認知症ケアコミュニティ推進事業について報告しました。行政は介護保険の民間事業者を支える事務局機能をしっかり果たし、事業者も小学校区単位の地域のネットワークの事務局をみずから担っている。大牟田市職員は、認知症はきっかけの一つにすぎないと明言しながら住民・事業者・行政一体のネットワークを支えており、「認知症を通じて市民との対話を重ねていきたい」という職員の情熱と地域ぐるみの実践に深い感銘を受けました。
 筑後市についても、地域デイサービス事業として、住民の方々がみずから運営する手づくりのデイサービスを全ての小学校区で行っており、住民は、できることは自分たちでやっていくという強い使命感で活動しています。市がしっかりとバックアップしてくれているからできるんだという言葉に真のパートナーシップを感じました。
 福岡市では区ごとにある老人福祉センターの管理運営を指定管理者が担っていますが、社会福祉法人等担える事業者が豊富で、行政が行うよりも専門性と地域のネットワークを生かした広がりのある運営がなされていました。利用者や地域住民の満足度も高く、主体的に参画し、老人福祉センターを核とした世代間交流、文化交流、国際交流が盛んに行われていました。
 いずれも行政はその機能をしっかり果たしてきたからこそ、事業者も主体的に地域に対する役割を果たし、住民はいきいきと動いています。
 私はそうした志木市をめざしていきたい。今後のまちづくりは、地域のために市民と行政が互いに役割と責任を分担し、課題解決に向かって取り組んでいくことが、地域の人材を育て、同時に生きがいや社会参加にもなると考えます。
 行政が自助、互助、公助を積極的に働きかけ、位置づけていくとともに、そうしたスタンスのもとでしっかりと対話していくことが、魅力あるまちづくりを進める上で重要であると考え、2期目をめざす市長は今後どのような自治社会をつくっていくのか。志木市らしい住民自治をつくるために行政が果たすべき役割をどのように考えるのか質しました。
 長沼市長は「ご指摘のとおり自助、互助、公助を踏まえて、市民と行政がお互いに責任を分担していくことで課題の解決につながっていくものと考えている。今後も市民とのコミュニケーションをしっかりと図り、様々な課題に対応できるよう、地方分権をめざした持続可能な自治改革を推進する市政運営に努めていきたい。」とのことでした。
自助、互助、公助の福祉社会づくりを実現するために
〜保健、医療、福祉に対する行政の機能をどのように位置付け、果たしていくのか〜
 志木市は市民病院総合健診センターで特定健診・がん検診等リスクアプローチ、西原地区に今後予定される健康増進センターについては、広く市民の健康づくりの底上げや日常的なレベルアップを図っていくポピュレーションアプローチを行っていくとのことです。
 また、全市的な在宅医療の体制も今後確立していく必要があります。
 さらに、精神保健との連携が非常に重要で、秦野市では介護者にうつなどのリスクが高いことを市の保健師が調査し、対策に取り組んでいますが、現状分析を行い、対策を民間と連携して講じていくことが大変重要だと思います。
 今後、地域福祉計画の見直し等の中でどのような体制を整備していくのか、健康福祉部長に伺いました。
 尾崎部長は「地域福祉の主体である市社会福祉協議会との連携を図ることが重要、第2期地域福祉計画の策定についても、社協や市民による地域福祉コーディネーターなどとの協働で行っていきたい。」とのことですが、精神保健についても非常にうつが増えているということで、例えば、30代〜40代で閉じこもりの方がいた場合、今まで面倒を見ていた親が介護が必要になってきたときに、家族全体を支えていかなければならない。また、高齢者のアルコール依存や、うつや認知症との境界にあるようなケースをどうするのか等、志木市では手がついていない状況だと思います。
 市長も2期目は保健、医療、福祉をより重視していきたいとのことです。
 尾崎部長の「志木市特有の政策立案のかぎというのは、やはり現場にあると考えている。
 一つひとつの市民の声、また担当職員の日常的な業務展開の中に出てくる課題をしっかり認識、整理し、市民と協働で組織的に課題克服を職員とともにめざしていきたい。」との答弁のとおり、地道な取り組みを応援していきます。
災害に強いまちづくり
〜地域社会における要援護者の日常的な見守り、たすけあいの体制をどうつくっていくのか〜
 災害時要援護者台帳への登録をめぐる課題について9月議会でとりあげましたが、その後の検討状況について山中市民生活部長に質したところ、「災害時要援護者台帳を交付した町内会や自主防災組織から、大規模災害に備えるために平時から要援護者とのコミュニケーションを図っていきたいとの、台帳の活用に対する改善の要望をいただいているので、関係者のご理解を得られるようであれば、活用方法の改善を図っていきたいと考えている」との答弁がありました。
 市の働きかけに応え、自主防災組織は37町内会中20団体が設立され、今年度も組織化が進む見通しです。地域の中で日頃からの見守り、たすけあいにつながるよう、タイムリーな見直しを求めました。
だれもが利用しやすい持続可能な交通システムについて
 現在のふれあい号は福祉目的の利用に限られ、例えば館・幸町地域から市役所、いろは遊学館等への利用は不可能です。高齢化に伴いそうしたニーズに対応できる新たな交通システムの検討が必要です。視察した筑後市の、市民が走らせているコミュニティバスについても紹介しながら質しました。
 山中市民生活部長から「平成21年度には志木市・朝霞市・新座市の3市により(仮称)地域公共交通活性化協議会を設立し、この協議会の中で地域の公共交通の課題を抽出し、解決していくための計画を策定する予定となっている。今後はバス事業者との連携や市民みずから育てる交通システム等も視野に入れ、だれもが利用しやすい公共交通網の整備に取り組んでいく。」との答弁がありました。
図書行政について
〜市民が育て、共に創ってきた図書サービスをどのような方向性に進めていくのか〜
 指定管理者の導入ありきでなく、中央館的機能を持つ柳瀬川図書館を地域・住民を支えるコミュニティ施設として、また、地域福祉の拠点、「困ったときは図書館へ」というようなサービスの拠点としての存在意義を果たしてほしいと考えます。
 模様替えをした地下のスペースでは、若い人たちが熱心に学習していました。青少年向けの児童センターも無い志木市で、若者の居場所になっていることに感銘を受けました。
 志木市の図書サービスは市民が育て、多くのボランティアが図書館・公民館図書室を支えて活動しています。この土壌をしっかりと継続していかなければなりません。
 白砂教育長から「更なるサービス向上と効率的な運営に向け指定管理者の導入を図っていく。今後も地域住民のコミュニティの拠り所として、地域に根づき、地域の課題解決に役立つ図書館経営を展開していきたい。地域の人材を活かしながら、市民参加も含め、準備を進めていきたい。」との答弁がありました。
(2009年05月)
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