2009年9月議会 一般質問より
■ 持続可能な交通システムについて
 高齢者、障がい者等が利用しやすい交通システムについては再三取り上げてきましたが、引き続き高齢者の方からは切実なご意見、ご要望が多く寄せられています。
 2012年には5人に1人が高齢者になる見込みです。閉じこもりにならずに外に出て活発に活動していただくためには移動支援が大変重要であり、高齢者福祉に関わる方々からもそうしたご意見が寄せられています。
一方で、現状のふれあい号には約1,400万円、市民病院総合健診センターへのシャトルバスには約580万円(2009年度は国の交付金)、計2,000万円程度の経費がかかっており、それに加えて新たなバスを走らせるのは無理があると考えます。また、高齢者の方々は、適正な自己負担はしてもよいということです。
 一定の自己負担で予約制で走らせるデマンド方式や、市民がボランティアで走らせている交通システム等も紹介してきましたが、ふれあい号の契約期間が切れる2011年9月までに、ふれあい号等のあり方も含めた、誰もが利用しやすい持続可能な交通システムを提言しました。
 長沼市長からは「高齢社会を迎え、増加する高齢者の生活移動手段の確保と、地域の誰もが利用しやすい公共交通環境の整備は、大変重要であると認識している。ご提言の持続可能な交通システムのあり方については、慎重に研究していきたいと考えている。」との答弁がありました。
■ 予防に重点をおいた市民の心身の健康づくり
自殺予防・精神保健
 自殺予防のために始めた多重債務の救済策が効果を上げている事例、相談者をたらい回しにせずワンストップで解決までフォローしていく仕組みの重要性が指摘されています。育児に疲れている親の支援も、経済的に困窮した家庭への福祉支援も自殺予防につながっており、生きる上で困難を抱えた人に丁寧に相談にのっていくことが大切だといわれています。
 中高年男性の自殺に飲酒が関係しているのではないかとの調査結果も明らかになっています。
 アルコール依存症にうつ病を併発し、アルコールが衝動性を高め行動に移す危険を高めている。職場での健康対策でも、うつ病だけではなくアルコール問題も含めたメンタルヘルス対策が必要との指摘もあります。
 自殺予防の実態把握と対策、また、引きこもり等も含めた精神の病気や障がいへの予防と対策、さらに、高齢者や障がい者等を介護している介護者へのサポートは、大変重要な課題です。
ライフステージに応じた予防
 介護保険に介護予防が位置付けられていますが、保健センターも各年代に応じた保健指導の立場で、認知症予防に有効なDHA、EPAを含む青魚等の食品や運動の必要性等、介護予防の観点からも積極的に現場に出ていってPRしていく。食生活改善推進員等とも連携して予防にいい食べ物を紹介していくなど、すべきことは沢山あると思います。
健診受診率向上への取り組み
 志木地区については受診率が高い傾向、宗岡地区は低い傾向ということですが、高いといっても40%には届きません。特定健診・特定保健指導の受診率向上に向け宗岡5区の町内会に対し現在働きかけを行っている健康1番地事業を、市内全域に広げ、推進していくことが大変重要と考えます。
 尾崎健康福祉部長からは「ご指摘の市全体としての機能が発揮できる体制づくりや地域との連携の必要性については十分認識しており、健康づくり支援課の創設や食生活改善推進員をはじめ母子保健推進員とも協働して地域の健康づくりを進めている。
 今後、(仮称)健康増進センターのオープンにあわせて、さらに、地域と一体となり積極的な予防に重点を置いた事業展開ができるよう、市全体として健康づくりに取り組める体制整備の強化を図っていきたい。」との答弁がありました。
■ 高齢者福祉について
(1)福祉事務所、介護保険の保険者としての機能
 介護保険制度が導入されて以後、ややもすると民間に丸投げで、福祉事務所としてのケースワークの機能、介護保険の保険者として総体を把握してマネジメントしていく機能が志木市に弱いのではないかと申し上げてきました。和光市の事例も紹介してきましたが、ケース会議を丁寧に積み重ねることで、各機関の共有・連携が図られて、徐々に医療機関等にもご協力いただけるのではないか。
 地域包括支援センターに求める機能も、連携の中から市独自の視点で、取り組むべき課題を反映させていくことが重要です。
 尾崎部長からは、「月1回の連絡会議やケアプランチェックにより困難事例の検討をともに考える中で、総合マネジメント機能も発揮し支援している。」との答弁がありましたが、個々のケースから見えてくる課題、地域の課題についても、チームアプローチをしっかりしていかれるように提言しました。
) 虐待への対応
 志木市では、子どもの虐待防止については市独自でパンフレットを作成し、学校教職員研修会でも積極的に研修を行うなど取り組みを進めています。
 高齢者については「高齢者虐待防止法や県の虐待対応マニュアルに沿って対応している。」との答弁でしたが、県のマニュアルにもある、市独自の現場に即した詳細が整っていないのではないか。
 例えば他市では、専門家チームの中に、医師会にお願いして医師にも関わっていただく体制ができています。命にかかわる問題なので、スピーディーに対応できる体制づくりを求めました。
(3) 医療との連携
 認知症や、若年で介護保険が非該当のアルコール依存症による身体機能低下等に対し、往診できる医師がいない等で現場は大変苦労しています。
 自ら通院できずに衰弱していく方に対し、往診あるいは訪問診療を、市も一緒になって医療機関にお願いしていくことが必要です。
 一方、介護保険の居宅療養管理指導は、医療行為ではないものの、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士等が訪問し指導するもので、有効に使うことで在宅での安心につなげることができると思います。残念ながら志木市では、グループホーム等以外の在宅では殆んど活用されていないことがわかりました。
 医師会等に協力を求めつつ、ケアマネジメントに位置づけていくように、地域包括支援センターと連携し、研修等による啓発が必要と考えます。
 尾崎部長からは「介護保険制度において医療との連携は重要であると認識している。今年度から介護報酬において医療連携加算がとれるようになったので、各医療機関やケアマネジャーと協力して連携を深めていきたい。」との答弁がありました。
 市民病院では、小児科の市民病院での夜間診療を通じて、朝霞地区医師会の各医療機関から市民病院に対する理解も深まり、協力体制もできるようになったということです。
 縦割りではなく、そうした信頼関係を膨らませていく形で、大切に育てていただきたいと思います。
 所沢市のように、医療関係者で認知症に対応していくネットワークをつくっていく機運にまでつながるように、粘り強い取り組みを求めました。
) 介護予防の検証と推進
 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画審議会でも「要支援や特定高齢者・一般高齢者が要介護にならないような施策を、各自治体では大変力を入れて取り組んでいる。志木市も何かやっていかないと」というお話しが各委員から出されていました。
 2008年度の配食サービスは目標値90に対し実績14と非常に低く、自己負担額を問題にされている方もいらっしゃいますが、私は、行政が行う配食サービスの意味、どういう機能を持たせていくのかが最も重要ではないかと考えます。現在、安価なお弁当も出てきているし、宅配業者も増えているということですが、低栄養の方がカップラーメンばかり食べていていいのか。あるいは、糖尿病でカロリー制限しなければならない方が安いからといって高カロリーのお弁当を食べていていいのか、という点にこそ、市がしっかりと力を入れて取り組んでいくべきではないかと考えます。
 和光市では栄養改善・食の自立の観点から、管理栄養士を地域包括支援センターに配置し、コミュニティケア会議で評価・見直し改善をしながら、一人ひとりの実態に即した配食サービス等、総合的な施策を展開しています。
 また、ホームヘルパーの方々に研修して、自宅でできるセラバンドを使った簡単な運動を指導しています。
 ホームヘルパーは訪問の際、一緒に身体を動かし、出来るところは一緒に料理も行う等して、自立につなげています。
 介護保険制度では、要支援・特定高齢者には、目標を立てて身体機能を向上させる3か月毎のプログラムを行っていますが、自立となれば効果を検証する仕組みから外れてしまいます。現在行っている介護予防事業を検証し、カッピー体操等運動面だけではなく、食生活の見直し等、志木市に足りない点を行っていく必要もあると思います。
 尾崎部長からは「シニア体操、いろはカッピー体操の参加者が増加し、介護予防に取り組もうとする市民の意識が高くなってきていると感じている。介護予防事業の効果等を地域包括支援センターと連携しながら検証していくことにより、特定高齢者施策と一般高齢者施策が一体的継続的に展開されるよう、介護予防をさらに推進していきたい。」との答弁がありました。
 要支援については、予防プランの質を高め、配食サービス等についても再検証していくことで、現状の中からでも改善につなげることを提言しました。
(5) 見守りネットワークの構築
 志木市でも認知症高齢者にかかわるネットワークを組織していることは承知していますが、社会福祉協議会で地域福祉コーディネーターと町内会が一緒に行っている地域福祉活動や、防災の観点から要支援者のマップづくりをやっていきたいといった情報を、市の高齢者や防災の担当課が把握していないと感じてきました。
 高齢者に関わる一つひとつのケースへの対応も、和光市では社会福祉協議会も一緒になって取り組んでいます。介護保険等で行うフォーマル(公的な)サービス、地域の福祉力というインフォーマル(公的でない)サービスを、一人ひとりの高齢者に対しても、地域としてもしっかり組み合わせ、連携して切れ目のないサービスを提供し、出来る限り地域の中で生活できるようにしていく。そのために、市が総合的に把握して機能させていく、マネジメントしていくことが、行政の責任であると考えます。
 また、地域包括支援センターがまだまだ市民や民間事業者に知られていないために、協力をお願いしても難しいケースもあるということです。市が協定を結んで、ケアマネジャーや地域包括支援センター等が動きやすいようにしている自治体もあるとのこと、そうした取り組みも必要と考えます。
 尾崎部長からは「志木市要介護高齢者支援ネットワークに町内会連合会・民間団体等40団体の協力をいただいており、毎年研修会や事例検討会を実施し、地域での見守りの一助を担っていただいている。」とのことですが、大手スーパーや商店会、また、団地の管理会社等にも呼びかけ入ってもらう。認知症サポーター養成講座にも参加していただくことで、事業者側も認知症高齢者等への理解が進み、対応がし易くなると思います。
 また、認知症サポーターのフォローアップセミナー等で、地域住民が継続的に活動していかれる取り組みも提言しました。
■ 教育相談における現状と課題
特別支援教育について
 教育サポートセンターの教育相談件数は、2006年度1,500件に比べて2007年度2,782件、2008年度6,473件と大幅に伸びており、2009年度は1学期で2,306件となっています。
 これは必ずしも問題が増えてきたということではなく、安心して相談できる体制が整ってきた。問題が潜伏するのではなく顕在化してきたということで、関係者の努力の成果と考えます。
 私は幼保・小・中・高の接続を重視した教育のあり方について長年提言してきました。特にこれらの観点に立ち、教育相談における現状と課題は何か。また、必要とされる学校への特別支援学級の設置、さらに、志木市には1か所もない発達障がいの子どもたちのための通級指導教室の設置について質しました。
 特別支援教育については、各学校に専門性のあるスタッフを有し、発達障がい等に対応できる体制を学校内につくることが重要です。
 白砂教育長からは「本市の教育相談は、各学校で担任等が行うとともに、教育サポートセンターを中心に市内小・中学校相談室で行っている。
 特に2008年度から、従来の中学校に加え、小学校にもサポートセンター相談員を派遣していることから、相談件数が非常に多くなっている。相談内容において多くを占めるのは、不登校や特別支援教育の就学、発達などに関することとなっている。
 特別支援教育については、サポートセンターと各学校との連携のもと、年々校内支援体制が整備されてきているが、中学校での不登校が増える傾向は続いていることから、中学校での不適応を減らすための対策がより重要であると考えている。
 このようなことから、各中学校・関係機関・サポートセンターが連携のもと不登校対策に当たっているが、不登校の原因の一つとして発達障がいによる不適応もあり、小学校入学前からの就学相談の一層の充実とともに、幼稚園・保育園・小学校・中学校や中学卒業後の進路も含めた、長期にわたる一人ひとりのニーズに応じた支援体制の推進が重要であると考えている。」
 また、「特別支援学級の設置については様々な課題があるので校長会等とよく連絡をはかりながら検討していきたい。
 通級指導教室については、本市にいまだ未設置なので、今後県に要望していきたい。」との答弁がありました。
(2010年02月)
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