介護保険で安心のしくみづくりを (2007年3月議会 一般質問より)
志木市の介護保険料は月額基準額2,842円で2000年の介護保険制度開始以来据え置かれ、県内一低い保険料となっていますが、そこに安心できるサービスと誰もが享受できる予防のしくみづくりが必要です。介護保険制度については9月、12月に続き、3月議会でも一般質問、環境福祉常任委員会で取り上げました。
(1)居宅サービスと施設サービス
長年懸案であった特別養護老人ホームについては、社会福祉法人により下宗岡3丁目に100名定員(全室個室・ユニットケア)で2009年1月に開設される予定です。
ユニットケアとは
小ユニット(10人程度)を単位とした空間(個室、共有のリビングルーム、台所、浴室等)を設定しグループホームのよさを施設で生かしていくことを目的としています。
しかしながら、在宅介護を支えるショートステイは併設されておらず、志木市の居宅サービスで最も不足している状況は解消されません。
別の場所であっても特養のサテライト型居住施設(特養の分館)によるショートステイ、あるいは小規模多機能型居宅介護(利用者の希望に応じ、「通い」を中心に「泊まり」や「訪問」を組み合わせたサービス)に民間事業者が参入できるような市の施策を求めました。
また、柏町3丁目では民間事業者によるグループホーム(認知症対応型共同生活介護)18室、介護付有料老人ホーム54室が計画されています。特定施設入居者生活介護の指定を受けて、介護や食事等のサービスが付いた介護付有料老人ホームは志木市で初めてとなります。入居対象者はグループホームが要介護1以上、介護付有料老人ホームは要支援・要介護1以上です。
(2)予防のしくみづくり
和光市では食の自立、高齢者全員に対する100項目介護予防調査を生かした独自の施策を展開した結果、志木市では増加の一途をたどる要支援(3年間で倍増)、要介護1の軽度認定者数が減少に転じています。また、居宅サービスに対する施設サービスの利用割合も毎年減少、「在宅介護の限界点を高める介護予防の取り組み」が効果を上げています。
志木市でも国のマニュアルに基づき特定高齢者(生活機能が低下していて介護が必要となる恐れのある虚弱な高齢者)を基本健康診査受診者から把握しましたが、高齢者人口の5%、500人程度の見込みに対し、10数人しか把握することができませんでした。「基本健康診査は65歳以上の3分の1弱しか受けていないので、受診率を上げるとともに、保健センターに要請し医師による生活機能評価の様式を改正し、把握に努めたい」との委員会での高齢者ふれあい課長答弁に対し、「基本健康診査に行かれない方々にこそ、閉じこもりやうつ予防等を含め支援が必要であり、毎年行なわれている民生委員による高齢者世帯の実態調査や地域包括支援センターとの連携の中で、把握や支援のあり方を考えていくべき」と指摘しました。
国による見直しも予定されていますが、地域の実態を踏まえた市独自の視点が必要ではないでしょうか。尚、把握された特定高齢者に対しては、地域包括支援センターで作成した介護予防プランをもとに市が運動器の機能向上(1ページ写真)、栄養改善等を行なっています。
また、要支援1,2の方々へのサービスである新予防給付に関して、「食の自立に向けてヘルパーと一緒に食事づくりを行なう等の取り組みができているのか」との委員会質疑に対して「やっているはず」との答弁でしたが、事業所の体制も充分でなく、できていないのが実態です。
和光市ではホームヘルパーに家庭でできるゴムバンド体操や介護予防食調理についての研修を実施しています。
保険者としてしっかり実態把握をし、目標を定めての事業者の育成、支援が必要です。
介護保険法施行規則の改正により、地域包括支援センターで介護予防に係る普及啓発、地域活動支援事業等を受託することが可能となったので、地域包括支援センターにそれらを委託することにより、一層の包括的、継続的マネジメント機能が発揮できるよう求めました。
委員会では配食サービスに刻み食だけでなくミキサー食も導入し、栄養改善、予防的観点に立った配食のあり方を栄養士、保健師と共に研究すべき。
ふれあい健康交流会(1人暮らし等の高齢者に料理ボランティアグループが料理し会食)に保健センターの栄養士、保健師が出向いて栄養改善、口腔指導等を行なってはどうか等、提言しました。
(3)介護保険料のあり方
65歳以上の所得格差は若い世代よりも大きいといわれています。高齢者についてはより一層きめ細やかな、所得階層に応じた負担のあり方が必要であると考えます。
国民健康保険では地方税法で負担上限が定められ、税率を上げても高額所得者からはそれ以上負担を求めることができず、中間所得層にしわ寄せがいくため、一般会計から多額の税金を補填しなければなりません。(2007年度3億8000万円)
一方、介護保険では国、県、市、第1号被保険者(65歳以上)、第2号被保険者(40歳から64歳)の負担割合に応じ、第1号被保険者については給付費の19%分を所得階層に応じた保険料としているため、上限はなく、自治体の裁量で負担区分を定めることができます。現状では第6段階(所得200万円以上)までですが、和光市では第7段階(所得500万円以上)の区分を設けることにより、結果的に低所得者層に配慮した保険料体系としています。新宿区は第10段階(所得1500万以上)まで設けて負担能力に見合った保険料制度としています。
志木市の所得階層を分析し、次期見直し(2009年度)に向けきめ細やかな保険料段階の設定を求めました。
「介護保険は地方分権の試金石」といわれるのにふさわしい、市の保険者としてのマネジメント機能が発揮されるよう、提言を続けていきます。
(2007年5月)
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