リハビリテーション充実に向け提言 (2007年9月議会一般質問)
6月議会でリハビリテーションについてとり上げましたが、現状認識が不十分だったため、改めて調査し9月議会でとり上げました。
2006年度からの診療報酬改定による、脳血管疾患の発症から180日までというリハビリの日数制限については、世論の批判を受け、医師の指示があれば制限を超えて出来るようになったと認識していましたが、実際は脳外科医がいる病院で、1か月ごとの細かい評価が必要、介護保険との併用は認められない等非常に厳しく、従来市民病院でリハビリを受けていた方々は自費診療によるリハビリや接骨院等を利用する以外に、医療保険による180日を超えるリハビリは受けられないことがわかりました。
一方、介護保険のデイサービスでは理学療法士等による個別のリハビリは行われておらず、リハビリに特化したデイサービス(一日居るのではなくリハビリ目的の通所)を設けるとの国の考え方は未だ具体化されていません。
そうした中、デイサービスとショートステイを行う富士見市のあずみ苑みずほを視察しましたが、デイサービスには志木市の方が半数来られており、一日中居るのは厳しいという若年の方の意向を受け容れ、午前のみ、或いは昼食を食べて帰るというパターンにも個々の相談に応じて対応する配慮がされていました。
デイサービスでも集団での体操等身体機能の維持向上を重視するところも出てきたり、老人保健施設の中には経営方針として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を増やして、デイケア(通所リハビリ)で個別・集団計2時間の機能訓練を目標指向型(個々の目標を立てそれに近づけていく)で行っているところもありますが、一般的には限られた介護報酬のため20分程度しかできない実態のようです。
市民病院では介護保険の訪問リハビリを行っていますが、「週2回ホームヘルパーに付き添ってもらい市民病院に行くこと自体がリハビリになっていた。以前は理学療法士が階段の昇降まで出来るようにしようという目標を持ってリハビリに取り組んでいたが、180日の制限によってそれも出来なくなり、月2回の訪問リハビリでは・・・・」という50代の若年で介護保険を利用されている方にとっては、以前とは質の違ったものになっていることがわかりました。
更に、障がい者という観点でリハビリができないか調べてみました。総合センターでは地域活動支援センター事業(従来の障害者デイサービス)として障がい者の機能回復訓練を実施していますが、実際に視察しお話を伺ったところ、2006年4月からの診療報酬改定により医療によるリハビリを受けられなくなった方々が受けたいと希望したが、定員10人を超えるためお断りしたということです。(現在は10人を超えても多少は受け入れているということです。)理学療法士、作業療法士、看護師等の人件費年間約300万円をかけて週1回3時間という手厚いリハビリを行っていながら、なぜその時点で地域ケア会議を開くなど市としてサービスの総合調整を行い、必要な手当てができなかったのか、大きな反省点です。
当時断られた方々は、介護保険制度改正と同時に行われた老人保健法改正で、それまで保健センターで行われていた自主リハビリテーションも2006年度から保健センターの事業として行われなくなったために、現在はなかよし会として総合センターを借り、ボランティアの看護師、母子保健推進員等の支援で月2回の自主リハビリテーションを続けており、地域活動支援センター事業の機能訓練に揃って参加できることを望んでいるということです。
機能回復訓練視察時、ご家族と見学に来られた車椅子の方が、「少しやってみますか?」との声かけに応え、作業療法士と一緒に手を動かしていくうちに、見る見る顔が輝いてこられ、背筋も伸びて、1時間ほどで見違えるようになられた様子を拝見し、改めてリハビリテーションの重要性を実感しました。
なかよし会の方も、「まだ自分たちはこうして外に出られて、ボランティアの方々のおかげで楽しく活動でき感謝しているが、若くして脳梗塞等から閉じこもり、うつになり、ご家族が悩んでいる方もいらっしゃる」とのこと。
2008年度より市民総合センターにおける地域活動支援センター事業は志木市社会福祉協議会が行う予定ですが、機能訓練についてはあくまでも市の責任において行い、社協による民間の柔軟性を生かして自主リハビリも取り込むなど、制度改正や縦割り行政の狭間で必要なサービスを受けられずに重度化や閉じこもりで苦しむ人々をつくらないよう提言しました。
金子健康福祉部長からは、「地域活動支援センター事業の充実を検討するとともに、連携して必要な方にサービスが提供できるよう、市や地域の関係機関等で構成する地域ケア会議での情報交換を深め、サービスの充実が図られるよう努めていきたい」との答弁がありました。
(2008年1月)
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