2004年(5月〜8月)映画館で観たレビューです。


LOVERS ★★★★
21グラム ★★★★
4人の食卓 ★★☆
イザベル・アジャーニの惑い ★★★☆ (イザベル・アジャーニ ★★★★☆)
ヴェロニカ・ゲリン ★★★☆
悦楽共犯者 ★★★★ (シュール度 ★★★★☆)
華氏911 ★★★★
カレンダー・ガールズ ★★★★
カンヌ SHORT5 ★★★☆
キッチン・ストーリー ★★★★☆
キング・アーサー ★★★☆
クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち ★★☆
シルミド/SILMIDO ★★★ (地獄の特訓、これぞ男の映画!! ★★★★)
白いカラス ★★★☆
純愛中毒 ★★★
スイミング・プール ★★★☆
スキャンダル ★★★☆
スクール・オブ・ロック ★★★★ (痛快!ロック魂 ★★★★☆)
スターシップ・トゥルーパーズ2 ★★★ (低予算なのにこの興奮! ★★★★)
スパイダーマン2 ★★★★
箪笥 ★★★
堕天使のパスポート ★★★☆
テッセラクト ★★★
デイ・アフター・トゥモロー ★★★☆ (VFX技術 ★★★★☆)
友引忌 ★☆
トロイ ★★★☆
ドーン・オブ・ザ・デッド ★★★☆
ドット・ジ・アイ <dot the i> ★★★☆
ドリーマーズ ★★★★
花咲ける騎士道 ★★★ (衣装など ★★★★)
ハリーポッターとアズカバンの囚人 ★★★★
バレエ・カンパニー ★★★★☆
パッション ★★★☆
ヒューマン・キャッチャー/JEEPERS CREEPERS 2 ★★★
ビッグ・フィッシュ ★★★★
ファウスト ★★★★
ブラザーフッド ★★★☆
ホーンテッドマンション    ★★★ (執事のテレンス・スタンプ ★★★★)
ぼくセザール 10歳半 1m39cm  ★★★★☆
マーダー・ライド・ショー ★★★ (キョーレツ度 ★★★★)
マッハ! ★★★★





LOVERS (2003) 公開(2004)
Lovers
★★★★
中国 2時間
監督・脚本・製作・原案:チャン・イーモウ
出演:金城武、チャン・ツィイー、アンディ・ラウ

9世紀中頃、唐の時代。
朝廷の反対勢力派である“飛刀門”
“飛刀門”を壊滅する為、官吏とその部下、前首領の娘、2人の男と女が、ある目的に向かって策略を巡らし壮絶な闘いを繰り広げます。
豪華にして華麗な武侠・アクション映画です。

前作「HERO」は国家に対する「忠義」「大義」がベースにありましたが、
「LOVERS」は「愛」が全面的に出ています。

■ワダ・エミが手掛けた豪華で華麗な衣装の数々。
アクションシーンも、その技の美しさに加えて巧みな技の連続。
“竹林の闘い”や”草原の闘い”等、どのシーンを取っても絵になる美しさがあります。

「HERO」に比べるとスケールはこじんまりとしていますが、恋愛がメインと見ればそれはそれで良し。
云わば、男女の三角関係の物語です。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
ラストのシーン。
リウ(アンディ・ラウ」の投げた刀は、実際は投げられず手元に残ったまま。しかし、リウの手元からは一滴の血が飛んで行きます。
子妹(チャン・ツィィー)が投げた刀は、その血を真っ二つに砕き、刀はリウには当らず木に刺さります。
これは、リウからの愛には応えられない気持ちを表わし(=一滴の血はリウの愛)
リウの愛には応えられないが、リウの命は助けたい気持ちを表現しています。
また、リウは、投げようとした刀を寸でのところで止めたのは、最後に自らが身を引こうと決意したのでしょう。
三者三様の愛が描かれた、素晴らしいラストでした。


■■考察■■
主役それぞれが良い味出してます。
しかし、この役柄は最初から誰が誰を好きになるか、誰が失意するか、何となく想像が付いてしまうところがミソであります  (=^∇^=)
チャン・ツィイー・・・
可憐に舞い踊るシーンは、この映画の一番の見所でもあります。
「MUSA」「HERO」と気の強い我がまま娘が続いたので役柄が固定しないかと不安になりましたが、本作では一味違った役柄を披露・・・安心致しました♪
アンディ・ラウ・・・
小妹(チャン・ツィイー)を見る眼差しが熱いです、熱すぎます。笑



21グラム (2003) 公開(2004)
21 grams
★★★★
アメリカ 2時間4分
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ、シャルロット・ゲンズブール

ある交通事故により心臓移植が行われ、それをきっかけに巡り会った3人の男女。
絶望の淵に居たそれぞれの人生を描いた人間ドラマです。
タイトルの「21グラム」とは、人が死んだ時、誰でも魂の重さ分(=21グラム)を失う・・・という逸話から来ています。

■人が生きること、死ぬこと・・・単純ながらにして奥深い問題。
3人の人生を通して改めて見つめ直します。
粗い画質やトーンの落とした映像など、役者、画面から伝わる力強さ・・・素晴らしい作品です。

過去、現在、未来と時間軸、それに関わった3人の空間などを、一度バラバラにし再編集した手法です。
終盤以外はこの展開が続くので、映画になじみの無い人には少々キツイかも・・・
チラシ等で大筋を把握して観るか、再度観直してみたい作品です。
予備知識無くいきなり観ると「ホヘ??」になる恐れ有り  (=^∇^=)フヒ

■■ネタバレです■■
少しずつパズルが組み合わさって行くように、最初は不明瞭ながら最期には鮮やかに物語が集結します。

映画の中で何度と語られる「それでも人生は続く」という言葉。
観ている最中は、絶望感から発せられる言葉としてしか捉えられませんでしたが、ラストになってこの言葉は希望の言葉へと変わります。


■■考察■■
ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、ナオミ・ワッツ・・・
3人の演技力は素晴らしく言う事ありません。

デル・トロ・・・
下層社会で生きる人間を好演。
体はでかいですが、途中クマのようにでかく見える部分あり。笑



■心の迷宮を探る・・・こちらまで迷宮入り
4人の食卓 (2003) 公開(2004)
The Uninvited
★★☆
韓国 2時間6分
監督・脚本:イ・スヨン
出演:チョン・ジヒョン、パク・シニャン、ユ・ソン

結婚を間近に控えたリフォーム会社のインテリア・デザイナー、ジョン・ウォン(パク・シニャン)
ある夜、最終電車の車内で毒殺された幼い姉妹を見掛けてしまい、
それ以来、彼の家の食卓に姉妹の霊が現れるようになります。
あるきっかけで、透視力を持つ女性ヨン(チョン・ジヒョン)と出会い、彼女の力を借りて自分の失われた記憶を探ろうとしますが・・・
心の闇を探る、サイコ・ホラー・サスペンスです。

■多くの謎が残る、ホラー・サスペンスです。
パズルのようにキチリと全ての謎が解決する訳ではありません。
多くの謎が盛り込まれていますが、その殆どがポーンと置き去りにされてしまいます。
後味の悪さも含めて、手探りで謎を探り、謎を謎のまま残せる方向き。
一般の方には、釈然としない部分が強く残り、あまり良い印象は残りません。

尚、ホラー・オカルト的な怖さは殆ど無く、
何やら妙に長く感じられる映画です(←もう少し短く出来るかも)

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
話の大筋は、男が姉妹毒殺事件に遭遇して以来、姉妹の霊を見てしまう。
その事件をきっかけに、7歳以前の記憶を失っている、その記憶に隠された自身の秘密を探ろうというもの。
忌まわしい過去の記憶を呼び起こし、その過去と向合うことになるのです。
しかし、そのストーリーの中には、あまりにもたくさんの謎が積み重ねられてしまい、話が散漫になってしまいます。
その謎も殆どが遂に解明されないまま。
ヨンの裁判事件にしても、どれが真実か分かりません。
大筋を理解出来れば、後は観客任せということか・・・
観た後は、かなり消化不良気味になります。

ストーリーに散りばめられた数々の恐怖のエピソードは、実際ありそうなことであります。
現代社会で生活する人々の不安感や孤独感。
人を信じ、信頼出来ているのでしょうか。
そういったことから発生する悪夢なのかも知れません。
人間の弱さを表現しているようにも思えます。

そして、この映画の題である「食卓」
この映画には、食卓や、食卓での食事シーンが何度となく出て来ます。
「食卓」は、家族や家庭の中心となるところ。
主人公たちのカップルは、「食卓」は用意しても、果たしてその中身はあったのでしょうか・・・?
彼らは、本当にお互いを理解し意思疎通が出来ていたのでしょうか。
器だけ用意しても、結局は上手く行かなかったかも知れません。

その「食卓」は、座る人にスポットを当てる照明なのですが、結局は、死んだ姉妹と自殺したヨンが座ることになります。
婚約者との輝かしい未来は、彼の心の闇、<負のエネルギー>に負けてしまったのです。


■■考察■■
殆どノーメイクで登場のチョン・ジヒョン。
今までの彼女とは全く違う、ニコリともしない辛気臭い役柄です。



イザベル・アジャーニの惑い (2003) 公開(2004)
Adolphe
★★★☆
(イザベル・アジャーニ、エキセントリックな演技 ★★★★☆)
フランス 1時間42分
監督・脚本:ブノワ・ジャコ
原作:バンジャマン・コンスタン「アドルフ」
出演:イザベル・アジャーニ、スタニスラス・メラール、ジャン・ヤンヌ

バンジャマン・コンスタンの自伝的心理小説「アドルフ」の映画化です。
19世紀、フランス
貴族の青年アドルフ(スタニスラス・メラール)と、10歳年上である伯爵の愛人エレノール(イザベル・アジャーニ)
青年の戯れの誘惑が、次第に2人を追い詰めて行きます・・・
フランスから雪のポーランドへと、愛の逃避行で綴られる文芸映画です。

■狂おしくも切ない、愛の物語です。
フランス郊外の木立の中に佇むお屋敷から、パリ、雪のポーランドの古城へと舞台を移します。

小説を大幅にカットしてあるのか、ストーリー展開が少々<紙芝居>的に見えます。
しかし、イザベル・アジャーニの抑圧された愛を描くのには返って効果的です。

■■ネタバレです■■
男女の恋愛の心理<心の移ろい、揺らぎ>を感じる映画です。

出来心で誘惑した相手(=エレノール)を、あの手この手を使って口説き、振り向かせる。
そして、手に入れた途端、別れを予感してしまう。
これは、相手を愛する以上に、自分の行為に酔い、口説く行為自体に没頭してしまうからなのでしょう。
相手が自分を好きになるほど、相手を疎ましく思ってしまう。
しかし、自分への愛を痛いほど感じるほどに、ますます離れなくなり、簡単に捨て去る事が出来なくなってしまう。
エレノールもまた、男を激しく愛しながらも、心のどこかで冷静に相手の心を見つめている。
男女の恋愛の、はかなくも切ない愛を描いています。

イザベル・アジャーニ、
伯爵からの寵愛も、贅沢な暮らしも、子供たちも捨て、男への愛に走る・・・
狂気の一歩手前のエキセントリックな演技が素晴らしいです。


■■考察■■
イザベル・アジャーニ・・・
若い頃から歳を取ってません!!  (*^∇^*)オオ
50歳近い年齢を感じさせない、張りのある肌、美しい顔立ち・・・
貴方は永遠に若くて美しい♪

スタニスラス・メラール、前途有望なハンサムさんです。
ふとした表情とか斜め横から捉えたフォトなど、ドキリとするほど魅力的です。
し、しかし、、真正面から見ると、どうもベース型のお顔・・・
横から観た鼻は少々鷲鼻っぽいです(・・・ファンの方、すいません・汗)



ヴェロニカ・ゲリン (2003) 公開(2004)
VERONICA GUERIN
★★★☆
アメリカ 1時間38分
監督:ジョエル・シューマカー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ケイト・ブランシェット、ジェラルド・マクソーレイ、シアラン・ハインズ、ブレンダ・フリッカー、コリン・ファレル

アイルランドの女性記者、ヴェロニカ・ゲリン。
麻薬犯罪組織に一人立向かい、96年に銃弾に倒れるまでの彼女の生き様を描いた実録的ヒューマン・ドラマです。
尚、彼女の死亡後、彼女の意志は市民の奮起に繋がり、アイルランドの法改正、犯罪の撲滅に大きな功績を残します。

■実話に基づいた話なので、ラストも先が読めてしまいます。
脚本も至って平凡であり、特に際立ったところもありません。
が、ケイト・ブランシェットの力強い演技と存在感が、この映画を価値あるものにしています。

■■ネタバレです■■
命を脅かされながらも、最後まで闘う事を止めなかったヴェロニカ。
自分にはとてもそんな勇気はありません。
最後は遂に、車の運転中に襲われ銃撃されてしまいます。
ラストで涙ぐんでしまうのは、彼女の勇気ある行動を称えて、そして、その勇気の一欠けらも無い自分を再確認するからかも知れません。


■■考察■■
コリン・ファレルがカメオ出演しています。
首にクモの糸のタトゥー、雰囲気が何となくブルズアイを思わせる風貌♪
観れて良かったです。フフフ・・・

ある時は犯罪組織を追い詰めるパワフルな女性記者、ある時は家族を愛する妻であり母である家庭的な女性。
さすが、カメレオン女優、ケイト・ブランシェット。
その割には、脇役陣の目立たないことよ・・・
まあ、ケイト・ブランシェットの映画と思えば、返ってその方が良いのかも知れないですのうー  (=^∇^=)ニョホホホ



悦楽共犯者 (1996) 公開(2004)
Conspira of Pleasure
★★★★
(シュール度 ★★★★☆)
チェコ、イギリス、ドイツ 83分
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:ペトル・メイセル、ガブリエラ・ヴィルヘルモヴァー、バルボラ・フルザノヴァー

ロカルノ映画祭受賞

6人の登場人物が人目を避け、抑えがたい欲望につき動かされて、さまざまな“自慰機械”の発明に専念する様を、台詞はいっさい使わず、音楽と様々な触覚的な効果音のみで描く長篇三作目(=チラシより)

■さまざまなフェチを持つ人々。
彼らの密かな楽しみをそっと覗き見したような作品です。
エロチックな雰囲気がそこはかとなく作品全体に漂っていますが、決して嫌らしいものではありません  (=^∇^=)ムフッ

■■ネタバレです■■
それぞれ何の繋がりのないとも思える6人の男女が、最後には何処かで繋がっているのが分かります。
前半は、主に登場人物の日常を追って行きますが、何処か妙な雰囲気があるので不思議に思えます。
しかし、後半になると畳み掛けるように話が進み、可笑しいやら呆れるやら。
一気にシュールなヤンの世界にハマって行きます。

特に笑えるのが、ピヴォイネ(ペトル・メイセル)
エロ本を買い、鶏と粘土とエロ本の切抜きと糊とで何をするのかと思ったら、「鳥のカブリモノ」を作り、こうもり傘の布地で羽根を作り、「鳥人間」に変身!!
スタスタ、スルスル、ササーッと動く鳥人間に呆然・・・笑

その他の人々もとっても変です。
・可愛い服を着た隣のオバサン、ロウバロヴァ。
  実は、藁人形相手に廃虚でSM。
・雑誌販売の店主、クラ。
  TVの中の美人キャスター相手に自慰機械を考案、試作、実演。
・刑事、ヴェトリンスキー。
  雑貨店などで指サック等もろもろを万引き。
  それらで自慰道具を製作し、恍惚の世界に浸ります。
・人気ニュースキャスター、アナ(=刑事ヴェントリスキーの妻)
  たらいに飼っている鯉に足の指を吸わせて、恍惚の世界に。
・郵便配達人、マールコヴァ。
  パンをちぎって丸め、それらを耳、鼻などに詰め、恍惚の世界に。


■■考察■■
主人公ピヴォイネ役のペトル・メイセル。
「ファウスト」の一番最後にチラリ・・・とすれ違う人で登場します。
束ねた後ろ髪が特徴有り  (=^∇^=)



華氏911 (2003) 公開(2004)
Fahrenheit 9/11
★★★★
アメリカ 2時間2分
監督・製作・脚本:マイケル・ムーア
出演:マイケル・ムーア、ジョージ・W・ブッシュ

第57回カンヌ国際映画祭パルムドール賞、国際批評家連盟賞、受賞作品。

ジョージ・W・ブッシュ再選を阻む為に作られた、ブッシュ政権を告発するドキュメンタリー映画です。
戦争反対、メディア批判などの問題も根底にあります。

■9/11の同時多発テロの背景や、それに関わるブッシュ大統領の真実が明らかにされます。
膨大な資料や映像などが順序立てて説明してあり、一般の人々にも分かり易い内容となっています。
上手い編集と構成です。

■■ネタバレです■■
ブッシュ大統領にまつわるきな臭い噂は以前から話題になっていましたが、この映画では、それらの疑惑を鮮やかに証明してくれます。
しかしながら、この映画は、ドキュメンタリーの手法を取っていながら、実際は、ムーア監督の私情が詰まったエンターテイメント映画であります。

過去の人物を追ったドキュメンタリーは、その膨大な資料と数々の証言とによって成り立っています。
が、この映画の場合は、現職の大統領、現在進行形の事柄であり、インタヴューなどもこちら側の資料しか提示されていません。
片方の論理のみで構成された作品は公正さに欠け、
作り手の一方的な情報をそのまま鵜呑みにするのは、とても危険です。

前作の「ボウリング・フォー・コロンバイン」は、明らかにエンターテイメントの部分が強調されてたいので、不謹慎ながら笑って観れましたが、今回は、一見するとドキュメンタリー映画そのものと映ります。
悪く言えばムーア監督のあざとさが伺える作品です。

しかし、この映画は、我々が今まで知らなかった、観たこともない映像を見せてくれます。
今のアメリカの現状に目を向け、問題を投げ掛け、改めて考える機会を設けててくれたのもまた事実です。
この映画は、一人一人が情報に惑わされず、確かな目を持って判断することの大切さを教えてくれます。

※ 自分の場合、特に共和党支持では無く、ブッシュ大統領は好きではありません、念の為  (*^∇^*)ヌフフ


■■考察■■
ブッシュ大統領が登場するシーンには、随処に陽気でマヌケな音楽を使用。
何とも可笑しく、そのセンスに拍手!!  (=^∇^=)



カレンダー・ガールズ (2003) 公開(2004)
CALENDAR GIRLS
★★★★
イギリス 1時間48分
監督:ナイジェル・コール
出演:へレン・ミレン、ジュリー・ウォルターズ

イギリス、ヨークシャーの小さな田舎町。
1999年、病院の設備資金集めの為、自分たちでカレンダーを企画し、奔走した女性たちの物語です。
世界初の<婦人会ヌード・カレンダー>を製作し30万部を売上げた、実話を元にしたコメディ・ヒューマン映画です。

■単なる成功話で終わっていないところが良いです。
成功の後には、思わぬハプニングが・・・
そういった部分も、決して暗くならずに明るくカラリと包んでくれる優しさがあります。
平凡な生活に一歩踏み出す勇気をくれる、そんな映画です。

■■ネタバレです■■
クリス(ヘレン・ミレン)とアニー(ジュリー・ウォルターズ)は親友同士。
元々は、ガンで夫を亡くしたアニーの為に、クリスが発案したことから始まります。
最初は戸惑いがちだったメンバーも、何時の間にか心が充実し、何事にも前向きになって行く自分を発見します。
中盤以降に発生するトラブルや、クリスとアニーの感情のすれ違いなども、決して嫌味にならず、観た後にホッと安堵する心地良さがあります。

家族や息子に思わぬ隔たりが出来る、その距離の表現が見事。

■■考察■■
へレン・ミレンを始め、熟年ながら皆さんの裸体がとても美しいです。
写真の撮り方も、見えそうで見えないところが良いです♪  (*^∇^*)



カンヌ SHORT5 (2003) 公開(2004)
SHORT5
★★★☆
ここ数年のカンヌ国際映画祭、短編部門で上映された内、評価の高い5作品をセレクトし、短編オムニバスしたものです。

■「ファスト・フィルム」   ★★★★
FAST FILM
2003年 オーストリア、ルクセンブルグ 14分
監督:ヴァージル・ヴィドリッチ
ヘップバーンにボガード、ローレン・バコール、グレース・ケリー、バーグマン・・・ハリウッドの名優の夢の共演がモンタージュされ、ここに新たな“映画史”が誕生します(=チラシより)
■■ネタバレです■■
数々の名作300作品の中から65000のモンタージュを集め、動くコラージュにした作品です。
「雨に歌えば」など有名ハリウッド映画から「ゴジラ」までその内容は多彩です。
特に、「フランケンシュタイン」と「レイダース」の闘いが見もの。
懐かしい有名俳優が数え切れないくらい登場するので映画ファンには堪りません。
一時も目を離せない作品です。


■「ドゥ・ユー・ハブ・ザ・シャイン?」   ★★☆
Do You Have the Shine?
2002年 スウェーデン、フランス 6分
監督:ヨハン・ターフェル
「シャイニング」を思わせる廃虚ホテルのロビーで三輪車をこいで遊んでいる男の子。彼が進む先には双子の幽霊が・・・。観客も男の子と共にゲームに参加できるCGアニメ(=チラシより)
■■ネタバレです■■
観客も、三輪車に乗っている男の子の目線で見ることになります。
映画のスクリーンを通して、単純なゲームを見ているようです
ラストもあっけなく、まるでゲームのジ・エンドそのもの。
結末も分かっている単純なお話なのに、何故かドキドキしてしまいます。


■「フィールド」   ★★★☆
field
2001年 イギリス 10分
監督:デュアン・ホプキンズ
イギリス郊外を舞台に描かれる少年たちの無垢な残酷さ。彼らの暗い瞳の底に流れる退屈な日々への鬱憤。“日常に潜む狂気”は美しくも残酷なラストを迎える(=チラシより)
■■ネタバレです■■
イギリスの田舎風景、そして、そこで戯れる3人の少年。
ありふれた風景に、何処にでもいそうな少年たち。
しかし、彼らの中には、退屈さを持て余し行き所のないいらつきや凶暴さを垣間見る事が出来ます。
最小限の会話で進行し、一つ一つのフォトは絵葉書のような美しさがあります。
ラスト、呆然と佇むおじさんが哀しい。

■「プレイ・ウィズ・ミー」   ★★★☆
Play with me
2002年 オランダ 13分
監督・エッサー・ロッツ
絵画的な色彩を放つオランダの運河。女性の白い肌の上に揺れる光と水の流れが観る者の皮膚感覚をリアルに刺激する。穏やかな風景は一転し、微かに漂う恐怖の影・・・(=チラシより)
■■ネタバレです■■
のどかな田園の用水路、ボートに引かれるタイヤを枕にまどろむ少女。
水の流れを肌で感じ、水と戯れる少女に、時折りフラッシュバックのように過去の出来事が映し出されます。
それは、まるで少女の行く先を暗示しているかのようであり、観ている者に得体の知れない不安を感じさせます。
ラストの少女の悲劇が、のどかな風景を相まって観ていて辛いものがあります。


■「ジャンヌダルク・オン・ザ・ナイト・バス」   ★★★
Janne de Arc on the Night Bus
2003年 ハンガリー 25分
監督:コーネル・ムンドルッツォ
ジャンヌ・ダルクをイメージさせる美しい救命士、ジャンヌを中心に繰り広げられるコンテンポラリー・オペラ。圧倒的な迫力で綴られる映像と音楽の饗宴(=チラシより)
■■ネタバレです■■
ハイウェイでバス事故が発生。救急車が駆けつけ多数のけが人が担架で運び出されます。病院では救急体制がとられまさに手術が行われようととした時・・・訓練終了の声が!!
緊迫した事故現場から一転し、ミュージカル的なオペラになります。
けが人の搬送や負傷した様子があまりに生々しいので度肝を抜かれます。
主人公の乗るおもちゃの木馬は、ジャンヌ・ダルクをイメージしたのでしょうか・・・!?
病院とオペラ、そこにブラック・ユーモアが加わり、何とも不思議な世界を作り出しています。



キッチン・ストーリー (2003) 公開(2004)
Salmer fra kjokkenet
★★★★☆
ノルウェー、スウェーデン 95分
監督:ベント・ハーメル
出演:ヨアキム・カルメイヤー、トーマス・ノールシュトローム、ビョルン・フロベリー

1950年当時、実際に行われた<スウェーデンの家庭研究所が実際に調査した台所動線図>を元に作られた作品です。
1950年代初頭、ノルウェーの片田舎。
中年のひとり暮らしの男イザック(ヨアキム・カルメイヤー)の元へ、スウェーデンの「家庭研究所」から調査員フォルケ(トーマス・ノールシュトローム)が”独身男性の台所での動線”を観察・調査する為派遣されて来ます。
最初は気まずかった2人が、次第に心を通わせ打ち解けて行きます。
中年男性2人の心の交流を、ほのぼのとしたタッチで描いたくコメディ・ドラマです。

2人の男性は、台所という限られた場所を介して交流、そして静かに友情を育んで行きます。
食事を作ることによって、食事を楽しみながら会話することによって、
人と人との交流を生み、ひいては心の豊かさへと繋がって行くのです。

効率良いキッチンを作り出す事に固執するよりも、もっと大事なこと。
素朴で粗末だって良い、自然に生きることの素晴らしさ。
効率万能主義だけが人生を豊かにするのでは無い。
この映画を通して、そんなことを感じさせてくれます。

日本に居ると感じたことの無い、スウェーデンとノルウェー間の微妙なアヤを感じることが出来ます。
劇中の会話にも出て来る、第二次世界大戦においての両国の立場、
ちょっとした会話にでも、それぞれの屈折した思いが見て取れます。

■ちょっとシュールで、クスクス・・・と言った笑い。
北欧ならでわのまったり感と、スローテンポな味わいです。
雪降る北欧での、ゆったりとした生き方、素朴で温かさを感じる映画です。
「感動!!」というより、寒い冬に見つけた小さなぬくもり・・・といった感じです。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
調査員たちが乗るトレーラー付きの車が長い列をつくって走る姿。
これを見るだけでも笑えて来ます。
あと、調査の代償として馬を1頭貰えると勘違いたイザック(=実は木彫りの馬の民芸品1個)
馬の民芸品をドアの隙間からサッと掴むところも可笑しいです。
こういった、ちょっとしたところに、クスリ・・・と笑えるユーモアがあります。

ラストは、イザックの突然の死によって友情は終わるのかと思いましたが、その交流は2人の仲を嫉妬していたグラント(ビョルン・フロベリー)に引き継がれて行きます。
春の訪れと共に新たな友情が・・・
何とも心温まるお話でした。


■■考察■■
グラント役のビョルン・フロベリー・・・
ちょいとヒネタ役どころと顔つきが、ゲーリー・シニーズを思わせる。
北欧のゲーリー・シニーズ。笑



■単なるヒーローではない、苦悩する王
キング・アーサー (2004) 公開(2004)
King Arthur
★★★☆
アメリカ 2時間6分
製作:ジェリー・ブラッカイマー
監督:アントワン・フークア
出演:クライヴ・オーウェン、キーラ・ナイトレイ、ヨアン・グリフィズ、ステラン・スカルスガルド

<西洋史上最大の伝説>である「アーサー王と円卓の騎士」伝説の映画化です。
5世紀、ローマ帝国の支配下にあったブリテン(現イギリス)
ローマ帝国の司令官アーサーと円卓の騎士たちの活躍を描く、壮大なスケールのスペクタル・ロマン歴史劇です。

■アーサー王にまつわる剣や魔法などのファンタジーな部分は無く、極めて現実的な歴史劇です。
少々地味に感じる作品ですが、重厚で手堅くまとめてあり好感が持てます。

■■ネタバレです■■
冒頭の語りが、ランスロット(ヨアン・グリフィズ)から始まります。
最初の語りとヨアン・グリフィズのキャラ(=出演している男優の中では一番華がある)で、最初は彼が主役かと思ったほど。
一方、アーサー王演じるクライヴ・オーウェンは、派手さとオーラが少々物足りなくも感じられます。
最初はアーサー王にはミスキャストかと思いましたが、
司令官という立場に苦悩する姿は、単なるヒーローではない人間臭さを感じます。
等身大の王を描くには適役で、味わい深い作品になっています。

アーサー王伝説なので、ラストは大体想像が付きます  (=^∇^=)クヒヒ
安心して観れる楽しさが有ります。


■■考察■■
アーサー王役のクライヴ・オーウェン。
パッと見た感じは役所広司に、ふとした表情はニコラス・ケイジに似ていると思うのですが、どうでせうか・・・!?笑

冷血にして残虐なサクソン人の司令官を演じる、ステラン・スカルスガルド。
よくあるパターン化された敵役のキャラで無く、ヨロヨロした足取りながら切れ者であり、ねっとりした眼つきがまさに悪役。

グウィネヴィア演じるキーラ・ナイトレイの衣装にビックリ  (=^∇^=)



クリムゾン・リバー 黙示録の天使たち (2004) 公開(2004)
Les Rivieres pourpres 2 - Les anges de l'apocalypse
★★☆
フランス 1時間40分
脚本:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ、ブノワ・マジメル、クリストファー・リー、カミーユ・ナッタ

「クリムゾン・リバー」の続編、
主人公のニーマンス警視は前作に引き続きジャン・レノ。
フランス、ロレーヌ地方。
ある修道院で、壁に人間が塗り込められている死体を発見、それを発端に次々と殺人事件が起こります。
異なる二つの事件がやがて一つの事件に結びついて行く展開は、前作同様です。
アクションをふんだんに盛り込んだオカルト・サスペンス映画です。

修道院の謎めいた雰囲気、重く沈んだ雲・・・
刑事と黒マントの修道僧(=黙示録の天使たち)の追跡シーンは見応えあります。
街から廃虚へと疾走する2人は、スピード感溢れる映像、カメラワークもアップテンポで小気味良いです。
特に、黒マントの修道僧、ピョンピョン跳ねて全力疾走する身軽なフットワークが見所♪

■前作はツッコミ満載の映画でしたが、今回はポカーン状態です。

■■ネタバレです■■
今回もドイツ軍の残党が絡んでいます。
フランスに作ったドイツ軍の要塞跡や、残党を率いる黒幕ハインリッヒ大臣(クリストファー・リー)
そして、オカルト臭漂う修道院、キリスト教の一派であるモンタノス派、猟奇的殺人、黙示録の謎・・・
これほどの題材を揃えながら、出来上がった作品は何故か今ひとつ。涙
十二使徒とドイツ軍残党組織の繋がりが上手く描かれていないからか。
意味不明な点が多すぎるのも難点。
アクションの見せ場も良いだけに残念です。

ツッコミ・不思議どころ
□キリスト似の男がどうもミョー
□マリーが苦労して得たキリスト似の男からの情報は特に役立っていない・・・
□13号室に入られるのが困るなら閉鎖しておけば良いのに。
□土の中からいきなり現れる要塞に失笑。
  (=これは、実際にある戦争の遺物だそうです)
□黒マントの修道僧、あんなに目立つ格好で街を徘徊。
□危険かも知れない薬物を飲んで、いきなりファイト一発!!このお手軽さ。

マリー(カミーユ・ナッタ)は、実は犯罪組織の一員かと思っていたのですが,、全くの的外れでした・・・ふ・・
そこまで深読みする映画でも無いようです。笑


■■考察■■
ニーマンス警視(ジャン・レノ)とレダ刑事(ブノワ・マジメル)、この2人、意外と良いコンビです  (=^∇^=)

クリストファー・リー・・・
ドイツ語、フランス語を巧みに操り、慇懃無礼な怪しい紳士を好演!!
何時までも活躍して欲しいお方・・・♪



シルミド/SILMIDO (2003) 公開(2004)
SILMIDO
★★★
(地獄の特訓、これぞ男の映画!!★★★★)
韓国 2時間15分
監督:カン・ウソク
出演:アン・ソンギ、ソル・ギョング、ホ・ジュノ、チョン・ジェヨン

韓国。
1968年、政府により金日成暗殺計画の為に結成された特殊工作部隊。
無人島シルミド(実尾島)での壮絶を極めた訓練、そして、下される部隊抹殺命令、71年に起きた彼らの反乱(=シルミド事件)を描いたドラマです。
長年封印されて来た歴史的事実にスポットを当てる、衝撃的な作品です。
尚、事実を元にしていますが、脚色された部分もかなりあります。

■社会的背景や物語をストレートに描いているので、
韓国の歴史や事件を知らない者にも分かり易い展開になっています。

■■ネタバレです■■
国家に翻弄され、最期は悲劇的な結末を迎える男たち。
彼らが夢と希望を抱いて壮絶な訓練を耐え抜く姿、厳しい訓練の中にも指導員兵士たちと交わす心の交流、そして迎える最悪の事態・・・
3年間の訓練の間に、南北情勢は大きく変化して行ったのです。

実際は死刑囚や極悪人たちばかりでなく、一般市民から募った人々が多数を占めて居たそうです。
また、反乱自体も上層部からの抹殺命令でなく、島での劣悪な環境による不満が爆発したものです。
映画を観ると、最初に脚色を示すテロップが流れるものの、観ている者は映画が全てだと錯覚してしまいます。
せっかく知られざる過去の暗部に光を当てたのですから、忠実に再現するか、もしくは、詳細を明記した方が良いのではないのでしょうか。
衝撃的な内容だけに慎重を期して欲しいものです。

個人の尊厳を奪われ否定され裏切られた彼ら。
しかし、指導員兵士たちを皆殺しにしバスを強奪した行いには、如何に彼らの状況が悲惨であっても哀しいかな、感情移入出来ないのもまた事実。


■■考察■■
非情さと温厚さを兼ね備えた生粋の軍人、アン・ソンギ
時折り屈折した表情を覗かせ未来に希望を託す、沈着冷静な男、ソル・ギョング
最初はチンピラだった男たちが体と精神を鍛えられ、次第に屈強な兵士に成長していく姿が熱いです!!
また、女性やヒロインが全く出て来ないのも特徴  (=^∇^=)男の映画だじょ



白いカラス (2002) 公開(2004)
The Human Stain
★★★☆
アメリカ 1時間48分
原作:フィリップ・ロス「ヒューマン・ステイン」
出演:ニコール・キッドマン、アンソニー・ホプキンス、エド・ハリス、ゲーリー・シニーズ

人種差別・偏見を主軸に据え、アメリカ社会における様々な問題を浮き彫りにしたヒューマン・ドラマです。

■極めてメッセージ性の高い作品です。
アメリカが持つシミ(=ステイン)、人間が持つシミ・・・
アメリカ社会の歪みを感じます。
痛切な問題を問いかけながらも、静かに心にしみる作品です。

■■ネタバレです■■
人種差別を主軸にし、その他、ベトナム帰還兵の問題、家庭内暴力など、様々な問題を目の当たりにします。
日本人が観て思う以上に、アメリカに住んでいる方には心にずしりと来るものがあり、その重さは計り知れないほどでしょう。

出演者の演技はどの方も素晴らしいのですが
フォーニア(ニコール・キッドマン)のエピソードと彼女自身が目立ち過ぎてしまい、コールマン・シルク(アンソニー・ホプキンス)の抱える問題がかすんでしまっています。
2人のラブシーン(=観ていてあまり楽しいものではない)、何度も出て来て少々閉口気味。

自分的には、終盤で2人が死んでしまってから、その後のエピソードの方が見応えありました。
ラストのレスター(エド・ハリス)とネイサン(ゲーリー・シニーズ)の会話は圧巻。


■■考察■■
ホプキンス、何やら体がデカク見えました。
肌もつやつやして健康です!!  (=^∇^=)
ゲーリーと手に手を取って踊るシーンが印象的。

ゲーリー・シニーズも久し振りに良い人でした  (=^∇^=)フフフ



純愛中毒 (2002) 公開(2004)
ADDICTED
★★★
韓国 1時間54分
監督:パク・ヨンフン
出演:イ・ビョンホン、イ・ミヨン、イ・オル、パク・ソニョン

家具アーティストの兄ホジン(イ・オル)、カー・レーサーの弟テジン(イ・ビョンホン)、ホジンの妻ウンス(イ・ミヨン)、3人は郊外の家で仲むつましく穏やかに暮らしていましたが、
しかしある日、同日同時刻に兄弟2人は交通事故に合ってしまいます。
2人は昏睡状態のまま、1年後、弟テジンが目を覚ましますが・・・
題の如く、純粋で切ないラブ・ロマンス・ミステリーです。

忘れられない愛、断ち切れない愛・・・
それぞれの選んだ愛の姿を描いた作品でもあります。

■切ない愛の物語です。
しかし、火サス・・・的でもあります。
ちょっと異色なラブ・ストーリー、ツッコミも多いです。笑

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
テジンが目覚めたら、ホジンの魂が宿っていた・・・
顔はテジンでも性格はホジン、まさにホジンが乗り移ったかのようです。
イ・ビョンホン、とても上手い演技なのです!!
そして、ラストでは、ウンスを愛するあまりのウソだと分かり、またまたビックリ。
ストーリーは単純な古典モノなのにぐいぐいと引き込まれてしまうのは、やはりイ・ビョンホンの演技によるものが大きいです。
ラストの行方もその後を想像させる終わり方で良し。
濃厚なラブ・シーンも見逃せません  (*^∇^*)ヌフフ・・・

あ、、実は、ホジンの生命維持装置を外す時、ホジンの肉体が消滅してしまうので、テジンに乗り移っているホジンの魂も消滅するのでは無いかとドキドキしてしまいました。
でも、その心配は無かったようで。ふ・・

また、テジンが騙せ通せたのはホジンが妻の話を逐一テジンに報告していたからですが、、、
それにしても弟に全てを話す兄さんって・・・何だか嫌ですなあ。苦笑


■■考察■■
イ・ビョンホン、着痩せするのでしょうか。
筋肉隆々の裸身にビックリ。
鍛えてますなあ・・・  (=^∇^=)



スイミング・プール (2003) 公開(2004)
SWIMMING POOL
★★★☆
フランス 1時間42分
監督:フランソワ・オゾン
出演:シャーロット・ランプリング、リュディヴィーヌ・サニエ

女流ミステリー作家サラ(シャーロット・ランプリング)は、最近スランプ気味。
出版社の社長の計らいで、彼が所有する南仏プロヴァンス地方にある別荘に仕事兼保養の為訪れます。
しかし、突然の社長の娘ジュリー(リュディヴィーヌ・サニエ)の出現によって、彼女の静かな生活は一変してしまいます。
やや官能的な趣のあるサスペンス・ミステリーです。

サラの訪れたオフの避暑地は、喧騒の去った静けさと美しい自然があります。
別荘にあるプールもまた効果的に使われています。
とりわけ2人の間の対抗意識や嫉妬心といった、女性特有のキリキリした表現が見事です。

■ 美しい映像、女優2人の大胆で且つ美しい裸体シーン、極上のサスペンス・ミステリーと、三拍子揃った美味しい映画です。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
サラが別荘を訪れた時から最後のどんでん返しまでは、現実と妄想が入り混じった(=サラの心を通して見た)映像です。
観ている者も何時の間にか作品の中に浸っていて、現実との境界線があいまいになってしまいます。
自分と対照的なジュリーも彼女の想像の産物であり、美しく奔放なジュリーはある意味サラの願望なのかも知れません。
その間の2人のやりとりでは数々の謎が提示されていますが、観終わった後も謎は解けずすっきりとしません。
謎については、観ている者があれこれと解釈することなのでしょう。

サラが最初登場した時の不機嫌で陰気な表情と、ラストの社長との会話では、全く表情が違います。
自信に満ち溢れてキラキラと輝いていて、
別荘での滞在は、明らかに彼女を変えたようです。


■■考察■■
リュディヴィーヌ・サニエ・・・
美しい体を惜しげもなく披露しています。
胸を大胆に出しているシーンが多く、観た後も彼女の胸がやけに印象的 (*^∇^*)
シャーロット・ランプリング、堅物中年女性の特性を上手く表現しています。
特に、つらーっと覗き見する姿が凄い気迫です!! (=^∇^=)
オゾン監督、二つの世代の女心を見事に表現。
乙女心を熟知してますなあ・・・前世は女!?



スキャンダル (2003) 公開(2004)
Untold Scandal
★★★☆
韓国 2時間4分
監督:イ・ジョヨン
原作:ピエール・ショデルロ・ラクロ「危険な関係」
出演:ペ・ヨンジョン、イ・ミスク、チョン・ドヨン、チョ・ヒョンジェ

ラクロの小説「危険な関係」の映画化です。
今回は、18世紀・李王朝時代の宮廷が舞台となっており、
西洋の古典恋愛小説を、見事に韓国時代に置き換えています。
愛と裏切り、そして、純粋な愛・・・男女の姿を描いたロマンス映画です。

豪華で華麗な室内装飾、数々の調度品、そして色鮮やかな衣裳・・・
選び抜かれた美術品に、製作者の徹底したこだわりが感じられます。
主役3人の演技が、役柄にハマっていて良いです。

■なかなかの出来栄えです。
韓国版「源氏物語」を観ているような、そんな優雅さがあります。

映画として素晴らしいものがあるのに、出演者や裸体シーンばかりが話題先行しているところが惜しいです。
ラストは、エンドクレジットの後にオマケがあるのでお見逃し無く。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
この映画を観て一番に思うことは、策略を巡らし人を陥れることは良くないということですな。ふ・・
必ず自分に返って来ます。

結局、主役3人はそれぞれに散って行きます。
チョ・ウォン(ペ・ヨンジョン)は刺されて死に、チョン・ヒヨン(チョン・ドヨン)はウォンを追って後追い自殺、そして、チョ夫人(イ・ミスク)は刺客から逃れ船に乗って逃亡・・・
船に乗るチョ夫人の手からこぼれ落ちる花が痛々しく哀しい。
初恋の人、ウォンの事が堪らなく好きだったのでしょうなあ・・・

■■考察■■
イ・ミスク、貫禄ありますなあ・・・
ペ・ヨンジョンは、自分的には、どうも別人に見えて仕方ありません。笑
話題の濡れ場シーンも全くいやらしさが無く、美しいです。



スクール・オブ・ロック (2003) 公開(2004)
THE SCHOOL OF ROCK
★★★★
(痛快!ロック魂 ★★★★☆)
アメリカ 1時間50分
監督:リチャード・リンクレイター
出演:ジャック・ブラック、マイク・ホワイト、ジョーン・キューザック、

自分で結成したバンドをクビになった男デューイ(ジャック・ブラック)
あるきっかけで名門小学校の代用教員となり、生徒たちをロックの世界に引きずり込みコンテストに出ようと企みます。
スカッと胸のすく痛快ロック・コメディです。

子供たちのキャラクターと結成したバンドの役割分担とが重なり、分かりやすい設定となっています。
最初は戸惑っていた子供たちも、先生との交流によって、次第に生き生きとした表情に変わって行きます。
子供たちが演奏を通じて学んだこと。
ロックの象徴である<反骨精神>を体感するのみではありません。
親や教師の言いなりになるのでは無く、自己主張出来る自分。
クラスの仲間と共に一つの目標に向かって進み、連帯感と協調性を学ぶのです。
デューイもまた子供たちにロックを教えることによって、ロックの精神を思い出すのです。

■ロック・ファンはもちろんのこと、そうでない方にも楽しめる痛快さ!!

■■ネタバレです■■
デューイが子供たちを引きずり込む序盤は「このオッサン変!?笑」などと思って観てましたが、何時の間にかすっかり彼の世界に浸っていました。
この映画は、先生が子供たちを目覚めさせ導いて行く・・・といった単純な正統派の訓話物語ではありません。
事の始まりは、あくまで彼の野望!!ただそれのみ!!笑
瓢箪から駒の如く、最初は不純な動機だったのが、蓋をあけてみたら道徳的になっていたというスグレモノ♪
何時の間にか感動している自分が居るのです (=^∇^=)ウフフ

凹んでいるデューイを子供たちが励ましているところもツボです。
子供たちに盛んに激を飛ばしていたけれど、実は自分も生徒たちに立ち直して貰ったのです。


■■考察■■
強烈なキャラクターの持ち主ジャック・ブラック・・・
暑苦しく、騒がしいロックなおたく野郎。
ロックに関してはミョーに自信溢れる行動を起こします。
ギター演奏はもちろんのこと、即興で歌をつくってしまう芸達者なオジサンです♪

レッド・ツェッペリン、サバス、イエスなどなど・・・懐かしい名前がわんさか出て来てファンには嬉しいところ (*^∇^*)



■低予算映画の醍醐味!
スターシップ・トゥルーパーズ2 (2003) 公開(2004)
Starship Troopers 2: Hero of the Federation
★★★
(低予算なのにこの興奮! ★★★★)
アメリカ 1時間32分
監督:フィル・ティペット
出演:リチャード・バージ、コリーン・ポーチ、ビル・ブラウン、エド・クイン、ドリュー・パウエル

「スターシップ・トゥルーパーズ」の続編です。
監督は前作のポール・ヴァーホーヴェンから交替。
今回は、「スターシップ・トゥルーパーズ」「スター・ウォーズ」「ロポコップ」等の特殊効果を手掛けて来たフィル・ティペット、初監督作品です。

「スターシップ・トゥルーパーズ」は、ロバート・A・ハインラインの原作「宇宙の戦士」を基に製作、
近未来、昆虫型生物バグズと地球連邦軍との死闘を描いています。
本作は前作のコンセプトそのままに、前作から数年後、舞台を辺境の星に移しバグズと歩兵隊の死闘を繰り広げます。
前作のSF大作とは違い、今回はかなりの低予算です。

■これぞB級ホラー・アクション!!
低予算でそれなりの緊張感とドキドキ感を味わえます。
B級映画好きには堪りません!!
盛り上がってます  (*^∇^*)ウヒヒ

■■ネタバレです■■
前半は、夜間の屋外でのバグズと歩兵隊たちとの激しい闘いがメイン、
中盤以降は屋内に舞台を移し、いわゆる密室劇となります。
前哨基地に避難した隊員たちに、バグが次から次へと身体を乗っ取って行くストーリーです。
最初はあまりにシンプルな映像に低予算映画をしみじみと感じてしまいますが、基地に逃げ込んだあたりからすっかり忘れてしまいます。
屋外シーンは、真っ暗闇の中での銃撃。
闇からいきなり飛び掛るバグズは、低予算ゆえの工夫でしょう。
基地でのバグと隊員のサバイバル劇もまた然り。
限定された空間を最大限に利用した、低予算ながらの工夫はお見事。

明るく快活な隊員募集広告と、悲惨な戦争の実態。
肩書き付きの隊員が死ぬ度に、安易に昇格するお手軽さ。
戦争を痛烈に皮肉ったメッセージは前作同様です。


■■考察■■
殆ど無名に近いキャストです。
しかしながら、どのキャラも性格の位置付けがはっきりしている為、
分かり易く、作品に入り込みやすい利点有り。
ダックス大尉(リチャード・バージ)、頼もしいタフガイでカッコイイっす!!



スパイダーマン2 (2004) 公開(2004)
SPIDER-MAN2
★★★★
アメリカ 2時間7分
監督:サム・ライミ
出演:トビー・マグワイア、キルスティン・ダンスト、アルフレッド・モリナ、ジェームズ・フランコ

大ヒット、エンターテイメント・アクション映画「スパイダーマン」の続編です。
前作に引き続き、サム・ライミ監督、同主要キャストです。
また、新たな悪役ドック・オクには、「フリーダ」のアルフレッド・モリナが演じます。

■前作同様、それ以上の面白さです。
前作でもそれぞれの登場人物の苦悩が見て取れましたが、
本作ではさらに悩みや人間関係を発展させています。
アクション、ドラマ、両部分の調和が見事に取れ、より一層スケールアップしています。
思わずホロリ・・・と来るほどの感動も有り。
よりエキサイティングで、笑って泣ける、スリル満点の映画です。

■■ネタバレです■■
前作のあらすじをコミック調のイラストで紹介してくれる、オープニング・タイトルから嬉しい。

作品を通して全て見所がありましたが、特に印象的なシーンを二つ。
□スパイダーマンが能力を無くし、仕方なくエレベーターで降りて来る。
□電車の中で倒れたスパイダーマンを乗客が手と手でウエーブを作り運ぶ。

ピーター(トビー・マグワイア)とMJ(キルスティン・ダンスト)の恋愛もよくありがちな、付いたり離れたりの微妙な関係を続けるかと思っていたので、今回、スパイダーマンのマスクの下の顔を晒してしまったのが意外でした。
親友ハリー(ジェームズ・フランコ)、愛するMJ、その後の展開がさらに気になります。

ラスト近くで、ウィレム・デフォーの出演が有ります。
短い出演ながらその存在感は大!!  (=^∇^=)ヤッター
次回「3」は、ジェームズ・フランコが亡き父の後を次いでグリーン・ゴブリンになりそうな気配が・・・
フランコのファンなので、嬉しいような見たくないような。苦笑。

人間的により成長し、ヒーローとして確固たる信念を持つことが出来たピーター。
堪らなくカッコ良く魅力的なのです。


■■考察■■
新たな敵役に、アルフレッド・モリナ。
どうも「フリーダ」のシリアスな印象が強く、そのギャップが可笑しかったです。
今回の役に際してかなりの体重ダウンをしたそうで、目の下にクマが。
悪役なので丁度良かったかもです  (=^∇^=)
後ろから見た坊ちゃん刈りのうなじ・・・可愛いです  (*^∇^*)フフフ



箪笥 (2003) 公開(2004)
A Tale of Two Sisters
★★★
韓国 1時間55分
監督・脚本:キム・ジウン
出演:イム・スジョン、ムン・グニョン、ヨム・ジョンア、キム・ガプス

韓国の古典怪談「薔花紅蓮伝」をモチーフにしたミステリー・ホラーです。
ソウル郊外、湖畔の脇に静かに佇む一軒家。
長い療養を終え姉妹が家に戻って来てから、父、継母と4人の家族に異変が起こります。

■ホラーというより、ミステリーに少々ホラー要素を味付けした感じです。
切なくも哀しいお話です。

深い森に佇むお屋敷や細く続く小道、湖畔に突き出した桟橋など、映像の美しさが際立っています。
細かい花模様の壁紙や箪笥、サイドボード等の小物など、細部に至るまで様式美へのこだわりを感じます。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
<家>と<家族>の持つ恐怖です。
要約すると、スミ(イム・スジョン)が精神に異変をきたし、自分、妹スヨン(ムン・グニョン)、継母ウンジュ(ヨム・ジョンア)の多重人格者になっているお話です。
観ている内は、スミがそれぞれの役割を演じているとは全く気が付かず、終盤近くになって事の真相が判明します。
精神病になったのは、継母ウンジュとの諍いが原因なのですが、
妹への謝罪の気持ちと愛、そして、継母ウンジュへの激しい憎悪が複雑に絡み合い、形になって表れるのです。

観た直後は、スミに対して哀れみのみの気持ちでしたが、、時間が経つにつれ、父ムヒョン(キム・ガプス)と継母ウンジュへの腹立たしさで一杯になりました。
人間として許されない行動を起こした継母ウンジュが何もペナルティなく、スミのみが苦しむことになろうとはやはり理不尽千万。
ラストの痛いしっぺ返しに拍手喝采です  (=^∇^=)

ただ、スヨンの亡霊の扱いが不満です。
終盤、箪笥から這い出てくるスヨンは、如何にも最近の韓国ホラーといった感じ。
「たたり」(=ロバート・ワイズ監督)のラストのように、スヨンが箪笥の下敷きになったように、同じようにウンジュにも箪笥がのしかかってきて息絶えた方が良かったのでは。
霊の存在も見えるようで見えない方が恐怖は大きいはず。
せっかく良く出来たホラーも名作には届かない、そんなに気がします。
スミが家に背を向けて歩き去るラストシーン、堪らなく良い終わり方なのです。


■■考察■■
イム・スジョン、ムン・グニョン、2人の姉妹の雰囲気が良いです。
ヨム・ジョンア、はっきりした顔立ちの美人ですが、目が大きく吸い込まれそうでした。
キム・ガプスのいぶし銀の頭も印象的  (=^∇^=)クヒヒ



堕天使のパスポート (2003) 公開(2004)
Dirty Pretty Things
★★★☆
イギリス 1時間37分
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:オドレイ・トトゥ、キウェテル・イジョフォー、セルジ・ロペス

ナイジェリアからの不法移民者であるオクウェ(キウェテル・イジョフォー)、トルコ移民であるシェナイ(オドレイ・トトゥ)
ロンドンに不法滞在をする者たちの姿をリアルに描き、2人の運命をサスペンスタッチに描いた社会派ドラマです。

■不法滞在をする移民たちと、それを執拗に追う移民管理局。
イギリスの抱える社会問題を垣間見る問題作であります。
社会派ドラマながら、2人の恋愛を軸に展開するサスペンスタッチの人間ドラマです。

■■ネタバレです■■
ロンドンに住む不法滞在者、不法就労者たち。
彼らの生活は、また、イギリス社会の底辺を支える人たち(=イギリス人が避けて通る、ホテルでの掃除などの下働き、死体処理係などの仕事を請け負う)でもあります。
しかし、そこには、持ちつ持たれつの関係でありながら、彼らを排除しなければならない社会の歪みがあります。

何とかして今の現状を変えようと、人の嫌がる仕事を進んで行い、お金を貯めようとする彼ら。
夢を求めて新天地に脱出しようともがく姿が痛々しいです。
彼らの置かれた状況は厳しく、毎日が危険な綱渡りをしているような生活。彼らは常に孤独であり、それぞれが悩みを抱えています。
そんな中、オクウェルがシェナイに対してそっと見守る眼差しが温かく、彼の誠実な人柄を感じます。

この話は、さらに臓器売買の問題も絡んでいます。
彼らが最後に行った行為は、決して拍手喝采出来ることでなく、むしろ卑劣な行為です。
ただ単に美しいだけで終らせない、極めて人間臭いものがこの作品にはあります。
ラストもまた然り。
オクウェは、今までの逃げるだけの生活に終止符を打ちます。
シェナイもまた、従弟の住むアメリカへと旅立ちます。
その先には決して希望が待っているとは言え難いものですが、人は僅かな希望を求めて先に進むのです。


■■考察■■
今回、新しい役に挑戦したオドレイ・トトゥ。
これまでとは違う役柄に、彼女の新たな魅力を発見!!
ようやく、「アメリ」からの呪縛から解き放たれたようです。



■「四次元立方体」・・・普通の映画でした。
テッセラクト (2003) 公開(2004)
The Tesseract
★★★
タイ・イギリス・日本 1時間36分
監督・脚本:オキサイド・パン
原作:アレックス・ガーランド「四次元立方体」
出演:ジョナサン・リース・マイヤーズ、サスキア・リーヴズ、レナ・クリステンセン、アレクサンダー・レンデル

バンコク。
イギリス人の麻薬密売人ショーン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)、心理学者ローザ(サスキア・リーヴズ)、女殺し屋リタ(レナ・クリステンセン)、ホテルの従業員であるタイ人少年ウィット(アレクサンダー・レンデル)・・・
うらぶれたホテルを舞台に繰り広げられる人間模様を描きます。
それぞれの運命がパズルのように組み合わさり絡み合い、やがて一つに集束して行きます。

■時系列を一度バラバラにし再び編集、また、違った視点から捉えた複数の映像、細切れのシーンなど・・・
最近よく見られる演出なので、特に目新しさは感じられません。
ただ、監督の意欲はビシビシと伝わって来て気合の入った作品ではあります。

ダークでざらついた感触やスタイリッシュな映像、情け容赦ない銃撃シーンなど見応えがあります。
タイの熱気もムンムンと伝わって来て臨場感溢れる映像です。

■■ネタバレです■■
「四次元立方体」などと仰々しい題名と最初の解説で、少々期待し過ぎたのかも知れません。苦笑
登場人物たちがお互いの関連性に全く気付かず、運命の糸に導かれ、ラストに向かって悲劇の道を辿って行く・・・
こういった作品ではラストは何かしらの余韻を残すものですが、この作品には何も感じられません。
ありがちなありふれた映画になってしまっているのが残念です。

また<違った視点から捉えた複数の映像>は、最近では「エレファント」がこの手法を取っています。
「エレファント」ではこういった構成が上手く生かされていましたが、「テッセラクト」では、何故かクドさが感じられました。
TVのドラマ等でCMを挟んだ後にまた戻って繰り返すような・・・そんなクドサが感じられて少々興ざめでした・・・

少年ウィットは、タイの下層社会に居そうな少年です。
ずる賢く反省の色が見られない少年に、次第にムカムカ。


■■考察■■
ジョナサン・リース・マイヤーズ・・・
異国での孤独感がよく表れています。
危険が付きまとう仕事により、不安で落ち着きの無い様子。
ただ、最初から最後まで始終オドオド、キョロキョロした役に終わり、少しカッコイイところも見たかった気も。ふ・・



■爽やかパニック映画
デイ・アフター・トゥモロー (2004) 公開(2004)
The Day After Tomorrow
★★★☆
(VFX技術 ★★★★☆)
アメリカ 2時間4分
監督・脚本:ローランド・エメリッヒ
出演:デニス・クエイド、ジェイク・ギレンホール、イアン・ホルム、エミー・ロッサム

地球温暖化による大規模な自然災害が発生、
地球崩壊への序曲を描いた壮大なスペクタル・パニック映画です。

■これぞパニック映画の醍醐味!!ド迫力の映像を満喫。
大自然の驚異の前に為すすべも無い人間の姿が見て取れます。
この手の映画の付きもののストーリーの甘さはあるものの、圧倒される映像にぐいぐい引き込まれて行きます。
スクリーンに身を任せて観る映画かも。

また、良い人間ばかり登場するのも特徴。
実際こういった場面に遭遇したら、エゴむき出しの人間を目の当たりにするものですが、本作品では、そういったところにはスポットを当てていません。
それがやや物足りないようでもあり、返って新鮮であったりもします。

■■ネタバレです■■
地球的規模の災害に対して、主人公が地球を救うべきヒーロー的な役割をするのと違い、今回の主人公は、大自然に身をまかせつつ愛する家族を守ろうとするもの。

■パニック映画に突っ込みはつきものです  (=^∇^=)
あまり深く追求しても興ざめなので、とりあえず言っておきたいものを。笑
□津波がすぐ後ろに迫っているのに、寸でのところで扉を閉め間に合う。
  氷点下101度の冷気が襲って来るシーンもまたしかり。
□父が息子を救出しにNYへ行くのは、どう考えても無理であろう・・・
□父が救助に向かう途中、仲間の一人を失う。
  割れ目に落ち込み、命綱をナイフで切るお決まりのパターン有り。
  (=山岳等に救助に向かう時必ず出て来る)
□ヒョウが降る東京都千代田区。どう見ても中華風。
□お父さんとその仲間。救出しに行く途中で、仲間が明日にする案を、父は「息子には明日が無いんだ」などと言い、無理して出発!!・・・なんと自分勝手なお父さん
□アメリカ北部の人は見捨てて南部の人に避難勧告を発令。
あの、、気象学者のお父さん、避難の仕方を(=戸外に出ず家中で暖を取る)息子だけに教えず、何とかして北部の人たちにも教えてあげるのが学者であろう・・・
「一人でも多くの人を救ってくれ・・・」じゃなかったっけ!?

■こそばゆい・・・
アメリカの国民が難民化し大量にメキシコに押し寄せる風景や、大統領(=元副大統領)が自らを反省し、経済より環境破壊を訴える演説など。
あまりにストレートであるアメリカ批判とブラック・ユーモアは、現状のアメリカでは観ているこちらがこそばゆい・・・


■■考察■■
ジェイク・ギレンホール・・・
如何に童顔と言えど、高校生役はちと無理が・・・
大学生あたりに留めて欲しい  (=^∇^=)ウヒヒ



友引忌 (2000) 公開(2004)
Nightmare
★☆
韓国 1時間37分
監督:アン・ビョンギ
出演:ハ・ジウォン、ユ・ジテ

アン・ビョンギ監督のデビュー作。
本作品の2年後に、大ヒット作「ボイス」が作られます。

学生時代のサークル仲間が次々と不審な死を遂げる・・・
自殺したメンバーの一人の怨念によるものか?
輝かしい学生時代と現在をシンクロさせて描く青春ものホラー映画です。

■「ボイス」より2年前に作られたことを念頭に置いて観る映画です。
本作品だけを観ると最近ありがちな映画ですが、2年前だと思うとそれなりに納得出来る部分も・・・

■■ネタバレです■■
学生時代と現在、過去と現在を平行して描いています。
その間にギョンアの少女時代を挟み、ギョンアの持つ忌まわしい超能力が関係していることが分かります。
個々のエピソードや恐怖は上手い見せ方をしています。
が、全体を通して見ると、話が上手く集束しておらず少々盛り上がりに欠けます。
時間も長く感じられ、テンポが悪くモタモタしている印象が。

自分的には<クライマックスのその後>は必要無い気がします。
あのまま終わって行った方が良かったかも・・・
超能力を持つことによるいじめ、学生時代、安堵した後の恐怖など、
何となく「キャリー」を思い出してしまうような、そうでないような。ふ・・


■■考察■■
ハ・ジウォンは、本作品では悪霊役のギョンアを、「ボイス」では一転して霊に怯えるヒロインの役を演じています。
表情が正反対なので、その対比を観るのも面白いかも。
美しくもその恐ろしい形相・・・目の下のクマがミソ。

この映画で感心したのは、「友引忌」という題(=ともびきに忌を付けてともびきと読む・・・変なの・笑)と
予告編の「と〜も〜び〜き〜」と唸る男の声  (=^∇^=)フフフ



■リアルで骨太、大迫力の戦闘シーン
トロイ (2004) 公開(2004)
TROY
★★★☆
アメリカ 2時間43分
監督:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:ホメロス
出演:ブラッド・ピット、エリック・バナ、オーランド・ブルーム、ダイアン・クルーガー、ショーン・ビーン、ブライアン・コックス、ピーター・オトゥール

ホメロスの叙情詩「イリアス」の映画化です。
古代ギリシャに起こった“トロイ戦争”を壮大なスケールで描いた歴史ドラマです。

■神々の神話などファンタジーな要素を排し、極めて現実路線です。
リアルで骨太、大迫力の戦闘シーンが特徴です。

■■ネタバレです■■
王妃ヘレン(ダイアン・クルーガー)を巡ってトロイとスパルタ間で戦争が勃発、たった一つの恋がそれぞれの国に悲劇をもたらすのです。

精悍な顔立ちながらその行動はあまりに情けないパリス(オーランド・ブルーム)
ラストでパリスがアキレス(ブラッド・ピット)を射抜く場面は、この物語のクライマックスでもあるのですが、どうもパリスの良さを十分に引き出せないまま終わって行った感が残ります。
人間的にも成長したパリスは最期まで感じられず<情けない奴>の印象が拭い切れていません。
この情けなさは、アガメムノン(ブライアン・コックス)にも匹敵するくらいの愚かな人間に見えてしまいます。
これは、アキレスを引き立てる監督の意図であるのか、それとも・・・
アキレス、ヘクトル(エリック・バナ)が完璧なだけに、パリスは少し外して見せたのでしょうか!?笑

アキレスとヘクトルとの確執、一騎打ち、息子ヘクトルを失った王プリアモス(ピーター・オトゥール)の悲しみ、壮大で大迫力の戦闘シーンなどが特に印象的。
(=自分的には、パリスとヘレンの愛が今ひとつロマンスに欠け、アキレスが愛する巫女もあまり魅力を感じられなかったです・・・うう・・)


■■考察■■
名誉や栄光、歴史に名を残すことに執着、戦闘にあけくれるアウトローな奴、アキレス。
母国を愛し、家族を愛する、誠実実直な男ヘクトル。
それぞれの個性が際立っていました。
ブラッド・ピットの筋肉隆々の肉体、重い槍と盾を持っても軽々と疾走する姿・・・堪らなくカッコイイです♪
エリック・バナ、ショーン・ビーンも期待以上良かったです  (*^∇^*)



■全力疾走ゾンビ
ドーン・オブ・ザ・デッド (2004) 公開(2004)
Dawn of the Dead
★★★☆
アメリカ 1時間38分
監督:ザック・スナイダー
オリジナル脚本:ジョージ・A・ロメロ
出演:サラ・ポーリー、ヴィング・レームス、ジェイク・ウェバー

ホラー映画の金字塔、ジョージ・A・ロメロ監督「ゾンビ」のリメイク。
何モノかに感染しゾンビと化した死者たちと、僅かに生き残った者たちとの壮絶な闘いを描いたホラー映画です。

オリジナルを尊重しつつ、現代風にアレンジしています。
暴力性を帯びた残酷描写、ブラック・ユーモア等、スピーディでシャープなタッチのゾンビ映画です。
単純、明快さが良いです。

■オリジナルとは一味違う本作品。
ホラーファンにもそうでない方にも(=多分・汗)ご満足出来る一品。
カラリと明るいところが良いですね(=ホラーファンのみ・笑)

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
出だしは不吉な予兆を予感させつつ、いきなり怒涛の展開に。
この展開は速いです、いや、速過ぎるくらいかも。
中盤は、生存者たちがモールを拠点とし、侵入してくるゾンビたちと闘いながら、ひと時の安らぎの時間が。
最初はいきなり、中のんびり、ラストに怒涛のクライマックス!!・・・と言ったところ。

そもそも何故ゾンビになったのかが謎のまま。
分かっているのは、噛まれることによって感染するということ。
そして、最後に生き残った4人で希望の船出をし、これで一件落着かと思ったら、着いた島にはゾンビたちの群れが・・・
彼らの生死も不明のまま終わって行きます。
最後のエピソードは、エンドクレジットに挿入されているのですが、モノクロのショットが怖さを引き立てています。

一番印象的なのが、ビルの屋上を挟んで、ボードに書いた文字で交信するケネス(ヴィング・レームス)とアンディのやりとり。
ゾンビたちが群れる下界を見つつ、屋上でチェスを打つ、このユーモアセンス!!
遂には、アンディが血のりボードを掲げたことで、僅かに残った人間性と殆どゾンビに冒されているアンディを確認出来るのですが、ある意味、最も残酷なシーンとも言えます。

付け足し:ゾンビ化した妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、お腹を手でガシッと突き破って出て来るのかと思っていました・・・ふ・・(=普通の分娩です)


■■考察■■
全速力で突っ走るゾンビたち、凄いです。笑
あまりの速さに少々笑えて来たり。
殺しても殺しても次々と沸いてくるゾンビたち、頭で絶命・・・ゾンビ映画の定石をしっかり踏んでいます。良し!!



ドット・ジ・アイ (2003) 公開(2004)t
dot the i
★★★☆
イギリス、スペイン 1時間32分
監督・脚本:マシュー・パークヒル
出演・ガエル・ガルシア・ベルナル、ナタリア・ベルベケ、ジェームズ・ダーシー、トム・ハーディー、チャーリー・コックス

独身最後のパーティ(ヘン・ナイト・パーティ)で偶然知り合った男キット(ガエル・ガルシア・ベルナル)とキスを交わした女性カルメン(ナタリア・ベルベケ)。フィアンセとの間で揺れる三角関係は、次第に危険な事態に陥って行きます。
ラブ・サスペンス映画です。
※「ドット・ジ・アイ(dot the i)」は、“細部にまで注意を払え”という英語の慣用句です。

■最初は単なる三角関係の恋愛映画かと思ったら・・・
最初から気を抜かず、画面に釘付けになって観て欲しい作品です。
随所に張られた伏線を見逃さぬよう  (=^∇^=)タノムヨ

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
最初は古典的な三角関係のもつれ・・・と思わせておいて、実はどんでん返し→さらなるどんでん返しが待っています。
しかしながら、ストーリー進行と共に挿入される手持ちビデオの映像にも「何かある・・・」と予想し、サスペンスの匂いを感じます。
意外性のあるトリックと、ラストに向かって滑らかでテンポある展開がお見事。

フィアンセのバーナビー(ジェームズ・ダーシー)、優しく誠実なフィアンセと正体を明かした時のギャップが凄いです。笑
ただ、フィアンセの時の演技がちと臭い気も・・・エヘ


■■考察■■
ガエル・ガルシア・ベルナルを始め、登場する男性にイケメンが多いのが特徴  (*^∇^*)ウフッ♪
脇役のトム(トム・ハーディー)、テオ(チャーリー・コックス)もなかなかの美形。



ドリーマーズ (2003) 公開(2004)
The Dreamers
★★★★
イギリス、フランス、イタリア 1時間57分
監督:ベルナルド・ベルトリッチ
出演:マイケル・ピット、エヴァ・グリーン、ルイ・ガレル

1968年、5月革命に揺れるパリ。
アメリカ人留学生マシュー(マイケル・ピット)は、双子の姉弟イザベル(エヴァ・グリーン)、テオ(ルイ・ガレル)と知り合い、親密な関係になります。
自由奔放に愛と性と謳歌し、退廃的な日々を送る3人の若者。
不安定に揺れ動く三角関係を描いた青春ドラマです。

ヌーベル・ヴァーグの名画や、ハリウッド黄金期の数々の名作映画へのオマージュを捧げた作品です。

■ベルトリッチ監督の想いやメッセージがこめられた作品です。
R−15指定ですが、18指定に近いかもです  (=^∇^=)オオ

5月革命が関係しているので、その頃の情勢を知っておくとさらに良し。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
双子の姉弟イザベルとテオは、アメリカ人留学生マシューを自分たちの世界に招き入れます。
2人は姉弟以上の関係のようですが、最後の一線までは越えておらず、
(=彼らが幼少の頃から続いたごく自然な関係だからなのでしょう)
テオは、イザベルにマシューを初体験の相手に選びます。

双子の姉弟はまさに<大人になり切れない若者たち>であり、同じような匂いを持つマシューを取り込むことで、均衡のとれた良好な関係が保たれると思ったのです。
マシューは、その危ない関係に疑問を抱きつつも、甘い耽美な誘惑には勝てず、現実逃避とも言うべき退廃的な生活を送ります。
しかし、デモ行進の突然の投石で3人は外に飛び出します。
喧騒の中、マシューは彼らの絆の中には決して入れないことを確信し、そして、今の世界から飛び出す道を選ぶのです。
3人の関係は、一見楽しそうではありますが、何故か切なさが漂います。
大人になるのには、何かを捨て、痛みを伴うものなのです。

バスタブでの3人の入浴シーン。
彼らを映す鏡の効果が素晴らしい。

自分的には、素晴らしい映画だとは思うのですが、双子の行動に着いていけず感情移入出来ませんでした。
少々居心地の悪さを感じる映画でありました。


■■考察■■
マイケル・ピット・・・
以前よりフェイスラインがすっきりし、イイ男に ♪
若かりし頃のディカプリオにますます激似  (=^∇^=)フヒ



花咲ける騎士道 (2003) 公開(2004)t
Fanfan La Tulipe
★★★ (衣装など ★★★★)
フランス 1時間39分
監督:ジェラール・クラヴジック
製作・脚本:リュック・ベッソン
出演:ヴァンサン・ペレーズ、ペネロペ・クルス、ディディエ・ブルドン

1952年、ジェラール・フィリップ主演で大ヒットした同名映画のリメイクです。
18世紀、フランス。
剣の達人だけど恋多きプレイボーイ、ファンファン(ヴァンサン・ペレーズ)と、戯れの占い師、アドリーヌ(ペネロペ・クルス)
ひょんなことで出会った二人の運命と恋の行方を描いた、ラブ・ロマンス痛快活劇映画です。

■軽快なタッチ、テンポの良さ、魅力的なキャラ・・・明るく楽しい映画です。
戦争シーンも血生臭さは感じられず、昔ながらの素朴なほのぼの感が味わえます。
中世のお城や馬車、武器など、特に衣装が見所あり。
当時の戦争のしきたりなどが分かって面白く、興味深いです。

随所にブラック・ユーモアがビシビシと効いてますが、
反戦などメッセージ性云々よりも、むしろ気軽に楽しむ映画です。

■■ネタバレです■■
リメイク作品ということもありますが、
キャスティングとポスター、チラシのフォトをを見ただけでラストが分かってしまうところがミソ♪  (*^∇^*)


■■考察■■
ヴァンサン・ペレーズ・・・
明るい飄々としたプレイボーイを好演。
剣さばきも鮮やかで観ていて頼もさを感じますが、少々体が重たいように感じられて・・・エヘ

黒幕、見ただけでずる賢いような奴  (=^∇^=)クス
お顔にある傷は何だかマンガチックで返って気になります。笑



ハリーポッターとアズカバンの囚人 (2004) 公開(2004)
Harry Potter and the Prisoner of Azkaban
★★★★
アメリカ 2時間22分
監督:アルフォンソ・キュアロン
原作:J・K・ローリング
出演:ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ゲイリー・オールドマン、

J・K・ローリング原作、大ヒット・シリーズの第3弾。
監督は、前2作を手掛けたクリス・コロンバス監督から、「天国の口、終わりの楽園。」のアルフォンソ・キュアロンへとバトン・タッチされました。

■第1、2作目よりもミステリアスな雰囲気が強く、ダークな仕上がりになっています。
今までの子供向けファンタジー映画とは一味違います。
吸魂鬼ディメンターが飛び交う薄暗く怖い雰囲気は、シリーズのマンネリ化を止めるのにも一役買ってます。

今回の作品は好みが分かれそうです。
お子様、少々怖いかも・・・

■■ネタバレです■■
前作から成長し、幼さが抜けたレギュラー3人。
今までの可愛らしい子供から、ちょっぴり大人になり思春期を迎える趣きがあります。

今までの<のほほんファンタジー>とは違う、ブラックテイスト溢れる作品です。
全体的にテンポも良く、CGなど特殊効果も相変わらず見せ方が上手いです。
ただ、この映画のクライマックスとも言える、スネイプ先生、シリウス・ブラック、ルーピン先生、そして、ハリー・・・等、一同が居合わせるシーンは、少々もっさりした感じがありました(=安っぽい三文芝居のような・・・)
見せ方によっては、もっと捻りの効いたシーンになると思うのですが、
この映画はファミリー向けという事を考慮すると、丁度良いのかも知れません。

自分的には、ゲイリー・オールドマンが普通に良い人でオーラが感じられなかったのが少々残念でした。


■■考察■■
シリウス・ブラック役のゲイリー・オールドマン、ルーピン先生役のデイヴィッド・シューリス、トレローニー先生役のエマ・トンプソン、ペティグリュー役のティモシー・スポール等、今回はヒトクセある役者が並びました。
個性的で味わい深いイギリス俳優陣を堪能出来ます  (*^∇^*)ウフ



バレエ・カンパニー (2003) 公開(2004)
The Company
★★★★☆
アメリカ・ドイツ 1時間57分
監督:ロバート・アルトマン
出演:ネーヴ・キャンベル、マルコム・マクダウェル、ジェームズ・フランコ

ロバート・アルトマン監督、39作品目の作品です。
バレエの世界を舞台に、一つの作品が出来上がるまでと、それに関わる人々をドキュメタリー風に描いた群像劇です。

尚、出演するダンサーは、ネーヴ・キャンベルを除き、実在する名門バレエカンパニー<ジョフリー・バレエ・オブ・シカゴ>のトップダンサーによるものです。
ネーヴ・キャンベルは、今回の作品では自ら企画・製作にも関わり、ダンスシーンでは代役無しで全てのダンスを踊りきっています。

■アルトマンお得意の群像劇とバレエの世界が見事に融合した、ドキュメンタリータッチの映画です。
群像劇とバレエがお好きな方ならまさに一石二鳥!!
但し、特にストーリーともいえるものはありません。
冒頭のダンスから目が釘付けになり、しっかりと引き込まれて行きます。

■■ネタバレです■■
アルトマン監督の「ゴスフォード・パーク」のような皮肉や風刺は今回なく、全体的に淡々とした流れです。
複雑な人間関係を提示しているにも関わらず、あっさりとも思える人物描写です。
この点は少々物足りないと思う人も居るかも知れませんが、バレエという世界に主眼に置くと思えば丁度良いのかも知れません。

練習中にお手本を見せる為に踊ったトップダンサーは、「ブッ」という鈍い音を立ててアキレス腱が切れてしまう・・・
ダンサーとしての生命を絶たれたであろう、舞台の袖からじっと見守る彼女の痛々しい姿。
1週間前に突然キャストを降ろされるダンサーと、怒り狂う親。
振付家の意向を無視し、自我を通そうとするベテランダンサー。
晴れやかな舞台の裏には、苦悩あり笑いあり。
厳しい練習の中で辿り着いた末に、輝かしい舞台があるのです。

その中でのライ(ネーヴ・キャンベル)とレストランのシェフであるジョシュ(ジェームズ・フランコ)との恋愛は、ホッと出来る清涼剤のようなものです。
ラストはライにとっては衝撃的な辛い出来事ですが、ジョシュの存在で、立ち直れ再起出きることを予想させます。

カリスマ的な芸術監督であるミスターA(マルコム・マクダウェル)は、絶えず資金繰りに悩みバレエ団の経営に奔走します。
その中では団員たちとの駆引きもあり、
泥臭く海千山千的な、しかしバレエを最も愛する男です。
授賞式では、イタリア系として生まれた彼の苦労が見て取れます。

■■考察■■
ネーヴ・キャンベル・・・
今までは、「スクリーム」と顎のしゃくれた感じしか印象に無かった彼女です(=ファンの方すいません・汗)
今回の映画で、6歳より習った見事なバレエを披露し、彼女の違う一面を見たようです。

ジェームズ・フランコ・・・
「スパイダーマン」シリーズや「ソニー」など悩みいらつく演技が多かったですが、今回は、恋人を優しく温かく見守り、心の支えとなる役柄です。



パッション (2004) 公開(2004)
The Passion of the Christ
★★★☆
アメリカ 2時間7分
監督・脚本:メル・ギブソン
出演:ジム・カヴィーゼル、モニカ・ベルッチ、マヤ・モルゲンステルン

メル・ギブソンが12年もの歳月を掛けて練り、莫大な私財を投じて作り上げた作品です。
イエス・キリスト処刑に至るまでの、最後の12時間とその後の復活を描いた歴史・宗教映画です。
新約聖書をリアルに再現し、劇中では当時使われていたラテン語とアラム語で話されています。

鞭で打たれる度に飛び散る血飛沫や喘ぎ声、血が滴る傷だらけの体など、リアルで悲惨な映像です。
が、砂ぼこり舞う風景や、時折り挿入されるスローモーションなど、美しい映像もあります。

■観る前に<イエス・キリストの生涯>を大まかでも掴んでおく方が良いでしょう。

全編に渡り、辛く残酷な拷問シーンが延々と続きます。
暴徒と化した群集、集団ヒステリーにも似た群集の恐ろしさ。
途中で観るのを止めたくなる人も居るかも知れません。
キリストの死による人類の罪のつぐないは当然念頭にあるものとして、
キリストの痛みを見せることによって、観客も同じような痛みを感じさせるのが意図なのかも知れません。

■■ネタバレです■■
悲惨なまでのその描写に目を背けたくなるシーンが続きますが、
ラストの復活のシーンによって心が少し軽くなるのが救いです。

自分の場合、この映画を観て「感動した」とか「キリスト教の真理の追究」などには至りませんでした。
一番心に残ったのは、母の息子への愛でしょうか。

手の平やかかとに長さ9インチの釘を打つシーンには、思わず身が縮まります (≧∇≦)おお

■■考察■■
ジム・カヴィーゼル、キリストに似ています・・・
珍しく、肌を見せない薄汚れた役のモニカ・ベルッチでした(←でも美しいです)



ヒューマン・キャッチャー/JEEPERS CREEPERS 2 (2003) 公開(2004)
JEEPERS CREEPERS 2
★★★
アメリカ 1時間42分
監督:ヴィクター・サルヴァ
製作総指揮:フランシス・フォード・コッポラ他
出演:レイ・ワイズ、ジョナサン・ブレック、エリック・ネニンジャー

「ジーパーズ・クリーパーズ」の続編です。
23年ごとに現れ、人を貪り食う謎の怪物クリーパー。
“都市伝説”に基づく恐怖を描いたホラー映画です。
前作は怪物に遭遇してしまった姉弟の恐怖を、
今回は前作から4日後の話で、怪物がスクールバスを襲い、逃げ惑うティーンエイジャーたちの姿を描いています。

■前作の続編ですが、本作をいきなり観ても違和感ありません。
作品としては独立していますが、出来れば前作を観てから挑みたいところ。
前作は、前半まではホラー・オカルトの趣きを漂わせ、後半一気に怪物映画となった為、作品的には中途半端で拍子抜けした人も多かったようです。
今回は、最初から怪物テイストで押しまくりです。
作品全体から見ると、怪物との闘いオンリーであり、単純明快さがあります。

B級ホラー映画の良さを全面に出した作品です。
作品全体がツッコミなので、あえてツッコミはありません。笑
ここまで来ると、ホラーと言うより怪物映画かも・・・アッパレ♪

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
高校生の逃げ惑う姿が中心ですが、実は、息子をさらわれたオヤジの復讐物語でもあります。
オヤジの執拗な攻撃、最高です!! (=^∇^=)
ラストは、それから23年後。
ミイラ化した怪物を磔にし、その前で銃を構え、怪物の復活を待つオヤジ。
あえて高性能な武器を使わず、アナログな武器で勝負を挑むオヤジの姿が堪りません!!笑
この映画の良さはアナログ感覚かも知れませんねぇ・・・

冒頭も可笑しいです。
モンスターは畑の案山子に摩り替って、子供を襲うとしているのですが・・・
何もそんなメンドクサイことしなくっても、それ以外は堂々と襲っているじゃないですかー!?笑
オープニングからじわじわ来る恐怖を出そうとしているのですが、後から考えるとやっぱり笑えて来ます。フフフ・・・

それにしても、あの怪物は「デビルマン」の趣きがありますな。
今回は怪物の細部までしっかり見ることが出来たので、ゲフッとするくらいの満足感が得られます。笑
怪物よ、、、歯をしっかり磨いて、髪をそろえよう!!  (=^∇^=)


■■考察■■
日本では殆ど無名の俳優たち。
スクールバスの中で右往左往する彼らは、特に突出した人物が居なく、何処にでも居るような高校生たちです。
そういった起用が彼らに親近感を感じさせ、良い結果を生んでいます。



ビッグ・フィッシュ (2003) 公開(2004)
BIG FISH
★★★★
アメリカ 2時間5分
監督:ティム・バートン
原作:ダニエル・ウォレス
出演:ユアン・マグレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ、ジェシカ・ラング、ヘレナ・ボナム・カーター

何時も奇想天外なおとぎ話を語り、誰からも愛されるエドワード(アルバート・フィニー)
病床に伏している父エドワードと、そんな父を嫌う息子ウィル(ビリー・クラダップ)
死期が迫りつつある父と息子の交流を描いた感動のファンタジー・ドラマです。

父が語る壮大なファンタジーの世界と現在の世界とが、時には融合し交錯して行く・・・
一つ一つのエピソードの積み重ね、その雑妙なバランス感覚が素晴らしいです。

同時期公開の「みなさん、さようなら」と同様の「父と息子の確執、和解」がモチーフとなっています。
「みなさん・・・」は、社会主義、自由主義など思想的なブラック・ユーモアが主柱に、本作品はファンタジーを全面に出したものとなっています。
どちらも、「死」に向かいつつある者への賛歌の気持ちが表れています。

■今までとは一味違う、ファンタジー色が強いティム・バートン作品です。
このイマジネーションは誰にも真似出来ないと確信!!
親子の愛、夫婦の愛、行きずりの人と交わした愛、
心温まる人間ドラマに涙・涙・・・

■■ネタバレです■■
子供の頃は枕元で話す父のおとぎ話に夢中だった息子が、だんだんと成長するに従って父のことを恥ずかしく思い疎んじてしまう。
本当は愛しているのに素直になれない。
そんな気持ちは誰にでもあるのではないでしょうか。
父の命が終わろうとしているのに、父を理解出来ない悔しさ。
父のおとぎ話に隠された真実を求めて、息子は父の人生を辿って検証して行くのです。


■■考察■■
スティーヴ・ブシェーミが詩人役で出ているのも嬉しい!!
彼が出ているだけで、話がぐんと面白くなります  (*^∇^*)ウフフ



ファウスト (1994) 公開(2004)
Faust
★★★★
監督・脚本:ヤン・シュヴァンクマイエル
出演:ベットル・ツェベック、ヤン・クラウ

チェコ映画祭受賞

ファウスト伝説をもとに、チェコの伝統的な人形劇や、粘土、錬金術などを用いたアニメと実写を融合させて現代のメフィストフェレスを描く、長篇二作目(=チラシより)

■有名な「ファウスト」をヤン風にアレンジした作品です。
神、悪魔などのキャラクターを粘土、人形、実写により表現しています。
アニメーション+実写との組み合わせにより変化に富んだ、妖しくダークで独創的なファンタジーの世界を作り出しています。

人間の心の隙間に付け込む<人間の心の弱さ>を表しています。
が、何よりこの作品の恐ろしいのは、誰にでも起こりうる普通の人間の行動だという事です。

■■ネタバレです■■
CGなど特殊効果が全盛な今、こういった昔ながらの人形劇は、昔観た人形劇を思い出させ、ほっとするものがあります。
悪魔、神が登場するシーンも、山間から人形の首がゴロゴロと転がってくるもの。
それが何度も何度も登場するので、後からシュールな可笑しさが込み上げて来ます  (=^∇^=)ウフフ
主人公と王さまたちの壮大なパニックも、学芸会並の可笑しさが有りますが、それがまたまた可笑しく素晴らしいのです。


■■考察■■
全編殆ど、主人公役のベットル・ツェベックの独壇場です。
悪魔に惑わされる人間、悪魔(=顔のみ)、おまけに木人形のお面を上からスポッと被ったりと大活躍!!
しかし、既に亡くなられたようで残念であります。



ブラザーフッド (2004) 公開(2004)
Brotherhood
★★★☆
韓国 2時間28分
監督・脚本:カン;ジェギュ
出演:チャン・ドンゴン、ウォンビン、イ・ウンジュ

1950年6月25日、突如、勃発した朝鮮戦争。
戦争によって運命を狂わされ翻弄された2人の兄弟ジンテ(チャン・ドンゴン)とジンソク(ウォンビン)
兄弟の絆に涙する、壮大なスケールの戦争ドラマです。

■凄まじい戦闘シーンの数々は思わず目を背けたくなるほどです。
しかしそれ以上に、兄と弟の心の葛藤や強いメッセージ性があり、最後まで目が離せません。
圧倒的なパワー、心に訴える力強さがこの作品にはあります。

ある日を境に、暴力が暴力で無くなり殺し合いが正当化される、この不条理さ。
貧しいながらも幸せに暮らしていた市民が、職を失い、疑いを掛けられ、銃殺される・・・
突然の強制徴兵、同じ民族同士で殺し合う悲劇、恐ろしさ。
戦争の愚かさを改めて世に問い、考えさせられる映画です。

■■ネタバレです■■
弟を除隊させたいが為に、戦場で手柄を立ててあえて危険な任務に付く兄ジンテ。
自分を犠牲にしてまでも弟を救いたい気持ちが、次第に彼を変えて行きます。
戦争という極限状態に置かれるということは、理性を失い、人間の欲や残酷な部分が全面に出て来てしまうのです。

一つ不思議なことが・・・
北朝鮮の兵士は布の帽子、南の兵士は鉄のヘルメット。
何故、北はヘルメットを着用しないのだ?
布では危ないと思うがのうー


■■考察■■
チャン・ドンゴン、ウォンビン、主役2人の熱演は言うまでもありません。
ウォンビンの涙に潤んだ目、ナイーブな少年がたくましい青年に成長して行く姿に感動です。
欲を言えば、歳を取っておじいさんになった姿と結びつかないのがちと・・・エヘ

チャン・ドンゴン、白目を向く白熱した演技です!! (=^∇^=)オオ



ホーンテッドマンション (2004) 公開(2004)
THE HAUNTED MANSION
★★★
(執事のテレンス・スタンプ ★★★★)
アメリカ 1時間28分
監督:ロブ・ミンコフ
出演:エディ・マーフィー、テレンス・スタンプ、マーシャ・トマソン

ディズニーランドの人気アトラクション“ホーンテッドマンション”の映画化です。
あるきっかけで呪われた屋敷に誘い込まれてしまった一家。
家族が体験する恐怖の一夜をユーモラスに描いたホラー・コメディです。
ゴシック様式のインテリアや調度品、衣装、ゴーストたち、アトラクションの雰囲気そのままです。

■ファミリー向けのホラー・コメディ映画です。
上映時間88分はやや短めに思えますが、TDLのアトラクションと思えば丁度良いのかも。
可もなく不可もなく・・・アトラクションと同じで気楽に家族で観る映画です。

■■ネタバレです■■
最初は幽霊屋敷へと誘うアプローチ、そして、屋敷に隠された謎の解明、
ラストは屋敷の主人と愛する人が結ばれ天国へ・・・
そこそこに怖さもあり(=ゾンビも出てきますが短め・ホラーファンはもっと観たいところ・笑)ハプニングあり、お笑いあり・・・
最後はラブ・ストーリーで締めくくる、数々のツボを抑えた作品です。
上手くこじんまりとまとまっています。


■■考察■■
執事役のテレンス・スタンプが最高です!!
最初出て来た時の震えるような声!!笑
スタンプさまはこれくらいオーラが感じられないとね (*^∇^*)ウフ
本人も楽しんで演じているように思えます♪

エディー・マーフィは本来の力量を発揮していないかも知れませんが、彼でないとこの映画はフヌケになるので、今回の起用は良しとしたいです♪
マーシャ・トマソン(=奥さん役)がとても美しい!!



ぼくセザール 10歳半 1m39cm (2003) 公開(2004)
Moi Cesar 10 ans 1/2 1m39
★★★★☆
フランス 1時間39分
監督・脚本:リシャール・ベリ
出演:ジュール・シトリュク、ジャゼフィーヌ・ベリ、マボ・クヤテ、ジャン=フィリップ・エコフェ、マリア・デ・メディロス、アンナ・カリーナ

主人公セザール・プチ(ジュール・シトリュク)の身長の高さ(=1m30cm)からの目線で描いた、コミカルでハートウォーミングなドラマです。

■子供の世界観に立った映画です。
主に、セザールの心の中で思ったつぶやきで物語が進みます。
決して、お子様礼賛の映画では無く、
時には大人もたじたじの、10歳の少年の主人公の赤裸々な思いが語られています。

■■ネタバレです■■
この映画の面白さは、<それぞれの家庭には、大人だけの秘密があり、子供はそれを知らなくとも良い>という大人の都合が根本にあり、全てそこから出発しています。

前半は子供たちの日常を、後半は子供たちだけで繰り広げるワクワクハラハラの冒険旅行になります。
10歳と言えばまだまだ子供ではあるけれど、ちょっと背伸びしてみたり、大人と対等でありたい自分が居る。
ちょっと微妙であやふやなお年頃を見事に表現しています。

セザールの心のつぶやきは小さい頃の自分と重なることがあり、それがまたまたツボにはまります。
特に、お葬式には共感  (=^∇^=)イヒ


■■考察■■
主人公、脇役を含め、皆さんとても魅力的です。
セザール・プチのお父さんベルトラン(ジャン=フィリップ・エコフェ)の怒った顔、特に激しくオーラを放つ目つきがまた良し。笑



マーダー・ライド・ショー (2002) 公開(2004)
House of 1000 Corpses
★★★
(キョーレツ度 ★★★★)
アメリカ 1時間29分
監督・脚本・音楽:ロブ・ゾンビ
出演:シド・ヘイグ、ビル・モーズリー、カレン・ブラック

監督ロブ・ゾンビ(本名ロバート・カミングス)は、かつてロック・バンド「ホワイト・ゾンビ」を率い、数々の映画に曲を提供して来た人物。
イラストやデザイン、プロモーション・ビデオなどに独自のホラー色を打ち出し才能を発揮して来ました。今回が初監督作品になります。

本作品は、「悪魔のいけにえ」(1974年)をモチーフにしています。
男女4人が殺人一家に引き込まれる本筋は同じですが、毒々しく、悪趣味で、極色彩な、へヴィなロックがガンガンと鳴り響く映像は、ロブ監督独自のカラーです。
ストーリーはほぼ忠実ながら、全く違った猟奇世界を展開、強烈で鮮やかな印象を残す映画となっています。

■ホラーマニアにお薦めの一品。
一般の方は避けられた方が無難でしょう。

この映画の一番の恐ろしさは、心の底から<楽しみ><愉快に><明るく底抜けに>殺人を繰り返していることです。
どちらかと言うと、怖さより不快感が印象に残る映画です。

■■ネタバレです■■ 核心に触れてます。ご注意!
最初は、博物館をメインにして猟奇的殺人が行われるかと思ったのですが、それはプロローグであり、大筋を要約すると、
バケモノ博物館のキャプテン・スポールディング(シド・ヘイグ)、町外れの一軒家に住む殺人一家、殺人狂医師ドクター・サタンとは一見するとバラバラのようで実は結託していたことが分かります。
数々の残虐行為は、有名ホラー映画の要素を取り込んでいます(「TATARI」など)
バケモノ博物館では、実在する殺人鬼エド・ゲインの見世物などもあったりします。

【以下、ホラーマニアの観点から】
残虐な行為は観ていて目を背けたくなるところですが、
カットが細切れで、フラッシュバックした映像が頻繁に出て来るので、1つのシーンをじっくり見ることがありません。
また、残虐行為も種は変われど、同じようなハイテンションで描かれている為、だんだんと怖さには慣れて来ます。
しかしながら、とても不愉快で気分の悪くなる映画です。
警察官たちが撃たれるシーンは、そこだけがタッチが変わります。
長い間合いとバックの音楽の使い方は超一品。


■■考察■■
イケメンや素敵な人物が出て来ないのも特徴。笑
反対に、殺人一家には危ない禍々しい人物たちのオンパレードです。
底抜けに陽気な危険な奴らは、ホラーファンには魅力的かも  (=^∇^=)

バケモノ博物館の店主、白塗り顔のキャプテン・スポールディング・・・
最初は一番危ない奴かと思ったのですが、比較的マシな方なので、それも意外だったり。ふ・・



マッハ! (2003) 公開(2004)
Ong-Bak
★★★★
タイ 1時間48分
監督・原案・製作:ブラッチャー・ビンゲーオ
出演:トニー・ジャー、ペットターイ・ウォランカムラオ、プマワーリー・ヨートガモン

CG、ワイヤー、スタントマン、早回しをいっさい使わず、格闘技ムエタイのみで勝負するアクション映画です。

ストーリーは至ってシンプルです。
密輸組織によって強奪された、村の神聖な仏像(=頭部)を村の青年が取り戻しに行くお話です。
尚、主演のトニー・ジャーは、ムエタイなど武術を習得したスタントマン出身です。

■アクションの原点に戻ったような作品です。
アクション映画、特にカンフー映画のファンには堪りません!!!

■■ネタバレです■■
ブルース・リーを初めて観た衝撃があります。
トニー・ジャーから繰り出される数々の必殺技には目を見張るばかり。

香港映画のスピーディーなアクション映画と手作り感のある素朴なタイ映画とを融合させたような作品です。
ハリウッド映画に観られるような細かいカット割をせず、ムエタイを見せる為、ロングショットが多いこと、
決め技をスローモーションにして、二度三度見せてくれるところがが嬉しいです。
音楽もシンプルに徹しています。
如何に主役の格闘技や格闘美を引き出し、見せ場を作るか、監督の熱意が伝わって来ます。

バンコク市内の繁華街やざわざわした界隈の雰囲気、タイの3輪タクシーのカーチェイスが堪能出来ます♪


■■考察■■
ティン役のトニー・ジャーは、織田裕二をさらに南国系にした感じ。
ジョージ役のペットターイ・ウォランカムラオは、ふとした表情が鶴瓶に、
悪の組織のドン、コム・タン演じるスチャオ・ボンウィライは、岡田真澄に似ているような気がする・・・・・・