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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1997/10/12) 於:熊谷ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
中央大学 :前半: 1 0 0 0 5 |
:後半: 4 3 0 0 26 | 31 6
+-----------------+-------------------------------+-------------+
流通経済大学:前半: 4 3 0 0 26 |
:後半: 1 1 0 0 7 | 33 17
◎出場メンバー
中央 : 1.佐々木 2.村田 3.高橋創 4.忠地 5.小島 6.浜田友 7.関 8.小林
9.平野 10.浜田大 11.西村 12.中島 13.平澤 14.山村 15.迫本
(16.塚越 17.高橋亘 18.野村 19.江浦 20.月田 21.近藤)
○交替 6→16(後33分入替)
流経 : 1.碇 2.牛木 3.友利 4.中西 5.井上 6.石川 7.唐津 8.渡辺知
9.池田 10.加瀬 11.阿部 12.田嶋 13.大島 14.山崎 15.ニールソン
(16.谷口 17.田島 18.横山 19.藤井 20.久保 21.天野)
○交替 なし
レフリー : 小野塚(関東協会) タッチジャッジ : 富沢、並木、橋本
◎得点経過
中央大学 0 5 5
T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G G T G
流通経済大学 0 7 14 19 26 26
中央大学 5 10 17 24 31 31
T G G G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G
流通経済大学 26 33 33
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎試合内容
[感想]
1部に昇格を果たしたばかりの流通経済大が中央大を相手に嬉しい初勝利を挙げた。
元気のなかった中央大という話はさておき、流通経済大は「旋風」どころではなく
「暴風雨」となって一気に上位を伺おうかという位の素晴らしいチームであること
が分かった。
最初にグランドに登場した流経大フィフティーンを見て、失礼ながらチーム全体に
高校ラグビーの雰囲気が漂っているように感じた。ところが、いざ試合が始まって
みると、まるで昔から1部に居たのでは?と思わせる堂々たる戦いぶりであった。
12分、18分と見事なオープン展開からトライを奪ったあたりまでは,中央大は
受けてるな、ぐらいの感じだったが、36分に流通経済大が3つ目のトライを奪っ
て19-0となるに及んで、これはもしかしたら・・・と、グランドの雰囲気が変わっ
ていくのがひしひしと感じられた。
流通経済大の鋭い出足(とくにFW第3列)に中央フィフティーンはミスを連発。
あせる必要もないのに、奇をてらった作戦を使うなどして、どちらが伝統校か分か
らないシーンもあった。マイボールを簡単にターンオーバーされるなど、FW戦で
の劣勢がそのまま前半のスコア(26-5)に現れたという感じだった。
後半は一転して中央大が意地を見せた!と書きたいところだが、これはスコアの上
でのこと。トライはたくさん取ったが、攻めている時間が長いだけという感じだっ
た。中央大は,前半の流通経済大が見せたリズムに乗った攻めとは対象的に、攻撃
のテンポの悪さを最後まで引きずったままだった。後半36分のトライ(ゴールも
成功)で2点差まで迫り、伝統の力を見せて逆転するかということころまで来たが
届かなかった。
ノーサイドの瞬間、ばったり倒れて動かない中央大フィフティーンを尻目に、たい
して喜ぶでもなく悠然とグランドから引き上げていった流経大フィフティーンの姿
が本日の試合をすべて物語っていたように感じた。前半とはうって変わって押され
っぱなしだったゲーム展開を反省してのことだったとしたら、流通経済大はけっし
て「ルーキー」ではなく、もはや立派な上位校と言っても過言ではないと思う。
いずれにせよ、流通経済大の今シーズンの残り全試合を熊谷ラグビー場で観ること
ができるのは,「熊谷ファン」にとっては嬉しい限りである。
[追想 after 2003]
はからずも「リーグ戦ウォッチャー」となってしまった私にとって「原点」と言え
る試合。この試合を観なかったら、こうしてウェブサイトを立ち上げることもなか
ったかもしれない。流通経済大のパワー不足を補ってあまりある15人の結束力は
観る者に大きな感動を与えた。
このときの流通経済大ラグビーを象徴するようなプレーはFBニールソン(おそら
く学生ラグビー界で最高のFBのひとりだろう。)を起点としたカウンターアタッ
ク。ボール支配の面で劣勢を否めない当時のチーム状態にあっては苦肉の策とも言
えるプレーだったのだが、「流通経済大はどんどん人が湧いてくる」と評された分
厚いカバーリングでボールを繋いでいき得点にまで結びつけてしまうシーンは感動
ものだった。最初のうちは観客席から頻繁に飛んでいた「無謀だ」の声も、いつし
か賞賛へと変わっていったのである。
中央大はこの試合に敗れたことが響き、結果的に前年度の2位から一気に7位に後
退した。しかしながら、翌年は同じ熊谷で中央大のパワーが炸裂しリベンジを果た
す。中央大は3位に浮上し、流通経済大の上位グループ入りの夢は粉砕された。今
思い起こしても背筋が寒くなるくらいの壮絶な試合だった。以来、チームカラーが
全く異なるこの2チームの対戦は、リーグ戦グループの「私的看板カード」のひと
つとなっている。
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