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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1998"

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○観戦記録 関東学院大学 vs 中央大学(1998年9月23日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/09/23) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 2  1  2  0 18 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  37 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 中央大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 1  1  1  0 10 |  17 21 


◎出場メンバー

 関東 : 1.久富 2.下田 3.上田 4.堀田 5.宮村 6.古島 7.宮下 8.山口
      9.池村 10.淵上 11.矢口 12.萩谷 13.吉岡 14.四宮 15.立川
     (16.蔵 17.河田 18.斉藤 19.服部 20.増田 21.水田 22.萩原)

    ○交替  10→22(前40分交代)

 中央 : 1.小宮路 2.塚越 3.高島 4.田中 5.小島 6.山田 7.野村 8.床波
      9.江浦 10.浜田大 11.小野澤 12.西村 13.岩崎 14.内山 15.佐藤誠
     (16.斉藤 17.高橋創 18.萩本 19.飯塚 20.月田 21.平田 22.三沢)

    ○交替  3→18(後7分入替)

 レフリー : 畠本(日本協会)  タッチジャッジ : 桜岡、小川、安井


◎得点経過

 関東学院大学  0   3                6     11 18                  18
                   P                P x    T G           x
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                           x     G
 中央大学    0                                       7          7


 関東学院大学 18      25                    30     37            37
                G                     T      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                  G           P
 中央大学    7        14          17                           17

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半 2分 淵上(PG)
      19分 立川(PG)
      26分 立川(T)
      28分 四宮(T)、立川(G)
    後半 5分 古島(T)、立川(G)
      27分 下田(T)
      34分 立川(T)、立川(G)

 中央:前半38分 田中(T)、佐藤(G)
    後半 7分 岩崎(T)、佐藤(G)
      19分 佐藤(PG)


◎試合内容

リーグ戦グループの開幕戦は、前年度の覇者関東学院大の圧勝に終わった。昨シー
ズンの45点差に比べると今回の20点差は大健闘といえる中央大だったが、ラグビー
の内容の差は歴然。FWの健闘でボール支配率は6−4から7−3で中央だったが、
結局攻めている時間が長かっただけに終わった。他校の様子を見ないと何とも言え
ないものの、中央大は今シーズンも苦しい戦いを強いられそうだ。

[前半の戦い]

前半の戦いではとにかく中央大FWの頑張りが目に付いた。スクラムでプレッシャ
ーをかけ、また速い集散でボールを支配。とくに前半20分位までは90%が関東学院
陣内での戦い。この時間帯で1本でもトライを取れれば中央大が有利に試合を進め
られるところだった。

しかしながら、中央大はFWとBKの連携が今一歩だったことに加えて単純ミスも
重なり得点できず。逆に、少ないチャンスを確実にものにした関東学院が着実に加
点して有利に試合を進める展開となった。関東学院が26分までに挙げた11得点はい
ずれも中央大が自陣で犯したペナルティからの得点。(この試合の反則数は中央大
の21に対し関東学院は11。)

そして、28分には中央大キックオフからのミスに乗じて関東学院WTB四宮が40m
以上独走してトライ。巧みなステップワークと抜群のスピードで相手ディフェンダ
ーを振り切っての見事なトライだった。今年も四宮は暴れそうだ。中央大にとって
残念だったのは、せっかく巧みに確保したキックオフのボールを簡単にターンオー
バーされてしまったこと。その後の試合展開を考えると痛恨のミスだった。

前半38分に中央大はようやく1トライ返すもののちょっと遅かったという感じ。な
お、関東学院のSO淵上は故障のため前半で退き、代わりにSOの位置にFBの立
川が入った。ゴールキックも最初の1本以外は立川が蹴っていた。

[後半の戦い]

後半も開始早々から前半と同じようにFWの健闘で中央大がボールを支配する場面
が多い展開となった。しかしながら、開始5分にまたしても関東学院が中央大が犯し
たペナルティからのワンチャンスをものにして25-7とリードを拡げる。このあたり
でそろそろ勝敗のゆくえが見えてきた。

続く7分には関東学院に気の緩みが出たのかディフェンスが一瞬甘くなり、中央大
はノーホイッスルトライで点差を詰める。中央大FWも元気でスクラムをめくり上
げるほどの健闘。BKに回して果敢に攻めるものの、FWとBKの連携の悪さは解
消されず、関東学院ゴールを脅かすこともなく時間が過ぎていく。

中央大は19分にPGを決めて8点差まで点差を縮めるも、27分と34分に関東学院に
トライを献上し万事休した。いずれも関東学院が組織プレーで無理なく奪った見事
なトライだった。応援していたファンにとっても、実際にプレーした選手達にとっ
ても欲求不満の残る中央大ラグビーの緒戦だった。

[全体的な感想]

関東学院のリーグ戦グループでの戦いを観るのは初めて。やはり噂に違わぬ素晴ら
しいラグビーをするチームだと思った。とにかくピッチに立っている15人がその
局面局面に応じて何をすべきかがよく分かっている。アタックにおいてもディフェ
ンスにおいても常に相手(中大)を人数で上回っていた。前後半80分を通じて技
術的なミスこそあったものの、戦術上のミスはほとんどなかったように思う。

選手個々のフィットネスレベルの高さもなかなかのもの。タックルされても簡単に
は倒れず、ボールを確実にキープ出来るように体勢を立て直そうとしていたことに
そのことはよく表れていた。戦術面、肉体面、普段から練習を積んでいるであろう
ことが伺われました。

関東学院でひとつ気になったのは、中央大FWに押し込まれたスクラム。法政や日
大といったスクラムの強いチームと戦うときの不安材料だと思う。しかしながら、
スクラムを押されながらでも球出しはまったく問題なかったし、ブレークアップは
逆に中央大より速いくらいだった。スクラムは相手チームにとっては狙い目となり
そうだが、決定的な崩しの手段にはならないように思われる。

一方の中央大。残念ながら、期待していた「意識改革」はこの試合には見られなか
った。確かに選手個々は頑張っていたものの、チーム全体としての「意思」が見ら
れず「空回り」といった感じ。ちょっと厳しい言い方をすると「ど根性ラグビー」。
同じタイプのチームには勝てるかも知れないが、ゲームプランのしっかりしたチー
ムには苦戦するような気がする。

体格も体力もそれほど変わらず、練習量だってけっして負けていないはず。だとす
れば何が違うのか? 普段からのラグビーに取り組む意識の差、と言ったら言い過
ぎだろうか。関東学院のラグビーは「とても深い」と思った。
                            (1998年9月23日記)

[回想 after 2003]

関東学院の試合がなかなか熊谷で組まれなかったこともあり、レギュラーシーズン
中にその試合を生で観たのはこの試合が初めてであった。拙発言に対して「それほ
ど褒められた内容ではなかったと思う。」といったようなコメントをもらった。確
かに今読み返してみるとそんな気もする。事実、このシーズンの関東学院は2敗す
るなど、けして盤石の力を発揮していたわけではなかった。

ただ、他のチームの試合からは感じられなかったものがこの「初観戦」で感じられ
たことも事実。関東学院は現在ほどの圧倒的な力こそなかったものの、当時からも
他チームとはひと味違ったラグビーをしていたことだけは間違いなさそうである。

Edited by Kazunori KONO, March/28th/2004   Back