Live Reports from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1998"

1998 Top

○観戦記録 法政大学 vs 専修大学(1998年10月3日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/10/04) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 3  3  3  0 30 |
       :後半: 3  1  1  0 20 |  50 28
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 専修大学  :前半: 0  0  2  0  6 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  23 23 


◎出場メンバー

 法政 : 1.鶴長 2.大西良 3.笠井 4.細川 5.平塚 6.山口 7.田口 8.渡辺庸
      9.岡本 10.内田 11.松下 12.新井 13.西村 14.浦部 15.加賀谷
     (16.赤沼 17.川合 18.矢野 19.崎尾 20.菅原 21.浅野 22.堀江)

    ○交替  7→20(後16分交代)、9→18(後34分入替)、10→17(後34分入替)

 専修 : 1.中村 2.弘中 3.鈴木直 4.田中地 5.河口 6.田上 7.西川 8.田山
      9.森岡 10.大宅 11.谷崎 12.三輪 13.肥後 14.久 15.鈴木慎
     (16.後藤 17.菅藤 18.石川 19.高橋 20.野崎 21.津田 22.沢木)

    ○交替  6→19(前37分入替)、3→16(後0分入替)、14→22(後11分交代)
       

 レフリー : 中原(関東協会)  タッチジャッジ : 不明


◎得点経過

 法政大学    0     7        10   13  20          27   30       30
                     G        P    P   G           G    P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                  P                 xP
 専修大学    0        3                  6                      6


 法政大学   30       33          38 45                 50      50
                 P            T G                  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                         T          T G
 専修大学    6               11         16 23                  23

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 4分 加賀谷(T)、内田(G)
      13分 内田(PG)
      18分 内田(PG)
      22分 新井(T)、内田(G)
      34分 内田(T)、内田(G)
      39分 内田(PG)
    後半 6分 内田(PG)
      19分 松下(T)
      21分 渡辺(T)、内田(G)
      40分 岡本(T)

 流経:前半 7分 河口(PG)
      26分 河口(PG)
    後半14分 高橋(T)
      25分 谷崎(T)
      27分 森岡(T)、河口(G)


◎試合内容

法政、「今年こそ!の優勝に向かって好調のスタート」といえるのはスコアだけだ
った。優勝を狙うにはあまりにもチグハグ。チーム状態を信号機に例えると、「も
うすぐ黄色に変わる青」と言ったところだろうか。一方の専修は、敗れたとはいう
ものの一筋の光明が見えてきた感じ。今シーズンを何とか凌げれば、来シーズン以
降のチーム状態は上向きに転じるのではないかと思う。(ちょっとユニークすぎる
見方かも知れないが...)

[前半の戦い]

とにかく開始から20分までの法政の怒濤の攻めは、凄まじいの一言に尽きた。今
シーズンに観たどのチームよりも強力。FW、BKともパワフルかつスピーディで、
背筋に冷たいものが走るくらいに衝撃的だった。22分までに20-3とリードしたとこ
ろで早くも「勝負有り」を感じさせたほど。このまま行ったら100点ゲームもあ
り得る展開だった。

その後ペースがやや落ちたものの、強力な(というより「いやらしい」)スクラム
を中心にFW戦で専修を圧倒。専修の反撃をPG2本に抑えて前半を30-3で終了。
コンビネーションは今一歩だったものの、法政にとってまずは無難な前半だった。

[後半の戦い]

後半になると、前半の攻め疲れもあったのか、法政がペースダウンする。序盤の得
点は、7分にSOの内田がハーフウェーライン付近から決めたPGの3点のみ。強い
追い風に乗ったとはいうものの、見事なキックだった。

法政が淡泊な攻めを繰り返しているうちに徐々に試合の流れは専修へ。14分に専修
が法政ゴール前で得たPKから速攻により初トライした頃には完全な専修ペースに
なっていた。とにかくFWの反則が多かった法政。高校生でもやらないようなあか
らさまな倒れ込みをした選手も居て、スタンドからは失笑も。そして不可解だった
のは、法政のFWがペナルティに対してまったく下がろうとしなかったこと。当然
の帰結として「ノット・テン・バック」のオンパレードとなった。ラガーマンとし
てのモラルが疑われた。

21分に法政は専修の犯したレイト・チャージに乗じてトライを奪うが、それもつか
の間。専修は25分と27分に立て続けにトライを奪い得点は45-23。勝敗は見えていた
とはいえ、専修も粘りを見せた。大量リードで気の緩みがあったのか「ディフェン
スの法政」らしからぬ失点だった。とくにFW周辺はザルそのもの。2年目で進境
著しい専修の大宅にいいように走られていた。

試合終了間際の40分に法政は1トライを追加して50-23。試合こそ法政の圧勝に終わ
ったものの、何ともピリッとしない法政の初戦の戦いぶりだった。

[全般を振り返って]

法政は相変わらず選手個々の能力が高く、今年も間違いなく優勝争いに絡むことに
なるだろう。しかしながら、昨シーズンの欠点は解消されていないように感じられ
た。とにかく攻撃が一本調子。BKがオープンに展開するときは、ひたすらウィン
グに早くボールを回そうとしているだけといった感じ。

もう一つ法政で気になったのは、時々チームとしての一体感が希薄になる時間帯が
あったこと。例えば、去年に比べて見違えるように逞しくなった平塚。残念ながら、
彼はグランド上から時々「消えて」しまっていた。もちろん、これは平塚が悪いと
いうのではなく、チームとしてどう戦うかと言ったゲームプランがメンバー全員に
徹底されていない結果のように思えた。

逆に専修は徐々だが去年の低迷を脱しつつあるように見えた。SOの大宅に活きた
球が連続して供給されるようになれば、専修の攻撃力は一気にアップするように思
われる。私見ながら、大宅は去年に比べて格段に周りが見えるプレーヤーに成長し
たと感じた。

試合結果とは裏腹に、両校に対して得点とはまったく逆の印象を受けた緒戦の戦い
ぶりであった。                     (1998年10月4日記)

[回想 after 2003]

1998シーズンの法政の特徴を一言で表せば「前半20分までの法政」ということに
なる。キックオフからトップギアでFWとBKが一体になって怒濤の攻めを見せる
のがこのシーズンの法政の戦い方だったように思う。このダイナミックなラグビー
の推進力となっていたのが強力FWだった。笠井、鶴長が第1列を務めるスクラム
は向かうところ敵なし。LOは仕事人の細川とハイタワー平塚がコンビを組み、第
3列にはBK顔負けの高速ランナー達が揃う。

ただ、「今ひとつ(強さが)信じ切れない」のもこのチームの特徴だった。個性的
なメンバーが揃う反面、少しでも歯車が狂うとチームはバラバラになりかねない。
そこを、テンションが下がり欠けている時間帯にはピッチ上でしっかりとメンバー
の尻を叩きながら、チームをまとめ上げることに成功した大西主将のキャプテンシ
ーが一際素晴らしかった。ピッチ上で(愛媛のお国言葉で)檄を飛ばし続けた大西
主将の声は今もしっかり記憶に残っている。

Edited by Kazunori KONO, March/28th/2004   Back