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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/10/10) 於:熊谷ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
法政大学 :前半: 2 2 2 0 20 |
:後半: 5 2 0 0 29 | 49 10
+-----------------+-------------------------------+-------------+
流通経済大学:前半: 1 1 1 1 13 |
:後半: 2 1 0 0 12 | 25 18
◎出場メンバー
法政 : 1.鶴長 2.大西良 3.笠井 4.細川 5.平塚 6.山口 7.菅原 8.崎尾
9.岡本 10.内田 11.山下 12.川合 13.西村 14.浦部 15.加賀谷
(16.赤沼 17.新井 18.矢野 19.渡辺庸 20.加藤 21.浅野 22.堀江)
○交替 8→19(後25分入替)、12→16(前28分入替)、6→20(後31分入替)
4→21(後31分入替)
流経 : 1.友利 2.猪狩 3.菅野 4.川井 5.中西 6.沼尻 7.横山 8.市原
9.後藤 10.加瀬 11.島名 12.田嶋 13.大島 14.岩崎 15.阿部
(16.荒井 17.和田 18.島田 19.中込 20.田草川 21.伊藤 22.野瀬)
○交替 15→22(後16分入替)、8→19(後17分入替)、7→18(後21分入替)
10→21(後21分入替)、3→16(後21分入替)、9→20(後21分入替)
レフリー : 石本(九州協会) タッチジャッジ : 不明
◎得点経過
法政大学 0 3 10 17 20 20
P G G P
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G P D
流通経済大学 0 7 10 13 13
法政大学 20 25 32 39 44 49 49
T G G T T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G T
流通経済大学 13 20 25 25
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
法政:前半 3分 内田(PG)
7分 浦部(T)、内田(G)
22分 内田(T)、内田(G)
40分 内田(PG)
後半 1分 岡本(T)
11分 西村(T)、内田(G)
14分 崎尾(T)、内田(G)
22分 加賀谷(T)
28分 加賀谷(T)
流経:前半18分 後藤(T)、加瀬(G)
25分 加瀬(PG)
28分 加瀬(DG)
後半 5分 横山(T)、加瀬(G)
43分 野瀬(T)
◎試合内容
この試合を観た率直な感想は、「勝負ってこんなものなのかなぁ」ということ。法
政の今シーズンのトレードマークになるかも知れない驚異の「スタートダッシュ」
を何とか凌ぎ、前半を7点のビハインドで終えることができたのは、流通経済大に
とっては計算以上の健闘ではなかったかと思う。
後半、法政の足が止まった所を見越して展開力勝負に持ち込み、着実にトライを奪
って法政の息の根を止めるというシナリオが実現しそうな予感すらさせる流通経済
大の戦いぶりだった。あのプレーがなかったら...。後半開始早々の無謀とも言
えるアタック(相手キックオフのボールをタッチアウトせずにオープン展開。結果
的にミスをしてしまい、法政に開始早々のトライを許してしまった。)が本当に悔
やまれる。
このプレーは流通経済大にとって逆転への強い意志の表れかも知れないし、開始早
々の集中しきれていない時間帯に相手の意表を突くという意図があったのかも知れ
ない。また、ひょっとしたら自分たちのBK攻撃に対する自信が過信になっていた
のかも知れまない。1部昇格2年目のチームの「若さ」が出てしまった。
[前半の戦い]
予想通り、20分くらいまでは圧倒的に法政の時間帯。専修戦でも見せたFW、BK
一体となった強力な縦攻撃が炸裂する。専修戦で見慣れてしまったためか、迫力は
やや劣る感じもしたが、それにしても凄い破壊力。
しかしながら、20分過ぎで強力FWの足が止まってしまうのも法政。FWを休ませ
るためか、BK展開を試みるもののミスで失敗し相手にボールを渡してしまう、と
いうことも定番化しつつある。法政は22分に2本目のトライ(ゴール成功)で17点
を挙げると、以後、沈黙してしまった。
18分に流経のSH後藤がラックから抜け出して約30m独走してトライを奪ったあた
りから徐々に試合は法政陣内で行われるようになる。25分、28分にそれぞれSO加
瀬がPG、DGを決めるなど試合は完全な流通経済大ペース。ただ、日大戦での消
耗もあったのか、本日の流通経済大はFBニールソンの負傷欠場の影響か、BKの
コンビネーションが今一歩だった。
法政は、終了間際の39分、PGによりようやく得点を追加したが、前半を終わって
の7点ビハインドは流通経済大にとっては予想以上の健闘。FWの局地戦では相変
わらず苦労したものの、グランドを広く使う展開力勝負に持ち込めば流通経済大に
も十分勝機ありを思わせた前半の戦いだった。
[後半の戦い]
冒頭にも書いたように、後半開始早々、流通経済大は無謀とも言える自陣からのア
タックに失敗して失点。加瀬が定石通りボールをタッチアウトしていればまったく
問題ない場面だった。積極性は買えるが、先にも書いたように本日の流通経済大の
BKのコンビネーションは今一歩。パスがぎこちなく、アタックの意思統一も図ら
れていなかったように感じられた。
とはいっても、まだまだ挽回可能。流通経済大は7分に1トライ返して20-25。法政
のFWもやや元気をなくしかけていた。
しかしながら、12分に法政に起死回生のプレーが出る。SO内田の流通経済大陣深
くを狙ったハイパントをCTB西村がダイレクトでスーパーキャッチ。そのまま西
村がインゴールに飛び込んだ。そして続く14分にはゴール前ラインアウトからNo.8
の崎尾がトライを奪い、それぞれゴールも成功して得点差は一気に19点(20-39)に
拡がった。ひたすら「前へ!前へ!」の法政だった。
その後14分から22分の間には、流通経済大は欠場したニールソンに替わって頑張っ
ていたFB阿部、ゲームキャプテンのNo.8市原、SO加瀬、FL横山、SH後藤と
いった主力メンバーが相次いで交代しチームは混乱状態となった。法政は22分と28
分にそれぞれトライを奪いリードを29点に拡げる。ここでゲームは完全に決まった。
専修戦では後半ほとんど沈黙していた法政のFWがやたら元気。主将の大西はまる
で別人のようだった。
このまま行くとチームが崩壊してもおかしくない流通経済大。コンビネーションが
ガタガタになりながらも、最後まで諦めず果敢にアタックを試みていたのがせめて
もの救い。終了間際に1トライ返したのは立派だった。
[全般を振り返って]
伝統の力の差、といってしまえばそれまでかも知れないが、チーム状態がけして良
くなくても勝ってしまう法政の強さを感じた試合だった。流通経済大は、3年生な
がらチームの精神的な支柱と言ってもいいニールソンの欠場が本当に痛かった。
法政は今年も関東学院、日大とともに優勝争いをすることになると思う。チーム状
態に波があり、今一つ信じ切れないところあるにはあるのだが..。本日の戦い次
第ではチーム崩壊の(潜在的な)危機もあっただけに、本日の勝利は大きな1勝だ
ったといえるのではないだろうか。
流通経済大は昨シーズンも渡辺主将の不在時には苦しい戦いを強いられている。ま
だチーム力が盤石のものになっていないということだろうか。しかしながら、流通
経済大は去年に比べて、日大に対しても、法政に対しても互角に近い勝負を挑める
くらいにまで成長している。選手層の薄さという不安要因もあるが、自分たちの戦
い方を崩さずに頑張って欲しいところである。 (1998年10月4日記)
[回想 after 2003]
法政のCTB西村のスーパートライ(後半11分)の場面は今でもしっかり目に焼
き付いている。「ハイボールに強い西村」を強力にアピールした瞬間でもあった。
リーグ戦グループの(とくに熊谷での)試合はほとんど映像に残ることがないのが
本当に残念である。帰り際にスタンドで見かけたニールソン(松葉杖姿だった)の
表情が心なしか悔しそうだったことも印象に残っている。
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