Live Reports from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1998"

1998 Top

○観戦記録 大東文化大学 vs 流通経済大学(1998年10月24日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/10/24) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 2  2  0  0 14 |  14 15
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 流通経済大学:前半: 2  0  3  0 19 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  38  9 


◎出場メンバー

 大東 : 1.亀田 2.松尾大 3.田口 4.白水 5.生沼 6.河端 7.露木 8.バツベイ
      9.苫米地 10.松尾健 11.太田幸 12.赤羽根 13.筑井 14.山内智 15.マナコ
     (16.井上 17.菊地 18.大庭 19.脇屋 20.阿部 21.佐藤 22.田中誠)

    ○交替  10→20(交代)、7→19(入替)、20→22(入替)


 流経 : 1.友利 2.猪狩 3.菅野 4.和田 5.中西 6.沼尻 7.横山 8.市原
      9.後藤 10.加瀬 11.田嶋 12.伊藤武 13.大島 14.岩崎 15.ニールソン
     (16.荒井 17.川井 18.渡辺 19.中込 20.田草川 21.野瀬 22.島名)

    ○交替  14→22(入替)、7→18(入替)       


 レフリー : 藤実(関東協会)  タッチジャッジ : 中原、森、神久


◎得点経過

 大東文化大学  0                                                  0
                 
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             P     P      T             P  x    T   x
 流通経済大学  0   3     6      11            14      19         19


 大東文化大学  0                        7 14                     14
                                  G G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
               G  G                           T  x
 流通経済大学 19     26 33                          38           38

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:後半23分 バツベイ(T)、マナコ(G)
      23分 田中誠(T)、マナコ(G)

 流経:前半 2分 加瀬(PG)
       8分 加瀬(PG)
      15分 岩崎(T)
      29分 加瀬(PG)
      37分 ニールソン(T)
    後半 4分 横山(T)、加瀬(G)
       7分 ? (T)、加瀬(G)
      35分 加瀬(T)


◎試合内容

日大、法政相手に健闘しながらも結果を出せなかった流通経済大が3戦目にして嬉
しい1勝目を挙げた。今期出足好調の大東大に自分たちのラグビーをほとんどさせ
ない完勝といっていい内容。「4強」へのリベンジシリーズ最終戦となる来週の関
東学院戦が俄然面白くなってきた。

本日は昨夜来の雨。何やらいや〜な予感が。思い起こせば昨年度の熊谷での両チー
ムの対戦も雨だった。セットプレーはほぼ互角だったもののハンドリングミスが相
次ぎ自滅してしまった流通経済大。それに引き替え、スリッピーなコンディション
をものともせず、ロングパスを平気で通していた大東大。流通経済大終盤の猛追も
あと一歩届かず、僅か5点差で大東大がきわどい勝利を収めた試合だった。

しかしながら、この日はそのまったく逆になってしまったのだから、勝負は分から
ない。大東大に(らしくない)ハンドリングミスが相次ぎ、前半、大東大はまった
く主導権を握ることが出来なかった。また、技に溺れたというか、窮地を無理なパ
スなど個人技でカバーしようとしたのも失敗だった。組織プレーでやれるところま
でやって、どうにもならないところを個人能力でカバーするのがラグビー。あくま
でも15人で戦う流通経済大がよいお手本を見せてくれた。

[前半の戦い]

秩父宮に着いたところで、まずは選手名の確認。ケガの状態が心配だったニールソ
ン、加瀬に加えて、ようやく伊藤主将が戦列に復帰。FWにもいつもの顔が揃って
おり、まずは一安心。グランドに登場したフィフティーンには、これまでとはどこ
か違う、強固な一体感が感じられた。

試合は序盤から終始流通経済大ペース、というよりも大東大が凡ミスのため自らリ
ズムを崩してしまったという方が正解。けっして目が覚めていなかったというわけ
ではないが、攻撃権を握ることが出来なければ、大東といえどもどうにもならない。
2分、8分に自陣で犯したペナルティからPKを決められるなど、試合の主導権をあ
っさり流通経済大に渡してしまった。

15分には極めつけのミスが。ドロップアウトからオンサイドキックでマイボール確
保を狙った大東大SO松尾が失敗してノックオン。このボールを流通経済大に確保
されてトライを許してしまった。また、このプレーが原因で松尾は負傷退場してし
まう。大東大にとっては泣きっ面に蜂で、期待のルーキーSOにとってはとても苦
い薬になってしまった。

29分には加瀬が確実にPGを決めるなど、「雨に日は相手陣内で」を確実に実行す
る流通経済大。もちろん、流通経済大が鋭いタックルとプレッシャーで大東大の攻
撃の芽をしっかり摘んでいたことも印象に残る。大東大はただでさえ少ないマイボ
ールのチャンスもほとんど活かすことが出来なかった。

そんな流通経済大優位で試合が進む中の37分、その流通経済大に素晴らしいトライ
が生まれる。ゴール前左のラインアウトから右オープンに展開。SO加瀬のループ
が入って右ウィングから最後はFBニールソンにボールが渡ってゴール右隅へ。オ
ープン攻撃のお手本のような会心のトライだった。

自らに原因があるとはいえ、大東大は何もできないまま前半が終了した。

[後半の戦い]

前半は予想外の無得点。いくら寝覚めが遅いといっても大東大は何とかしなければ
ならない。しかしながら、4分、7分に相次いで流通経済大にトライを許してしまい
まったくペースに乗れない。7分のトライは流通経済大のPGの失敗に起因するもの
だが、FBマナコがインゴールで確実にフェアキャッチしていれば防げた失点だっ
た。(マナコがノックオンしたボールを流通経済大選手が抑えてトライ。)

さすがに黙っていられなくなった大東大は、10分頃からようやく8-15ライン(バツ
ベイとマナコ)を軸とした縦攻撃で反撃に出る。前半大健闘した流通経済大FWに
疲れが見えてきたことと、どうしてもディフェンスに人数をかけなければならない
こともあって、しばしば大東大が大きくゲインする場面が見られるようになった。

大東大は23分にゴール前ラインアウトからモールを押し込んでNo.8バツベイがトラ
イ。右隅からのゴールをマナコが見事に決めて26点差。また、25分にも流通経済大
ラインアウトのボールを奪ったマナコを起点とした強力な縦攻撃でトライを奪い、
これもゴール成功で一気に大東大のビハインドは19点。この点差は、残り時間と大
東大の勢い(+攻撃力)から考えて十分逆転可能。去年とはまったく逆パターンの
試合展開となった。

しかしながら、大東大の猛攻に足が止まりかけながらも流経大の15人は最後まで
切れることなく守り続ける。35分に加瀬が相手DFのスキをついてPからクイック
で仕掛けてトライを決めたところで、ゲームはジ・エンドとなった。

[全般を振り返って]

グランド上の15人が当たり前のことを当たり前にやる、これを80分間やり続け
ることが出来れば自ずと結果はついてくるということを実感させてくれた流通経済
大の15人ラグビーだった。

一方、いいところなく終わってしまった大東大だが、この敗戦を薬にして頑張って
欲しいところ。チームが崩れてしまったわけではないので、この敗戦が尾を引くこ
ともないと思う。むしろ、ここで躓いたことが今後の強豪チームとの戦いで有利に
作用することも考えられる。チームとしてまとまれば、大東大は間違いなく大学最
強の攻撃力を持っているのだから。           (1998年10月24日記)


[回想 after 2003]

この試合で印象に残っている選手は、なぜか負傷退場してしまった大東大SOの松
尾健。東福岡高校出身の期待のルーキーで以後4年間、紆余曲折を経ながら大東大
BK陣の中心選手として活躍することになる。学生随一の超ロングキックに正確な
プレースキック、そして果敢に仕掛けるアタックのセンスなど非凡なところを多く
持っていたものの、大学の4年間でその才能が開花するに至らなかったように思う。
昨年始まったトップリーグでNECのレギュラーSOとして活躍する彼の姿を見て
大変嬉しく思った。桜のジャージを目指して頑張って欲しい。

Edited by Kazunori KONO, March/25th/2004   Back