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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/10/31) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
関東学院大学:前半: 1 0 1 0 8 |
:後半: 0 0 2 0 6 | 14 11
+-----------------+-------------------------------+-------------+
流通経済大学:前半: 2 1 1 0 15 |
:後半: 2 0 0 0 10 | 25 15
◎出場メンバー
関東 : 1.狩野 2.下田 3.古野 4.川井 5.斉藤 6.古島 7.宮下 8.山口
9.池村 10.淵上 11.矢口 12.萩谷 13.吉岡 14.四宮 15.萩原
(16.武田 17.蔵 18.大塚 19.原 20.増田 21.今村友 22.角濱)
○交替 3→17(後7分交代)、3→18(後28分入替)、15→22(後28分入替)
12→21(後28分入替)
流経 : 1.友利 2.猪狩 3.久保木 4.中西 5.和田 6.沼尻 7.横山 8.市原
9.後藤 10.加瀬 11.田嶋 12.伊藤 13.大島 14.岩崎 15.ニールソン
(16.菅野 17.戸邊 18.中込 19.渡辺 20.田草川 21.島名 22.阿部)
○交替 なし
レフリー : 桜岡(日本協会) タッチジャッジ : 谷口、鬼澤、八木澤
◎得点経過
関東学院大学 0 3 8 8
P T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P T G
流通経済大学 0 3 8 15 15
関東学院大学 8 11 14 14
P P
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
T T
流通経済大学 15 20 25 25
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
関東:前半 5分 吉岡(PG)
18分 淵上(T)
後半 5分 吉岡(PG)
13分 吉岡(PG)
流経:前半23分 加瀬(PG)
25分 田嶋(T)
30分 ニールソン(T)、加瀬(G)
後半 9分 田嶋(T)
31分 沼尻(T)
◎試合内容
翌日の新聞報道によれば、流通経済大のこの勝利は「金星」とのこと。来シーズン
以降は流通経済大に何かいいこと(例えばボーナスポイントが付く)があるのか?
というような屁理屈は別にしても、「金星=番狂わせ」という意味合いでこの言葉
が使われたのなら、ちょっと考え直してほしいと思う。
お互い着るジャージを間違えたのではないかと感じられたくらい、流通経済大の戦
いぶりは堂々たるものだった。関東学院が不調ということは割り引いても、もはや
流通経済大がリーグ戦Gのトップチームの一つになったことがこの試合で確実にな
ったと言えそう。まだまだ課題は多いものの、流通経済大は正月の国立へ確実に一
歩近づいた。
[前半の戦い]
秩父宮に着いて関東学院のメンバーを見た瞬間、これはひょっとしたら流経はいけ
る(勝てる)のではないかと思った。立川主将が欠場していたこと以上に、FWの
レギュラーメンバーに欠場者が多かったことがその理由。FWのボール支配率が3
対7(劣勢)でも得点面では5分の勝負ができるのが得点能力に優れた流通経済大
のラグビー。FWが5分5分なら相手チームは負けを覚悟しなければならない。
そんなことを予感させながらの、9月上旬の異常な暑さの中で試合が開始された。
両チームとも暑さに参ってしまった訳でもないのだろうが、序盤からミスが相次い
だ。とくに、先週の大東大戦勝利の影響か、明らかに流通経済大は集中力を欠いて
いた。ニールソンまでがイージーなノックオンをしてしまったくらい。
序盤は流通経済大のミスにつけ込んだ関東学院のペースで試合が進んだ。力強さは
ないものの、さすがと思わせるボールの繋ぎでしばしば流通経済大ゴールを脅かす。
ただ、あと一歩が越えられず、前半の得点は5分のPGと18分の淵上のトライの計
8点のみ。圧倒的に攻めていてもなかなか点が取れない、まったく「らしくない」
関東学院だった。
ミスが多くなかなかリズムに乗れない流通経済大だったが、23分にPGによる3点
を返してから、徐々に自分たちのペースで試合を進めるようになった。その直後の
24分には流通経済大キックオフのボールを関東学院がモールから右オープンに展開
したところを流通経済大のNo.13大島君がインターセプト。フォローしたNo.11の田
嶋君が左隅にトライして同点に。(このときの大島の後ろを振り返りながらのラン
ニングが面白かった。)
とにかく関東学院のFWには元気がまったく見られない。ついこの間法政や日大に
圧倒されていたはずの流通経済大FWにスクラムやモールを押しまくられたりと、
今後の戦いに大きな不安を残す展開。30分にはマイボールラインアウトを奪われて
流通経済大にトライを許すなど、ぴりっとしなかった。
[後半の戦い]
逆転のために何とか自分たちのリズムに戻したい関東学院だったが、逆にFWの足
が止まってしまうなど、逆転を当然のことと考えている関東学院ファンの期待を裏
切り続ける展開。何度も流通経済大ゴール前まで迫りながらも最後の一線が越えら
れずに、5分と13分にPGを返すのがやっとで、後半は結局ノートライに終わって
しまった。
一方の流通経済大もミスが多いのは相変わらず。ただ、ミスが起こってもカバーリ
ングがしっかりしているため、致命傷にならずに済んだ。また、タックルされても
なかなか倒れないなど、局面局面でボールを活かすという意識が全員に徹底されて
いたことが、とぎれがちな攻撃のリズムをなんとかつなぎ止めたという感じだった。
結局、9分と31分に1トライずつ追加した流経大が、前半に逆転して以降関東学
院に一度もリードを許すことなく勝利を収めた。
[全般を振り返って]
この試合のMVPはなんと言ってもFBのニールソン。今シーズンは昨シーズンに
比べて肉体面がさらに強化されたため、攻撃、守備両面での安定感が増したという
感じ。着実にサクラのジャージ(を選んでほしい)に近づいているということを感
じられたラグビーファンも多いのではないだろうか。
一方の関東学院。本日の戦いを見る限り、たとえベストメンバーが揃ってもチーム
を立て直せるかどうかは疑問。流通経済大に押しまくられたFWの弱さが一番気に
なるところあが、選手たちに去年のチームに見られた「いやらしさ」や「ふてぶて
しさ」がなくなっているのが一番気になるところ。敗れるにしても、もう少し抵抗
してほしいところだった。 (1998年10月31日記)
[回想 after 2003]
流通経済大の見事な勝利だった。その後から現在に至るまで関東学院がリーグ戦で
敗れたのは法政戦(2敗)のみであることを考えると貴重な白星と言えそうである。
この2チームは翌年も接戦(23-14で関東学院が辛勝)を演じている。両校は良き
ライバルとして以後ずっとリーグ戦グループを盛り上げる存在となることが期待さ
れたのだが、流通経済大が2001シーズンにチーム力を落として後退してしまった。
流通経済大の選手達の意識は、おそらくこの試合まではチャレンジャー。しかしな
がら、その後の戦いぶりを見ていると、関東学院に勝利したことが自信よりもむし
ろ慢心を生んでしまったようにも思える。精神的な支柱としてチームを引っ張って
きたニールソンの卒業でこのことが一気に顕在化したのが2001シーズンの不振(6
位)ではなかっただろうか。
それにしても、レギュラー選手を何人か欠いていたとはいえ、FWで圧倒される関
東学院という記述には昔日の思いを感じる。
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