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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1998"

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○観戦記録 関東学院大学 vs 大東文化大学(1998年11月8日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/11/08) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 3  2  0  0 19 |
       :後半: 6  5  0  0 40 |  59 10
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 大東文化大学:前半: 3  2  1  0 22 |
       :後半: 1  0  0  0  5 |  27 12


◎出場メンバー

 関東 : 1.狩野 2.下田 3.上田 4.川井 5.堀田 6.古島 7.宮下 8.山口
      9.池村 10.淵上 11.矢口 12.萩谷 13.吉岡 14.四宮 15.萩原
     (16.桜井 17.蔵 18.斉藤 19.米元 20.増田 21.椎村 22.角濱)

    ○交替  12→21(後33分交代)、2→17(後36分入替)


 大東 : 1.亀田 2.松尾大 3.田口 4.白水 5.マウ 6.河端 7.脇屋 8.バツベイ
      9.苫米地 10.筑井 11.田中誠 12.赤羽根 13.高木 14.山内智 15.太田幸
     (16.井上 17.中込 18.片岡 19.露木 20.阿部 21.佐藤 22.畑山)

    ○交替  10→20(後29分入替)、9→21(後39分入替)       


 レフリー : 石井(関東協会)  タッチジャッジ : 高尾、倉田、並木


◎得点経過

 関東学院大学  0                    7   12      19               19
                                    G   T       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             P   T G      G
 大東文化大学  0   3   8 15     22                               22

 関東学院大学 19              26 33 40      47   54 59           59
                        G  G  G       G    G  T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                   T
 大東文化大学 22         27                                      27

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 関東:前半19分 下田(T)、吉岡(G)
      23分 矢口(T)
      31分 矢口(T)、吉岡(G)
    後半13分 四宮(T)、吉岡(G)
      16分 下田(T)、吉岡(G)
      19分 四宮(T)、吉岡(G)
      27分 萩谷(T)、吉岡(G)
      32分 萩原(T)、吉岡(G)
      35分 矢口(T)

 大東:前半 2分 苫米地(PG)
       6分 筑井(T)
       8分 赤羽根(T)、苫米地(G)
      15分 白水(T)、苫米地(G)
    後半 8分 筑井(T)


◎試合内容

考えれば考えるほどさっぱり解らないゲームだった。前日に隣のBグランドで行わ
れた試合(流通経済大 vs 山梨学院)の流通経済大のゲームコントロールは見事だ
った。それとは全く正反対だったのが、その翌日に行われたこのゲーム。ラグビー
の面白さの点では甲乙付け難いが、こちらの試合の方が疲労感が残ったことだけは
確かだ。

もちろん、学生ラグビーのスタンダードから見れば、このゲームは普通のゲームと
いえるかもしれない。数年前だったら私もそう思っただろう。でも、毎週のように
流通経済大のラグビーを見ていると、どうしても「このゲームはやっぱりおかしい
ぞ」と思ってしまう。

[前半の戦い]

開始早々のPGを皮切りに大東大の怒濤の攻撃が始まる。というよりも関東学院が
完全に眠っていたという感じ。マウとバツベイのトンガコンビの突進や俊足BK陣
のアタックに全く抵抗できず、開始15分にして3トライを奪われて早くも22-0。こ
れはひょっとしてリーグ戦Gでは久々の100点ゲームが誕生するのでは?思わせ
たくらいの壮絶な序盤戦となった。

しかしながら、17分過ぎの関東学院キックオフ直後に、おそらくこの試合の流れを
変えてしまったであろうと思われるプレーが大東大に出た。FWから出たボールを
SOの筑井主将はタッチアウトせずにオープンに展開。結局これが失敗に終わり関
東学院に初トライを許してしまった。

もしかしたら、筑井主将の頭には、「関東学院は相当混乱しているので、ここでさ
らに1トライ奪えば完全に息の根を止めることができる。」という判断があったの
かもしれない。しかしながら、相手は眠っていてもライオン。このプレーが関東学
院の闘志を呼び覚ましたであろうことは想像に難くない。また、無理にギャンブル
する試合展開でもなかったように思われた。以後、キックオフでのノット10Mな
ど大東大にミスが出たこともあり、試合の流れはどんどん関東学院の方に傾いてい
った。

もっとも、ここで筑井主将だけを攻めることはできない。あまりにも簡単にトライ
が取れてしまったことで、大東のチーム全体に楽観ムードが漂ってしまったことも
事実。問題のプレーの直前にも「兆候」はあった。15分のトライはBK並の走力を
持つLOの白水がPKのチョン蹴りから1人で持ち込んだもの。「狙え」という声
も出ていたが、個人の判断で行ってしまったように見えた。結果オーライだったも
のの、チーム戦術としては疑問が残る。

[後半の戦い]

それでも前半は22-19と大東大が辛くも3点リードで終了。大東大には仕切直しの時
間も余裕もまだまだあった。8分にはやっと本来の大東の形のトライ(FWとBK
で繋ぎまくるラグビー)が出てリードを8点に拡げ、大東大は持ち直すかに見えた。

しかしながら、このトライも関東学院に傾いてしまった試合の流れを引き戻すこと
ができず、関東学院の怒濤(まさに怒り)の連続攻撃の前に大東大はほとんど無抵
抗で、後半だけでも6トライを浴びてあえなく沈没してしまった。前半(の前半)
にはまったくいいところがなかった関東学院のFWが汚名返上とばかりに走り回っ
ていたのが印象的。速い球出しをサポートしたラックでのボディコントロールには
さすがと思わせるものがあった。

常に相手陣内で試合をすることを心がけるなど、王者の片鱗を見せてくれた関東学
院。最終スコアは59-27だったが、逆も十分あり得た。いや、むしろその可能性の
方が高かっただけに、大東大にとっては何とも悔いの残る試合となってしまった。

[全般を振り返って]

開始15分までの関東学院、それ以降の関東学院、さらに言えば1週間前の流経大
戦での関東学院、どれを信じていいのかさっぱり分からない。でも、おそらくどれ
も真の関東学院の姿だろう。要するにチーム状態は不安定そのもので、危機的状況
とも言えそうだ。

一方の大東大。「創造性」は大切にしてほしいが、もう少しきめ細かなラグビーが
できないものかと思った。試合後によく聞かれる「ウチらしい」というコメントも
今日ばかりは洒落にならない。              (1998年11月8日記)


Edited by Kazunori KONO, March/28th/2004   Back