|
関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/11/22) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
関東学院大学:前半: 3 1 2 0 23 |
:後半: 0 0 3 0 9 | 32 7
+-----------------+-------------------------------+-------------+
法政大学 :前半: 3 3 0 0 21 |
:後半: 1 1 2 0 13 | 34 12
◎出場メンバー
関東 : 1.狩野 2.下田 3.上田 4.堀田 5.宮村 6.古島 7.宮下 8.山口
9.池村 10.淵上 11.矢口 12.萩谷 13.吉岡 14.四宮 15.萩原
(16.桜井 17.蔵 18.川井 19.服部 20.増田 21.椎村 22.角濱)
○交替 14→22(後2分交代)
法政 : 1.鶴長 2.大西良 3.笠井 4.細川 5.平塚 6.山口 7.田口 8.崎尾
9.岡本 10.内田 11.松下 12.川合 13.西村 14.浦部 15.加賀谷
(16.二口 17.新井 18.矢野 19.渡邊 20.若木 21.岡 22.堀江)
○交替 4→21(後23分交代)、1→22(後35分入替)
レフリー : 森(日本協会) タッチジャッジ : 坂本、矢木沢、佐々木
◎得点経過
関東学院大学 0 3 8 11 16 23 23
P T P T G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G G G
法政大学 0 7 14 21 21
関東学院大学 23 26 29 32 32
P P P
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
x T P P
法政大学 21 28 31 34 34
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
関東:前半13分 吉岡(PG)
18分 古島(T)、吉岡(G)
23分 吉岡(PG)
27分 矢口(T)
31分 淵上(T)、吉岡(G)
後半20分 吉岡(PG)
24分 吉岡(PG)
35分 吉岡(PG)
法政:前半 7分 浦部(T)、内田(G)
16分 浦部(T)、内田(G)
39分 崎尾(T)、内田(G)
後半 6分 笠井(T)、内田(G)
30分 内田(PG)
40分 内田(PG)
◎試合内容
試合の重要性、プレーヤーのレベル、そして試合内容の3拍子揃った、学生レベル
の試合では近年まれにみる好ゲームだったと思う。試合の流れがどちらのチームに
も大きく傾くことなく、最後まで勝負の行方がまったく分からない展開。どちらが
勝っても(負けても)納得できる、とても後味が爽やかな試合だった。両チームが
戦った80分間、グランド上にはラグビーの面白さのすべてがあったと言っても過
言ではない。
[前半の戦い]
序盤はお互いに堅さが取れず、一進一退を繰り返す展開。さすがの法政もこれまで
通りの爆発的なスタートダッシュをかけることができないかに見えた開始7分、法
政にスーパープレーが飛び出した。流通経済大戦の後半で見せたプレーの再現だっ
た。今回はハイパントをダイレクトキャッチしたCTB西村がそのままトライ、と
いうわけには行かなかったものの、WTB浦部の見事なトライにつながるプレーと
なった。(故障が十分に癒えていないのか、関東学院のFB立川のプレーには安定
感が欠けていた。)
13分に関東学院がPGで3点返すものの、法政は16分に再びハイパントを起点とし
たプレー(今回は相手ボールをターンオーバーしたものだったが)でトライを奪う
など、法政のよい面ばかりが目立つ序盤戦の戦いだった。しかしながら、これが今
までと違うところだが、不思議なくらい試合の流れが法政に傾かない。むしろ、リ
ードしている法政の方が浮き足立ってしまったという感じを受けた。
法政は、18分(トライ)、23分(PG)、27分と31分(いずれもトライ)と関東学
院に連続得点を許し、前半に9点リードされた。このような展開は今シーズンの法
政にはまったく見られなかったもので、逆にこのまま試合の流れは関東学院に傾く
かに見えた。しかしながら、今年の法政はひと味違っている。39分に得意のライン
アウトを起点としたNo.8崎尾の気迫がこもったトライが、元気がなくなりかけてい
たチームメイトを大いに勇気づけることになったと思われる。
結局、前半はお互いに主導権を握れないまま終了。この時点ではどちらが勝つかま
ったく予想できなかった。
[後半の戦い]
前半はキックを多用した法政が、後半はFWのサイドアタックを起点としたオープ
ン攻撃を展開。SHがNo.8の位置に入ってNo.8がスクラムにボールを投入するプレ
ーや、流通経済大が十八番としているようなループパスまで見せてた。開始6分に
ペナルティの速攻からトライを奪い逆転に成功した場面(28-23)では、今度こそ
法政が主導権を握ったかに思えた。
しかしながら、ここでも試合の流れは法政には傾かずに、両者めまぐるしく攻守が
入れ替わる展開に。法政FWの素早い集散とBKの強力なタックルがひときわ印象
に残る。また、関東学院はFWとBKで巧みにボールを繋いでいくラグビーを披露。
両チームともあと一本のトライが奪えないなかで、試合はいよいよ残り20分を残す
のみとなった。
この試合の最後の20分はとにかく手に汗握る試合展開。24分に関東学院が逆転する
と、PKが1本決まるごとにリードするチームが入れ替わる、両チームのファンや
関係者にはまったく胃が痛くなるような終盤の戦いぶりとなった。結局、チームと
しての一体感や勝利への執念が関東学院より若干上回っていた(ように見えた)法
政の方に勝利の女神が微笑む結果となった。
[全般的な感想]
僅差で勝ったとはいっても、ここは見事にリーグ優勝を決めた法政ラグビーを讃え
たいと思う。「シンプル・イズ・ベスト」、これに力強さとスピードが加わったラ
グビーが実は一番強いということがよくわかった今シーズンの法政の戦いぶりだっ
た。それと、もう一つ強調しておきたいのは、少々主力が欠けても戦力ダウンしな
い法政の選手層の厚さ。各試合における出場メンバーを見ると一目瞭然だが、法政
は常にグランド上の15人だけでなく、リザーブを含めた22人+アルファで戦っ
ていた。
けが人に泣かされたこともあって、シーズンを通してベストの状態を維持すること
ができたとは言い難い他のチーム(関東学院、日大、大東大、そして流通経済大の
各校)のことを思うと、よけいにそんなことを感じた。 (1998年11月22日記)
|
|