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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/11/23) 於:熊谷ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
流通経済大学:前半: 0 0 0 0 0 |
:後半: 3 1 0 0 17 | 17 17
+-----------------+-------------------------------+-------------+
中央大学 :前半: 3 3 1 0 24 |
:後半: 3 2 2 0 25 | 49 18
◎出場メンバー
流経 : 1.友利 2.猪狩 3.久保木 4.中西 5.和田 6.沼尻 7.横山 8.市原
9.後藤 10.加瀬 11.田嶋 12.伊藤 13.大島 14.岩崎 15.ニールソン
(16.菅野 17.戸辺 18.中込 19.島田 20.田草川 21.関 22.阿部)
○交替 14→21(前36分交代)
中央 : 1.大室 2.塚越 3.斉藤 4.田中 5.小島 6.山田 7.野村 8.床波
9.平野 10.浜田大 11.小野澤 12.佐藤 13.下別府 14.内山将 15.三沢
(16.高島 17.高橋創 18.臼井 19.江浦 20.月田 21.首藤 22.近藤)
○交替 8→17(後34分交代)
レフリー : 中原(関東協会) タッチジャッジ : 西村、斉藤、神田
◎得点経過
流通経済大学 0 0
x x
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G x G G P
中央大学 0 7 14 21 24 24
流通経済大学 0 7 12 17 17
x G T T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P P T G G
中央大学 24 27 30 35 42 49 49
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
流経:後半 5分 横山(T)、加瀬(G)
13分 市原(T)
37分 ニールソン(T)
中央:前半10分 小島(T)、佐藤(G)
28分 内山(T)、佐藤(G)
31分 三沢(T)、佐藤(G)
40分 佐藤(PG)
後半10分 佐藤(PG)
15分 佐藤(PG)
28分 塚越(T)
30分 田中(T)、佐藤(G)
32分 内山(T)、佐藤(G)
◎試合内容
両チームの目的意識の違いが明確にゲームに出た、と言ったら安直すぎるだろうか。
この試合に勝てば大学選手権出場(5位以内)への展望が大きく開けてくる中央大
ががむしゃらに勝ちに来ることは流通経済大もよく分かっていたはず。しかしなが
ら、それを止めることができなかったところに、今シーズンの流通経済大のラグビ
ーの限界を感じた試合だった。
「ラグビーは気合い!」は大学ラグビーでも、高校ラグビーでも、社会人でも、そ
して国際マッチでも同じはず。「泥臭さ」はラグビーの原点であり、その大切さや
魅力がよく分かる試合だった。流通経済大にとっては残念な結果となったが、法政
や関東学院に近づくためには、まだまだ乗り越えなければならない壁があることが
よく分かったのではないだろうか。流通経済大はこの試合の経験を糧にして、さら
にパワーアップに努めてほしいと思う。
[前半の戦い]
予想通り、中央大は最初からFWでゴリゴリきた。FWのパワーはリーグ戦でもト
ップクラス。ただ、いかんせん単発でプレーも雑なので、ここをしっかり止めるこ
とが流通経済大にとっては肝心だった。しかしながら、受けてしまったというわけ
でもないのだろうが、流通経済大FWはどんどん後ずさり。ただ、序盤戦は中央大
の反則の多さに助けられていた感があった。
こういう展開ならば、流通経済大は相手のミスに乗じてしっかり点を取っておきた
いところ。3分と7分のPGのチャンスを2本とも外してしまったのが後々に響い
た。加瀬のキック力なら決して難しくない位置だっただけに余計そう思う。何とな
くだが、流通経済大の選手達の表情から、「PGが入らなくても(自分たちの攻撃
力なら)何時でも点が取れる」というような雰囲気が伺えた。
中央大の勢いから見て、10分にラインアウトからトライを奪われたのは致し方ない
と思う。しかしながら、28分と31分にアタック時のミスから立て続けにトライを奪
われてしまったのは流通経済大にとって痛かった。これで中央大はすっかり勢いづ
き、アタックとディフェンスの両面でも(オフサイドも恐れず)どんどん前に出て
くるようになった。一方の流通経済大は相変わらず危機感が薄い感じ。(この両チ
ームの間の意識のギャップが後半の戦いで一気に噴出することになる。)
結局、中央大は前半終了間際にも1PGを追加し、24点リードで前半を終了。この
時点では、スタンドの流通経済大ファンの関心は、後半どのように巻き返して逆転
するかということにあった。
[後半の戦い]
後半になってようやく自分たちの置かれている状況に気づいたのか、流通経済大に
エンジンがかかる。3分のPGは外したものの、5分にはラインアウトからトライ
を奪いゴールも成功して7点を返し、ようやく反撃体勢。ただ、このトライはあく
までも「結果オーライ」のもの(キャッチングに失敗して後ろに流れたボールをF
Lの横山が持ち込んで押さえた)だった。
この試合に限らず、流通経済大はラインアウトがまったく不安定。むしろスクラム
よりもこちらの方が問題。よく工夫している点は評価できるが、いかんせんリスキ
ーでラインアウトの時はファンは目をつむりたくなるくらい。この試合で流通経済
大が自分たちのペースに乗れない原因の一つは間違いなくラインアウトにあった。
その後も、時折「流通経済大ラグビー」の片鱗は見せるものの、まったく波に乗れ
ない本日の流通経済大。せっかくトライを奪ってもすぐ点を取り返されるという悪
い展開が2回続いたところで、すっかり中央大のFWが勢いづいてしまった。27分
にラインアウトからのモールを押し込んでをトライを奪った後の30分には、FWの
縦突進を主体とした怒濤の連続攻撃でトライを奪って中央大のリードは30点に拡
がる。ここで勝負は決まった。
この30分の連続攻撃だが、筆舌に尽くしがたい凄まじいものだった。10月4日に同
じ熊谷で見た法政のスタートダッシュを凌ぐほど。ちょっと大げさな表現だが、は
るか内陸の熊谷にまで東京湾を襲った大津波が押し寄せたのではないかと思ったく
らい。中央大の選手達の作るアタックラインが巨大な波のように見え、流通経済大
はなす術もなくそこに飲み込まれてしまった。
結局試合は予想外の大差で中央大の圧勝に終わった。負けるときはこんなものと言
ってしまうにはあまりにもあっけない流通経済大の敗戦だった。
[全般を通じて]
流通経済大の危機管理マニュアルには、相手がスクランブルをかけてきたときの対
策は書かれていなかったのだろうか。もちろん、そんなものは不要だとは思うが。
実際に法政や大東大はまったく問題なく中央大を大差で破っている。相手がどのよ
うな戦い方できても凌げるようにならない限り、流通経済大は1ランク上へは行け
ないことがよく分かった試合だった。
一方の中央大だが、本日勝ったこと以外は忘れて次の試合に臨んでほしいところ。
次の対戦相手である山梨学院は、これまで結果が出ていないとはいえ、今日と同じ
方法で勝てるほど甘い相手ではない。また、来シーズン以降のことを考えると、F
Wの縦攻撃が封じられると手詰まりとなってしまう今の攻撃スタイルを変えない限
り、大きな飛躍は望めないような気がする。 (1998年11月7日記)
[回想 after 2003]
1997シーズンの流通経済大の初勝利と1998シーズンの中央大の強烈なリベンジ、奇
しくも同じ熊谷で観た同じチーム同士の対戦が、それぞれのシーズンにおけるもっ
とも印象に残る試合となった。前者は「感動」、そして後者は「戦慄」、と内容は
全く違うが。そのことは別にしても、この2チームの対戦は私的注目カードであり
続けている。流通経済大に中央大の泥臭さが、中央大には流通経済の緻密さが、そ
れぞれあればお互いにもっと上に行けるのだが、といつも同じことを考えてしまう
のが残念と言えば残念であるが...。
それと、この試合(の後半27分以降)は1998シーズンに熊谷ラグビー場で体験した
「3大恐怖」のひとつでもある。ちなみに、あと2つは法政大vs専修大(前半20分
までの法政の攻撃)と関東学院vs大東大(前半20分までの大東大の攻撃)。このシ
ーズンの特異現象といっても良いのかもしれないが、その他にも、まさに「熊谷劇
場(激情?)」とでも言いたくなるようなドラマチックな展開の試合が多かったよ
うに思う。
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