|
関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1998/12/05) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
関東学院大学:前半: 3 2 1 0 22 |
:後半: 1 0 1 0 8 | 30 6
+-----------------+-------------------------------+-------------+
日本大学 :前半: 0 0 1 0 3 |
:後半: 1 0 0 0 5 | 8 10
◎出場メンバー
関東 : 1.狩野 2.下田 3.上田 4.堀田 5.宮村 6.古島 7.宮下 8.山口
9.池村 10.淵上 11.矢口 12.水田 13.吉岡 14.四宮 15.萩原
(16.桜井 17.蔵 18.川井 19.服部 20.増田 21.椎村 22.今村)
○交替 なし
日大 : 1.田中 2.矢巻 3.柳沼 4.栗原 5.安田 6.三縄 7.鷲谷 8.横瀬
9.沢木 10.日原 11.窪田 12.野杁 13.今利 14.北條 15.田原
(16.草津 17.大渕 18.高野 19.宮野 20.宗岡 21.徳原 22.岩木)
○交替 2→17(後0分交代)
レフリー : 相田(日本協会) タッチジャッジ : 藤、岸川、栗林
◎得点経過
関東学院大学 0 3 10 15 22 22
P G T G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P
日本大学 0 3 3
関東学院大学 22 25 30 30
P x T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
T
日本大学 3 8 8
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
関東:前半 1分 吉岡(PG)
23分 吉岡(T)、吉岡(G)
29分 矢口(T)
33分 矢口(T)、吉岡(G)
後半22分 吉岡(PG)
36分 下田(T)
法政:前半16分 沢木(PG)
後半 9分 横瀬(T)
◎試合内容
波瀾万丈のリーグ戦Gの最終試合。大学選手権出場を決めている両校のファンよ
りも、むしろ(この試合の結果に大学選手権出場がかかっている)中央大と大東
大の関係者およびファンにとって大いに気になる試合となった。最後の一波乱に
期待したが、関東学院の貫禄勝ちに終わった。氷たい雨の中、両校フィフティー
ンの健闘が光った。
[前半の戦い]
ようやくFLの鷲谷主将が復帰しほんとに久しぶりでベストメンバーが揃った日
大。そして立川主将(代わりに角濱が先発)と法政戦で脳しんとうで退場した四
宮を欠くものの、こちらもほぼベストと言っていい関東学院。復調なったFWを
を中心に勝負を挑む日大に対し、FWの近場での勝負を避け速いテンポでオープ
ンに展開して勝負する関東学院、と言った感じで、なかなか見応えのある攻防が
展開された。
最初にペースをつかんだのは関東学院。雨でスリッピーなコンディションをもの
ともせず、自陣からでもどんどん展開してきた。FWからの球出しのリズムが大
変よく、1次攻撃で早くも数的優位を作り出してしまうなど、テンポよくスピー
ドに乗って攻める関東学院のいいかたちが目立った。とにかくFWから遠いとこ
ろで勝負というゲームプランがあったのだろう。最後の一線を割らせない日大の
ねばり強いディフェンスも見応えがあった。
前半20分くらいまでは「攻める関東学院」に対し「凌ぐ日大」の図式で関東学院
ペースながらも拮抗したゲームだったのだが、23分に関東学院がようやくトライ
を奪うと、あとは関東学院のほぼ一方的な展開。FW、BKを問わず、ボールを
動かす技術ではやはり大学随一のチーム。28分、33分と立て続けにトライを奪い
22-3と関東学院の19点リードでで前半を終わった。
マイボールスクラムでは強力なプッシュを見せていた日大FWだが、今一歩それ
をうまく活かせなかった。ラックでも関東学院のしつこいFWに絡まれて、どう
しても1テンポずつ球出しが遅れる。BK攻撃はSO日原のハイパント頼り、と
なかなか自分たちのリズムで試合ができない前半の日大だった。
[後半の戦い]
このまま行くと日大はいいところなく負けてしまうかに見えた後半だったが、4
分に波乱が起こる。関東学院のLO堀田がラフプレー?でシンビンを受けてしま
った。試合はFWが1人多くなった日大のペースに。前半にも増してFW戦にこ
だわって攻める日大だったが、シンビンの間に奪ったトライは8分の1トライの
み。日原のゴールキックもゴールポストに当たるなど不運もあった。
ここで光ったのが関東学院の7人FWの巧みなスクラムワーク。押されても押さ
れてもけっして崩されず、巧く回転させて?は組み直しの連続で着々と時間を使
う。前半にしても、日大ボールだと徹底的に押されるのに、マイボールではなぜ
か押されない。日大ボールの時はわざと押させているのでは、とも思わせるくら
いだった。(崩されないで押されるというのも立派な技術。おそらく)
去年の関東学院 vs 京産大戦(大学選手権)でも感じたことだが、スクラムの押
しにこだわっているとブレークがワンテンポ遅れてしまい、有効な2次攻撃につ
ながない。むしろ相手に押された方が上手くスクラムが左右に割れる形となり、
結果的にブレークアップが早くなっているとうことがよくある。
あと、関東学院はSHの池村やFW第3列を中心としたモールラックの周辺のプ
レーが巧み。日大にもチャンスはたくさんあったが、肝心なところでターンオー
バーというシーンが多く見られた。ターンオーバーまで行かなくても、球出しの
テンポを遅らせられて、BKが最後までリズム乗ったアタックをすることができ
なかった。
もう一つ付け加えると、ラインアウト。流通経済大の場合もしかりだが、ライン
アウトが安定しないといい攻撃ができない。日大も不安定なラインアウトに泣い
たチームではなかったかと思う。関東学院はラインアウトからはモールを避けて
BKに素早く展開していて、これが非常に効果的だった。
日大は肝心なところでノックオン等のミスが出てしまったこともあり、結局、ス
クラムでの優位を活かすことなく敗れてしまった。
[全般を通じての感想]
大混戦のリーグ戦も、結局最後に残ったのは法政と関東学院の2強だったという
ことになる。リーグ戦Gから大学選手権で優勝争いに加わるのはこの2校だと思
うが、最後に残るのは試合運びが巧みな関東学院の方かな、というのがこの試合
を観ての率直な感想。
日大はそろそろFWのパワー中心スタイルを変える時に来ているのかな、と思う。
昨年は卓越した個人での突破が有効だったが、法政のFWをみていても分かるよ
うに、FWも8人のまとまりで勝負する時代が来ているように感じる。速さに強
さが加わった切り札のWTB北條をもう少し使う試合展開ができればいいのでは
とも思った。 (1998年12月5日記)
[回想 after 2003]
両チームのスクラムに対する考え方の違いがよく分かったという意味で興味深い
対戦だった。パワーで押し切ろうとする日大と少々押されても巧みなスクラムワ
ークでかわし、ブレークアップ以降の展開を重視する関東学院といったところだ
ろうか。大学選手権でも大畑がいた頃の京産大の強力スクラムを巧みにコントロ
ールした場面が思い出される。(国立競技場の対戦で箕内も大活躍していた。)
ただ、関東学院もけしてスクラムを押されてもいいとは考えていなかったようで
ある。久富主将の代には強力スクラムのチームへと生まれ変わり、そのことは現
在のチームに至るまで受け継がれている。もちろん、久富主将がPRだったので
意地があったのかもしれないが、単なる偶然でもないような気がする。かねてか
ら関東学院の春口監督が「日大のFWは日本一」と言っていたと伝えられるが、
そのことは現在の強力FWを擁するチームに如実に反映されているように思われ
る。FWのセットプレー(とくにスクラム)の安定こそが強いチームを作る条件
と春口監督はかねてから考えていたのでないだろうか。
|
|