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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1999/09/25) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
関東学院大学:前半: 1 1 2 0 13 |
:後半: 1 1 1 0 10 | 23 13
+-----------------+-------------------------------+-------------+
流通経済大学:前半: 0 0 2 0 6 |
:後半: 1 0 1 0 8 | 14 17
◎出場メンバー
関東 : 1.久富 2.蔵 3.河田 4.堀田 5.川井 6.大津留 7.服部 8.若松
9.増田 10.淵上 11.矢口 12.萩谷 13.水田 14.四宮 15.萩原
(16.益留 17.浅田 18.森部 19.赤井 20.今村順 21.吉岡 22.角濱)
○交替 2→17(後24分入替)、8→19(後27分入替)、13→21(後28分入替)
14→22(後42分入替)
流経 : 1.友利 2.児玉 3.久保木 4.中西 5.和田 6.田島 7.横山 8.沼尻
9.後藤 10.加瀬 11.田嶋 12.ニールソン 13.関 14.佐々木 15.島名
(16.荒井 17.川井 18.土生谷 19.伊藤 20.佐藤 21.田中 22.本橋)
○交替 15→21(前7分交代)、14→22(後4分入替)、4→17(後7分入替)
3→16(後26分入替)、6→18(後26分入替)、7→19(後26分入替)
10→21(後39分入替)
レフリー : 畠本(日本協会) タッチジャッジ : 相田、小野塚、早川
◎得点経過
関東学院大学 0 7 10 13 13
G P P
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P P
流通経済大学 0 3 6 6
関東学院大学 13 16 23 23
P G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
T P x
流通経済大学 6 11 14 14
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
関東:前半 7分 萩原(T)、淵上(G)
14分 淵上(PG)
25分 淵上(PG)
後半35分 淵上(PG)
43分 淵上(T)、淵上(G)
流経:前半20分 加瀬(PG)
28分 加瀬(PG)
後半 1分 佐々木(T)
19分 加瀬(PG)
◎試合内容
異常気象による猛暑が続く関東地方。そんな暑さも忘れて見入ってしまうくらい
の素晴らしい試合だった。残念ながら敗れてしまったものの、流通経済大学のさ
らなる成長(とくに精神面)を確認することができたのが大変嬉しかった。来シ
ーズンこそは、このカードがリーグ終盤を締めくくるものとなるように、さらな
る奮闘を期待したいところだ。
[前半]
立ち上がりから関東学院がやや優勢の展開。流通経済大のFWは確実に去年より
パワーアップしているが、細かいプレーの巧さ、正確さではまだ関東学院の方に
分がある。7分には関東学院が得意のラインアウトを起点とした素早い連続攻撃
でトライを奪い、続く13分にはPGも決まり10-0とリード。
しかしながら、少々のビハインドにはまったく動じないのが今年の流通経済大。
ニールソン副将、関主将(まさに二王立ち)を中心としたBKの堅い防御で関東
学院にほとんどゲインさせないシーンは圧巻だった。20分のPG成功で13-3とな
ったあたりからゲームは一進一退の攻防へ。関東学院ゴール前のアタックで、加
瀬君が右サイドからインゴールに蹴りこんだ「キックパス」が惜しくもボールデ
ッドとなってしまうという惜しいプレーもあった。
PG合戦(25分と27分)で13-6となってからは、ゲームは膠着状態に。関東学院
にとっては、昨シーズンはほぼ完璧だったラインアウトがまったく安定しなかっ
たことは大きな誤算だっただろう。心配された流通経済のラインアウトはまずま
ずといった感じ。ただ、あまり複雑なコンビネーションに走ると昨シーズンの二
の舞になってしまう。まだまだ安心できない。
また、ゲームの流れは流通経済大なのだが、ここ一番で関東学院のしぶといディ
フェンスにあいミスが出てしまったのが惜しまれる。肝心なところで反則が出て
チャンスを潰してしまったのは、今後のための反省材料だろう。
前半を終わった段階での7点差は十分逆転可能。しっかり意思統一されたチーム
同士が試合をするとこんなにも時計が進むのが早いのか、と思われたくらいあっ
という間の40分間だった。
[後半]
後半2分にいきなり流通経済大にビッグプレーが飛び出す。相手キックに対する
カウンターアタックを起点として自陣10mライン付近でラックを形成。「余って
る!」の声が聞こえると同時に右オープンに展開。インサイドの位置取りからア
ウトサイドにスイッチしていたFBニールソンにボールが渡り大幅にゲインした
ところで、相手ディフェンダーの裏に絶妙のチップキック。しっかりとフォロー
したWTB佐々木がゴール右隅にトライを決めて13-11と流通経済大のビハイン
ドは2点になった。
そして18分にはSO加瀬がPGを決めてついに流通経済大は僅か1点のリードな
がら逆転に成功する。加瀬は前半にもハーフウェイライン付近から約45mのPG
を決めるなどキックは好調のようだった。また、ボールの転がり方までコントロ
ールしているかのような絶妙のタッチキックも見事。
しかしながら、前半同様に反則が目立つ流通経済大。その反則が大ピンチを招く
ことになる。後半20分から30分頃にかけての時間帯は自陣ゴールを背にして防戦
一方となった。何度も執拗にラインアウトからのモールで攻める関東学院。しか
しながら驚異的な粘りでトライを阻止する流通経済大。昨シーズンよりも「精神
面で格段にタフになった流通経済大」を感じさせる見応えのある攻防だった。
結局34分に流通経済大はPGで逆転されてしまったものの得点差は僅か2点。残
り時間を考えても、流通経済大は相手陣内でゲームを進めていれば十分に逆転は
可能。そう言った意味でも37分にハーフウェイライン付近で得たPKのチャンス
でゴールを狙ったことが惜しまれる。この場面では関東学院は内心ホッとしたの
ではなかっただろうか。
流通経済大は終盤に最後の気力を振り絞って果敢にアタックを仕掛けるものの、
あと一歩届かず。最後の最後にオープン展開で余った状態となり、流通経済大の
逆転勝利か?という局面で関東学院のSO淵上の(狙っていたのだろうが、流通
経済大にとってはアンラッキーとしか言いようのない)インターセプトによるト
ライが決まり試合はあっけない幕切れとなった。あの時間帯にあの場所にいたこ
と、このことこそが「淵上」なのだろう。
[感想]
やはり、CTBのニールソンに尽きる!と思った。一昔前の守りに守り、カウン
ターアタックに活路を開かざるを得なかった流通経済大なら考えられなかった布
陣。初戦ということと、関東学院のプレッシャーもあって加瀬とのコンビネーシ
ョンはまだまだと言った感じだが、本日の鉄壁のディフェンスを見ても対戦相手
にとってはニールソンが前に居る方が脅威のように思われる。
1月15日(大学選手権の決勝)に照準を合わせているチームと、この試合に的
を絞ってきたチームの格の違いが勝敗を分けたともいえそうだ。が、敗れはした
ものの流通経済大の選手にとっては、今後の戦いに向けて確かな手がかりが掴め
た試合ではなかったかと思われる。試合前よりもさらに逞しく見えた選手達の姿
にそんなことを感じた。 (1999年9月25日記)
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