|
関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1999/09/26) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
中央大学 :前半: 0 0 1 0 3 |
:後半: 2 1 0 0 12 | 15 13
+-----------------+-------------------------------+-------------+
日本大学 :前半: 2 1 0 0 12 |
:後半: 6 4 0 0 38 | 50 10
◎出場メンバー
中央 : 1.大室 2.塚越 3.中村 4.田中 5.小島 6.山田 7.石本 8.菅谷
9.江浦 10.首藤 11.小野澤 12.高村 13.下別府 14.佐藤 15.中畑
(16.高橋恒 17.藤田 18.高橋正 19.小野田 20.鈴木 21.河野 22.伊藤)
○交替 15→22(前28分入替)
日大 : 1.田中 2.大渕 3.川村 4.宮之脇 5.宮野 6.横瀬 7.三縄 8.南方
9.沢木 10.武井 11.北條 12.野杁 13.今利 14.窪田 15.永松
(16.白井 17.桑原 18.伊藤 19.小林 20.嶋末 21.田原 22.阪上)
○交替 15→21(後23分交代)、4→19(後31分入替)
レフリー : 相田(日本協会) タッチジャッジ : 森、横瀬、矢木沢
◎得点経過
中央大学 0 3 3
x P
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G x T
日本大学 0 7 12 12
中央大学 3 8 15 15
T G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G G G T G T
日本大学 12 19 26 33 38 45 50 50
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
中央:前半 4分 中畑(PG)
後半 1分 FW(T)
6分 小島(T)、高村(G)
日大:前半23分 北條(T)、武井(G)
37分 北條(T)
後半15分 今利(T)、武井(G)
20分 三縄(T)、武井(G)
25分 今利(T)、武井(G)
32分 横瀬(T)
34分 北條(T)、武井(G)
40分 野杁(T)
◎試合内容
FWとBKが一体となった新しいラグビーの創造を目指している日大。大型新人
も期待以上の活躍を示し、まずは上々の門出といったところ。一方の中央大は昨
シーズンとメンバーが変わっただけのラグビー。上位校が軒並みレベルを上げて
いる中で、相対的にはレベルダウンと見られてもしかたなさそうだ。
[前半の戦い]
絶対的な切り札に成長したWTBの北條、司令塔(SO)にはU19代表ではF
Bを務める大型新人の武井が加入と、BKに話題が集まる今シーズンの日大だが、
強力FWは今シーズンも健在。いや、むしろパワー、機動力とも昨シーズンを確
実に上回っているように思われる。
スクラムでは平均体重がほとんど変わらない中央大FWを完全にめくり上げ、モ
ール、ラックでも局面局面で強さを発揮するといった具合で、序盤は日大が押し
気味の展開。しかしながら、日大は肝心なところでミスが出たこともあってペー
スに乗れない。先制したのは中央大の方だった。(3分のPG)
そうこうする内に試合の流れは中央大の方へ。抜群に安定していたラインアウト
を起点に日大ゴール前まではBK展開を交えてテンポよく攻め続ける。しかしな
がら、なぜか相手ゴールが近づいてくるとFWのサイドアタックにこだわり続け
る中央大。スクラムがほとんど期待できない状況でのこの戦術は首を傾げざるを
得ない。WTBのエース小野澤にボールが渡る状況もほとんどなし。まさに宝の
持ち腐れといった感じ。
案の定、23分にターンオーバーされたボールが日大のWTB北條に渡り、あっさ
りと日大が逆転。北條は持ち前のスピードに力強さが加わり、日大ファンにとっ
ては何とも頼もしいウィングに成長した。37分にも北條はトライを取るが、ディ
フェンダーを完全に引きつけてラストパスを送ったSO武井のスキルも光った。
(いずれのトライも日大にとっては理想的なものだったが、中央大が一次防御の
段階でしっかり止めていれば防げた可能性が高い。大事には至らなかったものの、
中央大のFW周りのディフェンスはないも同然だった。)
そういった中央大の甘いディフェンスという面は差し引いても、タックルされて
もなかなか倒れない日大選手のフィジカル面の強さはなかなかのもの。昨シーズ
ンはあまり感じられなかったウェートトレーニングの効果は、今シーズンのチー
ムには確実に活かされているように見える。
点数はさほど取れなかったものの、中央大を苦手?とする日大にとってはまずま
ずの前半だった。
[後半の戦い]
後半開始早々、中央大にビッグプレーが出る。日大がキックオフしたボールをラ
インアウトでも大活躍のLO小島がジャンプ一番でクリーンキャッチ。SO須藤
が日大陣に風上を利用してキックを深く蹴り込んだところに中央大選手がラッシ
ュをかけ、たまらず日大が反則(ノックオンオフサイド)を犯す。ここでライン
アウトからトライを挙げて4点差。
さらに6分にも日大ゴール前で、得意のラインアウトを起点とした攻撃から日大
の反則を誘い、PからGOでトライを決めて逆転に成功。心なしか中央大にフォ
ローの風も強くなり始めるといった具合に、日大ファンにとってはいやーなムー
ドもピッチに漂い始める展開となった。
しかしながら、中央大の反撃もここまで。今年の日大はフィジカル面の強さに裏
付けられた精神的な逞しさも身につけたチーム。15分にラインアウトを起点とし
たオープン攻撃からトライを奪うと、あとは平均5分間に1回トライを奪うとい
ったように一方的な日大ペースとなった。終わってみれば50-15と予想外とも言
える日大の圧倒的な勝利だった。
それにしても、中央大のディフェンスはお粗末。日大はFW第3列だけでなく、
SOや両CTBまでどんどんスクランブルをかけてくるのだが、一次で止められ
ることはほとんどなく、大幅ゲイン。これでは大量失点もやむなしだ。
34分にトライを奪われた後のキックオフでボールを見事にダイレクトキャッチし
たのはFWではなく、何と中央大の左WTB小野澤。ほとんど出番がなかったエ
ースがふがいないFWにカツを入れたかったのかも知れないが、いかんせん遅す
ぎた。
[感想]
まだまだ荒削りながら、日大は期待以上の面白いチームになった。FWがさらに
パワーアップし、BKにも個性的なキャラクターを揃えた、どこからでも点が取
れるチームになっている。新人離れした活躍を示した武井が司令塔として加わっ
たことが日大には好材料。チーム自体がシーズンを通してどのように成長を遂げ
ていくのか、本当に楽しみになってきた。
一方の中央大だが、この試合をじっくりと反省の材料としてしっかりチームを建
て直して欲しいところ。練習量を増やすといった「応急対策」に答えを求めるよ
りもゲームプランをチーム全員でじっくり練り直して欲しいと思う。ディフェン
スは早急に修正する必要があるにしても、中央大に対して「上位校に劣らない得
点力を持っているチームのはず」という印象を持っているのは私だけではないと
思う。 (1999年9月26日記)
|
|