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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1999"

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○観戦記録 法政大学 vs 大東文化大学(1999年10月2日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1999/10/02) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 2  0  1  0 13 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  25  9
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 大東文化大学:前半: 2  1  1  0 15 |
       :後半: 6  1  0  0 32 |  47 18 


◎出場メンバー

 法政 : 1.神宮寺 2.吉澤 3.池谷 4.細川 5.平塚 6.山口 7.田中 8.熊谷
      9.岡本 10.川合 11.斉藤 12.新井 13.西村 14.二口 15.矢澤
     (16.小滝 17.藤井 18.麻田 19.渡辺庸 20.浅野 21.岡 22.松尾)

    ○交替  14→16(後18分入替)、3→22(後21分入替)、13→17(後34分入替)
        7→19(後34分入替)、2→21(後34分入替)


 大東 : 1.植木 2.吹越 3.高田 4.白水 5.生沼 6.露木 7.バツベイ 8.マウ
      9.苫米地 10.松尾 11.山田 12.赤羽根 13.田中 14.本郷 15.太田
     (16.佐藤 17.片岡 18.井上 19.村瀬 20.阿部 21.オト 22.五十嵐)

    ○交替  5→18(後12分入替)、11→22(後14分入替)、3→17(後20分入替)       


 レフリー : 谷口(日本協会)  タッチジャッジ : 溝畑、渡辺、坂本


◎得点経過

 法政大学    0  3              8                       13      13
                  P              T                       T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                               P  x         T G
 大東文化大学  0                     3            8 15           15


 法政大学   13   20                                      25    25
             G         x                             T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                          T  T    T  T      T    G
 大東文化大学 15                20 25   30 35     40   47        47

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 法政:前半 1分 新井(PG)
      16分 矢澤(T)
      40分 斉藤(T)
    後半 2分 西村(T)、新井(G)
      42分 小滝(T)

 大東:前半20分 松尾(PG)
      33分 田中(T)
      35分 山田(T)、松尾(G)
    後半15分 本郷(T)
      18分 太田(T)
      23分 五十嵐(T)
      26分 太田(T)
      33分 マウ(T)
      38分 田中(T)、松尾(G)


◎試合内容

10月の声を聞いてもいまだに猛暑が続く秩父宮。序盤戦にして早くも実現して
してしまった注目カードは、後半の20分くらいまでは期待に違わぬ緊迫した好
ゲームだった。南洋(トンガ)方面からやってきた大東台風は予想以上の大型。
今後さらに勢力を増してリーグ戦グループの列強を一気に飲み込んでしまいそう
な勢いだ。

[前半]

最初に競技場に着いたときにまず確認したことは、大東大のトンガ勢のうち誰が
先発出場しているかだった。CTBにオトが入ると思っていたが、No.7バツベイ、
No.8マウのFWコンビ。大東大は法政の強力FWに対抗してFWで勝負をかけて
くるなと実感した。

試合は序盤から法政が押し気味の展開。スタートダッシュは法政のチームカラー
になっている。本日はNo.8に待望の熊谷君が入っていたが、ボールにもよく絡み、
これまでの鬱憤を晴らすかのような活躍を示していた。ただ、昨シーズンほどの
スピードとパワーが感じられないのが今年の法政FW。また、BKが肝心なとこ
ろで慌ててしまい、ミスでチャンスを潰してしまうのも相変わらず。

昨シーズンは法政の元気の源でもあったスクラムだが、今年は(昨シーズン最強
だった)第1列が完全に入れ替わってしまったこともあって、大東大に完敗だっ
た。大東大もHOと右PRが1年生であり、また左PRの植木(4年)は昨シー
ズンは公式戦に登場していない選手だったことを考えれば、このスクラムでの完
敗は法政にとっては大きな誤算だったのではないだろうか。確かに大東大はここ
数シーズンでも最高と言っていいスクラムを組んではいたが。

大東大は強力FWを軸にして攻めるものの、肝心なところでオフサイドなどの反
則を犯してしまうのも相変わらず。せっかくのチャンスも一転してピンチ(法政
の得意とするラインアウト)の繰り返しとなった。前半16分の法政のトライは、
そんなゴール前のラインアウトから生まれた。素早い展開でラックを連取し最後
はCTBの新井が決めるという理想的なパターン。

待望のツインタワー(平塚&熊谷)が実現し、さらに安定度を増した法政に比べ
ると、まったく安定感を欠いていたのが大東大のラインアウト。後ろに強い選手
が控えていなければ、試合展開は変わったものになっていたかも知れない。33分
の大東大のトライもスローワーとキャッチャーの呼吸が合わず、後ろに流れたボ
ールを最後列にいたマウが素早くBKに渡したことから生まれた「ケガの功名」
のようなトライだった。

しかしながら、その直後の35分の大東大のトライは圧巻だった。法政キックオフ
のボールをクリーンキャッチしたLOの白水を起点として、オープンに展開し最
後は左WTBの山田が約30mを走りきって奪ったもの。昨シーズンも大暴れした
FBの太田や右WTBの本郷、そして交代出場した五十嵐も含め、大東大のバッ
クスリーは今年もトライの山を築きそうだ。

このトライではライン参加して大幅なゲインを稼いだバツベイのプレイも見事だ
った。見事なカバーリングで再三ピンチを救ったマウも含め、「持ちすぎては自
滅で足を引っ張るトンガ勢」というのは死語となった感がある。

ここで一気に大東大が波に乗るかとも思われたが、法政は前半終了間際に意地を
見せる。自陣に入ったところで大東ボールをターンオーバーし、No.8の熊谷君が
大きくゲイン。12→15と繋いで最後はウィングがトライを奪い13-15。後半の法
政の反撃に期待がもたれたところで前半終了となった。

[後半]

前半はFW戦を優位に進めながらミスや反則でなかなかリズムに乗れなかった大
東大。後半もなかなか「病気」は治らない。開始早々の3分にはSO松尾がパス
されたボールを落球。拾い上げて不用意に蹴ったところをチャージされ、そのま
まボールを拾われてトライを献上。いつもの大東なら確実に自滅してしまうパタ
ーンだった。

しかしながら、チームとしてのまとまりがよいのも今年の大東大の特徴。真夏を
思わせるコンディションにもかかわらず、集中を切らす場面はほとんどなかった。
15分に法政のハイパントをFB太田がしっかりキャッチして12→14と繋いでト
ライを決めると、あとは怒濤のトライラッシュ。

大東大の強力FWの突進を果敢なタックルで止めていた法政FWにも明らかに疲
れが見え、終わってみればダブルスコアに近い大東大の圧勝だった。法政にとっ
ては決め所でミスが出てしまったことが惜しまれた。

[感想]

大東大の予想外の大勝利を導き出したのは、間違いなくバツベイ、マウのトンガ
コンビ。だが、とにかくよく走ったFWの健闘も勝因のひとつに挙げたていいと
思う。とにかく今年は走力がある選手が揃っているので期待はしていたものの、
FWがここまで頑張るとは思わなかった。

少なくとも一昨年の大東大はFWが今の半分も走れなかったチームだったことを
考えると、昨シーズン、荒治療でチームの意識改革に成功した(と推測される)
筑井主将(現リコー)の偉大なキャプテンシーを改めて感じざるを得ない。

一方、早くも土をつけられてしまった法政。来週の京都産業大学との招待試合を
含めると11/7の流通経済大戦(熊谷)までずっと連戦となるのが不安材料だ。が、
この時期に大東大に当たってしまったことを不運と考えて、気持ちを切り替えて
今後の試合を大切に戦って欲しいと思う。まだ、シーズンは始まったばかりなの
だから。                       (1999年10月2日記)

Edited by Kazunori KONO, April/27th/2004   Back