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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 1999"

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○観戦記録 日本大学 vs 流通経済大学(1999年10月10日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(1999/10/10) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 2  2  1  0 17 |  27  7
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 流通経済大学:前半: 1  1  2  0 13 |
       :後半: 3  2  1  0 22 |  35 19 


◎出場メンバー

 日大 : 1.田中 2.大渕 3.川村 4.宮之脇 5.宮野 6.横瀬 7.三縄 8.南方
      9.沢木 10.武井 11.北條 12.野杁 13.今利 14.窪田 15.阪上
     (16.白井 17.桑原 18.御原 19.小林 20.嶋末 21.田原 22.小倉)

    ○交替  なし


 流経 : 1.友利 2.児玉 3.久保木 4.川井 5.和田 6.田島 7.横山 8.沼尻
      9.後藤 10.加瀬 11.田嶋 12.ニールソン 13.関 14.佐々木 15.島名
     (16.荒井 17.宮地 18.土生谷 19.伊藤 20.佐藤 21.田中 22.鈴木)

    ○交替  6→19(後12分入替)、7→18(後21分入替)


 レフリー : 港(関西協会)  タッチジャッジ : 森、勝山、稲田


◎得点経過

 日本大学    0        3                      10                10
                        P                      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
              P        x   P  G
 流通経済大学  0    3            6  13                           13


 日本大学   10     17           24        27                   27
               G            G         P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             G       P            G            T
 流通経済大学 13   20      23           30           35          35

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半 7分 武井(PG)
      30分 認定(T)
    後半 4分 北條(T)、武井(G)
      17分 今利(T)、武井(G)
      27分 武井(PG)

 流経:前半 3分 加瀬(PG)
      16分 加瀬(PG)
      19分 ニールソン(T)、加瀬(G)
    後半 2分 沼尻(T)、加瀬(G)
      10分 加瀬(PG)
      23分 後藤(T)、加瀬(G)
      36分 児玉(T)


◎試合内容

1部昇格3年目にして流通経済大は日大からも勝ち星。あとは法政を破れば3年
越しでのグランドスラム達成となる。試合は競り合いにこそなったものの、流通
経済大の完勝と言っていい内容。戦前の予想を上回るFWの大健闘がその勝利の
原動力となった。お正月の国立で「純白のフィフティーン」の活躍を見ることも
けっして夢ではなさそうだ。

[前半]

本日の日大のスタメンには初戦で負傷交代したFB永松(1年)に代わって、同
じくルーキーの阪上(報徳学園)が登場。小さな身体ながら闘志溢れるプレーぶ
りでなかなか楽しみな選手だ。一方、流通経済大の方は初戦で途中交代した不動
のLO中西に代わって川井が登場。両チームともほぼベストメンバーで熱い戦い
が期待された。

日大キックオフで試合開始。これがいきなりノットテンとなり流通経済大ボール
のセンタースクラム。注目の1stスクラムだったが、流通経済大が日大をしっ
かり押し込み安定した球出し。オープン攻撃を交えた連続攻撃で日大陣へ深く前
進して日大のペナルティを誘い、SO加瀬が落ち着いてPGを決めてあっさり流
通経済大が先制した。過去2年間泣かされ続けたのが信じられないくらいに流通
経済大のスクラムは強力になった。

この先制点もあり、序盤はFWからの安定した球出しからテンポよく攻める流通
経済大がペースを握る。日大はFWの集散がやや遅いのが気になった。日大FW
は今年も横に振られるとちょっと苦しそう。7分に日大がPGにより同点に追い
ついたものの、流通経済大が押し気味の序盤の展開でした。

続く16分にも流通経済大はPGにより3点を追加。日大の反則はけして多くはな
かった(7個)ものの、その約半分が得点に結びついてしまったのは痛かった。本
日の加瀬は長めの距離のPGを楽々と決めるなど、キックが安定していた。

そして19分には日大に痛恨のミス。自陣10mライン付近での日大ボールスクラム
を流通経済大が押し込んでボールを奪取。加瀬が約30mゲインした後、日大ゴー
ル前でパスを受けたニールソンが難なくトライ。久々に見た加瀬〜ニールソンの
黄金コンビによるトライだった。

このトライでゲームの流れは流通経済大に傾きかけていたが、ここで日大が踏ん
張りを見せる。汚名挽回とばかりにスクラムを中心にFWでプレッシャーをかけ、
徐々にペースを自分たちの方へ引き込んでいった。そして30分には5mスクラムで
流通経済大がコラプシングを繰り返したとしてペナルティトライが日大に与えら
た。

(流経、日大とも体重ではなく低い姿勢で堅固なスクラムを組むチーム。力関係
もほぼイーブンで、故意にスクラムを崩したというよりは、崩れてしまったとい
うように見えた。双方ともコラプシングを取られていたが、ちょっと気の毒な感
じもした。)

この日大のトライで試合は一気に乱戦模様になる。ターンオーバー、カウンター
アタック、ラックでのもみ合いなど、ボールが右へ左へと激しく動く忙しい展開。
そんな中でもディフェンス網に穴ができなかったのは流石といえば流石だが、ち
ょっと見ている方も疲れた。今やFWの第三列の1人といってもいいCTBのニ
ールソンがラックで頻繁に日大FWとやり合っていたのが印象的だった。

[後半]

後半も先制したのは流通経済大。日大陣22mライン付近でのラインアウトをクイ
ックスローインしてFWでボールを繋ぎNo.8の沼尻がトライ。後半開始直後の一
瞬のスキを突いた見事なプレーだった。流通経済大FWの集中力が光った。

しかしながら、その直後に、大いに盛り上がった流通経済大の応援席を一瞬にし
て沈黙させてしまうビッグプレーが日大に飛び出した。日大陣22m付近で流経B
Kのパスミスを拾ったWTB北條が相手ディフェンダーを振りきって約70m独走
しトライ。ストライドが大きいためけっして速くは見えない北條だが、流通経済
大の選手は誰も追いつくことができなかった。

それでもペースに乗ることができず、10分のPGで引き離されそうになった日大
だったが、今度はCTBの今利が魅せた。PからGOでSH沢木からパスを受け
てこちらも約30m独走し逆転トライ。実は初戦の中央大戦でも逆転トライを決め
たのがこの今利。もはや日大の精神的支柱といってもいい今利の気迫のランニン
グだった。

前半はキックを使った日大だったが、後半は自陣からでも積極的にオープンに展
開してきた。後半23分、そんな自陣からの攻撃で痛恨のミス。ボールが左WTB
の北條に回ったところで、タックルされた北條がノックオン。すかさず流通経済
大のSH後藤がそのボールを拾ってトライを奪い、流通経済大が再逆転に成功し
た。

日大は27分にPGで3点差まで迫り、また、32分から35分にかけては5mスクラ
ムで流経をゴール前に釘付けとしながらあと一歩押し切れず。36分に自陣ゴール
前でオープンに展開したボールをターンオーバーされてだめ押しのトライを奪わ
れ、乱戦は「ジ・エンド」となった。最後にトライを決めたのはフッカーの児玉。
流経FW陣の健闘を象徴するような幕切れだった。

[感想]

流通経済大、日大、タイプこそまったく異なるが、試合を見ている間にいつしか
心惹かれるものを感じるようになってしまった2チーム。そんなチーム同士が試
合をするところを観るのは(ファンとして)正直辛いところがある。

そんななかでも強く感じたのは、流通経済大の恐るべき成長ぶり。もう、これか
らは「流通経済大はFWが...」という声は聞かれなくなることだろう。定評
のあった機動力、モールの巧さに、スクラムの強さ、ラインアウトの安定度、そ
して、(関東学院並の?)いやらしさも加わった強力FWである。

一方の日大だが、チームの若さが出てしまったという感じ。FWの展開力は相変
わらず不足気味。また、そのFWとBKのコンビネーションもまだまだといった
感じ。ただ、チームとしての方向性は間違っていないと思うので、一戦一戦大事
に戦ってしっかり成長を遂げて欲しいと思う。

両チームへの期待がますます大きくなった一戦だった。 (1999年10月10日記)

Edited by Kazunori KONO, April/27th/2004   Back