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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 2000"

2000 Top

○観戦記録 日本大学 vs 専修大学(2000年10月28日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2000/10/28) 於:三ツ沢球技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 日本大学  :前半: 5  5  1  0 38 |
       :後半: 1  0  0  0  5 |  43 18
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 専修大学  :前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 4  3  0  0 26 |  36  7 


◎出場メンバー

 日大 : 1.城内 2.加井 3.伊藤 4.迫田 5.宮野 6.横瀬 7.桑原 8.飯島
      9.八重樫 10.武井 11.藤崎 12.阪上 13.今利 14.窪田 15.野杁
     (16.白井 17.御原 18.南方 19.高島 20.塩谷 21.小倉 22.岩木)

    ○交替  15→22(前20分交代)、11→21(後25分交代)、1→16(後26分交代)


 専修 : 1.山口 2.米倉 3.太田 4.田山 5.西田 6.菅藤 7.大杉 8.春田
      9.田中 10.今崎 11.原 12.松井 13.植原 14.大宅 15.大森
     (16.鈴木直 17.児玉 18.小林 19.向久保 20.森岡 21.白崎 22.鈴木広)

    ○交替  5→19(後35分交代)


 レフリー : 民辻(関東協会)  タッチジャッジ : 渡辺、金子、武田


◎得点経過

 日本大学    0   7       14   21       24         31   38      38
                   G       G    G        P          G    G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                P           G
 専修大学    0                      3           10             10


 日本大学   38                         43                      43
                                   G                 x
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
            G                         G  T       G
 専修大学   10  17                        24 29      36        36

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 日大:前半 2分 窪田(T)、武井(G)
      10分 武井(T)、武井(G)
      15分 武井(T)、武井(G)
      24分 武井(PG)
      35分 今利(T)、武井(G)
      40分 阪上(T)、武井(G)
    後半24分 岩木(T)、武井(G)

 専修:前半21分 植原(PG)
      33分 原 (T)、植原(G)
    後半 1分 大宅(T)、植原(G)
      27分 大森(T)、植原(G)
      30分 大宅(T)、植原(G)
      38分 認定(T)、植原(G)


◎得点パターン(参考)    *専修大学のキックオフで試合開始

 前半 2分  7- 0 (日大)日大陣10ML付近ラインアウト起点,FWのサイドアタックで前進,ラック
                 から(14)が右中間にトライ,(10)G成功
   10分 14- 0 (日大)専修陣22ML内左スクラムから(9)→(10),(10)がパスすると
                 と見せかけて専修DF2人をかわしそのまま中央にトライ,
                 (10)G成功
   15分 21- 0 (日大)HWL付近右ラインアウト起点,左オープンに展開,(12)がチップキック
                 したボールを専修DFが捕獲し損なったところを(13)が奪
                 取→(15)→(14)と繋ぎ,(14)が相手DFをかわしてゴール
                 左にトライ,(10)G成功
   21分 21- 3 (専修)中央35m,(13)PG成功
   24分 24- 3 (日大)正面やや右20m,(10)PG成功
   33分 24-10 (専修)日大陣G前やや右で得たペナルティからクイックで左に展開し
                 てラックを形成,素早く左に展開して(11)が左隅にトライ,
                 (13)G成功
   35分 31-10 (日大)専修陣22ML付近スクラムから右オープンに展開,(10)→(13)
                 と繋ぎ(13)が専修DFのタックルを振り切って中央にトライ,
                 (10)G成功
   40分 38-10 (日大)専修陣G前右スクラムで専修コラプシング,ペナルティからクイックで
                 左オープンに展開,(10)→(12)と繋ぎ中央やや左にトライ,
                 (10)G成功

 後半 1分 38-17 (専修)日大陣22ML付近で得たFKからクイックで左に展開,パスを
                 受けた(14)が中央やや左にトライ,(13)G成功
   24分 43-17 (日大)専修陣右10ML/22MLラインアウト起点,左オープンに展開,ラックを
                 経てさらに左オープンに展開,ゴロキックをインゴールに走り込
                 んだ(22)が拾ってG左にトライ,(10)G失敗
   27分 43-24 (専修)日大陣左10ML/22MLラインアウト右オープンに展開,ラックを経て
                 さらに左に展開し(15)がトライ,(13)G成功
   30分 43-29(専修)日大陣G前での連続攻撃から(14)がトライ,(13)G成功
   38分 43-36 (専修)日大が自陣G前で犯した反則に対して認定トライ,(13)G
                 成功
   42分   -   (日大)右中間30m,(10)PG失敗


◎試合内容

「最後まで諦めない専修」は今日も魅せてくれた。「インジュリータイムがあと
5分長かったら...Part-3」といった感じ。今年の専修は私的注目(応援)
チームのひとつでもあるので、日大6分 vs 専修4分くらいの応戦比率で観てい
たのだが,最後は日大を叱咤する声と専修を応援する声が頭の中で交錯して、と
ても複雑な状況になってしまった。

ここに今シーズンの専修を象徴するようなデータがある。

                     前半     後半
   第1戦 対流通経済大 ●24-28    0- 8   24-20
   第2戦 対関東学院大 ●15-71    5-33   10-38
   第3戦 対大東文化大 ●36-38   17-14   19-24
   第4戦 対日本大学  ●36-43   10-38   26- 5

開幕から4連敗とは言え,各試合の後半だけを見れば2勝2敗の5分。大東大戦
も逆転の可能性は十二分にあったので,上位(?)3チームが今ひとつピリッと
しないという状況はあるにしても、専修の後半(のとくに終盤)の粘りは見事と
言うほかない。それとは引き替えに,前半と後半でまったく別のチームになって
しまったかのような日大の不安定な戦いぶりが気になる。

[前半]

今日は日大が序盤から飛ばす。FWで前に出てBKに展開してトライを奪うとい
う戦術が面白いように決まり、前半15分で3トライを奪って21-0とリード。この
試合も大量の得点差がついてしまうことは必至と思われるくらいの日大の見事な
スタートダッシュだった。

とくに冴えていたのがSOの武井。変幻自在のアタックは専修のラインディフェ
ンスを完全に混乱状態に陥れていた。SH八重樫との呼吸も合ってきており,1
〜3戦目とは比較にならないくらいライン攻撃がスムースに流れるようになって
きた。東海大戦で見えかけてきた今シーズンの日大の戦い方が、こここにきてよ
うやく具現化されてきたという感じ。

21分と33分に,それぞれPGとトライを返されるものの,日大は35分と40分にト
ライを追加してリードを28点差まで拡げた。強力FWを前面に押し立てて戦うス
タイルは変わらないものの、BKにどんどんボールを回したの功を奏したようだ。
武井のキックだけでなく,CTB(インサイド)の阪上が何度かチップキックで
再三前進を図るなど,攻撃にも様々な工夫が見られた。

[後半]

後半は開始早々から一転して専修ペースとなった。1分に日大ゴール前で得たフ
リーキックからの速攻であっさり先制してからの約20分間、日大は自陣奥深くで
ひたすら専修のねばり強い攻めに耐えるという、前半からはまったく信じられな
いような試合展開。先週の東海大戦同様,ラインアウトがまったく不調だったこ
とが日大に思わぬ苦戦を強いることとなった。

とは言っても前半の貯金は大きく,まだまだ日大には余裕が感じられた。FWの
パワープレーで徐々にペースを引き戻し24分にトライを奪った時点でリードは2
6点。ここで勝負あったかに見えた。

しかしながら、ここから専修が驚異の粘りを見せる。日大は前半に見せたバラン
スのよい攻撃が陰をひそめ、FWもBKも完全に「相手を力でねじ伏せてやろう
モード」に突入。プレーが雑になったところを専修につかれ、ディフェンスでは
オフサイドを連発して失点を重ねた。FWの展開力を活かしたオープン攻撃でじ
りじりと前進するというのが専修の持ち味。WTBに定着した大宅という強力な
トライゲッターが居るのも強みだ。

専修は27分と30分に立て続けにトライを奪いなおも攻め続ける。そして38分には
専修にペナルティトライが与えられついにビハインドは7点。コンバート成功後、
キックオフのためハーフウェイラインに向かう日大選手達の足取りは、昨シーズ
ンの大学選手権の関東学院と明治の試合を思い起こさせた。勝ったとは言え、日
大選手達にとっては勝利の味は苦かったに違いない。

[雑感]

力に溺れた日大という側面はあったにしても、専修の15人が一丸となった粘り
のラグビーは見事。局面局面での個々の判断にやや難があって思うように得点で
きなかったのが惜しまれる。

問題は日大。とにかく反則が多すぎた。専修の連続攻撃を反則でしか止められな
かった、という方が正確かも知れない。日大選手は概ねタックルが高く、しかも
追いタックル。結果としてノット・ロール・アウェイを取られてしまっていた。
後半の終了間際にはついに認定トライを取られてしまった。これは大きな反省材
料。ディフェンス力の向上はもちろんのこと,とにかく反則(になってしまう状
況)を減らさないことには日大はトップには立てない。

ただ、前半の攻撃に関しては本日の日大は見るべきものがあったと思う。専修の
DF陣を翻弄したSO武井のプレーは見るものを楽しませてくれる。小柄ながら
もパワフルな走りを見せるCTBコンビ(阪上と今利)に切り札の窪田が絡む攻
撃も魅力十分。FWに安定感が欲しいところだが、HOの大渕とNo.8の南方主将
の2人が戦列に復帰すれば(たぶん)大丈夫だろう。
                          (2000年10月28日記)


Edited by Kazunori KONO, May/6th/2004   Back