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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2000/10/29) 於:熊谷ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
流通経済大学:前半: 1 1 1 0 10 |
:後半: 2 0 1 0 13 | 23 10
+-----------------+-------------------------------+-------------+
中央大学 :前半: 3 1 1 0 20 |
:後半: 2 2 0 0 14 | 34 18
◎出場メンバー
流経 : 1.野本 2.児玉 3.川嶋 4.川井 5.和田 6.中西 7.伊藤 8.中西
9.後藤 10.森 11.喜瀬 12.本橋 13.徳永 14.森竹 15.土生
(16.荒井 17.岩岡 18.白幡 19.東海林 20.佐藤 21.田中 22.堀籠)
○交替 2→17(前0分交代)、8→18(後2分交代)、10→21(後38分交代)
7→19(後38分交代)
中央 : 1.大室 2.大久保 3.藤田 4.田中 5.高橋 6.山田 7.臼井 8.小野田
9.鈴木 10.塩崎 11.岡本 12.高村 13.早淵 14.平田 15.三国
(16.河辺 17.藤田 18.平野 19.菅谷 20.寺本 21.渡辺 22.中畑)
○交替 1→17(後4分交代)、2→16(後15分入替)、6→19(後30分入替)
レフリー : 石本(関東協会) タッチジャッジ : 民辻、中西
◎得点経過
流通経済大学 0 3 10 10
P G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P x T T G
中央大学 0 3 8 13 20 20
流通経済大学 10 13 18 23 10
P T T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G G
中央大学 20 27 34 34
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
流経:前半21分 森 (PG)
39分 中西(T)、森(G)
後半 4分 森 (PG)
15分 喜瀬(T)
43分 伊藤(T)
中央:前半 5分 塩崎(PG)
14分 平田(T)
18分 FW(T)
36分 早淵(T)、塩崎(G)
後半11分 平田(T)、塩崎(G)
34分 岡本(T)、塩崎(G)
◎得点パターン(参考) *流通経済大学のキックオフで試合開始
前半 5分 0- 3 (中央)中央やや右,(10)PG成功
14分 0- 8 (中央)流経陣10ML付近右ラインアウトから左オープンに展開,ラックを経
てさらに左に展開,ラックから右に展開し(14)がG右にトラ
イ,(10)失敗
18分 0-13 (中央)流経陣ゴール前左で得たペナルティからFWで押し込みトライ
(10)G失敗
21分 3-13 (流経)正面23m,(10)PG成功
36分 3-20 (中央)流経陣での連続攻撃から(13)左中間にトライ,(10)G成功
39分 10-20 (流経)中央G前で得たペナルティからFWでラックを作りながら前
進,最後は(8)が右中間にトライ,(10)G成功
後半 4分 13-20 (流経)正面やや右25m,(10)PG成功
11分 13-27(中央)中央キックを流経BKが自陣22ML内でキャッチし味方にパス,
パスを受けた選手がファンブルして前に投げたボールを中央
(14)がキャッチしそのまま中央にトライ,(10)G成功
15分 18-27 (流経)中央陣G前右サイドから(10)が左サイドにキックしたボールを
(11)がG前左で確保しそのままトライ,(10)G失敗
34分 18-34 (中央)流経が中央陣10ML/22MLで右オープン展開,CTB→WTBへの
パスミスを中央(11)が拾いそのまま約70m独走してG中央
にトライ,(10)G成功
43分 23-34 (流経)中央陣G前で得たPKからFWで連続攻撃,(6)がトライ
(?)G失敗
◎試合内容
中央大は開幕から勝ち星なしの3連敗。選手個々の能力は上位校にけしてひけを
とらないにも拘わらず,今一歩チームがかみ合っていない感じ。また,流通経済
大は緒戦で専修大に辛勝した後は2連敗。来シーズン以降を見越してBKに新人
を多く起用したものの、彼らに自信を持たせるまでには至っていないように見え
る。ここで負ければ、大学選手権出場はおろか入替戦も視野に入れなければなら
なくなると言う意味でも,どちらにとっても重要な意味を持つ一戦だった。
[前半]
キックオフから積極的に攻め続けたのは中央大。闘志をみなぎらせながらチーム
を引っ張る山田主将を中心として,とにかく前へ出ようとする気迫がみなぎった
攻撃で,5分に早くもPKで先制。9分の約45mのPGは失敗に終わったものの
その勢いは衰えず,14分と18分に立て続けにトライを奪い13-0と見事な立ち上が
りだった。
21分に流通経済大はようやくPGで3点を返す。本日は負傷欠場の加瀬に代わり
1年生の森がSOを務めまが,ゴールキックを冷静に決めるなどまずは無難な立
ち上がり。このあたりから中央大は徐々にペースダウンする。流通経済大はBK
のディフェンスに難があるため、両WTBの走力を考えれば中央大は十分にオー
プン攻撃で勝負できるはず。だが,中央大は何故かFW周辺の攻撃にこだわり続
け、流通経済大陣内で優位にゲームを進めながらも得点につながらない。
流通経済大も攻撃に決め手を欠きなかなか得点できない。スクラムでは中央大を
圧倒するものの、悲しいくらいにBKがゲインラインを突破できず、キックに頼
る苦しい展開。ここでは、ピンポイントのキックを蹴ることができる加瀬の欠場
が響き、チャンスを潰してしまう場面が多くあった。専修大戦で加瀬がキックを
多用し,ほとんどオープンに展開しなかった理由がよく分かった。
このまま膠着状態で前半が終わるかと思われた36分に中央大が執拗な連続攻撃か
らトライを奪い20-3。しかしながら,終了間際に流通経済大も中央陣ゴール前で
得たペナルティからFWでトライを奪い難しい角度のゴールも成功して20-10。
流通経済大にとっては後半に望みを繋ぐ貴重なトライだった。
[後半]
後半開始早々に流通経済大はNo.8の中西に代えて運動量抜群の白幡君を投入。こ
の交代が功を奏し流通経済大FWの動きが俄然よくなった。最初から彼を起用し
ていれば、と惜しまれる。ここで試合の流れは一気に流通経済大に傾き,4分に
は森がPGを決めてビハインドは7点。勢いから見ても流通経済大の逆転は時間
の問題かと思われた。
しかしながら、後半11分に流経大に痛恨のミスが出る。中央大が流経陣22m内に
蹴ったボールを流経大選手がキャッチして味方にパス。このボールを落ち着いて
処理(タッチアウト)すればまったく問題がなかったのだが、なぜか前方にファ
ンブルしてしまった。これがちょうどそこへ走り込んできた中央大のWTB平田
への「ナイスパス」となり、中央大は難なく7点をゲット。中央大FWの足がほ
とんど止まりかけていただけに、本当に、本当に惜しまれるミスだった。
それでも流通経済大は気を取り直して後半15分にゴール前で得たペナルティから
「キックパス」によるトライを決めて18-27。残り時間から考えて,まだまだ逆
転可能。流通経済大はなおも攻め続ける。ただ、ここでもBKの攻撃力不足が響
き、流通経済大はFW周辺で攻めざるを得なかった。中央大としてもDFをFW
周辺に固めればいいため、流通経済大は攻めながらもほとんどゲインできない状
態。BKに回してもキックで相手にボールを渡してしまうところは前半と同じだ
った。
そして34分に流通経済大BKにまたしても致命的なミスが出る。FWの連続攻撃
から中央大陣22mライン前付近でBKが余った状態となりオープンに展開。中央
大DFのプレッシャーも厳しくなく、WTBまで回せばトライが期待できる状態
だったが,痛恨のパスミス。これを今度は中央大のWTB岡本が拾い、快速を飛
ばして約70m独走してトライ。これで流通経済大の息は完全に止まった。流通経
済大は終了間際の43分に渾身の力を込めて1トライ返すのがやっとだった。
[感想]
この試合の中央大の得点はほとんどが流通経済大のミスが絡んだもの。そういっ
た意味では流通経済大にとってはホントに惜しい試合だった。しかしながら、何
でもないところでミスが出てしまうところに、今年の流通経済大のチーム作りの
苦悩ぶりが表れているように思われる。流通経済大首脳陣にとっては、ひたすら
我慢の日々が続きそうだ。
一方の中央大もチグハグといった印象が拭えない。3人がかりのタックルをもの
ともしなかったプレーに象徴されるように、山田主将の気迫は確かに素晴らしか
ったのだが、孤軍奮闘の感が強い。中央大が高い潜在能力を有しながらも下位に
低迷せざるを得ない理由はこの辺りにもありそう。
これから上位校と対戦する流通経済大が非常に厳しい戦いを強いられることは間
違いなさそうだが、下位校もおしなべてチーム状態がよく、中央大もけして安心
できない。残り3試合、両チームにはとにかく頑張ってくれ、と言うほかない。
[余談]
この試合は雨が降っていたため屋根のあるメインスタンドでの観戦だった。周囲
に流通経済大の選手達が居たのだが、彼らが意外なほど冷静なのにはちょっと驚
かされた。内部事情をよく知っている解説者といった感じ。それはそれで興味深
かったのだが、盛んにゲキを飛ばしていた反対サイドの中央大の選手達とはまっ
たく対照的。この辺りにもチームに今ひとつ元気が感じられない原因があるよう
な気がした。
(2000年10月29日記)
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