Live Reports from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 2000"

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○観戦記録 流通経済大学 vs 日本大学(2000年11月3日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2000/11/03) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 流通経済大学:前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |  17 27
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 2  0  2  0 16 |
       :後半: 2  2  2  0 20 |  36 10 


◎出場メンバー

 流経 : 1.荒井 2.佐久間 3.川嶋 4.川井 5.和田 6.伊藤 7.東海林 8.沼尻
      9.後藤 10.加瀬 11.喜瀬 12.田中 13.徳永 14.鈴木 15.土生
     (16.野本 17.岩岡 18.中西 19.白幡 20.佐藤 21.栗原 22.本橋)

    ○交替 12→22(後0分入替)、2→17(後22分交代)、8→19(後35分入替)


 日大 : 1.城内 2.加井 3.伊藤 4.迫田 5.宮野 6.横瀬 7.桑原 8.飯島
      9.八重樫 10.武井 11.藤崎 12.阪上 13.今利 14.窪田 15.岩木
     (16.大渕 17.白井 18.南方 19.高島 20.塩谷 21.小倉 22.藤原)

    ○交替  なし


 レフリー : 相田(日本協会)  タッチジャッジ : 戸田、藤間、橋本


◎得点経過

 流通経済大学  0    7          10                                10
                    G          P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                  T        P                T         P
 日本大学    0        5        8                13        16   16


 流通経済大学 10          17                                     17
                    G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
               G                 P      P       x G   x
 日本大学   16     23                26     29        36       36

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 流経:前半 3分 田中(T)、加瀬(G)
      14分 加瀬(PG)
    後半 9分 加瀬(T)、加瀬(G)

 日大:前半 7分 岩木(T)
      16分 武井(PG)
      33分 窪田(T)
      43分 武井(PG)
    後半 4分 阪上(T)、武井(G)
      22分 武井(PG)
      29分 武井(PG)
      39分 桑原(T)、武井(G)


◎得点パターン(参考)   *流通経済大学のキックオフで試合開始

 前半 3分  7- 0 (流経)スクラムからFWがサイドをついてラックを形成,オープン攻撃から
                 日大陣ゴール前で再びラック,(10)→(12)と繋いで(12)が
                 中央にトライ,(10)G成功
    7分  7- 5 (日大)流経キックを日大が自陣からカウンターアタック,ラックを経てオープン
                 に展開,(14)がゲインラインを突破して前進,相手タックルに捕
                 まったところをフォローした(15)がボールを拾って約40m独
                 走しゴール右隅にトライ,(10)G失敗
   14分 10- 5 (流経)正面46m,(10)PG成功
   16分 10- 8 (日大)正面やや右15m,(10)PG成功
   33分 10-13 (日大)流経陣左22L付近ラインアウトから右オープンに展開,ラックを経
                 てさらに右に展開し(10)→(13)→(14)と繋ぎ右隅にト
                 ライ,(10)G失敗
   43分 10-16 (日大)正面30m,(10)PG成功

 後半 4分 10-23 (日大)流経陣左22ML付近ラインアウトから素早く右オープンに展開,
                 (10)→(12)と繋ぎ(12)がタックラーをはね飛ばしてそのま
                 まG中央に走り込みトライ,(10)G成功
    9分 17-23(流経)日大陣右10ML/22MLラインアウトからFWがサイドアタックを繰り
                 返して日大G前まで前進,ラックからパスを受けた(10)が
                 G左隅にトライ,(10)G成功
   22分 17-26 (日大)G正面よりやや右23m,(10)PG成功
   29分 17-29 (日大)G正面18m,(10)PG成功
   39分 17-36 (日大)流経陣22ML前付近で得たペナルティから(7)が突進,流経
                 DFを振り切ってそのまま約30m独走しG中央にトラ
                 イ,(10)G成功


◎試合内容

チームは1週間(正確には5日)で生まれ変わる! 日大相手に勝利こそ収めら
れなかったものの、これまで今ひとつ力を発揮できずにいた流通経済大にとって
は、復活への確かな手応えが掴めた試合ではなかったかと思う。反則が多かった
(計27個)のが残念だが、試合の流れがどちらかに傾くこともなく終盤まで均
衡の保たれた好ゲームが展開された。

中央大に敗れてからこの試合までの5日間に何があったのか知る由もないが、ピ
ッチに登場したときから今日の流通経済大の選手達はどこか違って見えた。開き
直りとはちょっと違う、闘志のようなものがチーム全体にみなぎっていた。FL
に2年生の2人(伊藤と東海林)を起用するなどFWのメンバーを入れ替えたこ
とがチームをリフレッシュさせたのかも知れない。

一方の日大も先週の専大戦では勝ったものの冷や汗をかいているだけに心機一新
を図りたいところ。阪上(164cm,80kg,2年)と今利(167cm,85kg,4年)のおそら
く大学有力校ではもっとも小さいCTBコンビが攻守に大活躍していたのが目を
引いた。FWの中軸メンバー2人(HO大渕とNo.8南方主将)の完全復活はまだ
のようだが、メンバーはほぼ固定され、大学選手権に向け「いい感じ」になって
きた。

[前半]

先制したのは(精神面で)リフレッシュした流通経済大。スクラムを起点とした
サイド攻撃からオープンに展開しラック、最後はSO加瀬がDFを十分に引きつ
けてCTBの田中にパスを送り、田中君が難なくトライ。やはり,加瀬(先週の
中央大戦は欠場)がSOに入ると,流通経済大の攻撃は俄然輝きを取り戻しす。
BKがゲインラインをなかなか突破できないのは相変わらずだが,加瀬は正確な
キックなど随所で存在感の大きさを感じさせてくれた。

しかしながら、日大もすぐさま反撃。流通経済大キックに対するカウンターアタ
ックからラックを経てすぐさまオープンに展開。WTBの窪田はタックルに捕ま
ってしまうものの、フォローしたFBの岩木がボールを上手く確保して約40mを
走りきりトライを返す。エースの窪田の陰に隠れがちではあるが,この岩木だけ
でなく,WTBの藤崎も再三好ランニングを見せるなど、日大のバックスリーは
なかなか元気だった。

続く14分に流通経済大がPGで追加点を奪うものの、16分には日大もすかさずP
Gを返して10-8の僅差で流通経済大がリード。ここからしばらくの間は両チーム
一進一退の攻防を繰り返し、試合は膠着状態となった。ようやく均衡が破れたの
は33分。日大が流通経済大陣の左22mライン付近でのラインアウトからオープン
に素早く展開し、12番の阪上が粘り腰でゲインラインを突破。さらに右に展開し
今度は13番の今利がこちらも粘り腰でゴール前までボールを運び14番の窪田にラ
ストパス。けしてFWだけではない日大の特徴がよく出たトライだった。

前半終了間際にも,日大はFWとBKが一体となってボールを繋ぐ怒濤の攻撃で
流通経済大ゴール前へ。トライには至らなかったが流通経済大の反則を誘い、武
井が冷静に約30mのPKを決めて日大6点リードで前半を終了。両校の特徴がよ
く出た前半の戦いだった。

[後半]

開始早々の4分、これも流通経済大陣22mライン付近でのラインアウトを起点と
した素早いオープン攻撃から日大に見事なトライが生まれる。武井からのパスを
受けたCTBの阪上が(まるで大東大のオトのように)タックラーを吹っ飛ばし
て突進しそのままトライ。阪上はこれまでの数試合では経験不足を感じさせるプ
レーぶりだったが、この日は今利とともに持ち前のパワーを存分に発揮して日大
の攻撃の核弾頭となっていた。

しかしながら,流通経済大も負けてはいない。後半9分にこちらも日大陣でのラ
インアウトを起点としてFWのサイドアタックにより日大ゴール前まで前進。最
後は加瀬がトライを決めて再び日大のリードは6点に。このあたり、流通経済大
FWはよく鍛えられている。緒戦(専修大戦)の重くて走れない流通経済大FW
のイメージは完全に消えていた。

日大としては得点差を何とか8点以上に拡げたいところ。FW戦はほぼ互角だっ
たが、徐々にBKの攻撃力でまさる日大ペースの試合展開となっていった。22分
と29分に流通経済大は自陣で手痛い反則を犯し相次いでPGにより失点。日大は
決めるべきところで確実に決めるという手堅い試合運びだった。

終盤,このままでは終われない流通経済大は粘りを見せ、FWのサイドアタック
を軸として攻め続けるものの、ゴールラインまであと一歩のところで届かず。逆
に39分にこれもペナルティから失点し、万事窮してしまった。

[感想]

流通経済大は緒戦に勝ったあと4連敗で1勝4敗。4年連続の大学選手権出場は
ちょっと苦しくなってなってしまった。ただ、このは専修が中央に勝ったため、
1勝4敗でこれらの3校が並ぶという混戦状態に突入。最終成績が同じ2勝5敗
でも、片や大学選手権、片や入替戦という状況も十分に起こり得る。流通経済大
にもまだ希望はある。

最初にも書いたとおり,この試合は流通経済大にとっては敗れたとは言え価値の
ある戦いだったと思います。今日の選手達にはラグビーでもっとも大切な闘争本
能がみなぎっていた。この試合を流経ラグビー復活への第一歩(になると信じて
いる)として、同じ熊谷での1部リーグ初勝利(対中央大戦)とともにしっかり
記憶に残しておきたいと思う。
                           (2000年11月3日記)


Edited by Kazunori KONO, May/7th/2004   Back