Live Reports from Rugby Stadium

熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 2000"

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○観戦記録 大東文化大学 vs 東海大学(2000年10月4日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2000/11/04) 於:熊谷ラグビー場(B)

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 3  2  1  0 22 |
       :後半: 3  0  0  0 15 |  37 18
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 東海大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 5  2  0  0 29 |  34 14 


◎出場メンバー

 大東 : 1.島田 2.大塚 3.片岡 4.村瀬 5.バツベイ 6.露木 7.井上 8.マウ
      9.苫米地 10.松尾 11.五十嵐 12.田中 13.島崎 14.太田 15.大西
      (16.坂尾 17.吹越 18.生沼元 19.山本 20.山中 21.中垣 22.オト)

    ○交替  4→18(後0分交代)、10→21(後20分入替)、3→16(後30分入替)
    ●シンビン 8(後半20分)


 東海 : 1.岩代 2.黒田 3.宮本 4.臼井 5.比嘉 6.平松 7.梶村 8.大谷
      9.小池 10.大東 11.松本 12.大野 13.田中 14.芝田 15.三須
     (16.中村 17.林 18.神原 19.小笠原 20.吉田 21.百村 22.渡辺)

    ○交替  7→19(後0分入替)、13→22(後11分入替)、3→16(後20分入替)
        1→18(後30分入替)


 レフリー : 御領園(日本協会)  タッチジャッジ : 岸川、斉藤


◎得点経過

 大東文化大学  0  3              10         17    22             22
                  P              G          G     T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                                  T
 東海大学    0                                        5         5


 大東文化大学 22       27 32                      37             37
                 T  T                   x   T
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
               T         T  T G          G
 東海大学    5     10       15 20 27         34                34

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:前半 1分 松尾(PG)
      16分 大西(T)、松尾(G)
      27分 五十嵐(T)、松尾(G)
      33分 大西(T)
    後半 6分 太田(T)
       9分 マウ(T)
      33分 五十嵐(T)

 東海:前半39分 小池(T)
    後半 4分 小池(T)
      14分 FW(T)
      17分 大東(T)
      19分 三須(T)、大東(G)
      30分 大東(T)、大東(G)


◎得点パターン(参考)    *東海大学のキックオフで試合開始

 前半 1分  3- 0 (大東)中央やや右30m,(10)PG成功
    16分 10- 0 (大東)自陣22ML内からのカウンターアタックから(14)が大きくゲインし
                 (15)にパス,(15)が約50m独走しトライ,(10)G成功
   27分 17- 0 (大東)東海陣10ML/22ML左ラインアウトからFWとBKがコマ沓内で前
                 進,(11)がトライ,(10)G成功
   33分 22- 0 (大東)自陣ゴール前左ラインアウト(東海ボール)で東海選手がノックオンし
                 たボールを確保してオープンに展開,(10)→(15)と繋ぎト
                 ライ,(10)G失敗
   39分 22- 5 (東海)大東陣G前スクラムを押し込み(9)がトライ,(10)G失敗

 後半 4分 22-10 (東海)大東陣G前スクラム(大東ボール)を押し込みスクラムからのこ
                 ぼれ球を(9)が押さえてトライ,(10)G失敗
    6分 27-10(大東)東海陣でのペナルティから(8)が突っ込んでラック,フォローした
                 (14)がトライ,(10)G失敗
    9分 32-10 (大東)スクラムから右オープンに展開し(15)が大きくゲイン,フォローし
                 た(8)が東海陣22ML付近でショートパント,これを自ら前進
                 してキャッチしそのままトライ,(10)G失敗
   14分 32-15 (東海)大東陣ゴール前で得たペナルティからスクラムトライ,(10)G失敗
   17分 32-20 (東海)大東ゴール前右ラインアウトからFWでサイドアタック,ラックから出た
                 ボールを(10)が持ち込みトライ,(10)G失敗
   19分 32-27 (東海)大東キックオフに対して自陣からカウンターアタック,(15)がディフェン
                 ダーを振り切ってトライ,(10)G成功
   30分 32-34 (東海)大東ドロップアウトに対するカウンターアタックから(10)がトライ,
                 (10)G成功
   33分 37-34 (大東)HWL付近で得たペナルティからオープンに展開,(11)がトライ
                 (10)G失敗


◎試合内容

惜しくも3点差で敗れた東海大。「試合に勝って勝負に負けた」といったところ
だろうか。FWのセットプレーの安定感はもはやリーグ戦でもトップレベルに達
しており、試合経験を積めば「目指せ,大学日本一!」(バックスタンドに掲
げられた横断幕のスローガン)もけして望外な目標ではなさそうだ。東海大の残
り3試合での活躍に対する期待がより高まった一戦だった。

この試合では,大東大はFWのメンバーを大きく入れ替えてきた。まず目を引い
たのがしばらく出場機会のなかったマウの登場。そのマウがNo.8で普段はNo.8の
バツベイがロックに回るという強力布陣。また、スタメンはこれまでとはうって
変わってすべて3,4年生で固めていた。おそらく日大を相当に苦しめた東海大
の強力FWへの対抗策と考えられる。

[前半]

前半は序盤から大東大ペース。タックルされても倒れないでボールをキープでき
るプレイヤーが2人(バツベイとマウ)居ること大きく、FW、BK関係なくボ
ールを繋いでいき最後は走力のあるバックスリーでフィニッシュという「見てい
て楽しい大東大ラグビー」を久しぶりに見ることができた。「スキあらば」と自
陣からでも果敢にアタックを仕掛けたSO松尾のプレーも冴え、前半33分の段階
で22-0と大東大が一方的なリード。

東海大もFWの強力なセットプレーを軸に展開ラグビーで自陣からでも積極的に
攻撃を仕掛けていき、大東大陣奥深くへ攻め入る機会がかなりあった。だが、気
負いがあったためか肝心なところでミスを犯しなかなか得点できない。東海大の
応援席では「やっぱり(BKの)経験と技術が違う」といった声が聞かれ、この
段階では一種の諦めムードも漂っていた。

しかしながら,後半終了間際に東海大は(日大もほとんど押せなかった)自慢の
スクラムで活路を開く。大東大陣ゴール前でのスクラムを押し込みSHの小池主
将がトライ。必至にホイールで逃れようとする大東大FWをものともせずまっす
ぐに押し込んだ見事なスクラムだった。右PRの宮本(体重126kg)の存在は今
後の対戦チームにとっても脅威となりそう。意気消沈しかけていた東海大にとっ
ては後半戦への望みを繋ぐ貴重なトライでもあった。

[後半]

後半開始早々にも東海大の強力スクラムが炸裂。大東大ゴール前での大東大ボー
ルスクラムを豪快に押し込み、ボールがスクラムからこぼれ出たところを再び小
池主将が押さえて10-22とビハインドを12点まで縮める。

ところが東海大応援席の喜びも束の間。後半6分には自陣で犯したペナルティか
らの大東大マウの突破を足がかりとしてWTBの太田にあっさりトライを奪われ
てしまい10-27。そして続く9分にもマウの個人技(ゴール前で迫ってくるディフ
ェンダーの頭越しに小さなキックを上げ、それをゴール前で自らキャッチしてそ
のまま押さえた)で東海大はさらに失点を重ね、ビハインドは再び22点に拡がっ
た。

このあたり、東海大はチームの経験の浅さが出てしまったといったらいいだろう
か。トンガ勢の2人へのタックルにしても、たとえば関東学院のように「1人は
足ならもう1人はボールへ」というようには徹底されていないように感じられた。

しかしながら,ここでも「東海大負けムード」からチームを救ったのはセットプ
レーだった。まず、後半14分にはゴール前で得たペナルティからスクラムを選択
してトライ。また、後半17分には今度はゴール前でのラインアウトを起点として
トライを奪い再びビハインドは12点に。スクラムのことばかり書いたが,東海大
のラインアウトの安定感も群を抜いている。文字通りFWの核として攻守に活躍
しているLOの臼井はリーグ戦Gのベストプレイヤーの1人だと思う。

さらに後半19分、東海大はキックオフに対するカウンターアタックからノーホイ
ッスルトライを奪う。ここでマウがラフプレーに対してシンビンを受け大東大は
FWが1人少なくなり窮地に。東海大は大東大ゴール前で得たスクラムのチャン
スを活かせなかったものの、後半30分にはさらに1トライ追加と、都合4連続ト
ライで遂に逆転に成功する。東海大の応援席は勝ったも同然の盛り上がりを見せ
ていた。

ところが,ここでも東海大にチームの若さ、というか一瞬の気の緩みが出てしま
った。逆転成功の興奮も冷めやらない後半33分にハーフウェイライン付近でのペ
ナルティから大東大のWTB五十嵐に一気に走りきられて34-37。大東大は最後
に4年生が意地を見せた。この五十嵐,ソフトな面持ちに似合わず、なかなかの
ファイターである。8番目のBKとして大東大には欠かせない存在になっている
FLの露木(緒戦ではリザーブにも入っていなかった)といい、大東大には存在
を忘られては困る4年生がたくさん居る。

得点差は僅か3点。何とか再逆転をと東海大は必至に攻める。インジュリータイ
ムに入ったところで東海大は好位置でPKのチャンスを得るが、欲しいのは引き
分けよりも勝利。果敢にアタックを試みるもののゴールラインにあと一歩届かず
無情のホイッスルが鳴り、東海大はほとんど手中にしかけていた2勝目を逃して
しまった。

[感想]

とにかく今シーズンの大東大は例年にも増して不安定な戦いが続いている。この
試合も先だっての専修大戦と同様、限りなく負けに近い勝ちだった。大東大には
反省点も多かったとは思うが、けして減点法では評価できないのが大東大のラグ
ビー。「自分たちが楽しくラグビーをできる時間帯をできるだけ増やすにはどう
したらいいのか」というようなプラス指向の対応策もあるように思われる。

とは言いつつも,今年も,大東大は大学選手権で優勝を狙うチームとっては一番
怖い存在になりうることを予感させるような戦いぶりではあった。

                          (2000年11月4日記)


Edited by Kazunori KONO, May/7th/2004   Back