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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 2001"

2001 Top

○観戦記録 大東文化大学 vs 東海大学(2001年10月27日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2001/10/27) 於:熊谷ラグビー場(B)

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 1  1  1  0 10 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  27 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 東海大学  :前半: 2  2  0  0 14 |
       :後半: 5  2  0  0 29 |  43 23


◎出場メンバー

 大東 : 1.藤田 2.林田 3.坂尾 4.生沼知 5.バツベイ 6.相 7.井上 8.マヘ
      9.山中 10.中垣 11.山田 12.田中 13.岩井 14.海老原 15.藤山
      (16.島田 17.鈴木 18.丸山 19.小林 20.吉村 21.松尾 22.大西)

    ○交替  9→20(前32分入替)、10→21(前32分入替)、15→22(前36分入替)
         1→16(後85分入替)、6→19(後15分入替)


 東海 : 1.岩代 2.黒田 3.宮本 4.大谷 5.湯井 6.高 7.梶村 8.島袋
      9.吉田 10.三木 11.石本 12.杉山 13.高倉 14.百村 15.大東
     (16.中村 17.成島 18.須藤 19.西岡 20.浜口 21.小原 22.柴原)

    ○交替  5→18(後32分入替)、3→16(後37分入替)、9→20(後40分入替)
        12→22(後40分入替)


 レフリー : 渡辺(関東協会)  タッチジャッジ : 谷口、斉藤、屋敷


◎得点経過

 大東文化大学  0                                        3 10     10
                                                        P G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             G                                G
 東海大学    0   7                                14           14


 大東文化大学 10                             15     20      27   27
                                       T      T       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
              G   T   T    G T
 東海大学   14    21  26  31  38 43                            43

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎試合内容

東海大がついにやった。相手がチーム作りに苦しんでいる大東大ではあったにして
も、昨シーズンの上位校から挙げた見事な今シーズンの初勝利。東海大にとっては、
大学選手権出場への展望が大きく開けただけでなく、さらなる飛躍に向けても大き
な力となる記念すべき試合となった。

[出場メンバー雑感]

東海大は(先週の関東学院戦での大敗のことは忘れたかのように)元気いっぱいで
ピッチに登場。スタメンで目に付いたのはFL高(1年)、No.8島袋(3年)、SH吉
田(2年)といったところ。負傷者が出てもフレッシュなメンバーを補充できるのが
層の厚くなった東海大の強み。なかでも浜口(本日はリザーブ)に代わってスタメ
ンに入った吉田が本日のキープレーヤーとなった。

一方の大東大はそんな東海大とはうって変わってリラックスムード。ほぼベストの
顔ぶれだったが、注目のハーフ団は山中と中垣の展開重視のコンビ。シーズン半ば
になっても戦術を固定できない(あくまでも私見)大東大首脳陣の混迷ぶりが伺え
る布陣だった。

「何か」を予感させる雰囲気の中でキックオフのホイッスルが吹かれた。


[前半]

大東大のキックオフで試合開始。風下(ただし微風)の東海大はこのボールをタッ
チアウトせずに自陣22m内から積極的にオープンに展開。積極的にアタックを仕
掛けていこうという意図が十分すぎるくらいに伝わってくるプレーだった。

東海大は大東大陣に攻め入るもののノットリリースを犯し、一転して自陣22m内
で大東大ボールラインアウトのピンチに陥った。しかしながら、大東大がオープン
に展開してラストパス!というところで東海大のFB大東がインターセプト。その
まま約80mを走りきり先制トライ。ゴールも成功、は開始僅か2分の出来事。東海
大の積極性が生んだ得点だった。

その後も東海大は果敢なアタックを仕掛けて大東大を翻弄。しかしながら、肝心な
ところで反則や判断ミスを犯し、なかなか追加点が奪えない。前半22分には大東大
陣22m内の絶好の場所でPGのチャンスを得ながら、これを狙わずにタッチキック。
しかしながら、これがノータッチとなりカウンターを喰らうなど、ゲーム運びに関
しては「相変わらず」といった感じだった。

大東大もLOバツベイとNo.8マヘの強力な縦突進で再三チャンスを掴むものの、B
Kの連携ミスが目立ちなかなか得点できず。BK展開が上手くいかないためか前半
32分で大東大はハーフ団を山中〜中垣コンビから吉村〜松尾コンビにそっくり入れ
替えるという荒治療にでた。

その僅か3分後の35分だった。東海大は自陣15m付近で得たラインアウトからオー
プンに展開。FBがライン参加しそのパスを受けた12番杉山が大東大陣深くまで一
気にゲイン。最後は左WTBの石本がゴール左隅にトライを決め、しかも難しい位
置ながらゴールも成功して東海大のリードは14点となった。エースの百村や沼田と
いった快速ランナーの陰に隠れがちではあらが、石本もなかなかの俊足。本日3ト
ライの活躍は存在感を示すに十分だった。

しかしながら、ここで東海大にいつものパターン(ツメの甘さ)が出てしまい、39
分にPG、41分には自陣でのターンオーバーからの失トライと相次いで失点を重ね、
せっかくのリードが4点まで縮小。ハーフ団交代が功を奏して大東大のアタックが
機能し始めたこともあり、東海大の健闘もここまでかというムードが漂い始めるう
ちに前半終了となった。

[後半]

前半の流れから、大東大の爆発も大いに予想された後半だったが、開始早々での大
東大のディフェンスミス(としか思えない)プレーがそんなムードにすっかり水を
差してしまった。大東大陣の10mライン付近でのラインアウトから東海大はオープ
ンに展開。右CTBの高倉がおそらく本人も驚いたに違いないというくらいにあっ
さりと抜けてしまい、一気にゴールポスト直下へ。

ここから僅か16分間に東海大は連続5トライを挙げてリードは33点に開いた。大東
大にとっては魔の時間帯という他なかった。モールやラックサイドのディフェンス
がほとんど機能せずにことごとく破られてしまったことが傷口を大きく拡げてしま
った。

最初の方でも書いたように、素早く正確なパス回しと機を見ての果敢なアタックで
東海大の攻撃に素晴らしいリズムを生み出したSH吉田の活躍が光った。今年卒業
し、現在は社会人のセコムでレギュラーSHの座を掴んだ小池(昨年度のベスト1
5にも選ばれている)を彷彿させるようなプレーぶり。今後要注目の選手と言えそ
うだ。

このまま東海大が楽勝かとも思われたが、20分過ぎからは大東大の怒濤の逆襲が始
まる。LOのバツベイをNo.8に下げてNo.8のマヘをオープンサイドFLに回し、そ
こに井上が加わるという超破壊的な第3列の誕生。東海大は防戦一方となったが、
気迫のタックルでなんとか大東大の反撃を3トライに抑えて16点差での堂々たる勝
利となった。

[試合後の雑感]

東海大のピッチ上の選手達とスタンドで応援する控え選手達の一体感が見事。最後
まで積極的なアタックと攻撃的なディフェンスの手を緩めなかったその東海大の快
勝だった。とくに素晴らしかったのは東海大選手達の気迫のタックル。相手をしっ
かりと受け止めて前進(オーバー)を許さなかった。骨のきしむ音が至る所で響き
渡っていっても過言でないくらいの凄まじさだった。

東海大が今後さらに上に行くための課題としては、やはりゲーム運びが挙げられる。
ただ、これは経験で解決できる問題とも言える。基本がしっかりしているチームで
あるだけに、今後さらにチーム力を挙げていくことが期待される。そのためにも、
後半戦でも気を緩めることなく戦い、大学選手権出場を果たして欲しいと思う。

一方の大東大だが、後半戦に対する不安が一気に増大してしまった。現時点に至っ
てもチーム戦術のカギを握る司令塔を固定できないため、なかなかチームとしての
一体感が生まれてこない。昨シーズンに中垣が機能したのは、決定力のあるバック
スリーを持っていたからだと思われる。絶対的なエースだった太田と救世主的な役
割を果たした五十嵐の後を埋める選手が、残念ながら今シーズンの大東大には見あ
たらない。

バツベイとマヘのコンビの強力な破壊力を活かすなら、松尾を司令塔に固定し(と
りあえずオープン展開は捨てて)FW周辺で勝負する方が対戦チームにとっては脅
威となるように思われる。これもCTBのオトが復帰すればわからなくなるが..
.。いずれにせよ、この敗戦が、大東大にとって「凋落への一歩」にならなければ
いいのだが。
                           (2001年11月27日記)


Edited by Kazunori KONO, May/29th/2004   Back