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熱闘!関東大学ラグビー・リーグ戦 "Play Back 2001"

2001 Top

○観戦記録 大東文化大学 vs 日本大学(2001年11月24日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2001/11/24) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 大東文化大学:前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 4  4  0  0 28 |  35 19
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 3  3  2  0 27 |
       :後半: 2  2  1  0 17 |  44 11


◎出場メンバー

 大東 : 1.藤田 2.林田 3.坂尾 4.生沼 5.マヘ 6.相 7.井上 8.バツベイ
      9.山中 10.松尾 11.海老原 12.田中 13.中垣 14.大西 15.神野
     (16.島田 17.吹越 18.片岡 19.山本 20.吉村 21.オト 22.藤山)

    ○交替  9→20(後13分交代)、2→17(後13分交代)


 日大 : 1.城内 2.加井 3.伊藤 4.迫田 5.宮野 6.桑原 7.トーエツ 8.飯島
      9.塩谷 10.河野 11.松永 12.武井 13.水田 14.小林 15.藤原
     (16.白井 17.御原 18.津田 19.山口 20.八重樫 21.植村 22.藤崎)

    ○交替 8→18(後34分入替)


 レフリー : 緒方(関西協会)  タッチジャッジ : 徳留、渡辺、後藤


◎得点経過

 大東文化大学  0                       7                          7
                                       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
            G   G     P P          G
 東海大学    0  7   14   17 20         27                      27


 大東文化大学  7               14       21        28 35          35
                         G        G          G G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       x       G      G          P
 東海大学   27                     34     41         44        44

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗


◎得点者

 大東:前半22分 神野(T)、松尾(G)
    後半14分 大西(T)、松尾(G)
      23分 海老原(T)、松尾(G)
      34分 松尾(T)、松尾(G)
      36分 大西(T)、松尾(G)

 日大:前半 1分 武井(T)、武井(G)
       6分 藤原(T)、武井(G)
      11分 武井(PG)
      13分 武井(PG)
      24分 武井(T)、武井(G)
    後半20分 松永(T)、藤原(G)
      27分 水田(T)、武井(G)


◎試合内容

今シーズン、今一歩調子の出なかった両チームの最終戦。この試合に勝てば3位に
なるものの、負けてしまうと大学選手権出場は他力本願となってしまう大東大。片
や、5位以上が確定しているものの、大学選手権や来シーズンのことを考えると順
位を少しでも上げておきたい日大。大東大が最後の意地を見せてくれるはず、との
大東ファンの願いも届かず、勝利を収めたのは日大の方だった。

直前に行われたジュニア選手権(関東学院vs法政)と比べると、プレーの質の面で
かなり???の部分もあった試合だったが、トンガ勢3人(バツベイ、マヘ、トー
エツ)を中心とした激しい肉弾戦は見応えがあった。

[キックオフ前雑感]

ここ数シーズン、日替わりメニューのように試合ごとにスタメンが入れ変わる大東
大。話題を呼んだバツベイのWTBは2試合限りで、マヘとのFWコンビが復活。
関東学院戦で復帰したオトはリザーブに回りCTBには中大戦と同じく中垣が起用
された。CTBの田中主将とFBの神野の突破力は定評のあるところ。FWの強力
なパワーとBKの展開力がかみ合えば、DFに不安のある日大相手にトライの山を
築くことも可能。

一方の日大はほぼ不動のメンバー。但し、先週の法政戦で負傷したCTB阪上の代
わりに、今シーズンFBとして活躍していた武井を起用。FBには2年生の藤原が
入った。魅力的なラインアップではあるものの、コンビネーションには不安あり。

(はからずも、この選手起用が両チームの明暗を分ける結果となってしまった。)

[前半]

この試合にかける意気込みは背水の陣を敷く大東大の方が上のはず、という大方の
予想を裏切り、開始1分で日大はあっさりと先制。大東大陣でFKを起点として連
続攻撃を仕掛け、武井が走力を活かしてトライを奪った。怪我の功名の感もあるが、
早くも日大の選手起用が効を奏した。

続く5分にも日大はターンオーバーからトライを追加。この先制のワン・ツー・パ
ンチは効いた。さらに、11分と13分に日大は相次いでPGを決め、あっという間に
20点差がついてしまった。ラインアウトの不安はあるにしても、結果的に見れば2
本のPGによる加点は冷静な判断だった。22分に大東大はようやく1トライ返すが、
その直後の24分に日大はトライを追加。得点差は再び20点に開いた。

大東大はシーズン当初のスタイルでもある、トンガ勢2人(FW)を中心として再
三縦を突く。しかしながら、彼ら「2人アタック」でゲインはするものの、なかな
かBKに活きた球を供給できず得点出来ない。せっかく、過去2戦でBKに展開す
る形(いわゆるWTBバツベイ効果)が出来ていたのに、再びバツベイとマヘの2
人の縦攻撃に頼る、相手にとってはDFの的を絞りやすいスタイルに逆戻りしてし
まった。

とはいっても、大東大の5−8コンビのアタックはやはり強力。FWの選手だけで
は止めきれず、日大のSH塩谷やCTB武井が「犠牲」になる場面もあり、前半の
終わり頃の日大はピンチの連続となった。「同胞対決」ということで人一倍燃えて
いたトーエツの頑張りがなかったら日大はかなり厳しい状況に追い込まれていたか
も知れない。

結局、その後は両者とも決め手を欠き、日大の20点リードで前半が終了した。大東
大の爆発力を考えれば、日大ファンにとっては、7点(トライ+ゴール)の倍数に
1点足りない微妙な点差が何とも気になるところではあった。

[後半]

後半も序盤は膠着状態が続く。何とか安全圏までリードを拡げたい日大は12分に好
位置でPGのチャンス。しかしながら、体を張ったDFでダメージを受けていた武
井のキックの調子がおかしくなり、追加点を奪えず。その直後のドロップキックか
ら大東大は連続攻撃を仕掛けてトライを奪い、日大のリードは13点に縮る。大東大
はようやくエンジン全開。日大選手の足も止まり始めめていた。

しかしながら、本日の日大DF陣の前に出るプレッシャーは最後まで衰えなかった。
大東大陣で左WTB松永が相手キックをチャージし、そのままボールを拾ってイン
ゴールへ。23分に1トライ返されて再び13点差となるものの、直後の27分には今度
はCTBの水田のインターセプトが決まり再び20点差。

大東大もこのまま終われない。34分と36分に立て続けにトライを奪い点差はとうと
う6点まで縮まってしまった。残り時間と大東大の勢いを考えれば、逆転には十分
すぎるくらいの時間がある。法政戦での「三ツ沢の奇跡」がふと頭をよぎった。

大東ファンのボルテージが上がる中で、この試合にケリならぬ蹴りをつけたのは日
大BK唯一の4年生、小林。ゴール正面約30mの位置で得たPGを武井君に代わっ
て冷静に決め、日大のリードは9点。激しい肉弾戦で乱戦模様を呈していたこの試
合にピリオドを打った。

[試合後雑感]

この試合の直前に行われたジュニア選手権での「継続ラグビー」が目に焼き付いて
いたからというわけでもないが、両校の低迷ぶり(関東学院と法政との実力差が確
実に開いてきているという意味で)を象徴するような試合だったと思う。

とくに、最後まで強力な戦力をひとつのチームに纏めることができなかった大東大
は重傷のように思える。関東学院や法政と違った形での継続ラグビーが出来るはず
で、またそれが大変魅力的なものであることをラグビーファンは知っているだけに、
なおさらそう思う。大東大に比べれば「チーム」になっていた日大にしても、なか
なか自分たちが目指している形を試合では表現できないでいるように思われる。

その他のチームの戦いぶりを観ても、今のままではリーグ戦グループは関東学院と
法政が2強として定着してしまう可能性が高いと言わざるを得ない。そうなってし
まわないためにも、両校の「大奮起」を期待するのみである。
                            (2001年11月24日記)


Edited by Kazunori KONO, May/30th/2004   Back