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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2001/12/01) 於:江戸川区陸上競技場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
東海大学 :前半: 2 1 0 0 12 |
:後半: 2 0 0 0 10 | 22 12
+-----------------+-------------------------------+-------------+
流通経済大学:前半: 1 1 1 0 10 |
:後半: 1 1 2 1 16 | 26 10
◎出場メンバー
東海 : 1.岩代 2.黒田 3.宮本 4.大谷 5.湯井 6.高 7.梶村 8.島袋
9.吉田 10.三木 11.米盛 12.高倉 13.稲田 14.百村 15.大東
(16.中村 17.成島 18.須藤 19.京谷 20.浜口 21.小原 22.福隅)
○交替 1→16(前10分交代)、8→19(後8分入替)、5→18(後38分交代)
13→22(後38分交代)、10→21(後38分交代)
流経 : 1.川嶋 2.児玉 3.川嶋 4.松元 5.鈴木学 6.田口 7.ローゲセン 8.グレイ
9.佐藤哲 10.森 11.森竹 12.土生 13.大野 14.大平 15.栗原
(16.岩岡 17.小沼 18.加藤 19.マッケンジー 20.伊藤 21.永山 22.喜瀬)
○交替 8→19(前39分交代)、10→22(後21分入替)
レフリー : 藤(日本協会) タッチジャッジ : 工藤、長家、影山
◎得点経過
東海大学 0 7 12 12
G T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
G P
流通経済大学 0 7 10 10
東海大学 12 17 22 22
T T
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
P P D G
流通経済大学 10 13 16 19 26 26
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
東海:前半27分 大東(T)、三木(G)
34分 吉田(T)
後半19分 百村(T)
42分 ? (T)
流経:前半30分 ? (T)、栗原(G)
39分 栗原(PG)
後半 4分 栗原(PG)
10分 栗原(PG)
18分 森 (DG)
30分 大平(T)、栗原(G)
◎試合内容
この試合に勝てば大学選手権への道が開けるものの負けてしまうと入替戦を戦わな
ければならない東海大。一方、大学選手権への望みは絶たれたものの、この試合に
勝てば入替戦を回避できる流通経済大。双方とも気合いが入りすぎていたためか、
ミスの目立つ展開となったが、(プレーの質に目を瞑れば)最後まで勝敗の行方が
わからない緊迫した好ゲームとなった。
[キックオフ前の雑感]
東海大は故障者も復帰しほぼベストの布陣。終盤に来てやや元気がなくなっている
のが気になるが、ここはしっかりと勝ちたいところ。一方の流通経済大もシーズン
終盤にしてようやくメンバーが固まった。SHの佐藤とFBの栗原(いずれも3年)
意外はすべて2年生というフレッシュなBKライン。優勝争いとはまた違った意味
での熱い戦いが期待された。
[前半の戦い]
双方、気合いが入りすぎていたのか、それともリーグ戦での疲れがたまっているの
か、とにかくイージーなミスが目立つ立ち上がりとなった。ただ、いまひとつ戦術
が見えない東海大に比べると、FW周辺でのゴリゴリは避けて、積極的にオープン
に展開しようという意志がはっきりと見て取れたのが流通経済大。ミスが多い中に
も徐々に流通経済大が攻撃のリズムを掴み始める。
双方決め手を欠く展開の中で、得点板が動いたのは前半も27分を経過してから。流
通経済大陣内で相手キックをチャージしたFB大東がそのままインゴールに飛び込
んで東海大があっけなく先制した。しかしながら、その直後の30分には流通経済大
が逆襲し同点とする。ここからは一転して点の取り合いの様相を呈してきた。
続く34分には東海大のSH吉田がゴール前のラックから抜け出しトライ。ゴールも
成功して12-7。地力に勝る東海大の方にようやくエンジンがかかってきたかに見え
た。流通経済大は東海大のパワーに押され気味となる。前半終了間際には流通経済
大がG正面44mの位置でPKのチャンスを得る。これを栗原が見事に成功させ12-10
の東海大2点リードで前半を終了。点差を詰めておいて後半に勝負をかけるという
冷静な判断が勝敗を分けることになった。
[後半の戦い]
後半は東海大パワーが爆発か、という東海大ファンの期待は外れ、積極的にオープ
ンに展開する流通経済大ペースの様相。東海大が自陣でたまらず反則を犯したとこ
ろで流通経済大はPGを選択。199cmのLO鈴木を擁しラインアウトに自信を持つ
流通経済大だが、試合運びは慎重だった。4分のPGでまずは逆転に成功し、続く
10分のPGでリードを4点に拡げた。
そして、18分にはSO森が東海大ゴール前15mの位置で一瞬前が空いたタイミング
を見逃さず絶妙のドロップゴールを決めリードを7点に拡げる。相手陣で攻め続け
ながらも、ミスでチャンスを潰していた感のある流通経済大にとっては、貴重な貯
金となった。
だが、(流通経済大は)まだまだ安心できない。直後の19分には東海大は流通経済
大陣内でのラインアウトから素早くオープンに展開。FBのライン参加で大きくゲ
インし、最後には絶対的なエースに成長した百村が豪快にゴール右隅に飛び込むと
いう東海大の形が出て、流通経済大のリードは2点に縮まった。今度こそ東海大ペ
ース。東海大のオープンラグビーに流通経済大は守勢に回る。
しかしながら、終盤の30分に流経大の「全員ラグビー」から見事な得点が生み出さ
れる。東海大の陣内からのキックに強力なプレッシャーをかけてミスを誘いボール
をゲット。これをオープンに展開して右WTBの大平がトライ。ゴールも成功して
流通経済大はリードを安全圏の9点に拡げる。結局、東海大の猛反撃を終了間際の
1トライに抑え、戦前の大方の予想を覆して流通経済大が来シーズンにも希望を持
たせる形で有終の美を飾った。
[感想]
東海大のリーグ戦終盤の「失速」がファンならずとも気になる。大東大戦での勝利
で燃え尽きてしまったのだろうか。上位グループ入り、そして大学選手権出場のチ
ャンスを自ら逃してしまっただけでなく、入替戦まで戦わなければならなくなって
しまった。昨シーズンからの課題でもあった、メンタル面の成長がない限り、今後
の飛躍は難しい状況だ。(まずは入替戦だが...)
一方の流通経済大だが、回り道の感はあったものの来シーズン以降に向けての飛躍
への確かな手応えが掴めた。やはり、オープンにどんどん展開して華麗に攻めるの
が流通経済大の形。スクラムの強化は急務ではあるものの、FWの大型化は逆に流
経大の持ち味を消してしまう可能性もある。
とにかく、将来性のある魅力的なメンバーが揃っている流通経済大は要注目。1年
生ながら攻守にわたって大活躍を見せたFLローゲセンはクレバーな頭脳と激しい
闘志を併せ持った、風貌といい、まるでニールソン二世とでも言いたくなるような
素晴らしい選手だと思う。来シーズンは2年生ながら、おそらく流通経済大の精神
的支柱として大活躍するものと期待される。
ようやくチームになった流通経済大と、なかなかチームになれなかった東海大。チ
ーム作りの難しさを痛感させられる両校の対戦だった。
(2001年12月1日記)
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