LIVE REPORT from RUGBY STADIUM

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○観戦記録 中央大学 vs 日本大学(2003年10月11日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/10/11) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 中央大学  :前半: 1  1  2  0 13 |
       :後半: 0  0  1  0  3 |  16 12
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 2  1  0  0 12 |
       :後半: 1  0  2  0 11 |  23 18

◎出場メンバー

 中央 : 1.長谷川 2.諸隅 3.藤本 4.羽立 5.今井 6.日隅 7.森 8.末永
      9.正田 10.升本 11.中村 12.橘 13.有田 14.室井 15.今藤
     (16.池田 17.千田 18.石丸 19.久保 20.寺本 21.工藤 22.小俣)

    ○交替  4→17(前34分交代), 17→4(後3分交代), 12→22(後6分入替),
        3→17(後21分入替)
    ●シンビン 3(前半34分)

 日大 : 1.北島 2.手塚 3.高橋 4.トーエツ 5.古賀 6.山口 7.山下 8.津田(健)
      9.塩谷 10.河野 11.梅澤 12.安井 13.水田 14.藤原(丈) 15.藤原(誠)
     (16.飯田 17.上田 18.ラタ 19.津田(大) 20.八重樫 21.松下 22.大神)

    ○交替  なし

 レフリー : 相田(日本協会)  タッチジャッジ : 中原、三森、斉藤

◎得点経過

 中央大学    0  3    10                      13                13
                  P    G                     x P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                              T                G
 日本大学    0                    5                12          12


 中央大学   13                                    16           16
                                              P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                   P        T                          P
 日本大学   12         15       20                        23   23

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 中央:前半 1分 森 (PG)
       6分 室井(T)、森(G)
      30分 森 (PG)
    後半35分 森 (PG)
 日大:前半19分 水田(T)
      36分 津田(T)、梅澤(G)
    後半 8分 梅澤(PG)
      17分 津田(T)
      44分 梅澤(PG)

◎試合内容

[試合前の雑感]

惜敗(中央)、大敗(日大)と内容こそ違うが、いずれも2連敗したチーム同
士の対戦。中央は2連勝でもおかしくなかっただけに、何とか連敗を止めて上
位争いに踏みとどまりたいところ。キック依存体質から脱却できているだろう
か。一方の日大は関東学院と法政が相手とはいえ、失点の多さが気になる。強
力スクラムの復活よりもまずは組織ディフェンスの整備。「伝統校」に対して
いろいろと想いを巡らしながらキックオフを待った。

[前半の戦い]

開始早々に中央大は日大陣10mラインよりややハーフウェイライン寄りの位
置でペナルティを得てPGを狙う。蹴るのは中央大で今もっとも安定している
プレースキッカー、FLの森主将。距離は40m以上あったが、左足より蹴ら
れたボールはきれいな弧を描いて見事クロスバーを越えた。正に黄金の左足で
ある。

続く6分にも中央大はハーフウェーライン付近からのカウンターアタックを起
点として連続攻撃。最後は中央大の誇るトライゲッター、右WTB室井が快足
を飛ばしてインゴールに飛び込んだ。森主将のゴールも成功し序盤にして10
点リード。懸案事項?の日大のディフェンスであるが、やはり組織的な対応の
面での改善は見いだせなかった。素早くワイドに展開する攻撃を数回繰り返せ
ばすぐに綻びが出てしまう。この時点で中央大に勝機ありと見たのだが..。

日大ファンお待たせのファーストスクラムは9分。中央大陣22m付近の位置
でぐいぐい押し込んだ。残念ながら体勢が崩れたところで中央大にボールを奪
われ、逆にカウンターアタックを招いてしまったが、中央大FWに大きなプレ
ッシャーを与えたことは間違いない。結果的には、この強力スクラムが日大に
勝利をもたらしたと言える。

そして、日大FWにエンジンがかかってきた。中央大ゴール前のラインアウト
を起点としてモールで強力に前進。ゴール前のラックからオープンに展開しC
TB水田がトライ。トーエツや津田主将を軸にした縦攻撃は破壊力十分。それ
とここ数シーズン、日大FWの泣き所だったラインアウトもこの日は(も?)
安定。肝心なところでミス(ノットリリースやオフサイドなどの反則)を犯し
自滅してしまうところは相変わらずだが...。

27分には中央大にPG(距離約35m)のチャンス。森主将の蹴ったボール
は惜しくもゴールポストに弾かれたが、中央大は日大ゴール前で粘り強く攻め
日大の反則を誘う。29分に正面10mの位置でのPGは難なく決まり3点を
追加。中央のリードは9点に拡がる。

続く32分からの中央大ゴール前でのスクラム(中央大が犯した反則に対して
選択)がこの試合のハイライトとなった。34分に強力なプレッシャーに耐え
きれずコラプシングの反則を犯したところで、中央大右PRがシンビンで10
分間退場。劣勢の上にスクラムを7人で組まなければならないハンディは大き
く、36分に中央大はスクラムトライ(ゴールも成功)を奪われリードは僅か
1点に。さい先よく先制した中央大にとって、残念な失点であった。

[後半の戦い]

後半開始直後は両チームキックの応酬。とくに中央大は「自陣からのアタック
は必ずキック」と決めているかのようにであった。決定力のあるバックスリー
と、この日も攻守にわたって活躍が目立ったCTBの橘、そこにFLの森主将
らのFW3列をうまく絡ませれば面白い攻撃ができるはずなのだが、回せる状
況でも蹴ってしまったのは本当に残念。相手(日大)のSO河野のように安定
したキック力を持ちながらも、機を見て果敢にアタックを仕掛けるタイプの司
令塔が居たら中央大の得点力は確実に上がるはずである。

日大の攻撃もかなりユニーク。2次、3次と進むごとにプレーヤーがどんどん
FW周辺に集まっていき、極端に言えば15人でサイドアタックを仕掛けてい
るような感じになる。横に開く「ワイド」に対して縦長の「ナロー」とでも言
ったらいいのか、適切な言葉が思い浮かばない。省エネ効果は抜群だが、万一
ターンオーバーされた場合を考えると、相当にリスキーと言える。

後半最初の得点は日大。8分にPGを決め、日大はついに逆転に成功。日大の
攻勢は続き、13分に中央大は自陣ゴールを背負ってのスクラムという絶体絶
命のピンチを迎える。日大のミスもあり、何とか凌いだかに見えたが、17分
に日大No.8の津田にスクラムサイドを割られ、中央大のビハインドは7点に。

その後中央大はペースを掴むものの、攻撃に落ち着きがなくなかなか得点でき
ない。日大FWのプレッシャーが強かったためか、ラックからの球出しがいつ
もに比べて遅れ気味だったことが響いた。30分には日大がまたも中央大ゴー
ル前でのチャンス。ここでも日大はオフサイドでチャンスを潰す。その直後の
35分に逆に中央大がPGを成功させ、日大のリードは4点に。1トライで逆
転である。今期初勝利を期待する中央大応援席が俄然活気づいてきた。

しかしながら、今日の中央は攻めきれない。逆に終了間際の43分に日大にP
Gを奪われ万事休した。

[試合後の感想]

強力FWを軸に巻き返しを図る日大。そういった意味ではこの試合の勝利は今
期初勝利以上の意味を持っているのではないかと思う。ただ、相変わらず組織
的に戦うという姿勢が見えてこないのが今後に向けての不安材料。「強い個」
の集団が組織的に戦うことによりどんな強力なチームが出来上がるだろうか?
という日大に対する(1ファンとしての)期待はなかなか実現しないでいる。

中央大は残念ながら3連敗となってしまったが、3連勝でもけしておかしくは
なかった。キックの多用が攻撃権どころか勝利も相手に渡してしまった、と言
ったらちょっと大げさだが、ピッチ上で状況に応じて戦術を変えるような柔軟
性があってもいいような気がする。セットを速く仕掛けるとか。この試合の敗
因の一つがスクラムにあったことは間違いないが、日大のテンポで試合をして
しまったことも大きいように思う。今回は中央大が日大の術中にはまった格好。

思わず「伝統校がんばれ!」と叫びたくなる両チームの試合ぶりではあったが、
最後まで何が起こるかわからないのがリーグ戦G。気持ちを切り替えてがんば
ってほしい。

Edited by Kazunori KONO, 1O/12/2003   Back