LIVE REPORT from RUGBY STADIUM

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○観戦記録 法政大学 vs 流通経済大学(2003年10月13日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/10/13) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 3  2  1  0 22 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  41 17
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 流通経済大学:前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 3  1  0  0 17 |  24 17

◎出場メンバー

 法政 : 1.三浦 2.水山 3.長沼 4.篠塚 5.佐藤(平) 6.佐藤(崇) 7.大隅 8.岡崎
      9.穂坂 10.森田 11.和田 12.野村 13.金澤 14.山本 15.小吹
     (16.寺山 17.長崎 18.鬼頭 19.山崎 20.成田 21.田沼 22.藤田)

    ○交替  4→18(後30分入替), 9→20(後33分入替), 13→21(後33分入替),
        2→16(後33分入替)

 流経 : 1.中井 2.湯原 3.小沼 4.神白 5.鈴木(学) 6.ローゲセン 7.佐藤 8.清水
      9.森(洋) 10.アンダーソン 11.鈴木(洋) 12.土生 13.大石 14.徳永 15.森(大)
     (16.紙田 17.伊勢田 18.グレイ 19.鈴木(敬) 20.備瀬 21.大野 22.森竹)

    ○交替  6→19(後4分入替), 4→18(後4分入替), 11→22(後7分入替),
        7→20(後17分入替)

 レフリー : 下井(日本協会)  タッチジャッジ : 小野、岸川、宮本

◎得点経過

 法政大学    0    7               14       19          22      22
                   G                G        T           P
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                       G
 流通経済大学  0             7                                    7


 法政大学   22  29 34          41                              41
            G  T           G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                     T            T              G
 流通経済大学  7          12           17             24         24

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 法政:前半 3分 FW(T)、金澤(G)
      20分 穂坂(T)、金澤(G)
      29分 山本(T)
      41分 金澤(PG)
    後半 1分 岡崎(T)、金澤(G)
       4分 大隅(T)
      16分 佐藤崇(T)、金澤(G)
 流経:前半13分 湯原(T)、大石(G)
    後半10分 アンダーソン(T)
      23分 湯原(T))
      38分 鈴木敬(T)、大石(G)

◎試合内容

[試合前の雑感]

関東リーグ戦Gにおいては、今年も関東学院と法政が2強として君臨しそうな
様相。一方で昨シーズン3位以下だったチームのグループは実力伯仲の混戦模
様を呈している。ファンの関心はこれら両グループの間にどのくらいの実力差
があるかということになるのではないだろうか。そのバロメーターとなりそう
なこの対戦は、前半戦の山場とも言える。

キックオフが迫るにつれて雨脚が強くなり、ピッチに徐々に水が浮きはじめ、
グランドコンディションは悪くなる一方の状況。今年お目見えした電光掲示板
も、まさか照明灯の代わりになるとは思ってもいなかったことだろう。試合の
成り行きに一抹の不安を抱きながら試合開始を待った。

[前半の戦い]

もしこの試合がTVで全国中継されたら、おそらく前代未聞の「水中戦」とし
て多くのラグビーファンの記憶に残る試合となったことだろう。タッチライン
付近はスパイクが完全に水没してしまうくらいで、選手たちにとっては本当に
気の毒なコンディションとなった。

おそらく誰もが「果たしてこれで試合になるのだろうか?」と思ったはず。し
かしながら、そんな不安は、ピッチ上に颯爽と登場した選手たちの姿を見た瞬
間に吹き飛んでしまった。ボールが滑りやすい、足下が悪いという悪コンディ
ションが、むしろ選手たちにある種の緊張感をもたらしたのかもしれない。

「速さ」を信条とする法政にとって、この状態は不利に作用するのでは?とい
う予想はまったくの杞憂であった。考えてみれば、条件は流経大にとってまっ
たく同じである。接点での人数は常に法政が相手を上回るという、いつもラグ
ビーが展開され、序盤から法政がペースを握った。

最初の得点は法政。3分にゴール前ラインアウトからモールを押し込みFWで
トライ。ボールキープでは劣勢だった流経大だが、時折、SOアンダーソンや
CTB大石の力強いランニングで前進しチャンスを掴む。大石は驚異的なロン
グキックで過去2試合、何度も流経大のピンチを救った選手であるが、実はそ
の源泉が足腰の強さにあることがよくわかった。13分に流経大がゴール前F
KからHOの湯原がトライを奪い(ゴールも成功)同点に追いついた。

流経大が大石なら、法政は身長151cmの穂坂。20分に流経大が自陣ゴー
ル前で反則。法政はここでスクラムを選択し、穂坂がスクラムサイドを力強く
走り抜けてトライを奪った。穂坂は随所で力強いランニングと相手キックに対
するカバーリングを見せ、チームを引っ張っていた。続く29分にも穂坂がH
WL付近からFWのサイドを抜けて22mライン付近まで快走。フォローした
左WTBの山本が快足を飛ばして一気にインゴールに飛び込み5点を追加。

法政の勢いは止まらない。穂坂に負けじとHO水山も力強いランニングで流経
大ゴールに迫る。流経大たまらず反則を犯したところで法政がPGを決め前半
終了。スコールのような雨はいつしか止み、空も明るくなってきた。キックオ
フが1時間遅ければとも思った、さすが鍛えられたチーム同士の戦い。十分以
上に見応えのある前半だった。

[後半の戦い]

前半のスコールがうそのように快晴となった後半。タッチライン付近は相変わ
らず水溜まり状態ながら、やっとラグビーが出来る状態になった。法政ペース
の展開が続き、1分にNo.8の岡崎が、また4分に右FLの大隅がそれぞれトラ
イ。勝負はここでほぼ決まった。

10分に流経大がアンダーソンのトライで5点を返すものの、16分に、また
もや穂坂の活躍から法政にトライが生まれる。流経大のキックを(手で取りに
行かずに)足で絶妙のトラップで止め、すかさずオープンに展開。フォローし
た左FLの佐藤崇が決めた。これで後半は法政の3列が仲良く1トライずつ。

勝敗はほぼ決していたが、ここから流経大は粘りを見せる。法政ゴール前で得
たラインアウトで、HO→LO→HOの見事な「リターンパス」が決まり、流
経大がタッチライン沿いをノーマークで走り抜けトライ。法政やや気が抜けた
時間帯であった。というよりも、この時点(23分)でも法政のFWの選手は
一人も交代しておらず、運動量は明らかに落ちていた。軽めのプレーも見え隠
れはしていたが...。

流経大は38分にも途中出場の鈴木敬がスクラムサイドを抜けてトライを奪う
ものの勝敗には影響せず。「天候を選ばない法政の高速ランニングラグビー」
が強く印象に残る試合であった。

[試合後の感想]

穂坂のことばかり書いたが、流経大のアンダーソンも期待に違わぬ選手だとい
う思いを新たにした。身体は小さいが、ボールを繋ぐ技術とアイディアが素晴
らしく、見ていて楽しい選手である。今後を考えると、流経大のとっては外せ
ない(個人的にも外してほしくない)選手。

となってくると、流経大はFWの構成が難しくなってくる。本当はレギュラー
を固定したいところだろうが、ロックは高さの鈴木学、スピードランナーの神
白、パワーのグレイが名を連ねる。FLにはローゲセンもおりグレイとの兼ね
合いが難しい。今後の戦いを見据えていく上で、このあたりがどのように解決
されるかに注目していきたい。

法政の課題(対関東学院)をあえて挙げればペース配分であろうか。言い換え
れば、ペースを落とす(落ちる)時間帯でいかにテンションを落とさないよう
にするかということ。一瞬の隙を見逃さないのが関東学院である。

Edited by Kazunori KONO, 1O/15/2003   Back