LIVE REPORT from RUGBY STADIUM

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○観戦記録 関東学院大学 vs 大東文化大学(2003年10月19日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/10/19) 於:三ツ沢球技場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 5  3  0  0 31 |
       :後半: 8  8  0  0 56 |  87 11
 +------------------+-------------------------------+-------------+
 大東文化大学:前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 2  0  0  0 10 |  10 11

◎出場メンバー

 関東 : 1.北川(喬) 2.山本 3.田中 4.三根 5.犬飼 6.林 7.鈴木 8.八木
      9.高安 10.入江 11.大津留 12.河津 13.霜村 14.小柳 15.有賀
     (16.土肥 17.坂本 18.堺田 19.小畑 20.大鰐 21.藤井 22.山下)

    ○交替  13→22(前30分入替),1→16(後16分入替), 15→21(後19分入替),
        2→17(後31分入替), 5→20(後33分入替)

 大東 : 1.志村 2.太田 3.藤田 4.丸山 5.生沼 6.石神 7.小泉 8.マヘ
      9.吉村 10.藤山 11.萩原 12.神野 13.増田 14.中島 15.畠山
     (16.木川 17.羽鳥 18.星 19.フィリピーネ 20.寺西 21.末永 22.松本)

    ○交替  21→22(後0分入替), 6→19(後0分入替), 1→16(後22分入替),
        3→17(後22分入替), 7→18(後26分入替), 9→20(後36分入替),
        10→11(後36分入替)

 レフリー : 下井(日本協会)  タッチジャッジ : 石本、佐藤、清水

◎得点経過

 関東学院大学  0       7    12             17   24      31       31
                       G    T              T    G       G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
            
 大東文化大学  0                                                  0


 関東学院大学 31     38   45    52     59     66   73 80 87      87      
               G    G     G      G      G    G   G G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                         T   T
 大東文化大学  0               5   10                            10

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 関東:前半 6分 八木(T)、霜村(G)
      11分 大津留(T)
      26分 霜村(T)
      31分 FW(T)、入江(G)
      39分 北川喬(T)、入江(G)
    後半 4分 山下(T)、入江(G)
       9分 八木(T)、入江(G)
      15分 鈴木(T)、入江(G)
      22分 土肥(T)、入江(G)
      29分 山本(T)、入江(G)
      34分 藤井(T)、入江(G)
      38分 入江(T)、入江(G)
      40分 山下(T)、入江(G)
 大東:後半14分 フィリピーネ(T)
      18分 畠山(T)


◎試合内容

[試合前の雑感]

大東大の試合を観るのはこれで3試合目。過去2試合を観る限り、ディフェン
スやFWのセットプレーに課題はあるものの、タテとヨコを組み合わせた攻撃
は(かなり)組織的かつダイナミック。そして、自由な発想でボールを繋いで
いく(大東流)継続ラグビーも復活しつつあるように見える。

果たして、この大東のアタックが守備の堅い関東学院にどの程度通じるのか?
という期待感を持って遠路、三ツ沢に向かった。

[前半の戦い]

遅刻してしまった。やはり三ツ沢は埼玉から遠い。ただ、三ツ沢(バックスタ
ンド)は私的ベスト1の競技場。リーグ戦Gの試合に引っ張られていろいろな
場所を訪れる機会があるが、選手個々の表情がよくわかることと、全体がよく
見通せることが両立している競技場にはなかなかお目にかかれない。キックオ
フから約3分が経過。まだ、得点が入っていなかったので一安心した。

それはさておき、ちょっと見にも序盤は大東が押しているように見えた。関東
学院は序盤は相手の出方を見るところがあるように見えるが、大型FWでタテ
を突く大東大のアタックはなかなか強力。反則で攻撃が途切れてしまうのも相
変わらず、と思ったところで関東学院が先制点を挙げた。7分に大東ゴール前
のラインアウトからモールを押し込み、最後はNo.8の八木がトライ。

続く12分には、HWL付近で大東ボールをターンオーバー。すかさず連続攻
撃を仕掛けて大東ゴール前まで迫り、最後はショートキックを右WTB大津留
がインゴールで押さえて5点を追加。関東学院はターンオーバーからのトライ
が実に多い。相手にとっては攻撃権だけでなく、場合によっては得点も失って
しまうのだからやっかいである。

しかしながら、大東も反撃。FWで強力なプレッシャーをかけ14分には関東
学院ゴール前に迫る。惜しくもインゴール手前でノックオンがあり得点ができ
なかったが、なかなか強力なタテへの突破。ただ、関東学院のDFのプレッシ
ャーも強く、なかなかテンポよくボールを繋ぐことができない。FWからの球
出しが遅れ気味で、FWでもみ合っている内にターンオーバーもあり、となる
とBKもなかなか効果的なアタックができない。

ゲームはしばらく膠着状態が続いたが、26分に関東学院が追加点を奪う。大
東陣でのスクラムでサイドアタックを起点として左オープンに展開。左CTB
河津が絶妙のフェイクを入れて大きくゲインし、ボールはFB→左CTBとわ
たってトライ。ここから試合の流れは一気に関東学院に傾く。31分に再び大
東ゴール前のラインアウトを起点としてFWでトライ。前半終了間近の39分
には大東ゴール前のスクラムからの連続攻撃で、最後はPRの北川がまるでW
TBのようなトライを挙げ、スタンドを沸かせた。

関東学院優位とは言っても、大東大にも十分得点のチャンスはあった。前半で
31−0のスコアは、ひとえに攻撃権の保有能力の差と言っていいだろう。同
じ時間をかけても、方やかなり高い確率で得点まで持って行く、方や反則やタ
ーンオーバーで相手にボールを渡してしまう、ではこの得点差もやむなし。

関東学院の継続スタイルで強く印象に残ったのは、ワイドに展開したときの球
出しの速さ。タックル地点で相手の人数が多いような場合でも、速やかにボー
ルがパスアウトされてオープンに展開される。「速さ」というと、接点の人数
で常に相手を上回るというイメージがあるが、たとえ人数少なくても、判断と
プレーの正確さで確実にボールを処理する、というのも「速さ」だと思う。ま
た、相手にターンオーバーされそうな局面では2〜3人で一斉にラックに入っ
てマイボール確保、というようなプレーがごく自然に行われていたのも印象的。

[後半の戦い]

大東大は後半、FL石神に変えてフィリピーネを投入。FWのタテへのアタッ
クはより強化された。ただ、このタテ攻撃にはあまりビジョンが感じられない。
かなりゲインはするものの時間がかかってしまい、最後はミス(反則やターン
オーバー)で攻撃が途切れてしまう。関東学院のように無理な体勢になる前に
ボールをリリースして適度に幅を持たせながらのアタックできれば、と思うの
だがなかなか難しいようである。

後半も先制したのは関東学院。4分にSO入江の好判断による突破からチャン
スを掴む。大東大ゴール前でミスがあり大東大ボールのスクラムとなるものの、
サイドを突いたNo.8マヘのFLへのパスミスを山下が押さえてトライ。続く9
分、今度は関東学院が自陣のゴール前でピンチの状況から一気に逆襲。ここで
も入江のランが光り、最後はNo.8の八木がこの日2トライ目を挙げる。

入江は霜村が退いた後に蹴ったプレースキックを10本すべて成功するなど大
活躍であったが、本日はとくに司令塔としての活躍が光った。サイズに恵まれ
ているわけではないが、少なくとも、昨シーズンまでの線の細いイメージは完
全に払拭されていた。再三見せた力強いランニングはハードなトレーニングを
積んだことの裏付けだろうか。

このまま無得点では終われない大東大も意地を見せる。14分に関東学院ゴー
ル前ラインアウトからモールを押し込みトライ。15分に関東学院にキックオ
フの処理ミスをFL鈴木に拾われてそのままインゴールに飛び込まれたものの、
18分には関東学院が自陣22m内から仕掛けたアタックでミス(ノックオン)
から2トライ目。

しかしながら、大東大の反撃もここまで。その後関東学院に5トライを奪われ、
予想外の大差でノーサイドとなった。

[試合後の感想]

関東学院はレギュラーメンバー数名の名がリザーブにも見当たらない状態であ
ったが、そんなことはまったく感じさせないくらいであった。誰が出ても同じ
ラグビーができて、しかもその中に選手個々の持ち味が活かされている。ここ
数シーズンでも最強のチームが出来上がったのではないだろうか。本日の余裕
すら感じさせる戦いを観ると、正直、どこまで強いかの判断もつかない。

大東大にとってはこの点差はショックだったのではないだろうか。ただ、この
試合で自分たちに足りないものは何かが明確になったと思う。「大東流」の継
続ラグビー完成を目指して頑張ってほしいと切に思う。

Edited by Kazunori KONO, 19/10/2003   Back