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関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/10/25) 於:秩父宮ラグビー場
<試合結果>
T G PG DG 得点 | 総得点 反則
法政大学 :前半: 4 4 0 0 28 |
:後半: 6 5 0 0 40 | 68 7
+-----------------+-------------------------------+-------------+
大東文化大学:前半: 1 0 0 0 5 |
:後半: 0 0 0 0 0 | 5 11
◎出場メンバー
法政 : 1.三浦 2.水山 3.長沼 4.篠塚 5.佐藤(平) 6.佐藤(崇) 7.大隅 8.岡崎
9.穂坂 10.森田 11.藤谷 12.野村 13.金澤 14.山本 15.小吹
(16.寺山 17.福田 18.鬼頭 19.山崎 20.成田 21.田沼 22.和田)
○交替 12→21(前32分交代), 5→18(前34分交代), 11→22(後5分入替),
1→17(後20分入替), 8→19(後40分入替)
大東 : 1.志村 2.石渡 3.藤田 4.丸山 5.生沼 6.石神 7.相 8.フィリピーネ
9.吉村 10.藤山 11.ファカトゥ 12.神野 13.増田 14.畠山 15.海老原
(16.太田 17.羽鳥 18.マヘ 19.橘 20.寺西 21.末永 22.岩淵)
○交替 6→19(前8分交代), 7→18(後8分入替), 11→22(後0分入替),
2→16(後10分入替), 9→20(後24分交代), 3→17(後29分入替)
レフリー : 御領園(日本協会) タッチジャッジ : 杉山、篠原、後藤
◎得点経過
法政大学 0 7 14 21 28 28
G G x G G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
T
大東文化大学 0 5 5
法政大学 28 35 40 47 54 61 68 68
x G T G G G G
時間 0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
大東文化大学 5 5
※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗
◎得点者
法政:前半15分 穂坂(T)、金澤(G)
19分 金澤(T)、金澤(G)
37分 小吹(T)、金澤(G)
40分 三浦(T)、金澤(G)
後半 9分 山本(T)、金澤(G)
15分 篠塚(T)
20分 田沼(T)、金澤(G)
28分 小吹(T)、金澤(G)
33分 小吹(T)、金澤(G)
39分 小吹(T)、金澤(G)
大東:後半26分 志村(T)
◎試合内容
[試合前の雑感]
関東リーグ戦Gにおいて「波乱」の2文字がもっとも強くイメージされるチー
ムはおそらく大東大であろう。勝っても負けても、というオマケが付くが。法
政との対戦で記憶に残るのは1998年シーズンの三ツ沢の奇跡。法政の全勝優勝
を大逆転勝利で阻止したのが大東大であった。
相性というものがあるのかどうかはわからないが、昨年、一昨年(1点差、4
点差でいずれも辛勝)と関東学院以外で法政をもっとも苦しめているのが実は
大東大。「波乱」を起こすにはちょっと力の差があるように見える今シーズン
ではあるが、やっぱり何かを期待してしまう。
[前半の戦い]
大東大はFB海老原、WTBファカトゥ、そしてFLの相主将が戦列復帰。ほ
ぼ(おそらく)ベストの布陣で、先週の関東学院戦での大敗から心機一新、巻
き返しをはかろうとする意気込みがグランドに登場した選手たちの表情から伺
えた。
過去3試合がそうであったように、この試合も序盤から大東大が攻勢に出た。
ディフェンスでもCTB増田らが強力なタックルで法政のアタックを阻止する
など、気合い十分であった。ここで1本でも取れれば、大東大はペースを握れ
るはずだったが、法政ゴールラインまでなかなか届かない。
法政もFWの速い集散によりボールを大きく動かすものの、大東大の積極的に
前に出るディフェンスにより効果的なゲインが奪えない状態。攻撃がやや単調
になっていた(速いがテンポは一定)ためか、ゲインさえ許さなければ、DF
側としては、むしろタックルポイントに入りやすいようにも見受けられた。
ボールは左右に大きく動くが得点表示が動かない状態がしばらく続いた。そん
な膠着状態を打開したのが法政のSH穂坂。15分に大東陣G前で得たPKの
チャンスからクイックで仕掛け、そのまま自らインゴールに飛び込みトライ。
「(背の)小ささも確かに武器である」と思わせるくらいの素晴らしいランニ
ングであった。もっとも、強靱な足腰があってこそではあるが。
このトライによりゲームの流れは法政に傾く。19分には法政のCTB金澤が
自らのキックを大東ゴール前で拾ってトライ。しかしながら、大東も反撃し左
PR志村がトライを挙げて5点を返す。法政やや優位ながら試合は再び膠着し
た状態となった。30分には法政が右中間25mの位置でPGのチャンス(大
東のスクラムのコラプシングによる)を得るものの失敗。
ただ、大東も自陣からの攻撃はアップアンドアンダーのほぼ一点張り。法政の
前に出るDFを考えての作戦だったのかもしれないが、逆にカウンターアタッ
クによるピンチを招く場面が多かった。大東は終盤の37分と40分に相次い
でトライを奪われ、点差は一気に23点に拡がった。37分のトライではゴー
ル前を一気に駆け抜けたFB小吹のスピードが、40分のトライでは左PRの
三浦に絶妙のラストパスを送った穂坂の正確なプレーが印象に残った。
[後半の戦い]
後半から大東大はFL相主将に代えてマヘを投入。ファカトゥがベンチに下が
った。おそらく相主将の回復状態が思わしくないのであろうが、この試合でも
ファカトゥのサイズと速さが活かされるシーンがあまり見られなかった。今の
状態(FW中心で行く)なら、最初からマヘを出していた方がいいように思わ
れるが...。
それはさておき、開始早々の1分、法政はPGのチャンス(G正面約30m)
を得るが失敗。3分には自陣22m内でミス(ノックオン)を犯し、試合の流
れは大東に傾いた。大東は6分に法政陣でのスクラムから8→9攻撃でショー
トサイドを攻める。ボールはWTBから再びSH吉村に渡りゴールラインまで
あと一歩のところまで。しかしながら吉村は惜しくもタッチに押し出されてし
まった。続く7分にも大東は法政G前で得たPKのチャンスも生かすことがで
きず、結果的にこれが響いた。
9分には法政がHWL付近のラインアウトを起点としたオープン攻撃で右WT
B山本がトライ。また、15分にはゴール前のラインアウトからモールを形成
して押し込みLOの篠塚がトライ。法政のリードは35点に拡がり、どうやら
ここで波乱の起こる余地はなくなった。
そして20分。法政にとって最高の形のトライが生まれる。HWL付近でのセ
ットスクラムから8→9を起点としてオープンに3回展開。最後は完全なオー
バーラップ状態となり、途中出場のWTBの末永がインゴールに飛び込んだ。
この8→9(といっても、No.8がスクラムから離れた位置に開いたSHにパス、
そこを起点としてオープンに展開する)であるが、法政のセットスクラムが安
定していたこともあり、オープン攻撃の有効なオプションとなっていた。終盤
にFBの小吹が持ち前の高速ランニングをいかんなく発揮して3トライを奪っ
たが、28分と39分のトライは上記8→9を起点としたものであった。
大東は関東学院戦に続いての大量失点負け。けして、大東にチャンスがなかっ
た訳ではなかったが、法政とのボールキープ力の差が如実に出てしまった。取
るべきところで取れないと、思いもよらない点差になってしまうラグビーの怖
さをあらためて思い知らされた。
[試合後の感想]
今日もやはり穂坂。受け手の胸元にタイミングよくスッポリと収まる正確なパ
スが法政の攻撃のリズムを支えていると言ってもいいのではないだろうか。負
傷退場した野村と佐藤平の怪我の状態が気になるが、約1ヶ月後に迫った頂上
対決が楽しみになってきた。
2週続けての大敗となってしまった大東大だが、再三見せた気迫のタックルな
ど、選手たちの気持ちは十分に伝わってくる試合だった。前を向いて頑張って
ほしい。
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